モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

新作映画ばかり見ないで、旧作映画も見ようね。楽しいぞ。

映画「ロングウォーク」感想ネタバレあり解説 デスゲーム系映画の中で群を抜いて面白い。

ロングウォーク

僕の最近のお気に入りお散歩コース。

渋谷駅から新宿駅まで。

基本宮益坂から明治通りを歩きますが、キャットストリートから表参道の交差点に出るといった裏道を通り、明治神宮方面から代々木駅、ドコモタワーの前を通って高島屋から新宿駅ってコースをよく歩きます。

大体1時間で歩けちゃいます。

 

運動不足解消のためではありますが、敢えて週末の人込みを歩くことで面白い発見もしばしば。

特に顕著なのは、渋谷から新宿までの間ですれ違う海外旅行客の移り変わり。

白人系はとにかく渋谷原宿がお好き。

もちろんアジア系の人もいるけど、白人のほうが目立ちます。

そこから北へ向かうと、アジア系の比率が強くなります。

あくまで僕の視点ですが、そんな発見がありました。

今後も調査を続けようと思いますw

 

今回鑑賞する映画は、僕のようなお散歩レベルでは済まない、過酷な散歩。

莫大な賞金がもらえるが、ひとりになるまで歩き続けるネバーストップウォーキングストーリー(意味合ってるか?)。

 

一体何十キロ歩くんだろうか。

自分もよく歩くけど、3万歩歩いたら股関節や膝に結構疲れが来るのよ…。

スティーブン・キング原作だから読んでから見るぞ!って思ってたのに、結局読んでねえ!!

でもいいや、早速鑑賞してまいりましたっ!!

 

 

作品情報

言わずとしれた“ホラーの帝王”スティーヴン・キングがリチャード・バックマン名義で発表した、事実上の長編初執筆作「死のロングウォーク」を、「ハンガーゲーム」のフランシス・ローレンス監督とA24による『悪魔のいけにえ』テレビシリーズ化の監督に抜擢されたJT・モルナーのタッグによって実写映画化。

 

戦争により分断された近未来のアメリカを舞台に、一人になるまで不眠不休で歩き続ける競技「ロングウォーク」に、破格の副賞目当てで参加した若者たちの過酷な姿を、単なるデスゲームにとどまらない深い人間ドラマとして映し出す。

 

本作と同じような境遇のキャラと物語を大ヒット映画シリーズ「ハンガー・ゲーム」で描いた経験のあるフランシス・ローレンス監督。

彼は本作の世界観について、「この物語がどの時代の話なのか、はっきりとは特定できない。でも、時代を超えたアメリカン・ゴシックの質感がある」と、その独特な空気感を明かした。

また、演出の意図について、南北戦争のような争いがあったなど想像できる背景を語りながら、過酷なゲームに参加する若者たちの関係性と感情の旅に焦点を当てたと語っています。

 

そんな過酷なデスゲームに挑む若者たちには、「リコリス・ピザ」のクーパー・ホフマン(レイ・ギャラティ役)と「エイリアン:ロムルス」のデヴィッド・ジョンソン(ピーター・マクヴリーズ役)を筆頭に、「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」のギャレット・ウェアリング(ビリー・ステビンズ役)、「ゲティ家の身代金」のチャーリー・プラマー(ゲイリー・バーコヴィッチ役)、「猿の惑星:新世紀(ライジング)」のジュディ・グリア(ミセス・ギャラティ役)、そして「スター・ウォーズ」シリーズや「サンキュー、チャック」の好演が記憶に新しいマーク・ハミルが、ロングウォークを執り仕切る鬼少佐役を演じる。

 

欲望と恐怖にまみれた極限のサバイバル。

終着点で待つのは、希望か絶望か―

 

 

ハンガーゲーム (字幕版)

ハンガーゲーム (字幕版)

  • ジェニファー・ローレンス
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あらすじ

 

