モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「HELP 復讐島」感想ネタバレあり解説 クソ上司と無人島でロマンス…にはなりません!

 HELP 復讐島

リューベン・オストルンド監督の「逆転のトライアングル」という映画の中で、富裕層とクルーザーの乗務員らが無人島に漂流してしまうエピソードがあります。

 

船内では客とスタッフという関係性以上に、破格のチップ欲しさに群がるスタッフとそれを見て楽しむ富裕層という、いかにも「金」を軸にした資本主義的な構図を可笑しく見せていましたが、いざ無人島で漂流したものならば、金や金品に価値などなく、そこで生きるための「知恵」を持ったものが強者になる物語を風刺をこめて描いていました。

 

今回鑑賞する映画は、このエピソードに近い物語。

なんと「パワハラ上司と無人島で二人きり」というもの。

恐らく漂流しても上司が部下にコキ使うんでしょう、それに対してブチ切れる部下の姿を、恐怖と可笑しみでコーティングして楽しませてくれるんでしょう。

 

モンキー的には永遠の憧れ「俺のレイチェル・マクアダムス」が久々にオフィスカジュアルな格好で登場してくれるし、ロマコメ中心だった彼女がこういうホラーに出るのはほとんどないので、マジで楽しみ。

あ、レイチェル!ハリウッド殿堂入りおめでとう!!

 

というわけで早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

死霊のはらわた」や「スパイダーマン」シリーズでおなじみサム・ライミ監督が、今度は“逃げ場のない無人島”で人間の狂気と復讐心を炙り出す。

 

出張で利用した飛行機が墜落、無人島に漂流した部下の女性が、パワハラ上司に怒り心頭して復讐に転じていく姿を、恐怖とユーモアを交えながら描く極限のサバイバルスリラー。

 

監督のサム・ライミは「キャラクターたちが極限状態に追い込まれる物語をいつも愛してきました。そして、この物語では力関係の変化が次々と状況をエスカレートさせ、予想外の展開とスリルに満ちたドラマを生み出しているんだ。」と語る。

死霊のはらわたやダークマンなどが、追い込まれた人間がどう変化し対応するかを映してきたように、本作もまた追い込まれた二人がどう変化していくかに注目だ。

 

コンサル会社の戦略チームで働く会社員・リンダを演じるのは「アバウト・タイム」や「君に読む物語」のレイチェル・マクアダムス。

これまでラブストーリーばかり出演してきたイメージの彼女だが、コミカルな芝居も優秀。

サバイバルスキルで優位に立つ彼女がいったいどんなマウントをとって笑いにするのか楽しみだ。

 

そんなリンダに「有能だが不器用」との理由で執拗なまでにパワハラを繰り返すクソ上司・ブラッドリー役を「メイズ・ランナー」「バンブルビー」のディラン・オブライエンが演じる。

若手俳優として活躍したのち、俳優としても人間としてもキャリアを積んだ彼が、本作でどんな悪態と萎縮でユーモアを見せるかに注目だ。

 

もしもパワハラ“クソ上司”と無人島で二人きりになったら──二人の立場が次々と逆転する先に待ち受ける、想像を超える《大どんでん返し》。

予測不能なノンストップ復讐エンターテインメントです。

 

 

 

あらすじ

 

会社員のリンダ(レイチェル・マクアダムス)は、日々パワハラを繰り返す上司ブラッドリー(ディラン・オブライエン)の下で鬱屈とした日々を送っていた。

 

ある日、出張のために乗り込んだ飛行機が墜落し、目を覚ますと、そこは見渡す限りの孤島。

生き残ったのは、よりによって大嫌いな上司と自分の2人だけだった――。

 

怪我で動けないブラッドリー。

リンダは持ち前のサバイバルスキルで食料を確保し、火を起こし、状況の立て直しを図るが、次第に二人の“力関係”が逆転し始める。

 

「忘れるなボスは私だ、私のために働け」と無人島でもいばり散らすブラッドリーに対して「もうオフィスはないのよ」とバッサリ切り捨てるリンダ。

 

やがて彼女の中に抑え込まれていた怒りと復讐心が、静かに、しかし確実に膨れ上がっていく。

 

誰もいない無人島で、立場も理性も崩壊していく先に待つのは――想像を絶する結末だった——。(公式ニュースより抜粋)

youtu.be

 

 

感想

サム・ライミ流フェミニズム映画は、主導権を握れなかった女が怪物になるしかない物語だった!

