モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

【スポンサード リンク】

映画「愛しのアイリーン」感想ネタバレあり解説 様々な愛のむき出しに笑いと狂気が止まらない。

9月15日

愛しのアイリーン

f:id:monkey1119:20180807104407j:plain

私モンキーが全幅の信頼を寄せている吉田恵輔監督。

男兄弟女姉妹による愛と憎しみの数々を怒涛の笑いと涙で綴った「犬猿」という上半期トップクラスの作品を世に出したばかりだというのに、今年もう1本公開するんですくわぁっ!!

 

おいおいおいおい、ただでさえ今年は「カメラを止めるな!」って超ダークホースだったり、「うなぎ」以来の快挙とタイトルだけ観ただけで日本の恥とか言われて大問題に発展したけど、そのおかげで大ヒットになった「万引き家族」、ぶっちゃけ話は全然面白くなかったけど積み重ねてきた10年の月日はいつのまにか国民の心に根付いていた「劇場版コードブルー」とか、もう今年も残すところあと4ヶ月切ったけど、今年ってどうみたって日本映画盛り上がってるんじゃないの?って。

 いやこれが興行収入も大事だけどさ、中身だよ中身。

「犬猿」なんて数字じゃどこまでいったか知らないけれど、間違いなく映画ファンは賞賛に値する面白さだったでしょう。

何、それをもう一度俺たちに喰らわすわけ?

あ~~~~~どうしよう。

も~~~~~楽しみ。

 

はい、ここまで書いてまだ作品の中身に何も触れていないバカ猿です。

 

もう終わるからね~~。前置き~~。

 

過疎化した村で育った40歳童貞のおっさんが若いフィリピン人の女性を半ば金で買って結婚!村に帰ってきてさぁ大変!!という、それって本当の幸せなのかい?という思いと、過疎化した村に外国人なんか連れてきて大丈夫か!?というハラハラ感。

ヒメアノ~ル」でエロスとバイオレンスをシンクロさせ、観衆の感情を弄んだ監督が今度は一体どんなマジックで我々を魅了してくれるのか?

もしくは「ヒメアノ~ル」のエロスとバイオレンスを越える映像を作り上げたのか?

 

早速観賞してまいりましたぁ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

ザ・ワールド・イズ・マイン」や「宮本から君へ」などの原作で知られる漫画家・新井英樹が、「少子高齢化」や「嫁不足」「外国人妻」「後継者問題」から「国際結婚が内包している様々な問題」をベースに描いた「愛しのアイリーン」を、最も影響を受けた漫画と豪語する監督によって製作された。

 

嫁不足の農村に両親と暮らす40代の童貞男と、貧しく若いフィリピン人の女性との国際結婚によって、夫婦とは、親子とは、家族とは、幸せとは、そして愛とは何かを、壮絶でダイナミックに描く。

これまでの恋愛や結婚への憧れや幻想を打ち砕く、平成最後の「事件」をスクリーンで拝め!

 これが地獄のバージンロードだ!!

 

愛しのアイリーン コミック 全6巻完結セット (ビッグコミックス)

愛しのアイリーン コミック 全6巻完結セット (ビッグコミックス)

 

 

 

 

 

 

あらすじ

 

 

一世一代の恋に玉砕し、家を飛び出した42歳のダメ男・宍戸岩男(安田顕)はフィリピンにいた。

コツコツ貯めた300万円をはたいて嫁探しツアーに参加したのだ。

30人もの現地女性と次々に面会してパニック状態の岩男は、半ば自棄になって相手を決めてしまう。それが貧しい漁村に生まれたフィリピーナ、アイリーン(ナッツ・シトイ)だった。

 

岩男がとつぜん家を空けてから二週間。

久方ぶりの帰省を果たすと、父の源造(品川徹)は亡くなり、実家はまさに葬儀の只中だった。

ざわつく参列者たちの目に映ったのは異国の少女・アイリーン。

これまで恋愛も知らずに生きてきた大事な一人息子が、見ず知らずのフィリピーナを嫁にもらったと聞いて激昂するツル(木野花)。

ついには猟銃を持ち出し、その鈍く光る銃口がアイリーンへ……!(HPより抜粋)

 

youtu.be

 

 

 

 

 

 

監督

 

