平場の月

若い子たちの胸キュンなラブストーリーを見ると、当時の自分を思い出したりします。
恐らく自分が若かった頃に見た恋愛映画も、「今、こんな恋愛してみたい」なんて淡い妄想を抱いたことでしょう。
しかし、中年真っただ中の今、なかなか「中年同士の恋愛映画」って少ない。
洋画だと余裕で沢山あるけれど、邦画はあまり見当たらない。
この歳で未だ独身の自分。
好きでこうなったわけではなく、縁に恵まれず独身なわけですが、なんかさ、夢見させてくれねえかなとw
恐らく若い時のような「運命的」なものじゃないんでしょうね、大人の恋愛ってやつは。
周りが普通に家庭を築いてる中、取りこぼされた者同士、余ったもん同士が肩をよりそうみたいな。
どうしても今の大人の恋愛映画=不倫のイメージばかりだったので、今回鑑賞する映画は楽しみなんです。
何が楽しみってね、井川遥ですよ。
俺が唯一買った写真集は、彼女だけですw
それだけ好きなんですw
というわけで早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
朝倉かすみ原作の同名小説を、「花束みたいな恋をした」、「片思い世界」の土井裕泰監督の手によって実写映画化。
中学時代の初恋の相手同士である男女が、時を経て再会。互いに独り身となり、様々な人生経験を積んだ2人が意気投合し、離れていた時間を埋めるように心を通わせていく姿を、15歳での瑞々しい初恋模様と大人の切ない恋愛の物語を交えながら、月のように二人を温かく照らしていく。
様々な世代の恋愛映画を作り上げてきた土井監督。
50を過ぎたら向き合わなくてはならない日常の出来事の延長線上に、再会と恋愛が訪れる原作に惹かれ、依頼を受けたそう。
また原作では先に結末が明かされるが、映画では観客が青砥と同じタイミングで事実を知ってもらうよう改変。二人の恋の行方と人生の選択を見守ってほしいと語る。
そんな50歳を迎え初恋の相手と再会する主人公・青砥役を、「鍵泥棒のメソッド」、「その夜の侍」の堺雅人が、彼の初恋相手・須藤役を、「さかなのこ」、「ショウタイムセブン」の井川遥が演じる。
他にも、学生時代の青砥役に、TVドラマ「不適切にもほどがある! 」の坂元愛登、学生時代の須藤役に、本作が映画デビューとなる一色香澄、須藤の妹役に、「市子」の中村ゆり、青砥の同僚役に「劇場版「緊急取調室 THE FINAL」」のでんでん、青砥の元妻役に、「キリエのうた」の吉瀬美智子、須藤に思いを寄せる男性役に、「ブラックショーマン」の成田凌、居酒屋の主人役に「アウトレイジビヨンド」の塩見三省などが出演する。
タイトルの「平場」とは、お笑い好きの原作者が「芸人がネタ以外のトークやアドリブをする場」を平場というのだと知り、そこから名付けたそう。
他にも、競馬などでは、特別ではないレースを指し、百貨店では、ブランドの垣根を越えて陳列する売り場のことらしい。つまり、“ごく一般の人がいる場”といった意味で使われている。
そんなごく一般である中年の男女が、どんな切ない恋愛をしていくのか。
若い人にも見てほしい1作です。
あらすじ
妻と別れ、地元に戻って印刷会社に再就職し、平穏に日々を生活する、青砥健将(堺雅人)。
青砥が中学生時代に想いを寄せていた須藤葉子(井川遥)は、夫と死別し地元に戻ってきた。
再び出逢った二人は、少しずつ、離れていた時を埋めていく―― 。
ある日、アパートの部屋から月を眺めていた須藤。
「お前、あのとき何考えてたの?」青砥にそう問われ、
「夢みたいなことだよ。夢みたいなことをね、ちょっと」
そう答えた須藤。
再び、自然に惹かれ合うようになった二人。
やがて未来のことも話すようになるのだが・・・。(HPより抜粋)
感想
#平場の月 鑑賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) November 14, 2025
愛ってよくわからないけど 傷つく感じが素敵
「花束みたいな恋をした」に「抱きしめたい 真実の物語」が重なったような中年同士の恋愛映画。酸いも甘いも経験したからこその距離感が沁みる。
一緒にいてくれる人がいるって、当たり前じゃねえからな、でんでんの言葉が刺さった。 pic.twitter.com/LaTrL9HQX6
若さゆえの恋愛とは違う、どこか地に足着いた恋愛。
孤独に死んでいくことを覚悟しながらも、間違った優しさに触れて喜ぶ。
だからこそ、「夢みたいなこと」を月に祈ったんじゃないだろうか。
せつない。
以下、ネタバレします。
予想はしていた結末。
中学時代コクってフラれた子と50歳にして再会。
共に酸いも甘いも経験し、今は一人。
このまま一人で死んでいってもいいけれど、誰かのそばにいれるならそうしたい。
だけどそう簡単に距離を縮めるわけにもいかず。
