カイジ ファイナルゲーム
別にカイジを意識したわけでなく同じモッズコートを買ってしまったモンキーです。と絶対中に赤い服を着ないようにしようと子心掛けている日々です。
という、どうでもいい冒頭から入りました、今回の映画感想。
え!?なぜ今になってこれを!?
と、日テレも映画製作に苦しんでいるのか、ネタ枯れ感が透けて見えてしまいますが、過去2作は中ヒット作ですし、こうやってしっかり見てきた僕のような映画好き、または原作やアニメファンがこぞって足を運ぶのでしょう。
前作であれだけ接戦の中、希望をつかんだカイジが、なぜ1度ならぬ2度までも、いや3度までも借金まみれになってしまうのか。
彼のクズっぷりには呆れてしまいますが、状況を見極める把握力や計算力、ここぞというときの勝負強さ、そして強い運。
ただのバカではありません。
普通のクズならとっくに死んでます、この世界では。
再び悪あがきしながら這い上がる彼を応援しようじゃありませんか!
そしてカイジの前に立ちはだかる新たなゲームは、いったいどんなものなのか!
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
シリーズ累計発行部数2100万部を超える人気コミック「カイジ」シリーズ。
「ヤングマガジン」の連載漫画の中で上位を誇る人気の作品は、映画としても過去2作公開され、いずれも大ヒット。
日本を代表するマンガシリーズの一つとして、色あせることなく輝き続けています。
そんな「カイジ」が9年ぶりにスクリーンに帰ってくる!しかも最終回!
主人公ら主要キャストはそのままに、新たに魅力あふれるキャスト陣を迎えた豪華な布陣で挑む。
また今作は、原作者の福本伸行自ら脚本に加わり、オリジナルスト―リーを考案。
原作にない4つのゲームが登場し、またしても観る者を「ざわ…ざわ…」させていきます!
今作では一体どんな名セリフが飛び出すのか、今の時代への核心を突く言葉が出てくるのか。
クセが強すぎるキャラたちの一攫千金バトル!
これで見納めです!!
あらすじ
2020年、国を挙げて盛大に開かれた東京オリンピックの終了を機に、この国の景気は恐ろしい速さで失速していった。
今この国では、金を持つ強者だけが生き残り、金のない弱者は簡単に踏みつぶされ、身を寄せ合うことで何とか今を生きていた―。
自堕落な生活を送っていたカイジ(藤原竜也)は、派遣会社からクズと罵られ、薄っぺらい給料袋を手渡される。
憤りを感じながらも一缶千円に値上がりしたビールを買うかどうか迷っていた。
「久しぶりだね、カイジくん」
「ハンチョウ?」
声をかけてきたのはスーツに身を包んだ大槻(松尾スズキ)だった。
帝愛グループ企業のひとつを任される社長に出世したという。
「カイジくん。君もこんなところでくすぶっているタマじゃないだろ?」
「何が言いたいんだ?」
「実はワシと組まないかと思ってね」
大槻が見せたのは一枚のチラシだった。
【第5回若者救済イベント開催!バベルの塔】金を持て余した大金持ちの老人が主催するイベントで、一攫千金のチャンスだ。
「こんなもの無理だ!運否天賦のゲームで作戦の立てようもない」
「その通りだよ。だが裏を返せば、カラクリがわかっていれば勝てる可能性があるわけだ……」
ざわ…ざわ…ざわ…ざわ…
運命の歯車は動き出した。
カイジを待ち受ける未来は天国か地獄か?
