M3GAN ミーガン
ロボット開発やAI技術などの科学技術は、エンジニアたちによるトライ&エラーによってナノ単位で日々成長を遂げています。
現在話題のAIチャットサービス「チャットGPT」は、自然言語処理によるアルゴリズムによって、人間が書いたような自然な文章や会話をすることが可能となり、個人や企業などの様々な分野で新たな開発をする状況が生まれています。
またロボット開発の分野においても、このチャットGPTを用いることで、より人間に近いコミュニケーションを図れる機械が、まもなく出てくることでしょう。
しかし、こうした高度な技術の発達は、人間の仕事を奪うだけでなく、それ以上の危険を及ぼす可能性も考えられます。
映画は、そういった「今後起こりうるかもしれない未来」をテーマとした物語を映像化し、我々に考える余地を与える効果をもたらしてくれます。
ターミネーターやA.I.、ブレードランナー、マトリックス、アイ、ロボット、アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロンなどなど、人工知能の反乱を描いた作品が作られましたが、今回観賞する映画は、もっと現実的な視点で描くAIホラー。
子供の面倒を見たりメンターになったりしてくれる「AI人形」を題材とした物語とのこと。
仕事が忙しいあまり、つい子供の面倒をAI人形に頼ってしまったお母さんでしたが、子供はAI人形に依存してしまい…。
いったいどんなホラーなのか、早速観賞してまいりました!!
作品情報
「SAW/ソウ」や「死霊館」シリーズ、「ワイルドスピードSKYMISSION」、「アクアマン」、そして「マリグナント」など、低予算にもかかわらず良質なスリラー作品を製作し続けるジェームズ・ワン監督。
様々なアイディアを駆使し、誰も見たことのない味わったことのないスリラー映画が特徴の彼が所有するスタジオ「アトミック・モンスター」と、「ゲット・アウト」や「透明人間」など現代的なテーマ性を取り入れつつ優れたスリラー映画を生産する映画スタジオ「ブラムハウス」が「インディアス」シリーズ以来のタッグを組んで、テクノロジーの依存による恐怖をテーマに「今後起こりうる可能性のある未来」を提示する。
子育ての経験もない多忙な女性科学者が、突如育てることになった姪っ子の面倒を「人形」に任せた末に、予想をはるかに超える現象が降りかかってしまうスリラー映画。
ワンが手掛けた「アナベル」と、「ターミネーター」を融合させたという本作は、女性脚本家が経験した出来事から着想を得て制作。
やがてAIの人形が子守をする未来は訪れるかもしれないが、それに依存すること、そして人間が抱くような感情をAIが学習するとどうなるかを、スリラー畑のスタッフの手によって、我々に「テクノロジーへの恐怖」を植え付ける。
また本作で登場するAIロボット「ミーガン」は、CGではなく、俳優とパペット、VFXやアニマトリクスなど異なる技能を集結して誕生。
ぱっと見は人間のように見えるが近くで見るとロボットに見えるという絶妙な特殊効果によって、生々しい恐怖を与えることに成功した。
監督にはジェラルド・ジョンストン、主演の研究者で姪の面倒を見るジェマ役に、「ゲット・アウト」のアリソン・ウィリアムズ、ミーガンと心を通わせていく姪のキャディ役には、「ブラック・ウィドウ」でエレーナの幼少期を演じたヴァイオレッド・マッグロウが出演する。
ミーガンが踊る動画がSNSでバズり、アメリカで大ヒットを遂げた本作。
日本でも「ミーガン現象」は起きるのか。
一度見たら忘れられないAI人形の不気味さに怯えろ!!
