インサイドヘッド2
コロナ禍以降配信にも力を入れてきたディズニーでしたが、度重なる興行不振により、その後の経営方針を「量より質で勝負」する経営方針に舵を切ったわけですが、なぜかラインナップされたアニメ映画は、どれも続編ばかり…。
おいおいそれでいいのかディズニーよ…
せっかくオリジナル作品の「マイエレメント」が批評的にも興行的にも当たったのに…
でもまぁ、「ウィッシュ」はパッとしなかったからなぁ、続編で行くのも仕方ないのか。
つうか、あれかディズニーとピクサーで分けないとアレか。
んなもん知るかディズニーはディズニーだ!
とはいうものの、続編である本作「インサイドヘッド2」は、先に公開された北米での興行収入は大ヒット。
確かに前作は良かったわけだから、当たるのも理解はできる。
てかあれ以上にどう続編を製作するのか…あ、そうか、ライリーが成長するのか。
一体どんな感情が生まれたのでしょうか。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
11歳の少女ライリーの頭の中にある5つの感情「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」たちが、誰も見たことがない頭の中で、予想もつかない新たな冒険を繰り広げるストーリー「インサイドヘッド」の続編。
主人公の少女・ライリーが高校入学という転機を迎え、頭の中で彼女の幸せを子供の頃から見守るヨロコビ、カナシミ、ムカムカ、ビビリ、イカリの5つの感情たちの前に、新たな4つの大人の感情、シンパイ、イイナー、ダリィ、ハズカシが現れ、感情の嵐が巻き起こり、大人なら誰もが経験してきた感情の嵐や“思春期あるある”が詰まった、感動の物語が繰り広げられる。
前作では、『トイ・ストーリー』の原案とアニメーション監督を務め、『カールじいさんの空飛ぶ家』でアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞し、現在はチーフ・クリエイティブ・オフィサーとしてピクサー作品を世に送り出しているピート・ドクターが監督を務めたが、本作は前作に続いてメグ・レフォーブが脚本を手がけ、「モンスターズ・ユニバーシティ」のストーリースーパーバイザーを務めたケルシー・マンが監督を担当。
ボイスキャストには、「ミーン・ガールズ」のエイミー・ポーラー、「バッド・ティ^チャー」のフィリス・スミス、「ハンナとその姉妹」のルイス・ブラックなどが前作から続投、新たに「クローバーフィールド」のライザ・ラビラ、「トイストーリー4」のトニー・ヘイル、Netflixシリーズ「ストレンジャー・シングス」のマヤ・ホーク、「アデル、ブルーは熱い色」のアデル・エグザルホプロス、「リチャード・ジュエル」のポール・ウォルター・ハウザーなどが新たに加わった。
大人になるにつれて抱く新たな感情。
それまで抱いていた感情たちは、新たな感情たちとどう共存しライリーを正しく導くのか。
あらすじ
少女ライリーを子どもの頃から見守ってきた頭の中の感情・ヨロコビたち。
ある日、高校入学という人生の転機を控えたライリーの中に、シンパイ率いる<大人の感情>たちが現れる。
「ライリーの将来のために、あなたたちはもう必要ない」―
シンパイたちの暴走により、追放されるヨロコビたち。
巻き起こる“感情の嵐”の中で自分らしさを失っていくライリーを救うカギは、広大な世界の奥底に眠る“ある記憶”に隠されていた…。(HPより抜粋)
キャラクター紹介
- ライリー(CV:ケンジントン・トールマン)…高校入学という人生の転機を迎え、“シンパイ”という感情に支配される。
- ヨロコビ(CV:エイミー・ポーラー)・・・いつもポジティブでハッピー。たまに空気が読めないことも…。
- カナシミ(CV:フィリイス・スミス)・・・内気で泣き虫。だけど、実は誰よりも優しくて仲間想い。