戦争によって国家が分断された近未来のアメリカで国をあげて開催される競技“ロングウォーク”。


ただひたすらに歩き続けるだけで破格の賞金と願いを1つ叶える権利を獲得できるこの祭典に、選ばれし50人の若者が挑戦する。

 

「時速4.8kmをキープすること」

「速度を下回り警告を受けないこと」

「最後の一人になるまで歩き続けること」

 

この勝者になる為のルールの裏に、休息も睡眠も救いも存在しない。

3つ警告を受けると即死の状況下で臨む、地獄の一本道の先に待ち受けるのは希望か、絶望か——(公式より抜粋)

youtu.be

 

キャラクター紹介

  • #47/レイ・ギャラティ(クーパー・ホフマン)…唯一の地元出身参加者。その内に秘めた復讐心を原動力にロングウォークに参加する。
  • #23/ピーター・マクヴリーズ(デヴィッド・ジョンソン)…参加者を明るく束ねるムードメーカー。そのキャラクターは辛い過去を乗り越えたことの裏返しでもある。
  • #38/ビリー・ステビンズ(ギャレット・ウェアリング)…

    競技を熟知した様子で用心深く行動し、周りに皮肉を撒き散らす。一匹狼の姿勢を貫くがそこにはある秘密があった。

  • #6/アート・ベイカー(トゥット・ニュオット)…

    南部出身でいつも陽気。勝者に与えられる破格の賞金への憧れを胸に粘り強く歩き続ける。

  • #5/ゲイリー・バーコヴィッチ(チャーリー・プラマー)…嫌味な言動を繰り返す。その積み重ねにより、本心とは裏腹に他の参加者から距離を置かれてしまう。
  • #46/ハンク・オルソン(ベン・ウォン)…口達者でユーモア溢れる少年。勝者になる為のヒントを駆使しながら、ある夢を叶えようとしている。
  • #7/アダム・カーリー・ホワイト(ローマン・グリフィン・ディヴィス)…最年少の出場者。この競技においてその若さはメリットでもありデメリットにも…。
  • #49/リチャード・ハークネス(ジョーダン・ゴンザレス)…勝者が手にする賞品よりもロングウォーク中の体験記を出版することを夢見ている。
  • #48/コリー・パーカー(ジョシュア・オジック)…多くは語らないながらに熱い心をもつ少年。

 

  • ミセス・ギャラティ(ジュディ・グリア)…息子のロングウォーク参加を止められなかった事に後悔を覚えるレイの母親。
  • 少佐(マーク・ハミル)…冷酷な権力者としてロングウォークを執り仕切る鬼少佐。

(公式より抜粋)

 

 

 

 

 

 

歩こう 歩こう わたしは元気♪

なんてのんきに歌ってるのも今のうち…。

ここから鑑賞後の感想です!!

 

 

感想

この手の映画は楽しんでナンボ…と思ってたら思いっきり没入して涙。

最初こそ勝つ気でいた彼らだったけど、徐々に見える絆と連帯。

だからこそ疲れ果てた彼らの最期が見てられない。

見事。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

めちゃくちゃ話が巧い。

地元出身のレイとムードメーカーのピーターを中心に描かれる残酷なレース。

あらすじでも触れたとおり、一定の時速を保ちながら「ゴールの無い道」をただ歩く。

 

休息も睡眠もないし、トイレ休憩もない。

排泄したければ歩きながらするしかないという結構恥ずかしい局面もあり、端から見れば笑えるかもしれないが当事者にとっては死活問題な、マジで地獄なレースなのであります。

 

他にも道から逸れて逃げるふりをすれば射殺、靴紐がほどけて立ち止まっても警告扱い。

3回警告を受けると3時間は解除されない仕組みで、4回目の警告は死を意味するから気が気じゃない。

 

救援物資も水の入った水筒は申告すればもらえるし、食事も提供してくれるようだが、回復できる量を食べればうんちしたくなるし、着替えもないしシャワーもないしで、マジで地獄(2回目)。

 

そんな「歩くか死ぬか」しかない若者たちによる終わりの見えない競争。

最初こそ皆が自己紹介したり、しょうもない事言ってスベッたヤツをからかったりと、他愛のない青春描写が眩しかったりもする。

 

