ザ・ロストシティ
億万長者に拉致られた小説家が、金髪ロンゲマッチョイケメンと共に島に眠る財宝探しをする羽目になっていく冒険活劇だそうですが、予告編を見る限り、かなりの予算をかけてド派手なアクションコメディになってる予感。
早速観賞しました。
作品情報
「ゼロ・グラビティ」、「オーシャンズ8」などで知られるサンドラ・ブロックが主演・製作し、共演にチャニング・テイタム、ダニエル・ラドクリフ、そしてブラッド・ピットなど豪華キャストで贈る、捧腹絶倒のアドベンチャー映画。
悩める小説家が執筆したフィクション小説の中に、財宝の手がかりがあると信じた億万長者が彼女を誘拐、小説の表紙を飾った超ウザバカイケメンモデルと共に、財宝の在り処を探す旅に出るノンストップアドベンチャー。
既に海外では「最初から最後まであっという間!」や、「死ぬほど笑った」と絶賛評が相次ぐ本作は、ものすごくお金をかけていながら徹底して「笑わせる」会話劇にもなってる作品。
サンドラ自身が製作に加わっていることもあり、彼女の出演した過去作を知る者からすれば高い期待を持てることだろう。
さらに物語の根底にはキャラクターによる葛藤や苦悩もにじみ出ており、現代的なテーマに通じる要素も備わっている。
彼らはこの冒険で何を克服するのかという点も注目したいところ。
果たして、狂気の億万長者が夢見た財宝は本当に存在するのか。
そしてスランプの小説家とバカモデルは無事脱出できるのか!?
「インディ・ジョーンズ」、「ナショナル・トレジャー」に続く冒険活劇を是非!
あらすじ
ロマンチックな冒険小説をついに完成させた恋愛小説家のロレッタ(サンドラ・ブロック)。
新刊の宣伝ツアーに強引に連れ出された彼女は、作品の主人公ダッシュを演じるカバーモデルのアラン(チャニング・テイタム)の態度に不満を募らせていた。
そんなロレッタの小説を読んだ億万長者フェアファックス(ダニエル・ラドクリフ)は、秘宝が眠る古代都市の情報を彼女が握っていると考え、南の島に誘拐。
ロレッタ救出のために島を訪れたアランは彼女と合流を果たすが、過酷な環境下で様々なトラブルに見舞われる。(Movie Walkerより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、アーロン・ニーとアダム・ニーの2人。
あまり情報が無いのですが、どうやらお二人は兄弟のよう。
ソロ活動の傍ら、MV製作や短編映画などを共同製作。
2006年には「The Last Romantic」というコメディ映画が、デンバー国際映画祭で受賞。
2015年には、トム・ソーヤ―とハックルベリー・フィンを現代の大人に置き換えたコメディ映画「トム・ソーヤ―の盗賊団」を製作。
アダム自身が演者として参加しています。
どういう経緯で今回監督を務めたかは不明ですが、恐らくこの「トム・ソーヤ―~」によって抜擢されたのではと思います。
本作もコメディ要素の強い作品ですから、彼らが生み出す笑いを初体験したいと思います。
キャスト
悩める恋愛小説家ロレッタを演じるのは、サンドラ・ブロック。
「ゼロ・グラビティ」や「しあわせの隠れ場所」などシリアスなお芝居も定評ながら、「デンジャラス・ビューティー」のようなコメディエンヌとしての才能も持ち合わせているサンドラ。
ピンク色のキラキラスパンコールなジャンプスーツにハイヒールという姿で、南の島のジャングルでお宝探しする羽目になるというギャップの激しいものなっています。
きっとこの格好のせいで色々なアクシデントに見舞われるのでしょう。
そこをどう笑わせてくれるかが見ものですね。
今回相手役を演じたチャニング・テイタムとは、娘が同じ幼稚園だったという関係だそう。
どうやらお子さん同志意志が強いせいか、しょっちゅう衝突したようで、校長室に呼ばれることが何度か会ったそう。
何とそれが初対面だったというから驚き。
こうした縁があってのキャスティングだったんでしょうね。
果たしてどんなケミストリーが生まれたのでしょうか。
他のキャストはこんな感じ。
ロレッタの小説のカバーモデル、アラン役に、「マジック・マイク」、「フリー・ガイ」のチャニング・テイタム。
大富豪フェアファックス役に、「ハリー・ポッター」シリーズ、「ガンズ・アキンボ」のダニエル・ラドクリフ。
ロレッタの広報、ベス役に、「ザ・ユナイテッド・ステイツVSビリー・ホリデイ」、「THE GUILTY/ギルティ」のダヴァイン・ジョイ・ランドルフ。
そして、謎のイケメン男性ジャック役に、「ブレット・トレイン」でサンドラがカメオ出演したお返しで出演を果たしたブラッド・ピットなどが出演します。
こういう笑えてド派手なブロックバスター物って、最近なかなかお目にかかれないので、大冒険と大爆笑を味わいたいものですが、果たして。
ここから観賞後の感想です!!