今作を手がけるのは吉田恵輔。

f:id:monkey1119:20180903162320p:plain

今年公開した監督の前作「犬猿」。

 

www.monkey1119.com

 

実は僕監督のトークショーつき試写会で観賞しまして。

前に座っていたおっさんとずっと同じタイミングでゲラっていたんですがw

その時にまだ情報伏せてるんだけど、もう少しで解禁されるから楽しみにしてて!みたいな事を言っていて、それが今回の映画だったと。

 

「犬猿」のように基本監督はオリジナル脚本作品が多く、今の映画業界でオリジナル脚本で映画撮れるのは希有な存在なんですが、「銀の匙~Silver Spoon~」と「ヒメアノ~ル」と一応コミック原作も手がけてるんですよね。

むしろヒメアノ~ルのせいで、コミック原作の監督って変な認知されてないかな、大丈夫かな・・・。

 

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

 

 

キャスト

 主人公・宍戸岩男を演じるのは、ヤスケンの相性で知られる安田顕。

f:id:monkey1119:20180903164544p:plain

どちらかというと脇役のイメージが強い彼ですが、今作が実は2度目なんですね~。

観てないんですけどw

 

 作品も脇役だからいっぱいありますもんね。何が代表作なんだろうw

僕好きなのはドラマですけど「下町ロケット」の役柄ですかね。技術者の。

頭ぐしゃぐしゃで太い淵のメガネかけて髭ボーボーで。

あまり小奇麗な役柄よりもだらしない感じで庶民的な役のほうが似合ってるかなぁ。

あまりエキセントリックな役柄もモンキー的にはアクが強すぎてイヤかなw

銀魂のやつとかノイズでしかなくてあの役あまり笑えなかったし・・・。

 

そんなヤスケンの代表作をサクッとご紹介。

TEAM-NACSの一員としてTVや舞台で活躍し、少しずつ東京でのお仕事を増やしてきたヤスケン。

福田雄一監督作品によく出演しており、真冬の海に呼び出された6人の男達の妄想バトル「大洗にも星はふるなり」、少年ジャンプで連載していたパンティをかぶると突如正義のヒーローに変身してしまう「HK変態仮面」、戦隊モノのパロディとイマドキの女子事情をふんだんに盛り込んだ「女子ーズ」などに出演しています。

 

HK/変態仮面 [DVD]

HK/変態仮面 [DVD]

 

 

他にも、北野武監督に抜擢されインテリヤクザ役を演じた「龍三と七人の子分たち」、未解決事件を担当する刑事達が超能力を持つ犯人達と熾烈な戦いを繰り広げる「SPEC」シリーズでは、物腰柔らかい医者の顔とは一変、相手に病を処方する能力を持つマッドサイエンティストの役を演じています。

他にも、歌舞伎町での仕上がろうとする若者の激しい抗争を描いた「新宿スワン」、突然超能力に目覚めた地方の男子高校生たちを描いたSFコメディ「みんな!エスパーだよ!」などがあります。

 

今作は、現場を行き来する脇役俳優のロマンスを機に、大きなチャンスが訪れていく「俳優 亀岡拓次」以来の単独初主演となっています。

 

俳優 亀岡拓次 Blu-ray(通常版)

俳優 亀岡拓次 Blu-ray(通常版)

 

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

岩男の妻・アイリーン・ゴンザレス役に、フィリピンの実力派女優ナッツ・シトイ。

岩男の母・宍戸ツル役に、80年代小劇場ブームの旗手的存在となり、現在でもたくさんの作品に出演している木野花。

塩崎裕次郎役に、「あしたのジョー」、「ジョジョの奇妙な冒険」の伊勢谷友介。吉岡愛子役に、「あゝ荒野」、「さよなら歌舞伎町」の河井青葉などが出演しています。

 

 

 

 

 

 

 

今回監督はどんな人間模様を見せてくれるんでしょうか。休む間もなく笑いと涙が押し寄せるのか、はたまたこれまでにないバイオレンス描写が待ち構えているのか。

ここから観賞後の感想です!!