彼らの年齢程のではないけれど、立派に孤独を満喫している中年男子モンキーとしては、ある種羨ましい出会いだったり、逆に俺はまだそこまで枯れるほど年取ってないしなど、複雑な思いを抱きながら鑑賞してまいりました。
原作では「須藤が死んだ」ことを聞かされた青砥から始まるそうですが、本作ではそれを伏せながら進行。
監督が語った通り、青砥と共に須藤という女性を追う物語を描きながら、時折中学生時代の回想を挟むことで、初々しさと成熟さをメトロノームのように揺らし、どんな世代でも「恥ずかしいもんは恥ずかしい」ことさえも教えてくれた恋愛映画でございました。
結構会話の映画だったなぁと思ったら、カレンダーの丸印やアパートの庭に花を植えたり、それこそここぞとばかりに夜空に浮かぶ月を映したりと、言葉でない何かを伝えようとする演出が冴えていた作品でもありました。
50歳にもなった良い大人が恋愛なんて。
こんな思いを抱く人結構多いんじゃないでしょうか。
劇中の会話でもあったように、男って子供作ろうと思えば何歳でもいけたりするけれど、そういうのに限って男は若い女と添い遂げる。
でも若い子とお付き合いできるのは、やっぱりお金持ってるおじさんなんですよね。
そんな現実的に在り得ない恋愛模様とは違い、本作は、離婚をし、子供も大きくなり、色々あって地元に帰ってきた50歳の男、そして、いい大学に出ていい会社に就職したけど、略奪愛して結婚したけどDVだった、死別して若い男に金を貢いで、一文無しになって地元に舞い戻った50歳の女の物語。
こうして2人の経歴を聞いてみると、「もう恋なんてしない」なんて頭の中で思い浮かぶと思います。
だってもう傷つきたくないし、また一緒になったとしても上手く行くわけがないなどマイナス思考になりますよ普通。
また年齢を言い訳にしてしまいがち。
ディズニーランドに行けるほどキャピキャピできないし、劇中の2人は決して裕福ではないから銀座でデートもどこか違う。
だけど目の前にいるのは「初恋の相手」で、お高く留まってるでもない「平場」の人間だからこそ、背伸びせず慎ましい恋愛映画だったのではないでしょうか。
僕は残念なことに事前情報を仕入れていたら「厚生労働省とタイアップ」してるという情報を見てしまい、「あ、これは難病ものじゃねえか…」と少々落胆してしまったのであります。
どうしたって日本の恋愛映画の中の小ジャンルに「難病モノ」という項目が入ってることに納得できない、寧ろ敬遠したくなるタチなんですが、これもそのパターンかよと。
劇中で二人は病院内の売店で再会し意気投合し、お互い定期健診を受けた際須藤に「大腸がん」が見つかるという流れになっていきます。
僕自身そこまで定期的に検査に行くほどまめな性格ではなく、病気をなめてる節があるんですが、ここ最近胃の調子が悪く、去年受けた内視鏡検査で逆流性食道炎が見つかって以降、「俺も昔のような体じゃないんだな」と痛感してる毎日を送っていることから、やはり中年の恋愛を描くうえでこうした体の不調や病気を描くのってものすごくリアルだったりするんだよなと。
劇中では須藤が「人工肛門」について色々聞いたりしながら手術や抗がん剤治療などを受ける描写が映っているんですが、それでも恋愛ってしていいんだよと訴えてるようにも感じました。
でも結局それって「相手」次第だよななところもあって。
仮に俺が青砥の立場だったら、それでも彼女と一緒にいたいって思えるんだろうかと。
ものすごく主観の話ばかりしてますが、俺めんどくさがりな性格なもんで、どうして「青砥はあそこまで寄り添えるんだろう」と不思議で仕方なかったんですよね。
いや、別に縁を切れよとかそういうことではなく、俺は幾ら好きでもあそこまで付き合えないよ…って。
こんなことを平気で言ってしまう俺は、やはり「愛」というモノをよく知らずに生きてきたんだろうなと、逆に自分のダメさを思い知って入るんですけど、何が言いたいって「愛」ってそういうことなんだよなってw
だいぶ話が横にそれがちですいませんw
物語は、「芯が太い性格」と揶揄される須藤が、なぜ青砥の申し入れを拒絶するのか、どうしてそこまで自分を軽蔑するのかを読み取る作業の多い作品だったように思えます。
それは会話の内容から察するしかないのですが、須藤はとにかく「人に迷惑をかけたくない」女性だということが、見ていくと理解できると思います。
互助会と称して定期的に馴染みの居酒屋で、傷をなめ合う話を肴に飲むわけですが、誘ったのは俺だから今日は俺が出すという青砥に対して、頑なに「割り勘」を強調する須藤が序盤に映ります。
今の若い方たちはお金にたかる人も一定数いるんでしょうが、「割り勘デート」は許容範囲どころか「それが当たり前」な関係性も多く見受けられますが、やはり昭和を生きた者として、「男が払う」って結構大事だったりするわけです。
もちろん俺もそうしたい気持ちなんですが、いかんせんごち造できるほど稼ぎが良いわけではなく・・・。
