恋は雨上がりのように
どうも!絶賛、恋も夢も雨宿り中のモンキーです。
いつまで経っても土砂降りで一向に外に出れません。
誰か傘をさしてくれる人はいないのか!自分で何とかしろってか!
そうするわw
そんな迷える子猿な僕にとって一歩踏み出せそうなお話が公開です。
おっさんと女子高生、なんとも如何わしい匂いがしますが、決してそんなお話ではなく純粋な恋愛映画、又は青春映画なんでしょう。
コミックが原作のようですが、マンガなどもう何年も読んでない自分としては、先入観なしに楽しめそうです。
というわけで早速観賞してまいりました!!
作品情報
2014年に連載開始するやたち話題となり、TVアニメにもなった眉月じゅん原作の同名コミックを映画化。
人生土砂降りの中、そっと傘をさしてくれた人との、ちょっとした雨宿り。
夢を絶たれ青春の交差点に立ち止まってしまった女子校生が、人生の折り返し地点にさしかかった冴えないファミレス店長に片思いしていく。
あまりに直球過ぎる思いをぶつける主人公に対し、ただただうろたえるしかない中年店長。
不器用ながらも真っすぐな思いを爽快に丁寧に描きあげた、見る人の胸を打つ作品です。
あらすじ
高校2年生の【橘あきら】(17)(小松菜奈)は、アキレス腱のケガで陸上の夢を絶たれてしまう。
偶然入ったファミレスで放心しているところに、優しく声をかけてくれたのは店長の【近藤正己】(45)(大泉洋)だった。
それをきっかけに【あきら】は、ファミレスでのバイトを始める。バツイチ子持ちで、ずっと年上の【近藤】に密かな恋心を抱いて……
【あきら】の一見クールな佇まいと17歳という若さに、好意をもたれているとは思いもしない【近藤】。
しかし【近藤】への想いを抑えきれなくなった【あきら】はついに【近藤】に告白する。【近藤】は、そんな真っ直ぐな想いを、そのまま受け止めることもできず―
真っ直ぐすぎる17歳、さえない45歳。ふたりに訪れる、人生の雨宿りの物語。 (HPより抜粋)
監督
今作を手がけたのは永井聡。
CM製作から映画の世界に入ってきたお方。
何作かは観賞してますが、どちらかというとクスッと笑えるな雰囲気を持つ作品が多いでしょうか。
今作も大泉洋が出演してる時点で、笑えてしまいそうな場面がいくつもありそうな気がしますが、果たして。
そんな監督の作品をご紹介。
CMディレクターとして活躍する傍ら映画製作にも進出。
自身の実体験にも通じそうな国際広告祭の裏側を舞台に、全く成果の上がらないCMプランナーが悪戦苦闘していく様をコミカルに描いた「ジャッジ!」で長編映画デビュー。
その後、東宝映画であらゆる作品を企画プロデュースしヒットさせた川村元気の同名小説を映画化し、悪魔と契約し大切なものを1つ消すことで1日延命できる余命わずかな主人公の切ない運命を描いた「世界から猫が消えたなら」
超エリート高校で生徒会長になるために全身全霊を注ぐ主人公が、彼以上に個性的なライバル達と熾烈な政治闘争を繰り広げていく「帝一の國」を手がけています。
キャラクター紹介
- 橘あきら(小松菜奈)・・・高校2年生。かつて陸上部のエースだったが
怪我で陸上を離れ、心が傷ついていたときにファミレス店長・近藤に出会い、恋に落ちる。
- 近藤正巳(大泉洋)・・・ファミレス「ガーデン」の店長。バツイチ子持ち。
いわゆる“さえないオジさん”ではあるが、誠実で優しさに溢れる人物。
- 喜屋武はるか(清野菜名)・・・あきらが中学時代から共に陸上部で過ごしている親友。
- 倉田みずき(山本舞香)・・・他校の陸上部員で、あきらのことを密かに目標にしてきた。
- 橘ともよ(吉田羊)・・・あきらの母。夫とは離婚しており、女手一つであきらを育てている。
- 加瀬亮介(磯村勇斗)・・・大学生。イケメンでモテる故に、あきらが自分に惹かれないことから気になっていく。
- 吉澤タカシ(葉山奨之)・・・あきらを一途に想い続けている同級生。学校でもバイト先でもムードメーカー。
- 西田ユイ(松本穂香)・・・女子高生。明るい性格で、おしゃべり好き。あきらも心を許せる良き友達。
- 久保佳代子(濱田マリ)・・・少し口は悪いが、「ガーデン」を取り仕切るベテラン店員。
- 九条ちひろ(戸次重幸)・・・人気小説家。近藤の同級生で、大学時代はともに小説家を目指していた。
すごく傷ついてる女子高生に優しくしたら好きになってくれるのかなぁ、なんて下心あるおっさんどもには見て欲しくないですねw
きっとそういう話じゃないでしょう。
コミックも最終回を迎えたそうですが、映画の結末やいかに。
ここから観賞後の感想です!!!