 

感想

「ヒメアノール」以上に胸糞悪くて心掻き毟られた・・・。

田舎町で起きた様々な愛に、性と生の叫びを見た。

今年一番の劇薬映画かもしれない・・・。

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

何と表現したらいいか・・・。

田舎町で未だ実家に住みながら生活している未婚の中年男性を中心に、登場人物全てが愛を望むあまり性に憧れるあまりにそして幸せを願うばかりに暴走していく姿を、過疎化の一途をたどる小さな町から浮き彫りになる、嫁問題、国際結婚問題、偏見や差別問題、親の介護から姥捨て山という必要悪などを細部に至るまで描き、「ヒメアノール」で培った下ネタユーモアとバイオレンス描写を愛の絶頂期を境にうまくスライドしていくことで、笑いと涙、そして愛とは何か幸せとは何かを深く考えさせられた今年一番の劇薬映画かもしれない作品でございました。

 

上映時間137分。吉田惠輔監督にしてはかなり長いお話だったわけですが、見終わった後の僕の気持ちとしては、愛という見えそうで見えないものにここまで心を振り回せれてしまうのか、というものでした。

前半でのどストレート過ぎる下ネタの数々とヘタレ過ぎる岩男の行動、そしてカタコトの話すアイリーンの健気さにとにかく激しく笑う部分もあればほっこりする場面もあり、非常に心地いい時間を過ごせたはずなのに、ある事件を境にこの映画のBsideへと物語は形を変え、さっきまで笑えた下ネタにも笑えず僕の表情もどんどん曇っていったわけで。

 

一体この気持ちどう昇華したらいいのか、手探りで書いております。まぁいつもだけど、いつも以上です。

もう幕が下りてライトがついたとき、一人で見てるのに思わず「うわぁ…」と言ってましたから。これ相当です。

もちろん非常に満足してます。満足してるんだけど爽快感なんてありません。失望感とも達成感とも違う。ラストカットに何を思うかで皆さんどう感じるかですよね。

 

ただ僕はこの感想としては是非皆さんに見てほしい、皆さんで愛の表面と側面の何たるかを見届けてほしい、そんな気持ちであります。

 

 

 

下ネタストレート過ぎるだろ!!

吉田惠輔作品は基本健康的なエロスというモノが随所にちりばめられていて、それが作品の中で効果的になっている時があるんですが、今回の作品に関しては健康的なエロスなんてものは存在せず、非常に生々しく描かれていてこれこそ人間本来のむき出しの欲なんじゃねえかって感じのものになっていたように思えます。

その大きな理由の一つとして、田舎町だからこそ成立するんじゃないかという包み隠さず語られる下ネタの数々です。

もうこの町には、今問題となっている女性に対するセクハラ問題の波なんて来てるわけがありません。

 

これまで色々と映画を見てきましたが、こんなにも「オマ〇コ」という言葉を聞いたことがありませんw正確には「オマ〇"ゴオォォォォっ!!!」ですがw

岩男は最初こそ大人しい男でしたが、中身は性欲を満たしたいと渇望しており、夜家に帰ればオナニーを繰り返したり、たいして興味もない中年女性スタッフと寝てしまったりしてしまってるんですね。

ただ気持ちとしては純なもので、愛子が別の男と成り行きで寝たことを知り、憧れだった人の本性を知って失望すると、フィリピンパブの女性を買春するんだけど、結局それでは気持ちが満たされないことは鼻からわかっていて結局寝ないんです。

だけれど欲望は消えない。夜の町をさまよいひたすら「オマ〇コ」と叫び、不注意で車に轢かれても「オマ〇コ」と叫ぶ。何かが爆発したんでしょうねw

そして一念発起しフィリピンでアイリーンをカネで買い、日本へ連れて帰るもなかなかさせてもらえない毎日を繰り返すわけで。その時も「オマ〇コさせろ」の繰り返しです。あまりに溜まりすぎて岩男のあれがギンギンに反り立ってるシーンは爆笑モノです。あまりのでかさにアイリーンは実家に電話までしてしまうんですからw

色々あってようやくアイリーンと結ばれるわけですが、岩男をある恐怖が襲うことで岩男のアイリーンに対する愛情が歪んでいくんです。その愛情は再び性欲へと変換していき、再び「オマ〇コ」ワード連発。

ここまでストレートで言われるとみてるこっちが恥ずかしくなりますw

 