日本中を奮い立たせる最後のギャンブルが今始まる―(HPより抜粋)
監督
今作を手掛けるのは、佐藤東弥。
TV局出身の人は、ぶっちゃけここで紹介しなくてもいいかなぁ~とは思いつつ、いつもやってることなのでとりあえず。
「カイジ」シリーズは、常にこの方が監督してるということでの抜擢だと思いますが、今作も過去作同様、できる範囲の仕事をされたのでしょう。
そんな彼は自ら演出を担当したTVドラマの監督から、劇場版も引き続き手掛けることが多く、「ごくせん THE MOVIE」、「映画 ST 赤と白の捜査ファイル」も監督してます。
一応あの忌々しい作品である「ガッチャマン」も彼なんですが…触れなかったことにしよう・・・。
登場人物紹介
- 伊藤カイジ(藤原竜也)・・・定職につかず、怠惰な生活を送り、挙句の果てには友人の借金の保証人に。その肩代わりと一攫千金を求め、帝愛グループが主催する死のゲームに参加。生還して人生の逆転を果たしたと思いきや……。典型的なダメ人間だが、極限状態に追い込まれると抜群の勝負強さを発揮する。
- 高倉浩介(福士蒼汰)・・・政府が目論むプロジェクトの中心にいる人物。ゴールドジャンケンを得意とする。
- 桐野加奈子(関水渚)・・・「第二回若者救済イベント」勝者であり、東郷からカイジと共に行動するよう依頼される。
- 廣瀬湊(新田真剣佑)・・・「若者救済イベント」主催者である東郷の秘書として3年間働き、プライベートのことまで熟知している。
- 黒崎義浩(吉田鋼太郎)・・・カイジが所属する派遣会社の社長。わずか数年で日本の派遣業界のトップに君臨し“日本の派遣王”と呼ばれている。
- 大槻太郎(松尾スズキ)・・・かつてカイジが落ちた地下王国で「ハンチョウ」をしていた人物。今では帝愛グループ企業の一つを社長として任されている、とのこと。
- 坂崎孝太郎(生瀬勝久)・・・前作「カイジ2」に登場した人物で、一発逆転を夢見て裏カジノに通い、カイジらとともに「沼」の攻略を共に行った。
- 遠藤凛子(天海祐希)・・・「カイジ」1作目に登場。カイジを生死のギャンブルへと誘う。グループ幹部の利根川との出世競争に敗北し、帝愛グループで利根川と対立する派閥の筆頭だったが、カイジの取り分5億をかっさらいグループをやめた。
- 西野佳志(山崎育三郎)
- 高瀬強士(前田公輝)
- 菅原太一(瀬戸利樹)
- 最後の審判挑戦者(篠田麻里子)
- 渋沢総一郎(金田明夫)
- 東郷 滋(伊武雅刀)
9年ぶりってことは、カイジももう30後半くらいの年齢なのか?
にもかかわらずこんなことしてるのか…
彼に幸あれ!!
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
うん、後だしジャンケンがこれだけ繰り出されたら、逆に楽しいわ。
鬱屈の一途をたどる日本の未来をさらに鬱屈にさせる危機を止めるべく、カイジが弱者を救うためにBETする大逆転劇でした!
以下、ネタバレします。
細かなあらすじ
金を持て余した老人が主催する若者救済イベント「バベルの塔」なるゲーム。
予告なしで明かされるビルの屋上に建てられた大きな棒の上にあるカードを奪い合うという、力とスピードと仲間の協力が試される過酷なゲームを、ハンチョウから出てみないかと打診されたカイジ。
取り分は5割という搾取だが、黒崎が経営する派遣会社が7割も給与から差っ引くのだから分相応と判断したカイジは、あらかじめ棒が立てられる場所をハンチョウから聞いていたため、下調べなどをして絶対勝てる策を編み出す。
それは、隣のビルから鉄柱を棒のてっぺんまで伸ばし、下でしのぎを削っている奴らを見下ろしながらかすめ取ろうという作戦だ。
確かに「蜘蛛の糸」のように一筋の希望を誰もが無我夢中で奪い取ろうという姿は、どう見たって勝機がない。
カイジにとっては確実に勝てる作戦だったわけだが、ことはそうはいかない。
クローンを使ってカードを奪い取ろうとする者もいれば、カイジの作戦に気付き、隣のビルから鉄柱を揺らそうとする者など、誰もがカードよりもカードを先に奪おうとする者を邪魔することばかり。
弱者同士が他者を傷つけあう様は今の社会にも似ているように見えて滑稽である。
そして一か八かの賭けで棒のてっぺんめがけてジャンプしたが、掴み損ねてしまい下にいた菅原が手にした。
