モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「MERCY/マーシー AI裁判」感想ネタバレあり解説 実質「search/サーチ3」です。

MERCY マーシー AI裁判

昔のハリウッド映画では、ソ連や中国北朝鮮といった社会主義共産主義国を敵に見立てた映画が量産されました。

実際そういう時代だったから、見る側も特に疑問視することなく鑑賞してましたよね。

 

でも今だと、例えば中国を敵に見立てた映画を作れない(興行収入面や上映禁止の恐れもあるため)ような問題や、現実的に実在する国を敵にすることはよくない風潮にあるのか、かつてのような敵国が描かれなくなっちゃいました。

 

トップガン:マーヴェリックも核兵器開発を目論んでる敵程度の情報で、どの国なのかもわからないし、むしろ「国」なのかどうかも曖昧。

 

そうやってぼかして見えない敵と戦うのが今のハリウッド映画なのです。

 

じゃあ今具体的に何と戦っているのか。

それが「AI」です。

2025年だけでも「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」、「ミーガン2.0」、「「トロン:アレス」がそれにあたり、残念ながら軒並み興行面で失敗した映画ばかりが並びます。

 

脚本組合及び俳優組合のストライキで問題に上がったのが「AI」に仕事を奪われるかもしれないという問題でした。

「悪のAI」のような高度な機能を持ったコンピューターが人類を脅かすような映画は過去にも多数ありましたが、どうやら作り手的にはそれが現実的に敵となってしまった時代が到来してしまったわけです。

 

しかしお客さん的には今更AIが人類に脅威をもたらすどころか、身近な暮らし必要不可欠な存在として歓迎してるのがほとんど。

 

要するに、今「反AI」映画を作ってもウケないってことです。

作り手の気持ちもわかりますが、そろそろ「新しい敵」を見立てるアイディアを探すべきでは。

 

…と前置きが長くなりましたが、何が言いたいかといいますと、今回鑑賞する映画はそんな「AI」が人間を裁くという非常にありえない展開の作品

はっきりいいます、つまらなそうですw

 

機械VS人間の争いはとうとう法廷にまで持ち込まれた!ってことなんでしょうが、どうも発想が飛躍しすぎて…。

レミニセンス」のような酸っぱい終わり方だったら絶賛できるんだけどなw

果たしてどんな映画になってるのか、早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

失踪した娘をデジタル上で追跡する父親の捜査劇を、100%すべてPC画面の映像で展開するというスリリングかつ革新的な表現で描いた『search/サーチ』の仕掛け人として知られるティムール・ベクマンベトフが、想像をはるかに超える速度で進化しているAIをテーマに描くアクションスリラー。

 

AIが司法を担う近未来を舞台に、妻殺しの容疑で裁判にかけられてしまう刑事が、断片的な記憶とAIが支配するデータベースから証拠を見つけ無罪を証明するために奔走する姿を、近未来の世界観や革新的な映像表現、タイムリミットを利用したスリリングな展開と争いが描かれる。

 

アカデミー賞作品賞を受賞した「オッペンハイマー」や「ダークナイト」を手掛けたチャールズ・ローヴェンがプロデュース。

彼曰く本作は「空想ではなく科学的現実になり得ること」と主張、また本作が問いかけるのは、AI自体を悪とみなすのではなく、AIを誰がどう使うかが大切だということ。

それらを踏まえ、AI社会にどう警鐘を鳴らすのか注目だ。

 

主人公の敏腕刑事レイヴンを演じるのは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズや「ジュラシックワールド」シリーズのクリス・プラット

本作についてAI版・権利章典のようなものと語るプラットは、実際問題起こりうる問題かもしれないテーマや、ディストピア一歩手前のロサンゼルスの描写に惹かれ出演を受けたそう。

 

そしてAI裁判官マドックスを演じるのは「DUNE/デューン砂の惑星」シリーズや「ハウス・オブ・ダイナマイト」のレベッカ・ファーガソン

正確性を期待しながらも、オンラインの世界全てに疑ってかからないといけないと、AIテクノロジーに対して慎重な姿勢のファーガソンは、人間を理解しながらも人間ではない「感情なきAI」を模索しながら演じた様子。

 

他にも、「コンティニュー」「マリグナント」のアナベル・ウォリス、リブート版「バイオハザード」に出演予定のカリ・レイス、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」のクリス・サリバンなどが出演します。

 

AIに司法を委ねた社会は、果たして真の正義を実現できるのか。

 

search/サーチ

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  • ジョン・チョー
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あらすじ