一番強烈なのは、岩男が務めるパチンコ屋の同僚。まさかの物まね芸人古賀シュウさんが演じてるなんて聞いてないですw(ぜひカラオケを歌うシーンでものまね披露してほしかったwww)

朝礼から女性スタッフがいるにもかかわらず「おはようごザーメン」と言い放ち、勤務終了後カラオケに行こうと誘う時も、超セクハラワード連発。

でもそんな奴に限って案外モテたりして、岩男が好意を抱いていた愛子と流れでセックスをしたと、岩男本人に話してしまうといった、空気の読めない男をオヤジ節全開でやっちまっております。

 

こんな具合に下ネタは沢山出てくるんですが、性描写に関して言えばものすごく生々しかったように思えます。

今年「娼年」なんて生々しいセックスを描いた映画がありました。

 

www.monkey1119.com

 あまりの生々しさに見てるこっちが恥ずかしい気持ちになりましたが、娼年は性癖に対する多様性という生々しさはあったものの、映像としては美しく映すことに重きを置いていたように思えます。それはきっと女性が見るであろう映画だからかなと。

 

しかし今作は下ネタがストレートだけあって完全男向けになっており、性描写も岩男の性に対する欲望が抑えられない感じを見事に表現した荒々しさでした。

 

ゲスな話ですが、やっぱり男も女も性欲の度合いがみんな同じで、いつどこで消化するかで平静を保てるというか理性を保ててると思うんです。

例えば恋人と、例えば夫婦で、例えば風俗で、例えば…一人で。

で、この一人での状態を続けていると岩男みたいに暴走しだすというか。よく言いますよね、初体験が遅い人こそ、セックスに憧れを抱き過去を取り戻したいがためにセックスに没頭する、執着するみたいな。

 

岩男がそうだと思うんです。彼は何度も何度も愛を求めては願いかなうことなく今に至ったわけで、愛とはセックスだみたいな気持ちが強かったのろうと。

だからこその「オマ〇コ」であり、ちょっとした隙の醜態だったり、行為を抱いていた人への強引なアプローチだったのかなと。

 

 

登場人物から見る様々な「愛」への思い。

このように、岩男は愛というモノをピュアに捉えていたのか大事に抱えてたんですよね。

なぜそうなったのかは、やはりおとなしい性格ゆえに異性へのアプローチをうまくできずにいたのも一つの理由だと思いますが、そのせいでこの年までうまく恋愛関係に結ばれなかったことが大きいのかなと。

そしてもう一つは人口の少ない田舎町、ということ。岩男にも好みはあるはず。しかしなかなか理想の女性というのがいない現実も見えてくるわけで。

だから愛を手に入れるには、お金が必要だという考えにたどり着くわけです。

それがフィリピンでのお見合いだった。

金で女性を買って嫁にもらえば、自分の思うようにメイクラブできる、しかしアイリーンはまだバージンであり、中々セックスさせてもらえないわけです。

岩男は多分自分の金で買ったからアイリーンを所有物だと勘違いしてるんでしょうね。でもアイリーンは言葉が通じないとはいえ、れっきとした人間。血も通ってるしロボットなんかじゃない。

せっかく嫁をもらったのに満たされない性欲。途中寄り道しそうになりますが、とある出来事を境に、岩男は愛するということの意味を知るわけです。

しかし、岩男は愛に不器用だった。あの出来事が脳裏に焼き付き、その愛はどんどん歪んだものへとなっていくんですよね。

今の今まで恋愛してこなかった男は相手に優しさだったり思いやりだったりすることも愛だということを知らないからアイリーンをどんどん傷つけるんですよね。

傷つけるんだけど、根っこにはちゃんと愛があったことが後々明かされるんですが、これがもう切なくて切なくて。

心ではちゃんとアイリーンの事を愛しているのに、言葉で体で表現できない。誰が岩男をこんな人間にしてしまったのか。環境なのか親なのか、それとも自分自身なのか。

 

 

そんな岩男を手塩にかけて育てた母・つるもまた、偏った愛情を持っていたと思います。

2人も流産し3人目は2歳の時に肺炎で亡くしてしまった。そしてようやく生まれたのが岩男。8歳までおっぱいに縋り、10歳まで寝小便をしていた我が息子を大きくなった今でもいい嫁を探そうと躍起になっている。

この母の息子に対する愛情も正直異常なもので、居間の隣でが岩男の部屋なんですが、障子に穴開けて岩男のプライベートをのぞき見してるんですね。

で、岩男も男ですからそりゃ家に帰ってオナニーの一つや二つしますわ。てか岩男に限っては性欲が異常ですから回数も尋常じゃないんでしょうけども。

で、つるさん、このオナニーしてるところをのぞき穴からずぅ~っと覗いてるんですね。息子の立場からすると非常に不愉快です。不愉快極まりない!