感想
#ザロストシティ 「人を見た目で判断すんな」ってのがこびりつき過ぎて、そもそものアドベンチャー要素を疎かにしている。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2022年6月24日
でもこれロマンスとして見たら悪くないのかも。
CGやセット感が少なく思えるのは良しとしようか。 pic.twitter.com/cgNqp6YYjA
ひたすら会話の中でキャラの「中身」を見出していくロマンスもの。
なんてテンポとワクワク感のない冒険譚なのか…。
収穫はブラピの存在感くらいか。
以下、ネタバレします。
話も笑いも合わねえ
悩める恋愛小説家とおバカイケメンモデルが、孤島に眠る秘宝を求めて大冒険する本作は、ひたすら掛け合いをしながら固執していた「見た目」ではなく、中身という本質を見出してく現代的なテーマを扱い過ぎて、肝心のロマンス要素もアドベンチャー要素もミステリー要素も全然活かされてなかった「あくび」連発の映画でございました。
多様性を重んじる現代にとって、人を見た目で決めつけるのはよくねえってのは、散々映画や本や音楽やSNSでこっぴどく吸収したわけではありますが、どうしたって「見た目」で決めつけてしまう部分を払拭することが出来ないことがあると思います。
金髪のウィッグ付けてシャツを破って人気を得るような教養のないチャニング・テイタム演じるダッシュを「バカ」だと決めつけていたロレッタが、彼と冒険することで彼の本質に気付いていく本作をみることで、自分も改めなくてはならないと思わせてくれる「きっかけ」の映画だったとは思います。
でもだ、いくらそういうのが求められてるからといって、肝心の「娯楽」の部分を疎かにしてしまっては何の意味もないのではないかと。
ステレオタイプを意識した映画を作りたいのなら、わざわざ年齢の離れた大人を孤島に送り込んで冒険なんかさせなくたってメッセージは届けられるし、ブラピなんか使う必要もないし、巣p家歌来る感出すためのCGもセットも必要ねえって話ですよ。
一応本作の流れを説明すると、スランプ状態の恋愛小説家が新たに執筆した小説が、批評家から酷評を受けているにもかかわらず、カバーモデルを務めたダッシュの人気によってファンから支持されている状態から始まるんですね。
で、以前共に冒険をしていた亡き夫の書斎にあった謎の象形文字が、どうやら本物だってことを「億万長者」から聞かされ、彼に拉致られ、孤島に眠っているであろう秘宝の在り処を探せと命じられるんですね。
ロレッタに余計なことを言ってしまったカバーモデルのダッシュは、彼女を救うためにブラピ演じるジャック・トレーナーという謎のイケメン男と共に孤島に潜入。
ロレッタを救出したにもかかわらず速攻で死んでしまったので、残された2人は慣れない島での逃避行&秘宝探しをすることになっていくという流れ。
これまでスランプだった冒険恋愛モノを、ダッシュと共に実体験しながら創作意欲を掻き立てていくロレッタは、家に籠ってフィクション創作なんかするよりも、見た目バカだけで中身は「見た目」のギャップに悩みながらもファンを大切にしたり、ロレッタの事を誰よりも思うダッシュの本質に気付かされ、ついに仕事も恋愛も「スランプ」から抜け出していくっていうお話なんでございます。
2人の対象人物が目的や目標へ向かう中で、互いの良い部分に気付いていき絆を深めていくってのは物語の定番中の定番でございますが、その道中が面白くなければ、せっかく題材も面白くありませんし、重きにしたいテーマやメッセージも機能しません。
本作では「冒険」をする上で大切な「ワクワク感」も「ドキドキ感」も「謎を解くうえでの爽快感」も全く潜んでおらず、映画の醍醐味を損なっていたように思えます。