感想
夢を失った男性にこそ見てほしい、さわやかな恋愛映画!
少ないセリフで物語るところにも好感を持てた佳作でした!!
以下、核心に触れずネタバレします。
あれ?意外と面白いぞ。
ケガによって一番やりたいことができなくなった女子高生。
夢をぶら下げたまま現実に生きる中年男性。
彼のふとした優しさに惹かれ、相手の事も考えず思いをぶつける女子高生の若さゆえの行動によって、男はかけがえのない財産の日々を呼び起こしていく。
そして彼女は。
人生につまづいた二人が雨宿りした先に見つけた場所への軌跡を、ささやかなユーモアと眩しいほどの表情で爽やかに描いた作品。
正直言ってこの映画特に見なくてもいいかなぁ、なんて思ってはいたんですが、気になる作品は観ることを心掛けている以上、放っておけない。
しかも小松菜奈と大泉洋。
ちょっと面白そうだ。
そんなわけで鑑賞してきたわけですが、意外と面白かった。
結論から言えば女子高生の一方的な思いの末に成就するというような話ではなく、共通する場所がなければ決して出会うことのない二人が、出会うべくして出会い、互いの心を刺激することによって、再び夢に向かって歩み出していく、というもの。
おっさんだって気を遣って女子高生に優しくすればワンチャンあんじゃね?なんて下心のあるような話ではないのであります。
陸上選手として華々しい活躍をしていたあきら。
しかしケガしたことによって今の自分い大事なもの、楽しいことを失ってしまった。
その失意の中で、優しくしてくれた人が店長の近藤であり、彼もまた離婚して子供がいながらも夢を宙ぶらりんにしながら生きている。
あきらは店長に、一方的な思いを寄せてぶつけていく。
若さゆえの暴走で向こう見ずだけど、そのひたむきな姿を間近に見ることで、店長は当時の自分が頑張っていたことを思い出す。
それは学生時代の友人ちひろに久々に会った時に一瞬にして蘇る。
まだ自分には夢に向かって頑張れる力がある。
かけがえのない財産によって気づかされ再び宙ぶらりんの夢に向かって頑張っていく。
決して未練でなく、執着だ。
諦めていない証拠だ。
そんな自分にさせてくれたことに、店長はあきらに感謝を告げる。
そして店長はあきらに、諦めないことの大切さを説いていく。
さりげない優しさに思いを寄せていくも、中々成就しない恋。
しかしそこで教えられたのは、今自分がやるべきこと。
今の場所で立ち止まっていていいのか、今はわからないかもしれないけど、諦めてしまうことで失うものは大きいと。
夢を叶えられなかった店長だからこそ重みのある言葉によって、今やるべきこと、立ち止まっていたことから再び歩み出していく。
人生全速力で走り続けることは決して容易ではない。
それをできるのはほんの一握りの人で、ほとんどの人は途中でつまづいたり転んだりするもの。
で、実は大事なのはつまづいた時で、そこで何を得ていくかだと思う。
あきらは若さゆえの暴走や過ちに進んでいくのではなく、恋した人に導かれ正しい道へと進んでいくわけです。
人生生きていく上でターニングポイントってのがあると思うんですが、大事なのって誰に出会うかってこともひとつで、あきらと店長はまさに人生のターニングポイントだったんじゃないかなぁと。
立ち止まった先で得たものは、今後の原動力として大いに役立つよなぁというのを、この映画は教えてくれている気がします。
作りも面白い。
作りもCMディレクター出身の監督ならではの遊び心もあって、ユニークに感じる部分もあれば、説明過多にせずなるべく画で伝えようとする部分は、非常に好感を持てる作りでした。
例えば、オープニング。
あきらが下校する際ダッシュしていくシーンでタイトルロールに入るんですが、そんなにスライディングするか!?ってくらいに滑ってコーナリングする。
これを下から映すんですけど、妙にカッコイイんですよ。
で、疾走感のある主題歌が流れて。
そんな始まり方をする作品は、セリフを比較的少なくしている点も効果があったように思えます。
正確に言えば余計なセリフがない。
きっとあきらがケガをして以降塞ぎ込んでいるというのが一つあるように思えます。
親友のはるかが気にかけて声をかけるけど、昔のような弾んだ会話もない。