やっぱね、男が払うことで「男にさせてほしい」願望があるんですよ。
単純に「カッコをつけたい」わけです。
須藤みたいに「ダメ、こういうのは良くない」と金を渡されると、カッコが付かないんです。
メンツの話ですw
この呪縛から抜け出せない中年男性は多いはず。
他にも、もっとプレゼントがしたい、旅行に連れていきたい青砥に対して、いらないとかまた今度にしようと、奢られたり何かをもらったりすることに物凄く抵抗感のある女性として描かれていきます。
なぜ彼女はそこまで頑なに拒むのか。
回想シーンで、須藤の母親が外で若い男を作って5年も帰ってこなかったことが明かされます。
それがきっかけで、同級生や青砥から告白されても「○○君が嫌なんじゃなくて、私は一人で生きていくって決めたから」と告げるのです。
父に迷惑をかけてまで他の好きな人と暮らす母親をみて軽蔑し、そんな思いを抱いたのでしょう。
だけど彼女は大人になって、妻子がいる男性を奪ったり、若い男に貢いだりと、中学生時代に言ってる事と違うじゃねえか!みたいな暮らしをしてきたことが明らかになります。
これは一体どういうことか。
僕の解釈からすると、単純に能動的になるか受動的になるかでこういう性格になったんじゃねえかなと。
男作って出て行く母親の遺伝子を持っていたからなのか、男にはのめり込むタイプだったんでしょう。
だけど、相手から言い寄られるのは違ったんでしょうね。
優しくしたいけど、優しくされるのはダメなのかな。
そんな須藤も、2階のアパートから月を見て「夢みたいなことをちょっと」祈る姿が映ります。
一体どんなことを夢見たんでしょうか。
それはきっと、病気を完治させて青砥と一緒になることだったんじゃないでしょうか。
そうであってほしいし、そうであってなくちゃあのセリフは成立しないよな。
まぁ見てた人も分かったと思いますが、須藤が死んだことを知った青砥が、彼女のアパートで妹さんから話を聞いた際のシーンで、闘病中も青砥からもらったペンダントをちゃんとつけて病床に伏せていたこと、一緒に熱海に旅行に行くと約束した12月20日に丸が付いていたことなどから、決して彼女は青砥が嫌になったから、青砥に迷惑をかけたくないから別れを告げたわけではないことがわかります。
青砥に会わせる顔がないと言って亡くなったのも、彼女が彼に対する思いが故の「申し訳なさ」だったりしたんでしょう。
彼を1年も待たせたあげく、自分は病気に勝てないかもしれない、約束を守れないかもしれないと悟ったから。
最期まで彼女の性格に振り回されて、「忘れられぬ呪い」を受けた青砥のその先が気になる終わり方でした。
最後に
途中でも書きましたが、敢えて劇的な描写にせず抑制された演出がどこか「花束みたいな恋をした」のような作りでしたね。
会話の中にも「ユニクロ」や「コジマ」や「ニトリ」といった量販店で購入したモノが囲まれた慎ましく暮らす2人の姿が描かれてたし、だからこそ二人が自転車2人乗りした姿が眩しかったりもする。
また難病モノをそれっぽく描かず生活の一部のように映す感覚も「抱きしめたい 真実の物語」のようなリアルさがあった作品だったように思えます。
人工肛門に慣れていない須藤がスーパーで自分の臭いに過剰になってしまったり、抑えられないおならの音を二人で笑いあうベッドシーンも病気と共に暮らす姿を、どこかプラスに働かせる要素のあった描写だったと思います。
これから50歳になる身として、新しいことに挑戦することが面倒だから当時やっていた趣味を謳歌するようになるのか、孤独を恐れて誰かと一緒になることが訪れるのだろうか、その際許すとか許さないとかを超越した関係性を築けるのか、大病を患っても寄り添う男性になれるのか、はたまた逆の立場でも寄り添ってもらえるのだろうか、色々自分の将来が気になる物語でした。
俺もどっちかていうと須藤と近いんですよね~考え方が。
迷惑かけてまで一緒に居たくないって結構わかるんだよなぁ。
その人の人生を考えてしまう。
そもそも優しくされるの嫌なんだよなぁ…受け取る側でなく与える側でいたいというか。
でもさ、でんでんが言っていたけど「一緒に入れくれる人がいるって、当たり前じゃない」って本当そうだと思う。
散々わがまま言ってるうちの親父はマジで母ちゃんが離れずにいてくれることに感謝してほしいw
あとあれだ、青砥が須藤のボタンのシャツを外そうとしたとき、須藤が「やっぱりだめ、恥ずかしい」って言ったあと、「俺だって恥ずかしいよ」っていうあの生々しい会話、あれは最高w
いや、どの年齢でもあれは恥ずかしいよな~w
特に中年の体は締まってないからな~w
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

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