あらすじ
おもちゃ会社の優れた研究者・ジェマ(アリソン・ウィリアムズ)は、子供にとって最高の友達であり、親にとって最大の協力者となるようプログラムした、まるで人間のようなAI人形〈M3GAN ミーガン〉を開発している。
ある日、交通事故で両親を亡くし孤児となった姪のケイディ(ヴァイオレッド・マッグロウ)を引き取ることになったジェマは、ミーガンに対し「あらゆる出来事からケイディを守るように」と指示し、力を借りることにするが、その決断は想像を絶する事態を招くことになる…。(ユニバーサルピクチャージャパンより抜粋)
感想
#M3GAN #ミーガン 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) June 9, 2023
そんなことあるわけねえだろとつっこみたくなったり、なんでそれ学習できてねえの?と不思議に思ったり、そもそも怖くなかったり全体的に上手くできてないと思ったり。トイソルジャー弾くミーガンには笑ったw pic.twitter.com/phYxzgWuEy
子供には子供に相応しいおもちゃを与えましょう。
大体あんな高性能な技術をおもちゃに搭載する前に、他の分野で使った方が全人類にとって得ってもんでしょうに。
あとあれ、おもちゃ取り上げられる子供ってあんなに発狂するっけか。
以下、ネタバレします。
とんでもねえロボット、ミーガン。
両親を失った姪っ子のために、というのは建前で、自分の仕事に没頭したい大人の都合によって予算10万ドルを費やし急ピッチで開発された友達ロボット「ミーガン」が、ユーザーを守りたい一心で暴走してしまう姿に阿鼻叫喚する人間たちの物語。
どこかで見たことありそうなテクノロジーの暴走に可愛さと不気味さと適度な笑いをプラスしてできたポップコーン感覚のスリラーだったものの、むっちゃ高性能なのに宗教も倫理観も学習できてない点や、伏線の回収の仕方にセンスを感じない締めくくり、そもそものスリラー感覚が子供だまし程度の怖さなど、全体的に期待値を下回る物語と評価。
しかし、誰もこの開発に異を唱えない人間の盲目や欠陥ぶり、果てはテクノロジーの依存ぶりに、もはや暴走してるのはロボットではなく人間なのでは?と疑いたくなるほど既に人間終ってますね~と思いたくなるような作品でございました。
現在共働きの世帯は多く、仕事と家庭の両立はおろか、子供の面倒を見るのも一苦労な時代。
親御さんにとっては、猫の手も借りたいほど忙しい日々を送られていることでしょう。
保育園や幼稚園だけではなく、お家での生活でも子供の面倒を見てほしい。
そんな時にミーガンのようなロボットがいれば、子供が騒ぐ心配もない、駄々をこねる心配もない。
そして親御さんは自分の時間を持てたり仕事もはかどると一石二鳥なわけです。
個人的には、こんな色々と大変な時代にはうってつけの製品なのではないかと考えます。
しかし今回の物語は、そんなテクノロジーに依存し過ぎると、子供の心は親から離れてしまうし、何よりロボットに自我が芽生えて子供を守りたい一心で、独占してしまったり邪魔者を排除してしまう恐れがある、その結果親すらも排除されてしまうのではないかという教訓を描いた物語でした。
とにかくミーガンは高性能すぎる。
チタン製の体に加え、脳を司るチップによって子供と触れ合う度にどんどん学習し、子供が分からないことがあれば教えるし、しつけだってできる。
遊び相手としても最適で、メンターにもなり得るというすぐれもの。
おもちゃにしては出来過ぎなくらい素晴らしい遊び道具ですが、あくまで遊び道具ってそこまでする必要性がないわけですよ。
ゲームや育成系のアプリ、人形やレゴブロックやラジコンなど、遊ぶ行為以外に知能を高める用途があったり、心を養ったりする側面以外の面入らないんですよ。
このミーガンは永遠に年を取らないわけで、こんなのと永遠に一緒に入れるはずないわけで、思春期を迎えた時点であなたは物置行きですよ。
だからこんな高性能なロボットと遊ぶのは、一定の距離感を作らせるための配慮と、欲親子供に言う「ゲームは1日1時間」という制約が必要ってことなんだなぁと。
一番ヤバいのってジェマだよね?
だからさぁ、この映画の根幹に文句言うことになっちゃうんだけど、なんでこんなの作ったのよとw
劇中では、隣人の飼っている犬を殺し、その隣人までも殺害、さらには野外学校でぺを組んだ意地悪な男の子まで死に追いやり、会社のCEOと秘書まで殺害してしまうミーガン。
物語の結末は、そんな暴走を働くミーガンがジェマの家に向かったことを知った同僚たちが警察を呼び、何とか自力でミーガンを退治したジェマとケイディは無事助かりました、チャンチャンで終わりましたけど、これ罪に問われるのは誰なんでしょうね。
やっぱりジェマですよね?