しかし一番最初に手に触れた指紋以外読み取ることができない仕組みになっていたため、先に手に触れたカイジが見事第5回若者救済イベントの勝者となった。
カードには9億9999万まで好きな数字を打ち込み金を手にするか、人生がひっくり返るかもしれない極秘情報を手にするかの2択になっていた。
カイジはハンチョウとの約束を破り、極秘情報を選択するのだった。
森の奥深くに佇む一軒家にたどり着いたカイジ。
中には第2回救済イベントの勝者である加奈子が待っていた。
2人の前に現れたのは東郷と名乗る不動産王。
極秘情報とは、政府が秘密裏に薦めている経済政策だった。
東京オリンピック以降物価の悪化がめどを断たないインフラを整備すべく、政府が考え出したのが、消費税30%、年金40%、生活保護費廃止という策と、国民の預貯金を引き出し無効にし、旧円を廃止し、新円を発行することだった。
その預貯金を国の借金返済に充てることで、財政悪化を止めようというプランだった、
しかもこのことは事前に世間に知らされずに法案を通す見通しで、金の持ってる奴らは先に預貯金を引き出すことができるなどの対策を打つことができるという算段。
この情報を聞きつけた東郷は、これまで強欲に不動産王として築いてきたが、さすがに政府のやり方に業を煮やし、残り僅かな命を国の再生のために一役買いたいということで、強運の持ち主と野心の持ち主をイベントで探し求めていたのだった。
東郷は、会議で政策を否決させるために政治家を買収しようと画策。
そのためには1000億円が必要で、現在500億円ある資産を倍にしなければならない。
そこで二人に地下帝国から「帝愛アイランド」なる地下の娯楽施設で催されている、最も過酷なギャンブルイベント「最後の審判~人間秤~」に協力してほしいということだった。
マッチメイクされた1対1の戦いであるこのイベントは、全財産を全て金塊に変え、秤に乗せどちらが重いかを競うというもの。
勝利のカギは、時間内イベントでの「Friend」、「Family」、「Fixer」、「Fan」。
友人、家族、支援者、そして観衆を味方にし、出してもらった金を金塊に変えて、重さをさらに増すことで、逆転できるという仕組み。
そして東郷の相手は、カイジが憎む派遣会社の社長、黒崎だった。
果たしてカイジはこのギャンブルに勝つことができるのか。
そして弱者で溢れかえる日本の社会をさらに追い詰める政策を止めることはできるのか。
これまでと違う「カイジ」
これまでのカイジは本当にクズで、借金の肩代わりしたり、手にした金を全部使ったりと堕落した毎日を送っていたわけですが、今回ばかりはそうではなく、ただ単に不景気のせいで金がないだけ。
一応真面目に働いてはいるけども、派遣会社から給与の7割を天引きされて、残った額は4000円。
身体を患っている時計職人の女性くらいどうにかしてやれよ、俺らのおかげで会社が成り立ってんだろ!もっと金をよこせ!と浪波節を語るも、「だったら辞めろよ」とこわ高に叫ぶ黒崎の前では通用しない。
一杯1000円のビールに手を出してしまうあたりはいつものカイジですが、ぶっちゃけヤケになって手を出してしまうのも理解できる。
そんな大変な時期に突入してしまった時代で、何とか生き延びようとするカイジら弱者たちにとって、救済イベントは喉から手が出るほど掴みたい勝利ってことで、若い奴らは必死こくんですけど、こいつら金ないくせにドローンは持ってるわ、身なりはそこそこきれいだわでちょっと説得力に欠ける。
実際陽だまりコロニーなるホームレス施設は、みんな小汚い恰好して缶詰すすって暮らしてるのに、この差は何だろうと。
その辺はまぁTV局製作映画の良くあることなので目を瞑るとして、今回ゲームが4つあるんですよね。
最初のバベルの塔、最後の審判、ドリームジャンプに、ゴールドジャンケン。
どれもゲーム自体は面白そうなんですが、時間配分や、とってつけたようなミニゲーム級の規模ばかり。
メインは最後の審判で黒崎との勝負に時間を費やしてるんですが、ずっと見ていられるような面白さは正直なく、もっと工夫できなかったモノかと首をかしげてしまいました。
最後の審判は、4つのFなるイベントが勝負のカギになっていて、どれだけ挑戦者に人徳や人望があるかが決め手になってくるんですけど、どれもこれも裏切り者のせいで黒崎が全て先読みしちゃってるって流れ。