例えば、ブラピ演じたジャックを失った後、車で何とか追手を撒いたにもかかわらず足取りを掴まれ、再び追手から逃れるための逃亡劇のシーンが登場します。
ジャングルを抜けて川に流れ着いた二人は、いったん岸に上がりダッシュの体中に張り付いたヒルを取ってあげたり(スタンド・バイ・ミーオマージュだね)、居場所を特定された2人が崖を登って逃亡に成功するなど、不慣れな逃亡にも拘らず何とか危機を回避していくんですね。
追われてる状態にもかかわらず、途中どうでもいい会話で笑わせたり、行き場がないから崖に登ろうとする無謀な試みをすることで、肝心の「追われてる」ことを忘れさせようとするんですよ。
いやいや追われてるのに、何呑気にヒルとかとってんのさ。
ダッシュ的にはすごく嫌なんだろうけど、そこは笑わせるような会話に「スピード感」を加えるとかさ、リアリティを追求してくれよと。
崖登るって、あんな急な斜面をロレッタのような華奢な人が登り切れるわけないし、そもそもショッキングピンクのキラキラスパンコールなんかきてジャングル彷徨ってたら速攻で見つかって銃で撃たれるっての。
謎解きの部分も非常に物足りない。
億万長者にして父の事業を継いだ弟にコンプレックスを抱いているフェアファックスが所持していた「象形文字の切れ端」を頼りに、孤島に眠っているとされる「炎の王冠」を探そうとするロレッタ。
たまたま逃げた先にあった滝の壁に、切れ端と重なる文字が刻まれていたことから、本当にこの島には王冠があるかもしれないと確信し始めます。
一旦宿で休息を取り、ダッシュと共に地元民の歌に乗せてダンスを踊っていると、地元民の歌の中の歌詞が「炎の王冠」の在り処に繋がるヒントなのではないかと、ロレッタは気づくんですね。
でもフェアファックスに居場所がバレてしまい再び拉致、命を脅かされたロレッタたちは渋々噴火口の近くにある洞穴で、王冠の場所にたどり着くという流れになってます。
…これだけ。
インディ・ジョーンズやグーニーズみたいな妙な仕掛けもないし、象形文字の謎を解くうえで味わえる爽快感もない。
単純に紙と壁が一致した、伝承とされる歌の歌詞がラテン語のせいで何言ってるかわからない、結局フェアファックスに捕まり共に行動するけど伏兵が崖に墜ちて死んだ以外危険なことは起きない。
なんじゃそりゃ。
もっと冒険ものとしてドキドキワクワクさせろや。
ミスリードとか、トラップとか、死の危険性が高いアトラクション性とか。
別にフェアファックスだけでもあそこまで行けるだろ、時間かけりゃ。
ブラピはやっぱり花がある
今回ビッグなゲストとして出演したブラッド・ピット。
「ブレット・トレイン」にサンドラ・ブロックがカメオ出演したしたお返しで今回出演してくれたそうですが、こういう場合ホントにちょっとしか出演しないってことは薄々感じていたんですね。
だから恐らく最後の最後で美味しいとこ持っていくような登場パターンかと思ったんですが、いきなり序盤で登場。
しかも空港で落ち合う初登場シーンは、奥でBBQをやってるおっさんを画面の中央に置くもんだから、手前で柱に寄りかかってるブラピに一瞬気づかないんですよw
そんな登場のさせ方ある?wと思わず笑ってしまったんですが、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドから伸びたであろうロンゲに髭面&サングラス、そしていかにも危険を掻い潜ってきたかのような危ないオーラとサバイバルに順応した衣装がハマってます。
現地に着くや否やフェンスを軽々とよじ登り、すぐさま伏兵を首絞め「おやすみ」と彦と囁いての瞬殺。
ステージが変わり、ダッシュという足手まといがいながらも軽々と伏兵を片付けていくブラピの鮮やかなアクションは本作で一番カット数が多く、盛り上がるシーンだったのではないでしょうか。
見事にロレッタを救出し、逃走用の車でさぁ脱出だ!という瞬間、頭を銃で撃ち抜かれてしまい死亡!