違うのかな。
終わって一番に考えたのはそこの部分で、ぶっちゃけジェマってミーガンが暴走して人を殺めたかもしれないって疑惑を持つまでは良いんだけど、正直自分がどれほどの過失を生んだのか理解してないんじゃないかという点です。
もうね、この会社でどう在りたいか知りませんけど、とにかくジェマという存在が一番怖かったですね。
結局自分を認めてほしかったのだろうか。
低価格帯で売り出したいロボットのプレゼンをほっといてまで時間を費やし、しかも勝手に予算10万ドルもつぎ込んでミーガンを作ってるって、やばくないですか、一会社員として。
そもそもロボット科学者として彼女はおもちゃ会社に勤めていることに不満を抱いてるとも思えてしまうんですよね。
もっとすごい企業でロボット開発をしたかったんじゃないだろうか。
そこに姪っ子の面倒まで見なきゃいけない問題まで飛び込んできて、色々と理想とのギャップに苦しんだんじゃないだろうかと。
だからミーガンを作って自分を売り込んで、ケイディの面倒も見れて完璧なわたし!とでもおもったんじゃないだろうかと。
だってさぁ、姉ちゃんが死んだんだよ?どこまで深い仲かわからないけど、ジェマが姉の死に心を痛めてる描写が一切ないんですよ。
もちろんケイディの面倒をみなくちゃいけない一心で悲しんでる余裕なんてないかもしれないんだけど、それよりもケイディの面倒よりも仕事なんですよね~。
独身だからってのもあるんだろうけど、自分の領域を犯すかもしれない存在が介入するってことへのギャップにも苦しんだんだろうなぁと。
話がむっちゃそれましたけど、要はジェマってどこか心に欠陥があるというか、人間味が無いように思えて仕方なかったんですよね。
だから、過失に関して想定できてないし、それ以前に自分が罪に問われる可能性すらも想定できてないというか。
でもこういう場合、不思議と思い出すのが「Winny」って映画で。
あれってP2Pソフトを作った開発者が不正ダウンロードを焚きつけたって罪で捕まったっていう不当逮捕の話なんですけど、この話で行ったらやっぱりそのままジェマが逮捕された場合って不当になってしまうんですかね。
実際殺害したのはミーガンであって、作った本人は罪に当たらないってことになるんでんすかね?
仮にそれでいいとしてもですよ、会社に与えた損害はデカいと思うんですよね。
だからまぁ、FANKIはクビだろうなと…。
映画の出来として雑感
もうさっきから映画の事と関係ない話になりっぱなしですけど、個人的には全然面白くありませんでした。
上で書いたことばかり想像して、話が頭に入ってこないくらい、色々と「普通こうなるよね」とか「こういう考えにならないか」って思いたくなる行動ばかりで。
一番唖然としたのは、ケイディがミーガンと仲良くなりすぎて、取りあげられた腹いせに、ジェマ叔母ちゃんをひっぱたくわけですよ。
その前に嫌いだと語るセラピストに向かってハサミを向けてるんですよね。
ああなってる時点でセラピストは失格だなぁと思ったんですけどw
あそこ良くジェマを誤って刺さなかったなぁと思ったんですが、その後強烈なビンタですよ。
9歳の女の子がいくら大事なおもちゃを取り上げられたからって、あそこまで感情的になりますかね。
多分本作で一番怖かったのはあのシーンです。
子供がおもちゃを取り上げられて駄々をこねる場合、さすがに親に物理的な攻撃まではいかないと思うんですよ。
せめてモノに八つ当たりするか泣き叫んでってパターンだと思うんですけど、さすがに行き過ぎてるというか。
親が死んで情緒不安定ってのもわかるんですけど。
これもまぁ妄想の範疇ですけど、多分ジェマだけでなく親にもやってなきゃああはならないと思うんですよね。
ミーガンだけでなく、多分何かしら夢中になってるモノを取り上げられたら見境なくす子なんじゃねえかって。
一応謝ってるけど、むっちゃ冷静な顔してるのも怖かったなぁ。
絶対ミーガンに依存してるとかってレベルじゃないと思うんですよ。
だからそういう部分を出すのであれば、もっとミーガンと密な関係になってるシーンをたくさん描く必要があるというか。