- イカリ(CV:ルイス・ブラック)・・・熱い闘争心の持ち主。一度キレたら誰にも止められない。
- ムカムカ(CV:ライザ・ラビラ)・・・キライなものやダサいものは断固NG。毒舌な一面も。
- ビビリ(CV:トニー・ヘイル)・・・いつも怯えているが、迫りくる危険には素早く反応する。
-
シンパイ(CV:マヤ・ホーク)・・・最悪の将来を想像し、あたふたと必要以上に準備してしまう。
- イイナー(CV:アヨ・エデビリ)・・・小さな身体と大きな瞳で、いつでも周りの誰かを羨んでいる。
- ダリィ(CV:アデル・エグザルホプロス)・・・どんなときも退屈&無気力で片時もスマホは手放さない。
- ハズカシ(CV:ポール・ウォルター・ハウザー)・・・いつもモジモジしていて、恥ずかしさがMAX になるとフードで顔を隠す。
-
ランス・スラッシュブレード(CV:ヨン・イェア)・・・ライリーがかつて親友とハマったゲームに登場するキャラクター。髪をなびかせながらキザな台詞を連発するが、必殺技はヘタレ。ライリーは未だにひっそりと恋をしており、ランスはライリーの頭の中の“保管庫”にいる。
- ブルーフィー(CV:ロン・ファンチェス)・・・ライリーが幼い頃に見ていた子供番組に登場するピンク色の愉快な犬。
- ポーチー(CV:ジェームズ・オースティン・ジョンソン)・・・ブルーフィーが腰に巻いている黄色いポーチ。大人になるにつれ子供番組を見なくなったライリーだが、実はまだブルーフィーとポーチーのことが大好き。ライリーの頭の中の深い秘密の場所に眠っている。
(以上公式とFassion Pressより抜粋)
思春期からだいぶ歳を重ねた僕ですが、本作を見ればあの頃抱いたモヤモヤを思い出せるのかな。
ここから観賞後の感想です!!
感想
#インサイドヘッド2 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) July 31, 2024
思春期なんてとっくの昔の話で、今や「ナツカシ」ばかりが浮かぶ俺だけど、こんな時期あったなぁと「ナツカシ」くなった。いつからかネガもポジも受け入れて大人になってだんだなぁ。アイディアが抜群でエンタメで参ったが、でけえ図体のアイツは一体何だったんだ… pic.twitter.com/NMPVAxw5Ut
良い自分も悪い自分も、臆病な自分もワガママな自分も、すべて受け入れてこそ「自分らしさ」。
前作からさらに創造性を増した、感情たちの冒険は、想像以上に楽しい。
以下、ネタバレします。
前作以上に感慨深い。
ザックリ本作の中身を語りましょう。
ヨロコビたちは、どんどん成長していくライリーの思い出たちを選別しながら「ジブンラシサ」の花を育てている。
そんな高校入学を間近に控えたライリーが、所属しているホッケーチームでの華々しい活躍に目を止めた高校のコーチから3日間のキャンプへの参加に誘われる。
しかしそれと同時に思春期アラームが鳴り響いたことで、ヨロコビたちの前に「シンパイ」、「ハズカシ」、「イイナー」、「ダーリー」という新たな感情が現れる。
キャンプを前に激しい感情を露わにするライリーに母親は困惑。
移動中の社内でも友人から「別の高校へ行く」という話を聞かされ、内心悲しみに暮れていく。
今後のライリーを守るため、これまでの友達を捨て、新たな友人との楽しい高校生活を送るための措置を取るシンパイ。
それに対し反発するヨロコビたちだったが、邪魔者扱いされ「保管庫」へ送られてしまう。
こうしてヨロコビたちは、いつものライリーに戻ってもらうため、ジブンラシサの花探しの旅へ向かうことになっていく。
というのがざっくりしたあらすじです。
前作では引っ越し先で戸惑うライリーのために奔走する感情たちの冒険譚を描いたモノでしたが、本作も高校でのホッケーキャンプで何とか気に入ってもらえるように奮闘するライリーと、主導権をシンパイに奪われたヨロコビたちがライリーのために奔走するという流れでした。
今回非常によくできていたのは、思春期によって生まれた複雑な感情たち。