てか「サバイバー」ってシーズン47までホントにやってんの!?ww

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

ざっくりあらすじ

他界した先代のの社長から「副社長は君に」と言われていたリンダ。

何事にもポジティブシンキングで数字に強い資料はお手の物。

調子のいい役員の上司の資料も完璧に作り上げる優秀な社員だったが、新しく社長に就任した息子からは、そうみられなかった…。

 

ブラッドリー社長はリンダの距離感や会話、何よりも嫌いなツナ(おそらく魚類全般が嫌い)を口に付けて近づいてくる抜けた性格に嫌気がさしていたのだ。

それに引き換え調子のいい役員とは大学が一緒で、ゴルフが趣味、何より隣にいて鬱陶しさがないことから、副社長はリンダではなく彼になってしまう。

 

悔しさのあまりブラッドリーに直談判するリンダだったが、亡き社長の遺志は通じなかった。

あまりにもみじめに見えたブラッドリーは、バンコクの出張にリンダを同行させることに。

 

悔しさを押し殺しポジティブさを前面に出して飛行機に乗るリンダ。

男連中は、そんなリンダの密やかな趣味であるリアリティショー「サバイバー」に出演したい旨をアピールする動画を見て爆笑する。

涙を流しながらその光景を見つめるリンダの気持ちが通じたのか、彼らに天罰が下る。

 

突然乱気流に入ってしまった飛行機にアクシデントが発生、機体が剥がれ男性陣もCAを次々と外に吹き飛ばされていく。

海に落下した飛行機から何とか脱出したリンダは、近くの無人島に流れ着いたのだった。

 

砂浜を歩いていると意識を失い足にけがを負っていたブラッドリーを発見。

嫌々ながらも救助するリンダは、自慢のアウトドアスキルを活かして、ブラッドリーを介抱することに。

 

日よけを作り雨水を蓄え、魚を焼いて食べさせるなど上司としてでなく一人の人間として救助するリンダに対し、目を覚ましたブラッドリーは相変わらずの態度だった。

 

数日たっても食糧と水分の確保しかしないリンダに、苛立ちを募らせるブラッドリー。

まずは救難信号をするのが先決だ、のろしをあげたか、砂浜に大きく「HELP」と書いたか、辺りを見回したのかと命令してばかり。

それに対しリンダは、自分がしてあげた恩をあだで返すかのような態度に腹を立て、「ここは会社じゃないのよ」と言い残し、彼を一人きりにしてしまう、

 

一人でも余裕の表情だったブラッドリーも、時がたてば精神が凹んでいく。

心折れたブラッドリーは謝罪しリンダと和解を試みたが、性根は変わっておらず再びリンダと衝突してしまう。

 

足の怪我も回復しない状態の中、リンダの手を借りず一人で作業するブラッドリー。

大きな木の棒を蔓で結ぼうにも上手くいかず苛立つブラッドリーを横目に、ハンモックで優雅に過ごすリンダ。

やがて食べる物にもありつけず、寝床や水の確保もままらないブラッドリーは完全に心が折れ、リンダに全面降伏するのだった。

 

これからはリンダを見習いながらやり方も覚えていく、そう心を入れ替え、この島の地理や毒のある食べ物の見分け方などを学んでいくブラッドリー。

海辺で酒を飲みながらお互いの事を語り合うまでになった二人は、「怪物は天性によるものではない」と尊重し合っていく。

 

ブラッドリーは父が社長であったことや母の性格に難アリだったことが原因で、捻くれた性格になったと告白。

一方のリンダも10年間結婚していたが、何かと衝突していた夫に嫌気がさしていたこと、その度に酒を飲んで車を運転する癖があったので鍵を隠していたこと、そしてある時大喧嘩した際わざと車の鍵と酒を注いだコップを置いたことが原因で、夫が事故死したことを打ち明ける。