こんな退場シーンだとは誰が予想したでしょうかw
いきなり死んじゃうもんだから、驚きと共に笑ってしまったわけですw
序盤でこんなに盛り上がるのだから、この後もド派手なシーンと冒険譚になっていくのかと思ったら、一気にトーンダウン・・・。
そりゃ百戦錬磨のサバイバーがおらず、冒険初心者の2人が何とかして逃げるんだからテンポも悪くなるよなぁ…。
このように彼が抜けてからは上でも書いた通りの感想でだったと同時に、如何にブラピの活躍が本作を面白くさせてくれたが手に取るようにわかった映画でもありましたね。
でもですよ、チャニング・テイタムも「笑い」の数で言ったら負けてなかったわけですよ。
必要か不要かは置いといてw
それこそ川で泳いで逃げるシーンで、いったん岸に付いたら体中にヒルが吸い付いていて、思わずロレッタに「とってくれ!」と叫ぶんですよ。
背中に2,3匹かと思ってズボン脱いだらお尻にびっしり張り付いていて。
ロレッタも直視しながら嫌々取っていく。
そしてそのまま前を向いて「こっちのも取ってくれ!」と。
ロレッタ曰く「勇敢な戦士がそびえ立ってるだけ」ということで、ヒルはいなかったみたいですが、この1シーンだけでテイタムの優勝でしたねw
他にも初登場シーンでは金髪ロンゲで、ファイナルカウントダウンの曲と共に彼にターンしながら出てきた時には爆笑したし、水に弱い理由が肌が荒れるっことが発覚し、ロレッタに美顔マスクで肌を冷やしてもらうんですけど、背中をこっちに向けた際に漂う哀愁とのギャップが笑いに繋がっていくシュールなシーンでしたね。
基本的にイケメンだけどバカなんですよね。
言葉知らずで、ビビリで、敵と戦うこともできない男。
その筋肉は何のためにあるんだとw
でも中身は、ファンによって付けられた価値を決して嫌だと思わず受け止めたり、ロレッタを危険な目に遭わせまいと頑張るんだけど空回りするけどしっかりサポートしたりと、これまで男性主導で女性を引っ張ってきた立ち位置を逆転させるための役回りを見事に演じていたように思えます。
最後に
感想のオチではないですけど、結局俺はこの映画を「冒険映画はこうでなきゃいけない」という「決めつけ」で見ていたのかもしれません。
そもそも登場人物が抱いていた「ステレオタイプ」を払拭するための作品だったのですから、見てるこちら側も「ステレオタイプ」で見ないようにするのが、作り手の一番の狙いだったのかもしれません。
実際フィクションのように王子様が白い馬に乗って助けに来ることはなく、ボロボロのスクーターに乗ってやってくるもんだし、お宝は眠ってなかったわけだから、それを守るためのトラップもあるわけないんですよ。
ただね、単純に面白いとは思えなかったです、はい。
結構金かけて作ってるのは良かったんですけどね。
CGやセット感はあったけど、しっかりロケしてるし、爆破も本物のところもあったし。
うん、もったいないです。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆★★★★★★★3/10