特にリーダー格の「シンパイ」に至っては、とにかくネガティブ思考であるために、あらゆる不安要素を想定し行動へ移すようライリーに指示をする役割を担っておりました。
確かにこれまでの友人と別々な場所で過ごすことになるのであれば、新たな仲間をいち早く見つけておけば、新生活がスタートしてもさほど心配にはならず、あっという間に溶け込めるというもの。
常に何かに心配になっていれば、保険を掛けられるという点においては、誰しも経験がある手段だったりするのではないでしょうか。
ライリーも、ホッケーチームのリーダーに気に入られれば安泰だとか、好きなバンドを小バカにされればそれに合わせるなど、周りに合わせたり、それによって自分を押し殺すことで、孤独にならないための保険や心配の種を積んでいく作業に駆られていくのであります。
ぶっちゃけ俺も音楽が好きで中学からバンド活動をしていたわけですが、高校に上がれば当時のメンバーは誰もおらず、楽器をやってる人間に近づいては歌を歌わせてほしいとアピールをしたもんです。
しかし、当時流行っていたのは俺がこよなく愛するミスチルよりも、ハイスタやオフスプリングといったメロコアハードコア。
パンクとかに全く興味のない俺は、みんなに合わせるために、対して好きでもない彼らのCDを買って聞いていたものですw
今となってはそれが良い思い出だし、結果彼らの好きな音楽に触れたことで仲良くなり、そいつらとバンドを組んで東京に出たわけで、決して間違った選択ではなかったと思ってます。
要は誰にもそういう経験があるけれど、それをどう受け入れるかっつう話だったわけですよ本作は。
そういう自分も受け入れることで、大人になっていくんだと。
周りに合わせて自分を殺す行為を、否定しない。
そういう自分もいいんだと。
一方ヨロコビたちはというと、シンパイに司令部を乗っ取られたことで保管庫に閉じ込められてしまいますが、ライリーが秘密にしている「子供のころから未だに好きなキャラ」に助けられます。
紆余曲折を経てなんとか嫌な思い出を廃棄する場所にたどり着き、シンパイに捨てられたジブンラシサの花をゲットしますが、司令部へつながる道を閉ざされてしまう。
イカリのアイディアによってなんとか司令部にたどり着くものの、シンパイが暴走したせいでライリーが過呼吸になってしまいます。
ライリーもこれまでの失敗をなんとかしたいけど、どうしようもできない。
すると、新たなジブンラシサの花が咲きます。
これは彼女の信念を司る場所に、嫌なおもおいでが流れ込んだことで、良い面や悪い面といった様々な自分を受け入れることで、自意識を取り戻した結果に見えます。
そう、これまでは感情たちが彼女をコントロールし、ジブンラシサの花を咲かせていましたが、思春期を迎えたライリーに一番大事なのは、感情に支配されずにありのままを受け入れることだということを描いているのだと思います。
あぁ、そうか、なんで自分はあの時ライリーみたいに不安定だったのか、この映画を見て分かった気がする。
受け入れられなかったんだなと。色々な自分を。
何かすれば恥ずかしいし、時に怠いと思ったり、常に不安で心配だったし、誰かの行動や言動に憧れたりする。
それは決して間違ってない感情である一方で、それに流されることなく自分を貫く姿勢をも間違ってなくて、そんなことに板挟みにならないことが、あらゆる成功や失敗を受け入れることが、自意識を形成し、大人になっていくんだなと。
アイディアの宝庫だわ。
これを96分で見せるという構成も素晴らしいし、キャラクターたちにも見せ場があって葛藤があって、それでいて誰も悪い感情ではないことろに落としていく、感情の多様性ってやつ。
前作をあまり覚えてないんだけど、今回も思い出たちは色のついた玉に込められ、信念を司る場所から精神の糸が連なっていき、やがて自分らしさを形成していくという設定でした。