 

翌朝二日酔いで目覚めたリンダは、全裸で体を洗うブラッドリーの姿を目撃、スコールの際も冷えた身体を肌で温め合うなど、ブラッドリーに対する心境の変化が現れる。

そしてブラッドリーもたまには振る舞いたいと夕食を用意、リンダをもてなしていく。

 

しかしブラドリーが作った料理には毒入りの実が入っており、意識がもうろうとしたリンダはその場で倒れてしまう。

その隙を狙ってブラッドリーは、こっそり作っていたイカダで島を脱出しようと試みる。

意気揚々と舟をこぐブラッドリーだったが、幾度も寄せてくる波により、いとも簡単にイカダは全壊、三度リンダに救われるのだった。

 

度重なる抜駆けや裏切りに怒り心頭のリンダは、幾ら面倒を見ても反発するブラッドリーを「服従」されるための儀式を始める。

 

リンダはあらかじめ用意していた毒入りのタコの串焼きをブラッドリーに食べさせた後、ズボンとパンツを降ろし局部をナイフで切り落とそうとする。

こうすれば男は女に服従すると耳元で囁くリンダに、硬直状態で抵抗できないでいるブラッドリーは大粒の涙を流す。

しかしリンダが切ったのはネズミで、滴る血はネズミのモノだった。

 

きついお灸をすえられたブラッドリーは数日だんまりするほどの落ち込み。

相手をしてくれない彼に飽きたリンダは、マンゴーを取りに反対側の海に向かうと、なんとブラッドリーの妻が夫を探すために船を使って捜索していたのだった。

 

これまでリンダは、会社ではない場所で掴んだ主導権に一時の幸せをかみしめていたが、彼女がやってきてしまっては全てが水の泡。

また服従する立場に戻らなければならなくなってしまう。

 

彼に会わせてはいけないと邪な気持ちが生まれたリンダは、崩れやすい断崖を歩かせ海に落としてしまうのだった。

 

やがて妻が島にやってきていたことを知るブラッドリーは、ついにリンダと対峙していく。

果たして二人はこの島から脱出することができるのか。

そして主導権はどちらの手に渡るのか!?

 

・・というのがざっくりしたあらすじです。

 

無茶苦茶面白かった

サム・ライミにそこまで強い思い入れはなく、スパイダーマンやダークマン、マイナーな所で言うとシンプルプランなどが好きな程度。

だけどこれを見たら『やっぱサムライミわかってるぅ~~!!」と勝手にファンであることを主張したくなる面白さでした。

こうやって知ったかぶりは生まれるのですw

 

全体的には「恐らくこんな展開になるんだろうな」という内容ではあったし、冒頭で触れた「逆転のトライアングル」風味が実際に描かれていたと言っても過言ではない。

展開が読めたのに、なぜ手放しで面白いと言えるのかには、やっぱりサムライミの見事な演出と撮影技術、話法があったのではないかと推測できます。

 

僕が思うサムライミって「ドクターストレンジ:マルチバースオブマッドネス」の時も感じたんだけど、とにかくシーンとシーンを手早くつなげて時短する編集をする人ってのがあります。

それはスパイダーマンでも使っていて、あのシークエンスのつなぎ方こそサムライミの巧さだと思ってたんですよ。

でも本作はジャンプカットを多用しているモノの、シームレスにシーンを繋ぐことは愚か、意外と2人の会話をじっくり見せていく手法で作ってたんですね。

 

これが意外と上手く行っていたんですよ。

確かにイノシシを捕まえるといった一連のアクション描写はテンポよく見せる場面都市撃て効果的だったけど、2人の上下関係にどう変化が訪れるのかまでテンポよく見せると物語的に飲み込めない人も出てくるのでは、なんて考えたんでしょう。

実際当初は反発していたブラッドリーが、やらかしては失敗する度に服従していく姿を段階的に見せ、その間共同作業や食事の風景ではじっくり語ってもらう。

そうした静と動をうまく機能させていくことで、作品に旨味が出た映画になっていたのではないでしょうか(なんかそれっぽく言ってるだけだなこれw)。

 

 

