モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

新作映画ばかり見ないで、旧作映画も見ようね。楽しいぞ。

映画「口に関するアンケート」感想ネタバレあり解説 考察なんてしちゃダメ、意味持たせちゃうから。

口に関するアンケート

映画仲間から「めっちゃおもろいホラー小説がある」と聞いたものの、映画化するまで全くのノーマークだった「近畿地方のある場所について」。

過去の未解決事件や怪現象を調査していたオカルト雑誌の編集長が行方不明になることから始まり、すべて「近畿地方」で起きた現象へとつながるモキュメンタリ―ホラー映画でした。

 

映画に関しては前半のオモキュメンタリー映像に戦慄したものの、後半以降から結末にかけての物語構成に面白みがなく、可もなく不可もない満足度ではありました。

しかし鑑賞前に読んだ原作は、過去の現象やインタビュー記事などの時系列がバラバラでになっていることから最後のオチに至るまで見事な展開で、もう一度読んで事態を把握したい「おかわり」したくなる小説でした。

 

そんな小説を執筆した原作者・背筋さんが書いた新たな小説が再び実写映画化されるということで、相変わらずおっかないのが苦手なわたくしモンキー、再び原作に手を出してみることに。

 

ものの15分程度で読めちゃう内容だけど、時系列がバラバラだし最後のオチを読んでもう一度気になる個所を読みたくなるなど、近畿地方同様面白い試みの内容でした。

 

とはいえ、読んだ身としては「これどうやって映像化するんだ?」と、映画化の想像がつきません。

果たしてどんな物語になってるのでしょうか。

早速鑑賞してまいりましたっ!!

 

 

作品情報

興行収入15.6億円を突破する大ヒット作となった映画『近畿地方のある場所について』の原作者・背筋による同名小説を、「呪怨」シリーズでJホラーブームを牽引し、昨今では「ミンナノウタ」「あのコはだぁれ?」、「だぁれかさんとあそぼ?」といったシリーズ作品、そして「八つ墓村」のリメイクを手掛けるなど、精力的に活動している清水崇監督の手によって実写映画化。

 

心霊スポットとして知られる墓地に肝だめしに向かった大学生たちの不可解な証言を基に、その夜いったい何が起きたのかを紐解きながら真相を追うホラー映画。

 

芥川龍之介の「藪の中」をアイディアに作られたという原作。

読み物として成立する面白さからどう映像化するか悩んだという清水監督は、原作の「オチ」にあたる部分への映像表現に苦労したことや、原作に載らなかった「幻のB案」を原作者の背筋から許可をもらったことを明かした。

そうした苦労とアイディアにより原作とは違う作品へと生まれ変わった。

 

そんな証言を語る大学生たち。

翔太役を「はたらく細胞」「ババンババンバンバンパイア」の板垣李光人、竜也役を「#真相をお話しします」、「教場 ReunionRequiem」の綱啓永、杏役を「ハニーレモンソーダ」「鬼の花嫁」の吉川愛、美玲役をガールズグループ「ME:I」(ミーアイ)のリーダーであるMOMONA、堀田役をダンスボーカルグループ「BUDDiiS」のメンバー森愁斗、川瀬役をダンスボーカルグループ「TAGRIGHT」のメンバー西山智樹が務める。

 

口にまつわるゾワっとミステリー。
この映画の結末は絶対に“口”にしないでください。

口にしたら、最後。

 

 

 

あらすじ

 

「あの夜、何があったかお話ししますね」

 

心霊スポットとして有名な墓地の呪われた木についての噂を聞き、肝試しに出かけたある大学生たち。


しかし、翌日グループの一人が行方不明になってしまった。

その日を境に、彼らの身の回りに不可解なことが起きるようになり、次第に何かによって追い詰められていく…。

 

果たしてあの日、何が起きたのか?
あの日にまつわる証言に導かれて明らかになる、<おそろしい結末>とは――。(公式より抜粋)

youtu.be

 

 

 

感想

原作既読故想定内だった前半から一転、知らねえ展開に驚き。

あんな小説からよくもまぁここまで映像に落とし込んだものだ。

さすがですよ清水監督。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

大学生のノリが一番怖い、なんつって。

翔太、達也、美玲、そして彼らとは一見繋がってないように見える堀田と川瀬。

5人の証言を基に、行方不明となった女子大生・杏の消息を追うという物語。

 

