モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「ロングレッグス」感想ネタバレあり解説 怖さは弱いが薄気味悪いぞニコラスケイジ。

ロングレッグス LONGLEGS

今回鑑賞する映画は、2024年アメリカでバズったホラー映画。

ハロウィンでも映画に登場する連続殺人鬼を仮装したした人が大勢いたほどの人気ぶり。

今年の日本でもそんな現象が起きてくれたら面白そうですね。

 

…とはいえ、ようやくホラー映画の耐性ができた俺でも、今回は途中退席してしまう可能性もあるのでないかと思ってるほどビビってますw

 

まずね、公式HPに載ってる電話番号に是非かけてみてください。

番号は「03-6820-6910」です。

連続殺人鬼を演じるニコラス・ケイジが誕生日を祝ってくれます…マジで気味が悪いです…。

 

さらに「事件の真相」ってページがものすごくリアル。

何故俺がビビってるのかがわかるかと思います…。

これ実話ではないんですよ。作り話です。

でも設定が凝りすぎててマジで怖いんです…。

 

果たして俺は最後まで見ることができるのか…。

早速鑑賞してまいりました…。

 

 

作品情報

2024年に公開されたインディペンデント作品でNo.1のスマッシュヒット、過去10年間のインディペンデントホラー映画で最高の興行成績、「パラサイト半地下の家族」や「アノーラ」などカンヌ国際映画祭パルムドール作品を北米配給する会社でおなじみNEON史上でも最高の興収成績を収めるなど、さまざまな記録を打ち立てたサスペンス・ホラーが、いよいよ上陸。

 

過去30年間で10回も発生していた不可解な殺人事件の担当になった主人公が、現場に残された署名付きの暗号文を解読しながら真相を追う姿を、革新的なオリジナリティーで見せる、恐怖に満ちたホラー映画。

 

監督は、ヒッチコックの名作「サイコ」で、シリアルキラーのノーマン・ベイツを演じた俳優アンソニー・パーキンスの息子オズグッド・パーキンス

スティーブン・キング原作の映画「The monkey」の公開が控えている期待のホラー映画監督だ。

本作は1996年に起きた「ジョンベネちゃん殺害事件」から着想を得たようで、そこに「セブン」や「羊たちの沈黙」など、今なお語り継がれるサイコキラー映画をモチーフに製作したと明かした。

 

キャストには、本作のプロデューサーも務めるニコラス・ケイジが、連続殺人鬼「ロングレッグス」を担当。

Pig/ピッグ」や「ドリームシナリオ」など近年再評価されている彼が、毎日2時間半も特殊メイクの施術を受け、誰もが知る風貌を完全に封印。

1970年代から1980年代の劣悪な整形手術を繰り返したことで皮膚がボロボロになり腫れ上がったという設定のもと、醜く不気味な容姿を獲得。

最初で最後のシリアルキラーを演じたことが大いに話題を呼んだ。

 

そして彼を追う捜査官ハーカーを、「イット・フォローズ」のマイカ・モンローが担当。

今後は出世作にもなった「イット・フォローズ」の続編が控えている。

 

ロングレッグスとはいったい何者なのか、そして謎の暗号文にはなんと記されていたのか。

さらに主人公との接点とは。

謎が謎を呼ぶ事件と、その恐ろしさに驚愕せよ。

 

 

ドリーム・シナリオ

ドリーム・シナリオ

  • ニコラス・ケイジ
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あらすじ

 

1990年代半ば、オレゴン州。

FBI支局に勤める新人捜査官のリー・ハーカー(マイカ・モンロー)は並外れた直感力を買われ、重大な未解決事件の担当に抜擢される。

 

ごく平凡な家族の父親が妻子を殺害したのち、自ら命を絶つ。

そのような不可解な殺人事件が過去30年間に10回も発生していた。

いずれの現場にも侵入者の痕跡はなく、“ロングレッグス”という署名付きの暗号文が残されていたのみ。

 

“ロングレッグス”とは一体何者なのか。

真相に迫ろうとするハーカーは暗号文を解読し、事件にある法則を見出すが、その正体も行方も依然としてつかめない。

 

だがやがてハーカーの過去とロングレッグスの意外な接点が浮上し、事件はさらなる恐ろしい事態へと転じていくのだった...。(HPより抜粋)

youtu.be

 

 

感想

なるほど悪魔崇拝の話でしたか。

専門外なのでよくわからんが、もっとニコラス・ケイジを見たかったよ・・・。

しかしジャンルや名作ごちゃまぜのカルト臭ムンムン映画でしたな。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