いいたいことを言えないもどかしさが表情から出ていて、ひずみが感じられるシーンがあって、で、フラストレーションが縁日のシーンで爆発するって流れは上手だなぁと。
他には雨模様。
映画の鉄板ではありますが、雨は当事者の心境を現すメタファーとしてよく使われます。
あきらが悲しい時、恋が実らない時などに雨は降り、やがてあきら自身が雨と同化して、店長の前に現れるまでになる。
だから店長にとっても雨は厄介な状況になって困惑していく。
もちろん縁日やデートなどあきらが笑顔であふれている時は雨なんて降らないわけであります。
非常にべたではありますが、きちんと心情とシンクロしたお天気ってのは上手でしたね。
対比もまたわかりやすく描いています。
加瀬とデートする際の気合の無さ。
足元から全体のショット、映画からの食事というデートコース、あきらの表情に至るまでを1つのパターンとしてとった後、すぐさま同じカットで始まる店長とのデートシーン。
明らかに気合いの入れ様が違うw
表情もずっと笑顔。
同じ映画見てるのに、見てるのは映画でなく店長の驚いた表情。
食事の際も座る席は一緒で。
これもベタではありますが、あきらがどれだけ店長に思いを寄せてるかがはっきり伝わる対比描写だったのではないでしょうか。
細かいとこで言えば、あきらが着ている「空手チョップ」とかかれたTシャツや、ゲットすれば思い人と結ばれるという「ムキ吉」なるクソダサいキャラのキーホルダーなど、クスッとさせる小物も使っていて、気持ちを和ませてくれていました。
原作でもこれ出てくるのかな?
何ゆえあんなダサいTシャツを・・・。
演者が巧い!
今回の映画、この2人でなければ成立しないんじゃないか?と思うほどナイスキャスティングだったと思います。
主役のあきら演じる小松菜奈。
途中まで一切笑わないんですねあきらは。
だからバイト先のお客さんからもにらんでなかった?不愛想じゃない?みたいなことをいわれたり、店長からも常に睨まれてる、気に障ったこと言ったかな?と気を遣わされていたりと、色々勘違いされてるみたいで。
この時の顔かわいくないんですよねぇw
でもこれがあるから、店長とのシーンの笑顔がスゲェ恋してるんだなぁって感じるんですよ。
後はラストシーンですね。
あの自然と流れる涙!これはズルかった!もらい泣きです。
てか、ヤケに足ばかり映すんですよねェこの映画。あきらの。
風呂上がりでベッドで寝そべってるのは、あれは反則w
ドキドキしちゃいますw
大泉洋もいつも通りすっとぼけた表情はナイスでした。
みんなからオジサン扱いされ、臭いと言われ、それでも怒らずみんなと接する。
45歳バツイチ子持ちならでは哀愁が漂っていたし、店長としての物腰の低さは見習うべき姿勢。
そして困りながらも決して突っぱねるのではなく、傷つけないようにあきらを宥め、ボソッとめちゃめちゃいいことを語る。
あとはもう下心がホントに無いように接する姿ですよね。
もちろん彼自身のイメージあってこそですが、これちょっとでもあったらこの映画成立しませんから。
最後に
時間の都合上深いことなんも言えずに終わりになっちゃいますが、恋愛映画でなく青春映画として、男女の歳の差離れた友情映画として着地したのは良かったですね。
店長の45年間生きてきたからこそのさりげない優しさだったり、喜ばせ方だったり、教訓にもなる言葉はグッときます。
オススメの本は?と聞かれれば、それを薦めてハマらなかったら次薦められない、図書館に来たということは君を呼んでいる本がここにあるかもしれない。
あぁこういう風にオススメすればいいのか、と。
他にも店長の友人ちひろが店長にいう言葉。
未だに小説家になる夢を捨てきれない店長に対し、それは未練じゃなくて執着だ、ってセリフ。
これは刺さりましたね。
執着することで諦めることをしない、まだやれるって気になれる。そういうことですか!と。
女子高生が再び夢に向かって走り出すって見方よりかは、捨てきれない夢にもう一度向かって走り出す中年男性の方がメッセージ性あるかなぁと。
そういう意味では男性にはお勧めの映画なんじゃないかと思います。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10