これ岩男は気づいてるんですかね。気づいてるか。てか気にしてないんだろうな。

そして風のウワサで、コブつきで元夫が受刑者である愛子と何やら親しい関係にある事を聞きつければ、岩男の勤めるパチンコ店へいき、愛子に詰め寄ってうちの息子はおめえみてえな女相手にしねえからな!と毒づく。

今度は岩男が突如消えてしまう。

近所の人や勤務先に電話を入れて息子の行方を探そうとするんですね。

これに関してはもう普通の母親像といいますか、どの親もそうするよねと同情しました。

そしてとうとう東南アジアの国からやってきた虫ケラゴミ女・アイリーン。

コブつきのおんなでさえ嫌悪感を抱くお母さんは、むろんどこの国から来たかも割らない肌の色の違う言葉も通じない女に殺意すら芽生えるわけで、猟銃構える姿勢をするわけで。

それからというモノ、この女をどう追い払おうか悩むわけです。刺客としてお見合い相手を岩男に向けますが、岩男の性欲むき出しのせいで作戦は失敗。

ならば悪魔と契約するほかない、とヤクザである塩崎と手を組みアイリーンをさらってもらおいうと画策します。

しかしつるの思惑とは違う方向に向かい、ついに岩男はアイリーンと結ばれていくんですね。その光景を覗き穴から覗くつる。あ~とうとう息子はどこぞの女と本気で愛し合ってしまった。

それからというものアイリーンとつるは同じ屋根の下に住むものの、何かあれば口論になり、うまくいかない。

それよりも岩男にある疑惑が向けられそっちも心配。

と、このように息子に対する異常なまでの愛をつるさんはもっていたんですね。

これまた岩男同様歪みに歪みまくった愛情表現で、岩男自身をダメにしてるようで、モンキー的には観てられない面が多かったわけですが、きっとこれは僕自身が未だに息子であるから故の母に対する抵抗心といいますか、母親からしたら子供はいつまでたっても子供だということの現れなんですよね。ただ、ずっと一緒に住んでいるからということもあってどうにかして息子の幸せを自らの力で叶えてあげたい一心だったように思えます。自身の年齢もかなり高齢ですから孫の顔も見たいという思いもあったでしょう。そして岩男がやってしまったことにも献身的に支えようとする面は、息子であるがゆえに突き放せないことだったんでしょうね。

正直あなたのせいでもあるんですが・・・。

 

 

 

ではアイリーンはどうだったのか。

フィリピンの大家族で育った彼女は、家族を養うために岩男のもとに嫁ぐ決心をします。

ただ彼女はバージンだったことから、愛に対して岩男同様大きな憧れを抱いていました。初めての人は愛する人と。決して自分をお金で買うような岩男とはセックスしないわけです。

岩男の町にはフィリピンパブがあって、そのフィリピ―ナをあっせんする塩崎のようなヤクザもいる。彼女たちは日本という国で男たちに買われることで幸せを手に入れようとしていたんですね。半ば奴隷のような形だとしても。

そんな女性たちが集まるパブでも、アイリーンは流されません。愛はお金では買えないことを解っている。お金で買われたとしても心は決して売ろうとしないわけです。

とりあえず岩男のもとで妻として寄り添うアイリーンは、日本語を覚えようと努力をしていきます。

中々自分の思いが伝わらいことに苛立ちもしたんでしょうけど、彼女は強かった。なぜならそれは家族を幸せにするためだから。

そして事件が起きます。ようやく岩男を夫として好きになろうとしていた時にそれを割こうする人たちが自分をさらおうとしていた。

しかし岩男は自分を決して見捨てることなく追いかけてきて、自分を守るためにある行動をした。その光景に体中が震え恐怖を拭うことができないでいたところを岩男は、もうフィリピンへ帰れというのですが、アイリーンはようやく岩男に対して愛を感じたことを知るんですね。