怖くはないが不気味。

ちょっとした特殊能力持つハーカー捜査官が、連続惨殺事件の真相を暴こうと奔走する物語でしたが、こちらに不親切な謎解きの見せ方、ジャンプスケアも少なければグロシーンも少なめ、挙句の果てには肝心のあしなが叔父さん=ロングレッグスの登場シーンは少なめと、ニコラスケイジ作品としては少々物足りない作品でした。

 

前半は、ロングレッグスが現場に残した手紙や、事件が起きた日にちや娘の誕生日などの共通点を探っていくシーンが続きましたが、どれもこれもどうして解明できたのかを断片的にしか見せず、せっかく内容がわからない暗号文をこちらが「なるほど!」と思えるような謎解き描写になっておらず肩透かし。

 

この辺はフィンチャーの「ゾディアック」でも参考にしたんだろうと思しき要素で、要するにそこは大事な所じゃなくて、上司に起こされるまで没頭してしまったハーカーの姿を見せたかったんだろうと。

 

没頭したことで導き出された、というか結局能力のおかげでたどり着いたといっても過言ではない犯人が、コブルという白髪白塗りおじさん。

これが「ロングレッグス」だと。

 

俺は友達の友達だとか、クック―とか、両手を交差して目を隠す仕草とか、なかなかやばそうなおっさんで、急に歌いだしたり叫んだり、取り調べの際には自分で頭をデスクにぶつけまくって自死するというあっけない幕切れだったわけですが、そこがニコラス・ケイジ。

 

別にあなたがやらなくても成立しそうな役で、特殊メイクまでして誰だかわからないようにしたのに、やっぱりニコラスケイジだよなぁと思わせる迫真の演技でしたよ。

細かいとこで言えば、取り調べの際に首を急に曲げたり、あの抑揚をつけた喋り方は他の俳優では早々真似できない。

 

きっと誰かが「あれはダークナイトのヒース・レジャーを意識してるよ」とか言ったらぶっ飛ばしますよほんと。絶対ないわそんなの。

 

とまぁ、ニコラスケイジの出番が少なかったことが悔しいですが、しっかり爪痕は残していたので「ニコラスケイジ映画」としては及第点ということにしておきましょう。

 

 

さて内容についてですが、全体的に怖くはなかったんです。

ですが、妙な薄気味悪さがずっとスクリーンに張り付いた作品でしたね。

 

何が薄気味悪かったのか言語化するのが難しいんですが、基本的に真ん中に被写体を置き、奥を狭めたような映像がずっと続くんですね。

演者が一人しか映っていないため、あとは背景になるわけです。

すると、「余白」が出来上がるわけですよ。

そこに静かな音楽がうっすら流れ、時折物音が入ったりロングレッグスの囁き声が入るため、もしかしたら画面の余白にヤツがいるのでは?という錯覚に陥るんですよ。

 

そうすると無視域に被写体だけでなく画面全体に目を配るようになる。

いるわけないか、いないよな、そんな思考を巡らせながら見ることになるので、なぜかずっとドキドキしながら見ることになるんです。

 

普通のホラー映画なら急にバケモノがインサートしてくるような演出をするかもしれないけど、この映画はちょっと違う。

頭に角が生えた悪魔のような影がそこかしこに映るという仕掛けになっていました。

 

僕は2か所ほど見つけることができたのですが、海外のサイトで調べてみたらかなりのシーンで映っていたので、是非観賞された方は確認してみてください。

 

このように、余白に何かが映っているかもしれない、そしてロングレッグスのうすら気味悪い声、存在自体中々登場しないなどが合わさることで、終始薄気味悪い映画になってたと思います。

 

オチを見せなくても良かった気が。

映画である以上、正解を出すのがお決まりではありますが、僕は本作を見て「もっと考察できるように答えを出す必要はなかったんじゃないか」と感じました。

 

結局ロングレッグスは9歳の誕生日を迎えたリー・ハーカーの前に現れ、自分そっくりの人形を送りつけようとしましたが、それを母親が阻止。

しかしロングレッグスは娘の命を狙うと宣言したため、母親が娘を守るために彼の「人形作り」に協力せざるを得ない状況に。

 

母親は教会のシスターの格好をして一軒ずつ回り、プレゼントに当選しましたと人形を渡しに行く。

人形の頭部には球体が仕込まれているんですが、それが家族を洗脳させるためのツールになっているようで、送られた家族は洗脳された父親によって惨殺されるという手筈。

 

なぜハーカーはずっと生きていられたのかは、母親が守っていたからということになります。

しかし事件の捜査をしていくうちに記憶の断片が見えてきて、真相にたどり着いたというオチ。

 