それもこれも俺はレイチェル・マクアダムスが素晴らしすぎたことが全ての理由だと思ってます。

てか彼女の作品をずっと見てきた人は、本作を見て彼女のストーリーを作って見てたんじゃないかって。

 

「きみに読む物語」「アバウトタイム」「きみがぼくを見つけた日」「ミッドナイトインパリ」「恋とニュースの作り方」「君への誓い」など、かつての彼女と言えばロマコメ女優だったわけです。

特に恋とニュースの作り方なんて、恋も仕事も頑張っちゃうんだから!みたいな20代女子に夢見させる以外何の価値もない映画ですよ(失礼w)。

 

そういう役柄と言えば彼女だったけれど、多様性に追いやられてロマコメやラブストーリーは製作されても当たらなくなってしまったわけ。

スポットライトで賞レースノミネートまで果たしたけど、女優としてのキャリアはその後目立った動きもなく。

 

そんな彼女のセカンドステップは何をすればいいのかってのが本作によって導かれたんじゃないかと思うと、ファンとしてはめちゃめちゃ感慨深いんです。

独身の中年女性が副社長の座に座れるとしがみついていた仕事から解放され、無人島で思うがままにサバイブすることで生きがいを見出していく姿は、正にレイチェルが抜け出したかった環境=ロマコメから抜け出してホラー映画への出演に繋がってくるんじゃないかと。

 

水を得た魚のように無人島で活躍するレイチェルは、いとも簡単に火を起こしいとも簡単に寝床を作り、魚も果物の確保も朝飯前、やがて格闘するイノシシとは、一度戦ったことがあるんじゃないかというほど巧い立ち回りで倒していく。

例え血まみれになって叫んでも、とどめを刺したはずなのに突進してくるイノシシを見ても決して怯まない。

私が選んだ場所はここだ=ホラー映画だ!といわんばかりの逞しい姿を、泥まみれで目を潰されてもやり切る女優として我々に見せてくれるわけです。

 

しかもね、何が凄いってアラフィフなのに肌の露出を惜しまない美しさですよ。

やっぱりクローズアップすると老いが目立つわけですよ(ほんと失礼)。

さすがの俺もツナがついた口のドアップは、ちょっと引いてしまったw

だけど無人島に来るや否や、いかにも「無人島生活だからシェイプアップしなきゃ!」みたいなボディに変身してるわけですよ。

そして肌が白い!普通肌がボロボロになるのに!

お腹もしっかり出してる辺りがファンとしてはたまりません!

 

とにかく新境地を見出した彼女。殿堂入りも果たしたのでこれからはオスカーも狙って、こうしたB級映画にもガンガン出てくれるはずです!!

 

 

 

最後に

もちろんレイチェルだけでなく、ディラン・オブライエンのクソ上司ぶりも見事ですよ。

あの乾いた笑いと笑ってない目つきは最高だし、毒が回って硬直しながら涙を流す芝居は素晴らしすぎましたね。

 

他にもダニー・エルフマンの完璧すぎる音楽も見事。

ここでこういうのが来たら最高だなと思ったら、正にそれって曲が流れる的確な作曲。

彼の音楽のおかげか、サムライミの判断が良いのか、ホラー演出はどことなくクラシカルな見せ方にも見えるんですよね。

そんな既視感が本作を「新しくも懐かしい」気持ちにさせたかもしれません。

 

しかもずっと笑ってたよ今回。

特に海に溺れたブラッドリーをゲロ吐きながら呼吸確保するリンダのシーンは笑うしかないw

本当は毒を盛られてるから助けなくてもいいんだけど、助けないと服従させられないからさ。

 

一体怪物はどっちなのかってのも、事前の会話がフックになっていてクライマックスの格闘が面白くなってるし、何よりもどちらが正しいとかモラル的な回答なんかおかまいなしで、女性がどうやって支配していくか、人間誰しもそうした欲が生まれることを純粋に追い求めたからこそのグロさや生々しさ人間臭さだったから面白かったというか。

 

一見怖いけど、中身止まらない笑いが随所にあった本作。

大事なことは伏せた内容にしたので、是非劇場で見てほしい映画です。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10