一応ダイジェストで2人の生活ぶりを描いてはいるんですけど、それでも説得力に欠けるんですよね~。
そんな短時間であそこまで求めますか?子供って。
まぁあと全体的にジャンプスケアに頼りがちで怖さは微塵も感じなかったですね。
色々ドキドキするような空間を生み出せてはいましたけど、もうひと押しあればいいのになぁと。
例えばミーガンをシャットダウンしてるのに、周りのコンピューター機器が勝手にシャットオフされていて、これはミーガンの仕業なんじゃないだろうかと疑念が沸く。
だから彼女のケーブルを抜かなきゃいけないんだけど、勝手に起動したらどうしようという恐怖心が生まれる。
同僚が慎重にケーブルを抜くんだけど、一瞬振り返るとミーガンが起動してそのケーブルで同僚の首を絞めるってシーンがあるんですね。
もちろんBGMが鳴ってない状態での緊張感はあるんですけど、カメラワーク然りカメラ切り替えるタイミング然り、怖さを助長させる演出がもっとできたよなぁと思ってしまうわけで。
他にも犬がミーガンにかみついてくるシーンとか、首根っこがっつり噛んでるんですけど全く怖く思えないし、野外学校でペアを組んだ男の子の耳を引きちぎるミーガンのシーンも、男の子の耳が伸びすぎてて作りモノとしか思えなかったりとか。
隣人のおばちゃんを殺害するシーンも、やっぱりどこか「ミーガンがそこまでできるわけねえだろ」って下から目線に見えがちなやり方というか。
多分、大人の女性なら難しいかもですけど、大人の男性くらいならミーガンの攻撃を回避できるんじゃないかって思えて仕方ないんですよね。
凶器を振り回した攻撃も、多分ですけどミーガンてそんな素早い出来ないと思うんですよ。普段の動きから想定して。
だからそういう素早い描写を入れるとか、人を殺める方法を何かで見て覚えるとか、そういう学習してる仕草や行動をどこかに挟むことで信ぴょう性を高めさせてほしかったというか。
後はもうクライマックスですよね。
仕事部屋に追い込まれたジェマを助けるべくケイディは「もう一人家族がいる」といいだし、ジェマが大学時代に作ったロボット、ブルースをを起動させてミーガンと戦うというリアルスティール状態なバトルが繰り広げられるんですね。
ケイディがジェマの家にやってきた時にこのロボットの説明をした時点で、どこかでこのブルースが活躍するのは目に見えてたんですけど、いつの間にケイディはこのロボットを気に入って、操作まで覚えてたんだろうかと。
ミーガンのいない間だとしても、ミーガンはきっとブルースを動かしてるところを知ってるはずなんですよ。
あれだけ独占欲の強いロボットがこのブルースを前もって排除してないわけないんですよ。
もうその時点で変ですし、仮にミーガンが知らないところでケイディがブルースを遊び相手にしていたのなら、あそこのシーンでもっと高揚感が出せるような話の構成にしないと、あまりに都合が良すぎて気持ちが上がらないんですよね。
そういう点で下手くそだなぁと。
最後に
クライマックス、ジェマと対峙するミーガンが、ピアノの前でマルティカの「Toy Soldires」を奏でてるんですよね。
ぶっちゃけ歌詞の意味はわかってないんでんすけど、おもちゃ扱いされてたミーガンが、おもちゃの兵隊ってタイトルの曲を奏でてるって中々怖くもあり笑えるなぁと。
ナイス選曲でしたw
もう全体的に気に入らない映画だなぁと顔をしかめて見てたんですけど、何も考えなけりゃ楽しい映画なんでしょうね。
実際TikTokでバズッたヘンテコな踊りやよっつんばいで走ってく姿なんかは笑えますし、その割に裁断機の刃を持って追いかけてくるときはよっつんばいじゃねえのかよ!とツッコみたくなるような、こちらが何か言いたくなるような余白はたくさんあった映画だったんじゃないかなぁと。
あとはもうミーガンに倫理観だとか宗教観、または道徳心てのが養えば製品化してもいいんですかね。
必ず人間が制御できる機能をつけて。
あとはもう、おもちゃなので遊ぶ時間を必ず決めることでしょうか。
いや、人間の相手は人間がしなきゃダメなのか。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10