 

凶悪犯罪が増加し、厳格な治安統制のためにAIが司法を担うことになった近未来。
ある日、敏腕刑事のレイヴン(クリス・プラット)が目を覚ますと、妻殺しの容疑で<マーシー裁判所>に拘束されていた。


冤罪を主張する彼だったが、覚えているのは事件前の断片的な記憶のみ。
自らの無実を証明するには、AIが支配する世界中のデーターベースから証拠を集め、さらにはAI裁判官が算出する”有罪率”を規定値まで下げなくてはならない。

 

無罪証明までの<制限時間は90分>。さもなくば<即処刑>──。(公式より抜粋)

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感想

監視カメラにブラウザ画像、様々なカメラ映像が飛び交ったと思ったらVR空間間で登場。

今や捜査は現場でなくても解決できる!

ほんと、サーチのまんまだったな…。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

ざっくりあらすじ

レイヴンが目を覚ますと、そこはマドックス判事のもと行われる法廷だった。

 

不況により犯罪増加の一途をたどる近未来のロサンゼルス。

あまりの犯罪者の増加に、刑務所はパンク状態、警官の手も足りないどころか殉職数も増加と負のスパイラルから抜け出せない時代となってしまった。

 

そこで政府は手間のかかる裁判をAIに任すことを決断。

裁判官も弁護士も陪審員も全てAIによって行われる「マーシー裁判」が導入される。

 

あらゆるデータベースから物的証拠や動機などを揃え、有罪か無罪かを判決し、その場で刑を執行するというスピーディーさは、犯罪現場の第一線で働く警察官や市民からも大きな支持を得ていた。

 

そしてレイヴンは、この裁判にかけられた犯人を逮捕した男としても著名な人物だった。

そんなレイヴンがなぜ法廷に、しかも身動き取れずに座ってるのか。

それは彼が妻を殺した容疑者だったからだ。

 

無実を主張するレイヴンだったが、動機ともとれる証拠映像を見て、開いた口が塞がらない。

 

仕事に行ったはずのレイヴンは、一度帰宅し妻と口論をしはじめ、30分後に家を出た後、バーで一人酒を飲んでいるところを警察官によって逮捕されていた。

相当のアルコールを摂取しているせいで、レイヴンは家から出た後の記憶がなく、バーで暴れている映像を見て驚くことしかできなかった。

 

娘もニュースを鵜呑みにしてレイヴンに怒りを露わにし、妻の両親もレイヴンを疑う始末。

マドックス判事は97.5%の確率で有罪と見做しているが、レイヴン自身で弁護をする猶予を90分与える。

この90分間,レイヴンはあらゆるデータベースをアクセスできる権限を与えられ、証拠を揃えることができる。

その結果、有罪率が92%まで下がらなければ、その場で処刑されてしまう。

 

前夜のアルコール摂取がたたって頭痛と脱水症状を起こしているレイヴンは、実はアルコール中毒だったことを明かす。

 

1年前に断酒会に参加して仲良くなったロブに面倒を見てもらいながら守っていたが、彼の相棒が殉職してしまったことを機に、再び酒に溺れる毎日を送っていたのだった。

元々短気な性格だったのか、事あるごとに妻と衝突を繰り返していたレイヴンは、事件当日、車に隠してあった酒を妻が勝手に回収したと思い込み、職場から自宅に引き返していたのだった。

 

その際、妻に向かって花瓶を投げており、彼の服に突いていた妻の血痕は、包丁で刺した時ではなくこの時に付いたモノだと主張。

包丁に付いた指紋も自身も料理をするからついていて当然と主張する。

 

これでも有罪率の下がらないレイヴンは、相棒の女性警官ジャッキーに現場検証を手伝ってもらうことに、

そしてあらゆるカメラ映像から、妻がもう一台スマホを持っていることを見つけたレイヴンは、妻の浮気相手の男の身柄を確保するようジャッキーに伝える。

 

彼は確かにレイヴンに内緒で妻と交際をしていたが殺してはいないと主張。

妻から仕事の悩みを聞きながら手料理を振る舞っていただけだと語る。

 

その後娘のインスタの裏垢の映像を見て凹んだり、事件前日のBBQの映像を見たりしながら検証していくレイヴン。

 