サタン万歳だとか、三角形がどうだとか、ヨハネの黙示録を引用して海の獣がやってくるまでどうたらこうたらとか、それこそT・レックスの「Get it on」まで引用してくる辺りとか、色々悪魔崇拝に結び付ける要素は多々あったものの、結局は悪魔の力とかではなく、ある種偏った母親の愛によってハーカーは大人になれた、そしてハーカーの特殊能力は恐らくこのロングレッグス事件にだけしか通用しないモノなんだろうなと思います。

 

話の途中で母親を訪ねるシーンがあったため、登場人物的にはキーパーソンであることは明白。

きっと母親が加担してるんだろうなってのは、答えを見ずとも読めるんですわ。

おそらくそうだろうなと。

 

せっかく謎解き要素の強い暗号文を出すだけ出したのなら、もっと多くの謎を残して意外な幕切れとかにした方が、カルトっぽくなる気がしたんですけど、どうして最後に答えを出してしまうかなぁと。

そこの答えを出すのなら、暗号文もちゃんと説明せい!って思ってしまいましたね。

 

オズグッド・パーキンスの実体験から着想

ジョンベネちゃん殺害事件から物語のアイディアを思いついたと監督は語ってるんですが、そもそもジョンベネちゃん殺害事件ってどんな内容だったろうと。

 

数々の美少女コンテストで優勝経験を持つ女の子が、自宅の地下室で殺されていたという事件で、身代金目的とか父親が性的虐待をしていたとか、それこそ父親が殺したとか家族が加担してたのか色んなデマや噂が横行して、家族は無罪になったけど、未だ収束していない事件なんですね。

 

で、どうもジョンベネちゃんは自分そっくりの人形をクリスマスプレゼントにもらったという話があるそうで、本作の元ネタはそこからなんだそう。

 

他にも、監督の父親は「サイコ」のシリアルキラー、ノーマン・ベイツを演じたアンソニー・パーキンスなんですが、彼はどうもゲイだったそう。

それを母親は息子たちに善意で隠していたらしく、本作ではそうした監督の過去が描かれた物語でもあったようです。

 

上でも書いたように、リーの母親は娘を守るためにああせざるを得なかった。

だから毎日お祈りをしてくれとお願いしてたし、ロングレッグスが死んだことでようやく娘そっくりの人形を破壊することができたと。

でも掟は続けなくてはならず、三角形を完成させるために娘の上司の娘を狙ったと。

 

 

最後に

オープニングでいきなり登場したロングレッグス。

当初は腹のあたりだけ映ってたけど、急に顔を出して画面が真っ赤になってタイトル!って一連の流れは一番怖かったですねw

 

あと気になったのは、クリントン大統領の写真ですよね。

あれ凄く気になりました。

上司の部屋に飾ってあったものですが、別に何でもいいのに、何故クリントンの写真が視界に入る場所に飾ってあるのか。

そりゃ当時大統領だったからで説明はつくんだけども!

FBIの部屋なんだからあるのは当然なんだけども!!

なんか怖いんだよ!!!

 

 

またあれですよ、3月の14日に公開してるってのも怖いんですよw

劇中のロングレッグスは誕生日が14日の子に執着してるんですよ。

殺害はその前後ですけど。

それこそリーの誕生日も1月の14日。

どうも理由がヨハネの黙示録の13章1節「そして私は、海から獣が上って来るのを見た。その獣には 7 つの頭と 10 本の角があり、その角には 10 の冠があり、その頭には冒涜の名があった。」からくるもので、劇中でもこのセリフがありました。

よって13章1節=13プラス1は14だと。

本作にとって14日は非常に大事な部分で、だから日本でも14日に公開なのかと考えると、よくできてるなぁと。

 

・・・1月だったらもっとよかったんだけどね。

 

とまぁ、考察すると色々出てくるんでしょうけど、俺そういうの好きじゃないんでこの辺で。

 

黒沢清の「CURE」だとか、「シャイニング」だとか、「悪魔を憐れむ歌」だとか、色んな作品から影響を受けたと監督が言ってしまってるので、俺的にはそういうオマージュの仕方なんかに拘らずに、もっとオリジナリティの強い作品を見たかったですね。

 

確かに好きなのは十分に伝わる。

でも本当に好きならこういう分かりやすい使い方をするのではなく、清の不気味な演出を真似するとか、ジョナサン・デミのカメラワークを引用するとか、ニコルソンぽさとか「セブン」のケビン・スペイシー的な演技をニコラスケイジにやらせてみるとか、そういうところだと思うんですよ。

 

緩急もなかったなぁ。緊張と緩和がないと眠くなりますよ。それがジャンプスケアとかグロ描写とかじゃ俺は飽きます。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10