毎年行われてるこのレースは19回目だそう。

最初こそこのようなレースではなかったようだが、デスゲーム要素を取り入れることで活気が生まれ民衆の生産性が上がるから毎年行ってる様子。

 

そもそも分断による独裁政権下のアメリカなんて「シビルウォー」のその後みたいで最悪だし、残念ながらそれでも生きなくてはならない=体制に逆らうことができない状態に加え、財政難ときたもんだ。

 

そんな貧困な民衆にとって究極の娯楽がこうしたデスゲームってのは「ランニング・マン」と全く同じ。

あっちは狂気じみた空気があったけど、こっちは民衆が中々姿を現さない分不気味で、「生産性が上がる」って文言が背景にある恐怖をビンビン感じるんですよ、ええ。

 

参加者50人てことは州に1人選ばれる仕組みなんだろう、地元出身のレイは母ちゃんに送ってもらって参加するんだが、いきなり母ちゃん泣きだすからもう一気に感情が高ぶる。

母ちゃんを演じた女優さんがマジでうまいのよ。

途中でも登場するんだけど、そん時の俺の感情MAXでした。あれ泣くなって方が無理。

 

父親を亡くし家族は母しかいない中、なぜこんな死にに行くようなイベントに参加するのか最初はわからなかったけど、レースをするたびにレイの参加理由に納得。

だからこそ路上で立って見ていた母親に一言「ごめん」と伝えるシーンは、本作における感情のターニングポイントだったんじゃないだろうか。

 

 

ただ歩くだけの競技のため、絵面は正直大きな変化はない。

だから参加者たちのやり取りで盛り上げなくてはならない。

TVで見て参加したのがほとんどだろうから、きっとこのレースの過酷さをなめている者がほとんど。

序盤はそんな様子を見せていく。

 

話していくうちにグループが作られ、気が付けば「俺たち三銃士」と友情を結んでいくレイ、ピーター、アート、ハンクの4人。

ピーターとレイのムードに乗せられながら和気あいあいとなっていく4人に対し、お前らぬるいなと噛みついてくる面々もしばしば。

 

そうした対立構造も映しながら、いきなり現実を突き付けられる。

どう見ても他の参加者より若く見えた少年アダムが、足が攣って歩けなくなる。

速度が落ちれば警告の対象なので、アダムは攣った足を引きずりながら懸命に歩く。

 

レイやピーターも肩を貸したり声をかけたりとサポートをするが、回復したように見えたアダムの脚はとうに限界を越えていた。

泣きながらしゃがみ込むアダムに何もしてやれない一行は、無惨に射殺されるアダムの姿を見て、感情を露わにする。

 

本作の何が素晴らしいって、こうした緊張と緩和の作り方。

シンプルな設定だし絵面が変わらないから、どうしたって飽きる部分が多々考えられる中、複数のキャラを会話だけで区別化し、絆や連帯をチラつかせて友情ドラマ性を豊かにし、定期的に「無慈悲な死」という残酷な現実を見せることで緊張感を与えるバランスがとにかくいいんです。

 

後半に至っては、ライフゲージが残りわずかな面々から浮かぶ「死」を連想しながら、絆がもっと深まっていくという何とも言えない空気が充満。

如何にこのレースが命を軽んじていて、ふざけ過ぎていて、頭にきたことか。

また新しいデスゲームかよ、超楽しそうじゃん!とか思ってた観賞前の自分を呪いたい。

それくらい、怒りと憎しみが生まれる映画でしたよ。

 

 

道中、やたらと噛みつくバーコビッチは、殴りかかってくるほど相手をイラつかせる持ち主なんだけど、とうとうその勢いで転ばせてしまうのです。

疲労と怪我で立てなくなった若者は、3度の警告を受けあえなく射殺。

これに憤慨したピーターはバーコビッチを思い切り叱責するのであります。

 