妻の仕事の悩みは、職場から尿素を盗んでいる同僚の存在だった。

マドックス判事の調べでは尿素は美容品には欠かせない成分だが、覚せい剤などの麻薬にも多く使用されるようで、レッドゾーンある警戒区域に生息しているホームレスたちに売りさばいて大儲けしている可能性もあると語る。

 

妻のスマホから友人や同僚を漁った結果、ギャンブルで借金を抱えていた男に目を付ける。

正にうってつけの男で、実際妻と外で口論している映像も入手。

 

さらに彼は前日のBBQにも参加し、ロブの車でやってくるなど、なるべく監視カメラに映らないような行動をしていたことがわかってきた。

 

さらに娘が恋人とインスタライブをしていた時の映像で「物音がした」時間は、レイヴンが帰宅した時間だと思われていたが、レイヴンが警察署を退勤した時間と一致しなかった。

実際物音がしたので幽霊がいるかもと家を徘徊しながら回した動画に、誰も明けてない地下室のドアが開いていたこと、画質を上げてみると誰かが存在したことが発覚。

 

犯人はBBQに足を使わずやってきて、一日中地下室に隠れた後、妻をナイフで殺害したことがわかった。

 

こうして妻の同僚を問い詰めると、さらに事態が急変する。

実際尿素を盗んでいたのは彼ではなく、ロブだった。

ロブには大きな借りがあるので黙っていただけだった。

それを妻に問い詰められて激昂してただけだったのだ。

 

さらに彼はBBQにはロブの車に乗ってやってきたが、帰りはロブを残し、彼の車で同僚を送り届けて帰宅したのだった。

事件当日も体調不良で会社を休んでいたこともわかり、犯人はロブであることがほぼ確定する。

 

尿素は爆弾にも使われることを知ったマドックス判事は、レイヴンに「トラックに爆弾を積んでどこかへ向かうのではないか」と主張。

ロブの家に急行してもらったジャッキーとSWATは、納屋に地図と爆弾の薬剤の残りを発見する。

AIに証拠を残さないためにすべてアナログで計画していたことがこれでわかったのだ。

 

レイヴンは部屋に飾ってあった写真に目を付ける。

半分に破れた写真には誰が映っているのかをマドックスに解読してもらうと、その相手がかつてレイヴンが逮捕し、AI裁判によって有罪判決を受けた男だったことが判明。

 

施設で育ったロブは、弟を施設に残したまま養子になっていた。

離れ離れになってもホームレス生活をしても面倒を見続けていたが、彼はレイヴンによって逮捕され、有罪判決を受けて死んでしまっていたのだ。

 

そしてロブの行き先は、正に今裁判が行われているこの場所であることが判明。

ジャッキーやSWATは、レイヴンの娘を人質にし、爆弾を積んだトラックでこちらに向かってくる。

果たしてレイヴンは、妻殺しから大規模テロへと変貌を遂げたこの事件を防ぐことができるのか。

 

・・・というのがざっくりしたあらすじです。

 

サーチ3でよかったのに。

人間も機械も、それを動かす人が優秀ならシステムとして組織として機能するってのは、色んな所で証明されてると思います。

逆に、使う人が下手だったり悪用したりすれば、悪い方向へ進んでしまうってことも証明されてるかと。

 

今回のこのAI裁判も、要は主人公が敏腕刑事だったから冤罪を防げたし、大きな事件も未然に防ぐことができたわけです。

そうした教訓を受け止めることができたという意味では、本作が持つテーマや意義は良かったと言いたい。

 

しかし、物語という点においては少々無理があるなとも思えてならない作品でした。

 

僕は監督の過去作の「ウォンテッド」も好きですし、プロデュースした「サーチ」も好きです。

特に2は、現代の安楽椅子探偵を、かなりのハイスピードにも拘らず破たんしてないプロットで作られた代物だったので、今回も鑑賞しながらそれを思い出し比較してました。

 

ただなんでしょうね、裁判という枠組みの中で納まるなら褒めたいけど、結局自己弁護をして無罪を勝ち取るのではなく、裁判を通じて真犯人を探すって話にスライドwしちゃってるのが僕はあまり肯定できないというか。

 

大体、裁判にかけられる被告がバカだったら、自己弁護もできない仕組みになってるんですよこれ。

仮にバカでなくても地頭が良くても、事件に慣れてる人でないと無理だし、それこそエンジニアとかでないと、あんなにバンバン証拠映像出てきても一瞬で違和感っ見つけられないし、ファイルを見つけ出すこともできないし、要するに自分を弁護するために何を探したらいいのかもわからないですよね。