当初は、「ライリーはいい人」であるためにヨロコビたちが良い思い出だけを選別し、そこへ流し込み、悪い思い出は記憶の彼方へ廃棄するという流れだったけど、シンパイらが登場したことで、ヨロコビたち自身が葬られてしまうという流れでした。
複雑な感情たちはライリーの未来で、ヨロコビたちは古い感情、そんなレッテルを張られながらも再び脳内を冒険していくヨロコビたち。
道中では、秘密の保管庫から移動して記憶の彼方まで「思考の川」の流れに沿って向かいますが、ライリーが皮肉を放つといきなり川が崖ごと崩れていくという。
すると今度はイマジネーションランドなる場所へ逃げ込んで、将来なりたい職業の格好をした風船に飛び乗ってさらに足を進めていくんですね。
そしたら今度は「アイディアの嵐」がやってくるんですよ。
小さいものから大きなものまで雨風の如く降り注ぐもんだから、風船も最後まで持ちそうにないと。
他にもシンパイがエナジードリンクを飲んで夜通しでライリーに不安要素を与えていくんですね。
これをオレンジの形のキャラが簡易式のデスクでひたすら絵を描いてシンパイに提出するんです。
彼の裁量によってボツと採用に分かれ、採用された不安はライリーの脳内に送られていくと。
これをヨロコビたちが阻止して、ポジティブ思考に変えていくという戦いをユーモアに富んだ内容で見せてくれました。
とにかくヨロコビたちが一刻も早くジブンラシサの花をを取り戻しに行く中、シンパイらの命令で徐々におかしな行動や言動をするライリーの思考がヨロコビたちの度を邪魔することになってしまうという後半でした。
こうしたユニークな発想はこれまでのピクサーやディズニーでもあったけど、前作であれだけのことを見せておきながら、まだこんな楽しくて遊び心のある脳内を見せてくれるのかと思うと、ほんとに頭が上がらない。
それに加え冒険の中でヨロコビたちや他のキャラにも新たな一面が見えてくるってのも、続編だからこそできる芸当。
ヨロコビは常にポジでなきゃいけない姿勢に戸惑うし、それ故に失敗もし続けてきたわけで、それをしっかり指摘したり、それでも気味が必要だと促す他のキャラの姿を見ると、ライリーとどこか重なる部分もあるよなぁなんて思えてきて、ホントよく出来てるなぁと。
それがヨロコビらしさで、ライリーらしさなんだっていう。
最後に
キャラクター造形も前作とはまるで違うモフモフ感があったし、秘密の保管庫に登場する2Dキャラやポリゴンキャラとの絡みも違和感なく見れたし、ホッケーの臨場感も抜群に良かったし、もはや非の打ち所がない作品でしたね。
強いて言うなればあまりにあっという間に終わってしまうところでしょうか。
展開も早いし、描かれるのはライリーの3日間だけだし、ヨロコビとシンパイの対立で他のキャラは同等の見せ場があるわけではないので、その辺が勿体ないと言えば勿体ないか。
それでも全然良いんですけどね。
特にカナシミとハズカシが意思疎通していく場面なんかはもっと膨らませても良かったのかなと思うんですけど、あれくらいがちょうどいいのかな。
とにかくインサイドヘッドの続編???となっていた僕ですが、思春期を迎えたことで生まれる新たな感情ってよく見つけたアイディアだなと。
こうなってくると、高校生活編で異性への感情が芽生えたり、社会人編で更なる感情が生まれ、結婚出産と、ライリーの人生に呼応するように色んな感情が生まれて脳内の感情キャラ大渋滞みたいな続編が生まれるんじゃねえかと期待しております。
とはいえ現時点で9体いるわけですから、そんなに増やしても収拾つかないと思うんで、程よい所でやめていいのかもしれませんけどねw
まぁやめるわけないか、めちゃめちゃヒットしてるんだし。
しかしあれだな、気にしぃな性格だからか未だにシンパイはいるし、仕事は常にダーリーし、初対面の人と話すのはハズカシだし、誰かの投稿にイイナーと思ったりするんで、俺もまだ思春期ってことでいいですかねw
なんちゅう余談w
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10