このバーコビッチ、どうやら普段も仲間外れにされていたようで、友達の作り方を知らない様子。

彼が茶化したり挑発したのには、彼なりのコミュニケーションだったことが後に判明するんですね。

 

しかしここは死が付きまとう競技。

ちょっとしたことが諍いを生み、争いとなり、過ちとなっていくわけです。

 

バーコビッチの末路は彼なりのけじめとしても見れるし、殺人者と罵ったピーターへの反撃とも取れる行動でした。

 

そんな描写もあれば、足首が折れて歩けなくなる人、下痢が酷くて歩けなくなり殺される人、一心不乱になり暴れて射殺される人、脱水症状に鼻血と体力面でドロップアウトする者たちが、どんどん出てくるんですね。

 

冒頭でも語りましたけど、2時間も歩けば結構足に来るわけですよ、歩き慣れてる人でも。

だとしても頑張れば100Kmくらいはいけると思うんです、人間。

 

でも本作は平気で100Km超えるし、何なら5日間歩いてます。

眠たくなったら水被ったり仲間の肩を借りて寄りかかり寝ながら歩く。

土砂降りの雨が降っても、急こう配の坂があっても、一定の速度を保って歩かなくてはいけない。

 

いくら若くても無理ですよ。

でも「最後のひとりになるまで続く」ので、終れないんですよ。

 

 

だからなのか、レイたちが茶化し合いながら互いを鼓舞して歩く姿は、途轍もなく眩しいんです。

SNSにアップした短い乾燥の1節、「例えていうなら残酷なスタンドバイミーだな」って思った理由は、レイたちのそうした姿を美しく映すから。

 

ザ・田舎道の道中には、牛の死がいとか燃え盛る車とか、いかにも荒廃した様な風景がある中で、笑顔で歩く彼らに一筋の光が差す瞬間がいくつかあるんですよね。

それを捉えるショットが物凄くいいんですよ。

 

大袈裟かもしれないけど、1枚の絵画を見てるかのような瞬間がいくつもあったんです。

特にレイとピーターの兄弟の様な絆を捉えるツーショットは最高。

 

そう、本作の何が良いって、ピーターの性格ですよ。

この若さで人格者ってくらい周囲や物事をちゃんと見ていて、父を殺した少佐に復讐するために参加したレイを徹底してやめるよう説得する姿は、もう俺が親友になりたいくらいいい奴。

 

彼の出自からは想像できない性格の良さで、何故彼がレイと共にみんなを引っ張っていく器の持ち主なのか理解できるキャラでしたね。

 

他にもナイスキャラがたくさんいるけど、ある種の群集劇を保ちながら青春要素とサスペンスを同時に映す、見事な作品でした。

 

 

最後に

色々書き忘れてることがあるけど、本作は敢えて観衆を見せないことで、レースそのものをドライに映し、参加者たちの絆をウェットに見せることに成功した作品だったと思います。

 

俺が感情移入したり没入できたのは、自分自身が観衆になれたからだと思うんですよ。

 

これまでのデスゲームは「絶対生きてやる」という主人公のある種の狂気に似た意地からか、他キャラの死がライトに思えたり、「ゲームしてる参加者とギャラリー」という構図自体がフィクションであり娯楽たらしめていたけど、本作は今のアメリカの狂気をパッケージングしてるようにも思えることに加え、ギャラリーがいない=他の人の影響を受けないからこそ、重く受け止められたんだと思います。

 

この演出のおかげで、如何にこのレースが残酷で無慈悲かぶっ刺さるわけですよ。

 

結末も予想してたものではなかったし、決して晴れ晴れとしない、寧ろ宿題を与えられたかのようなものでしたね。

 

マジでね、命を懸けたレースで人が死んでいく姿を見て活力をもらうなんて思考には、死んでもなりたくないです。

俺も生きなきゃと思えるかもしれないけど、そんなの他の出来事でも生きなきゃってなるよ。

 

あ、ちなみにR15指定なので、結構グロいショット出てきます。

銃で口や頭が吹っ飛ぶの、モロで映るのでご注意を。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10