初めての人は愛する人と。アイリーンは愛を手に入れるのです。

ただこれを境に岩男は豹変してしまい、アイリーンは少しづつ追いやられていくのですが。

愛とはお金では買えないもの。家族を養うためのしたたかさはあったが理想は譲らなかった。岩男は自分をどう扱うのか優しいけれどそれだけでは愛をささげることはできない。そして想定外の出来事によって岩男という男は自分を守り、彼の自分への愛は本物だと確信した。ただどんどん豹変していく彼の対応に自分への愛は何だったのか、こんなにも愛しているのに、と悩んでいく。

しかし岩男は不器用だっただけだった。根っこは自分への愛を確かに持っていた。なぜ彼をもっと理解してやれなかったんだろう。そのやりきれない気持ちはつるとの関係へと繋がり、彼からもらった愛をつるにも注いでいくんですね。

 

 

他にも塩崎は、フィリピン人のハーフで子供の頃から日本での自身への偏見に悩まされ苦しい思いをしてきた。その復讐を果たすべくフィリピーナをあっせんし日本人からたくさん金を巻き上げる事だった。彼もまたその闇のせいで間違った方法でアイリーンを幸せにしようとさせていた。

俺たちフィリピンの血を引く者たちは、日本人から金を巻き上げられるだけ巻き上げることが幸せであることを、いつまでも夢見ているアイリーンに押しつけていく。でもそれは彼女が自分の母親に似ているからという愛の面影によってのものだった。

非常に悲しい男でした。

 

そして忘れちゃいけないのが岩男のお父さん。序盤早々フェードアウトしてしまう人物でしたが、ほとんどボケていたんですよね。でも最後の最後で新婚当初の記憶でつるさんと接し、この世を去っていったわけです。ボケてはいたけど幸せだったころの記憶のまま逝くってある意味幸せだったんじゃないだろうかと。

しかも岩男はどうせ結婚できない、こいつは親を捨てる。そう思ってたわけで、そういう現実の状態のまま死んでしまうよりかは良かったのではないかと。

 

 

最後に

このように、登場人物全てが愛に飢え、愛に縋り、愛を欲しがり、愛に裏切られ、愛に染まり、愛を与え、愛を受け取り、愛に生きた者たちのドラマだったわけです。

愛は一体どこにあるのだろう。

それは人と人との間に存在する。

そしてその愛は一方的だとある程度の幸せは感じられるが、満たされることはない。

愛し愛されてこそ幸せは存在する。

そして生きる悦びへと昇華していくのだ。

しかし人間には欲望が存在する。

愛を感じていながらも心の隙間を何かで埋めようとしたくなる。愛子の行動がそうだったように、子を思う愛が存在しながらも自身の心はそれだけでは満たされず性欲で満たそうとする。

そんな欲望で満ち溢れた我々人間が見る愛って果たして本物なんだろうか

そこに現れたアイリーンという天使。もしかしたら彼女の愛は本物だったかもしれない。

「キリストは墓から蘇った」という看板のあと、雪降る中天を仰ぐ彼女の見る先に、春は訪れるのだろうか。

 

 

 

あ~~全然言いたいことまとまらないww

とにかく圧倒されっぱなしだった作品でした!!

木野花さんのザ・田舎のお母さんの演技最高でした!ヤスケンの内向的だけど止まらない性欲爆発っぷりと後半の暴走っぷりは見事!アイリーン役の女優さんもすごくキュートで可愛らしかったですね。

最後にうっすら希望の光を照らしてほしかったなぁ。

そして村社会での風のウワサはたちまち広がり全て筒抜け、同じ人間なのにちょっと違うだけではじかれてしまう偏見や、フィリピン人と結婚させる怪しい商売などといった社会問題も背景にちゃんと織り交ぜたのも非常に巧い。

前半は下ネタ全開の笑い、そして後半のバイオレンスと人間の醜い部分が混ざり、愛のむき出しを鈍器にしてぶん殴ってくる非常に劇薬な映画でした!もう一回見に行こうかなぁ。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆☆☆☆★9/10