小説は5人の証言を時系列を弄って記されており、徐々に杏の行方や呪いの木にまつわる話など明るみになっていき、最後に書かれたアンケートによって事の顛末が把握できるという、あっさり読める上に見事なギミックの小説だったわけです。

 

これを一体どうやって映画に、いや映像に変換できるのか。

正味90分弱の映像作品ではあったものの、よくここまでふくらませたもんだと、怖がる以前にある種の感心を持ちながら見ておりました。

 

 

物語は翔太の証言を中心に事の発端となった「呪いの木の肝だめし」を行う4人の大学生たちの姿を映し出す。

人生の中で一番遊んで暮らせると言われている大学生活を謳歌している4人の男女が和気あいあいと楽しんでいる背景には、どこか男女のもつれの影がちらつくではないか。

 

そう、本作に登場する大学生はまさに恋愛がらみのしょうもない恨み辛み孕み嫉妬からくる、あっさ~い復讐だったわけであります。

 

別に俺はサークルとか入ってなかったので知りませんが、大体どこもかしこもちやほやされたい女が色々モーションかけた結果ハーレムを作り出し、それまで恋愛が絡むことなく仲睦まじく過ごしていたのに、その女のせいでギクシャクしだす、例のアレです。

 

この手の話になると「結局悪いのは誰?男たちに色仕掛けする女?それにつられる男たち?」と議論になったり相談されたりすることがありますが、ぶっちゃけ当事者同士で勝手にやってくれと思う。

 

・・・と本筋から逸れてしまいましたが、そうした恋愛のもつれがこの物語の根底にはあったわけです。

 

その辺の具体的な部分はこの後書くとして、現地に到着した一行は翔太⇒竜也⇒杏⇒美玲の順で「呪いの木」の場所へ向かい車のある場所まで帰ってくる手順で行動開始。

真っ暗な墓地のメインストリートをスマホのライトのみで歩く翔太は、一枚も葉がついてない状態でどっしり構える大きな木の前に着く。

木の下はぬかるんでおり、幹には無数のセミの抜け殻がくっついた、どう見ても不気味な木。

そりゃ誰だって気味悪がるし怖がる。

 

一人汗をたっぷりかいて見上げる翔太の表情には、覚悟めいた顔に見える。

 

車に着くや否や息を切らしハンドルに寄りかかる翔太。

その後竜也も肝試しを終え車に乗り込むが、翔太はあまりにも飄々としている竜也に「見たか?」と答える。

「え?お前なんか見たのか?」と答える竜也。

どこかかみ合わない2人の話から、翔太は胸ぐらをつかんで迫ってくる。

「おまえちゃんと見たのかよ!!」

「あ!?どうしたんだよ、おまえこそ何見たんだよ!」

 

そう、竜也は呪いの木の前に行かずに車に戻ってきたのであります。

なぜそうしたのか、実は竜也は翔太と話がしたかったのであります。

他の人には聞かれたくない、男同士だけの話。

時間を作るなら今だと、杏と美玲が肝試しをしているこの瞬間に翔太に話がしたかったのです。

 

そんな2人が言い合いをしてる時、美玲の叫び声が聞こえてきます。

急いで木のある場所へやってると、なんと杏が木の上に登り「食べられるぅ!!」と叫びながら木にしがみついているではありませんか。

長い髪はボサボサになり、汗でメイクが落ちているせいか、何かに憑りつかれてるように見える杏の姿。

3人はその姿に驚愕し何も言えないままただ立ち尽くすのみ。

我に返った翔太は何とかして杏を木から降ろそうとしますが、一向に降りてくれません。

 

杏が行方不明になったのは、そんな出来事のあと。

3人はチラシを作って街に貼ったり知り合いに聞いて回ったりと奔走します。

 

しかし杏の行方は分からないまま・・・という話を3人から聞かされるのが物語の序盤になります。

 

原作と違うのはこの後。

実は中村獅童演じるベテラン刑事が、彼らが証言している音声データを聞いている姿が映り、行方不明の杏を探すという展開になっています。

 

原作に刑事及び警察は登場しますが、刑事が単独で事件の行方を追う姿など描かれていません。

なるほど、こういう新たな視点を入れることで原作との差別化を図る、もしくは物に厚みを持たせる算段ですか、そうですか。

そんなことを思いながら物語を見つめておりました。

 

 

その後彼らとは一見繋がりのなさそうに見える堀田と川瀬の証言に。

2人の関係性は原作とは違い、堀田と川瀬の間に上下関係のようなものが存在している。

堀田と共に動画を撮りながら肝試しについてきた川瀬は、一刻も早くここから離れたい一心だったが、彼に逆らうことができずいいように扱われる始末。

 

木の前まで行けと言われた川瀬は、木の後ろから声が聞こえると言い出す。

木の後ろには杏と思しき女性が、素手で大きな穴を掘りながら「地獄は下にありますか?高くしないと」などと繰り返し聞いてくるではないか!!