 

また、映画の中で一切触れてなかったのがフェイク動画の類です。

マドックス判事の能力が優秀なので、一切そういう映像は出てこないとは思うんですけど、だったら一言欲しかった。

 

結果的にマドックスは有罪だとほぼ決めつけてたけど、レイヴンの自己弁護のおかげで間違っていたことに気付く。

さらにレイヴンが逮捕した男=ロブの弟はアリバイがあったにもかかわらず、ジャッキーが証拠隠滅したせいで冤罪を喰らった。

AIでも冤罪=過ちをしてしまうってことが最後にわかるわけですけど、果たしてAIはフェイク動画をちゃんと見分けられるのかってのも、劇中に言うべきだと思うんですよ。

 

とにかく、今回の裁判の被告が優秀な刑事だったから無罪で済んだって話です。

それは面白いのかって話。

 

やってることは面白かったですよ。

もちろんさっきも言ったように、サーチを別のシチュエーションでやってみましたって映画ですから、色々な試みがされてましたよね。

 

サーチって、1も2も基本主人公ひとりなんですよね。

2だと現地のツアコンにコンタクトを取って動いてもらってましたけど、本作もジャッキーを使って現場検証してもらったり、犯人を追いかけてもらったりしてたので、恐らく2を発展させた部分なんだろうと。

 

本作はそこに助手的立場のキャラを設けて物語をさらに膨らませたパターンでしたね。

マドックス自体、別に彼を有罪にしたいわけではないので敵ではない。

事実だけが全てだと思い込んでる存在なので、直感で動くレイヴンにかなり動揺してる辺りがキャラ的に面白かったですね。

 

だからサーチではあまり出てこなかった「Siri」とか「アレクサ」みたいな音声アシスタント、またはアイアンマンでいうジャーヴィスみたいな、主人公をサポートするような存在なんだけど、判事故にあまり肩入れできないっていう。

 

この辺の揺れは良かったと思います。

これをレベッカ・ファーガソンがロボットっぽい表情で演じてるのがまた素晴らしかったですね。

 

逆にめちゃめちゃ感情的なレイヴンをクリプラが良くやってたと思います。

実際彼は椅子から離れることができない状態で、ただ色んな映像を見て表情なり態度を現さないといけない。

アルコール依存症でDVの気があるキャラのイメージがあまりないんだけど、めっちゃいそうな人物をよくやってましたよ。

 

お互い顔芸で演技しなきゃいけないのが大変だったろうけど、まぁオーバーアクトにならないくらいのレベルで演じてたんじゃないですかね。

 

そして一番ツッコみたいのは、マドックス判事がいじれるすべてのデータベースに入れる権限を、警察が持っていたら大方の事件が解決できるんじゃないかってこと。

実際できるんだろうけど、それを動かすのは人間だから、ここまで短時間でスムーズに使いこなせないんでしょう。

 

だからマドックスは判事なんかやらずに、警察に導入すればいいのに、と。

 

で、さらに踏み込むと、裁判のためなら捜査のためなら、こんな簡単にいろんなデータベースにアクセスして閲覧できる権限を、判事はともかく被告が扱えていいの?という点。

要はダークナイトのクライマックスで、ジョーカーを探すためにソナー機能を使って探すってのがありましたよね。

あれに対してフォックスが倫理に反する的な反発をしたんですけど、そういうことです。

 

その辺の是非をすっ飛ばしてるの、近未来ってだけで片づけてやしないかい?と。

 

 

最後に

なんかうやむやになってるけど、結局レイヴンて奥さんとあまり上手くいってないし、これで無罪になったとはいえ、あまり応援できるタイプの主人公ではないよなと。

 

おそらく酒をまた飲みそうだし、向こうの両親ともうまくいかなそうだし、娘も親父のあんな姿見てトラウマになるだろうから、ダメだろうなw

 

あとやっぱりね、最後法廷から飛び出してレイヴン自身が行動するってのは、なんか違う気がするっていう。

これまで見ていたのはレイヴンが見ていたデータベースの映像で、急に別の映像を見ることになるんですよ、我々は。

急に現実を見せられるっていうんですかね。

 

もちろん娘の救出があるから外に出るんだけども、特に何も変わってないレイヴンが外に飛び出しても何のカタルシスもないし、見てるこっちも気持ちが高ぶらないんですよね~、クライマックス。

 

エレクトリック・ステイトといい本作といい、最近クリプラが選ぶ作品、ダメだな…w

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10