そして極め付きは最後のFである「FAN」がどれだけ金貨を出資してくれるかになるって流れになるんですけど、ここでカイジのスカッとするような策がないのが非常に残念。
裏切り者ってのが真剣佑演じる廣瀬なんですけど、ここ、カイジなんとなく事前に読めてたと思うんですよね。
東郷の愛人の息子が彼で、母親を見殺しにした恨みで今回の裏切り行為を考えたそうですけど、結果的には彼の勘違い&名画は東郷が書いた絵画で一円の値打ちもないものってんで、黒崎からも見放されてしまう。
カイジはこの時まで裏切者が誰か気付けなかったんですけど、仮に彼が差し出した幻の名画が相当の値打ちだったらどうやって勝つ見込みだったんだろうと。
また最後のとっておきの策が東郷から借りた10億を10倍にして逆転するって策だったんですけど、それもこの幻の絵画次第だったよなぁって。
で、この最後の審判の件がまぁまぁ長いんですよ、クライマックスでもないのに。
これくらい尺取るなら最後のゲームにすればいいのにと。
あとはカイジ自身が企てた攻略法のおかげで勝てたとかでなく、運とか流れも大きく左右されてたよなぁって。
もちろんあらゆる細工をしてたんだけど、結構イチかバチかの部分も多く。
まぁそういう強運とか勝負強いところを持ってるからカイジがクズでもカッコよく見えるんですけどね。
あとはもう、どのゲームもそうですけど後だしジャンケンが過ぎる、というところ。
どのゲームでも大体なぜ私が負けるのだ!?とか、畜生!なんで運が流れてこない、どうして!?ってなった時に、相手やカイジが実はこういうことしてました!って説明が入るんですね。
まぁこれは過去作でもよくあるパターンだったので、仕方ないかとも思ったんですが、今回ばかりはくどい。
先読みしてたのさ、からのカイジ最後の策、でも負けそうだ、からの、カイジ「実はこんな細工をしてたのさ!」って二転三転四転くらいしちゃう。
うん、クドイ。
特にゴールドジャンケンはシンプルなゲームなのに、五転くらいしちゃってるからゲームの面白さが伝わらない。
しかも通常のルールでなく、カイジ提案の特別ルールで。
序盤でこれやってるんですけど、そこでもこのゲームがどれだけワクワクするのかが伝わってこないし、なんかもっと楽しくドキドキする展開にできたと思うんですけどね。
あとは、賄賂を用立てるためのゲームだからカイジのギリギリ感が出てなくて。
多分一番切羽詰まったのは命がかかったドリームジャンプくらい。
後はカイジが負けたとしても彼に借金が増えるでもなく地下帝国に送られるでもなく、単純にキライな奴に負けるってだけの構図で、それってカイジ本来の良さが消えちゃってないか?って。
そもそも、賄賂を用立てるのに金を増やすのなら水面下でいろんな人に借りればいいんじゃね?って。
また東郷が死んでしまったのもあっけらかんで悲しみすら出ないし。
最後に
日本をよくするためには多少の犠牲が必要でその犠牲が弱者でって、まさに今の社会情勢が富裕層で成り立ってるようなことを高倉が言うんですけど、カイジがねぇ、いいこと言うんですよ。
むしろ救うべきなのは、ああやってこそこそ自分たちだけ抜け駆けするようなクソ政治家たちでなくて弱者だろ、どっちが救う価値あるんだよと。
この最後のシーンで、藤原竜也と福士蒼汰が雨の中叫び合って日本の未来を熱く語るんですけど、すごく良いシーンだったなぁって。
吉田鋼太郎ともそんな感じでセリフの応酬をするんですけど、やっぱ舞台上がりの役者がこうやって啖呵きって圧を込めて芝居する姿は、作品がどうであれ魅力的だなぁと。
しかしですね、結局カイジが勝ったとしても政策がナシになっただけで、物価上昇の阻止も弱者救済にもなってない終わり方になってしまってるのは残念ですね。
自分が何に賭けて人生生きるかだ!って言われても、何、結局テメェのケツはテメェで拭けってこと?それって何の解決にもなってなくね?って。
てかこの映画で、カイジから説教とか聞くのも違う気がするし。
せっかくこういう題材や舞台設定にしたんだから、クズがどう悪あがきして強者を叩くかっていう爽快感と、現実の社会をどう良くしていくかってのを見出すようなメッセージを入れるとかの方がいいような気がするんですけどね。
そういう意味でこの映画は「悪魔的」でしたねw
あとあれだ、加奈子ってそこまで重要なキャラだった?
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆★★★★★★★3/10