それを見た堀田は一気に震えだし、「あんた何してんすかぁっ!!」とさっきまでイキっていた姿とは一変おもいきりダサい奴に変貌を遂げてしまっている。

 

ファミレスまで逃げてきた二人は、さっき撮った動画を見返し、女の首が長くなっていることに気付き、恐れ慄くのでありました。

 

原作ではこいつらは片方が警察を呼んでしまったせいで再び現場に行く羽目になり、何故警察なんか呼ぶんだと片方が内心腹を立てている心情が読み取れる展開に。

現場に戻るとさっきの女が首を吊っており遺体となって発見されることが判明。

これが杏だったというオチになるんですが、本作にはそんな展開はありません。

 

堀田にこき使われていることに腹を立てていた川瀬は、今回の一件で堀田のビビった顔を拝めたことがたいそう痛快だったと語った後、この「呪いの木」の話を同じバイト仲間である翔太に話したというつながりが明かされます。

 

 

その後も行方不明の杏を探すどころか、フラッシュバックの如く杏に捉われていく面々。

車に轢かれたセミに追いかけられてビビる竜也。

呪いの木について調べていると背後に杏が登ったままの木が映り逃げ出す美玲。

鼻歌に惑わされたり、階段の踊り場の上から覗いてきたりと、華のキャンパスライフからどんどん遠ざかっていく面々。

 

懸命のチラシ配りも空しく、ただ疲弊するだけの翔太は、背後から聞こえる杏の声に急に震えだす。

急に後ろだから抱きつかれた翔太は、ゆっくり顔を動かす。

そこには顔中血管が浮き出て目を見開いた、木に登っていた時の杏が!!

 

 

でましたぁ!!!!

今回一番のハイライトといっていいでしょう、急に音が爆音になるくらい「はい、ここ!怖がってくださ~~い!!」と言われてるような、そんなこれ見よがしなホラー演出ですw

確かに怖いけど、正直その顔劇中で何度も見てるからさぁ、もっとバージョンアップしてくれないと俺は怖がれないなぁ…それ以上に、明らかに「ここ恐がるところですよ!」「ほら、ちゃんと怖がって!!」って半ば強制されてるようにも思えたので、冷静に見てしまいましたw

 

意味を持たせてはならないこともある

スジだけ追っても仕方ないんで、本作が「呪いの木」を通じて、何を語ろうとしているのかをちゃんと記したいと思います。

 

映画のみ登場した刑事は、今回のこの「行方不明事件」を週刊誌にリークして見返りをもらおうと画策していました。

実際、女子大生行方不明事件の証言が残った音声テープから、恋愛のもつれ絡みの背景や、ホラー好きにはもってこいのネタが満載の内容だったことから、刑事的にも「これは釣れる」と思ったんでしょう。

 

柄本時生演じる編集長にネタを買わせることで、刑事はギャンブルの資金の足しにしようとしていたわけです。

しかし編集長も、ネタとして扱うからにはウラが取れないといけないので、しっかり調査をしてからという条件が。

彼らが立ち寄ったコンビニの防犯カメラを見たり現場の木を訪れたりした結果、何が判明したかってオチへと繋がる内容になっていたわけです。

 

ここで、刑事は杏が首の長い女なのでは?という仮説を、音声データから導くわけですが、そもそも刑事ですから、見た物しか信じない。科学で証明できる物しか信じない立場。

だから彼らの証言を不思議がっているわけです。

 

呪いなんてあるわけないだろ。

 

大体なぜ「呪われている」とされているのか。

劇中では編集長が刑事に、「道端の石ころなんてみんな平気で蹴り飛ばすのに、お地蔵さまなった途端に、みんな拝み出すんだから」といいだします。

 

要は、みんなが勝手にモノに意味を持たせて良くも悪くもしてしまうのではないかという説を語っていたんですね。

 

美玲が呪いの木を調べた結果、そもそもこの木はご利益があるとされる木として有名だったけど、そこで女性が首つり自殺をしたことから、死んだ女に呪われるといううわさが広まり今に至ることが判明。

 

 

旅行とか行く際に、現地にある有名な神社とかでお参りするじゃないですか。

家内安全とか商売繁盛とかご利益ありますとかいう場所で、小銭投げて、二礼二拍手一礼とかして。

あれも、みんなどういう根拠でやってるって話ですよ。

昔から伝わってることだからって思いこんで行ってるんだろうけど、これも実は「家内安全というご利益がある」と意味を持たせて、商売をしてるだけに過ぎないんじゃないのかって。

 

だから、そこで、誰かが死んだなんて事件がおお来たら、家内安全のご利益がある神社も、誰かが「呪われている」と言いだして広まれば、そういう意味を持つ場所へと変貌を遂げてしまうのではないかと。

 

もっと砕けて言うと、伝言ゲームの類だと思うんですよ。

一人目が2人目に言った言葉が、なぜか10人目には全く違う文言になってしまう。

だからゲームとして面白いわけじゃないですか。

 

伝聞て、実は伝えたい人が伝えたいとおりに伝わってないことの表れでもあるわけだ。

 

 

こうした解明をしたうえで、ようやく「口は災いのもとだと思いますか?」という問いに、意味が生まれてくる。

 

木に意味を持たせてしまった人たちの話を鵜呑みにし、人を死なせたいという理由で肝試しに訪れた大学生たちは、勝手に意味を持たされてしまった木の呪いによって不幸な結末を迎えてしまう。

 

ただの木だったにもかかわらず、他の木よりしっかり根を張り太く長く生きるだけの理由でご利益があると伝聞された木は、勝手に自分の枝にぶら下がって自殺されてしまったことで悪い木だと伝聞され、そこに訪れた人たちに呪いをかけてしまう。

 

悪いのは、木か、呪いか、それとも人か。

 

 

最後に

きっと本作を見て、「地獄は下にありますか」「高くしないと」「食べられる」「首の長い女は一体」など不可解な部分を考察しようとする輩が出てきます。

そう、考察とは、意味を持たせる行為とほぼ同等の行為。

 

これが伝聞となって、口に関するアンケートは「呪いの映画」へとなっていくのかもしれません。

ただ、本作の立場になって語るとするならば、そんなことに意味を持たせてどうすんねん、お前らこの映画の何を見たんだ?と言われそう。

 

意味を持たせることの罪深さが、本作の根底にあるのかもしれません。

・・・なんて意味を持たせるようなことを言うと俺も呪われるのだろうかw

 

 

そうそう、本作は「杏」自体存在しないという原作とは違う展開に驚きました。

刑事がコンビニのカメラを覗くとそこには杏ではなく美玲が映っていた。

実は、翔太の元カノであり竜也の今カノなのは、杏ではなく美玲だったことが判明。

 

美玲は3人で仲良く過ごしたかったけど三角関係になってしまったことを後悔していることを明かしてますが、時すでに遅し。

杏とヨリを戻したいと語っていた翔太でしたが、「あれ?杏て誰?」となっていく。

竜也も含め3人は、呪いによって記憶を変えられていたことがわかってきます。

 

原作のオチと同じように、実はこの音声データは、彼らが自殺する直前に話した内容だった。

それを聞いた刑事は「大学生たちの集団自殺事件には、実は行方不明の女子大生がいた」という音声データを手に入れたことで、メディアに売ろうとしていた。

しかし編集長に断られたことに腹が立ち、つい木の前で「死ねよ」と言ってしまったところで幕を閉じるというモノでした。

 

もちろん最後にはアンケートが映ります。

あの木はなんだったのかや、口は災いのもとなのか、杏はなんだったのかなど、原作とは違った文言で我々に問いを与える仕掛け。

ただ原作ではその問いがものすごく怖さをもたらす仕掛けだったのに対し、本作の場合だとアンケートに答えることで与える恐怖が、「杏は存在しなかった」という映画オリジナルの仕掛けを勝る恐怖を与えてないように感じちゃったんですよね。

 

いわゆる「オチが弱い」というやつ。

 

とはいえ、さっきも語ったように本作をどう口コミするか自体がこの映画に「意味をもたらす」行為となり、やがて「決めつけ」のように「この映画は○○」と変貌と遂げていく、そんな現象そのものを楽しむか、真に受けるかなんかを考えると面白い試みなんじゃないかなと思います。

ま、それは原作の時点で果たしているのだけど。

 

とりあえず百聞は一見に如かずなんで、見て見てください。

 

なるべく意味を持たせないように書いたけど、伝えた時点で達成されちゃってるよなぁw

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10