未来のミライ
私モンキー、アニメーション映画に関してはど素人でございます。
そもそも洋画邦画実写を語るだけでも素人だと自負しているのに、アニメに関してはそれ以上に知識も興味もなく。
じゃあなんで見るのかって、何度もこのブログで書いてますが僕はミーハーなのです。
映画好き以前に流行っている物に興味を抱くという、いたって普通の男の子なのです。いやおっさん・・・青年てことでw
前置きが長くなりましたが、そんなミーハー野郎のモンキーは!大作アニメ映画「未来のミライ」を見ます!
だって「サマーウォーズ」の細田守監督だから!
早速観賞してまいりました!
作品情報
「サマーウォーズ」以降、次々とヒットアニメを手がけてきた細田守監督の最新作は、甘えん坊の小さい男の子と、未来からやってきた妹が織り成すちょっと不思議な物語。
家一軒と庭ひとつ。どこにでもあるたった一つの家族を通じて、生命の大きな循環、人の生の織り成す巨大なループを描く今作。
4歳の男の子とともに時間を越えた旅をすることで、過去とは未来とは、と思いをめぐらせ、命が持つ素晴らしさと一言では言い表せない不思議さをこの映画は伝えます。
小さな庭から時を越える旅へ。それは過去から未来へ繋がる、家族と未来の物語。
あらすじ
とある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。
ある日、甘えん坊の に、生まれたばかりの妹がやってきます。
両親の愛情を奪われ、初めての経験の連続に戸惑うばかり。
そんな時、“くんちゃん”はその庭で自分のことを「お兄ちゃん」と呼ぶ、
不思議な少女 と出会います。
“ミライちゃん”に導かれ、時をこえた家族の物語へと旅立つ“くんちゃん”。
それは、小さなお兄ちゃんの大きな冒険の始まりでした。
待ち受ける見たこともない世界。
むかし王子だったと名乗る謎の男。
幼い頃の母との不思議な体験。
父の面影を宿す青年との出会い。
そして、初めて知る「家族の愛」の形。
さまざまな冒険を経て、ささやかな成長を遂げていく“くんちゃん”。
果たして、“くんちゃん”が最後にたどり着いた場所とは?
“ミライちゃん”がやってきた本当の理由とは―(HPより抜粋)
監督
今作を手がけたのは細田守。
「時をかける少女」から監督作品を見てきてはいますが、「サマーウォーズ」まではよかったものの、それ以降すごく面白い!何度も見たい!みたいな気持ちにならないのは何ででしょうね・・・。
「おおかみこどもの雨と雪」が僕はすごくハマらなくて、もうこの人の作品観るのやめようかなぁとも考えたんですが、 「バケモノの子」はまだ僕の中では許せた〈何様やw)方だったので、というか主題歌がミスチルの時点で擁護したい気持ちが強かったんですけどw
そんなこんなで今作も見るか!ってことで。
監督はタイムリープものだったり〈時をかける少女)、異世界のような場所だったり(サマーウォーズ、バケモノの子)、家族や親子の物語(おおかみこども、サマーウォーズ、バケモノの子)を多く手がけているなぁというのが、過去作から見て感じられると思います。
今作も予告を見ると、これまでの細田作品を全て網羅していそうな画や設定になっている気がするんですよね。
いわゆる集大成というやつです。
監督のコメントにも野心的な作品と書かれてるので、そういう意味ではかなり意欲的な内容になっているのではないかと。
まぁ監督に関しては浅い知識しかないのでよくわかりませんw
とりあえず細田作品は人物のタッチが好きです。どれもかわいいよね。
「竜のそばかすの姫」も映像はすごかったので是非!
キャラクター紹介
- くんちゃん(声:上白石萌歌)・・・甘えん坊の男の子(4歳)。
お父さん、お母さん、そして犬のゆっこと小さな庭のある家に暮らしているが、妹が生まれたことで両親の愛情を奪われることに。
- ミライちゃん(声:黒木華)・・・くんちゃんのことを「お兄ちゃん」と呼ぶ、未来からやってきた不思議な少女。
庭から突然現れ、くんちゃんを“時をこえる冒険”に導く。
- おとうさん(声:星野源)・・・フリーの建築家でくんちゃんのお父さん。自宅で仕事と育児の両立を目指すが、いつも失敗ばかり。抱っこが苦手。
- おかあさ(声::麻生久美子)・・・くんちゃんのお母さん。子育てに仕事にと大忙しだが、いつもベストを尽くそうとしている。片付けが苦手。
- 謎の男(声:吉原光夫)・・・かつてこの家の王子だったと名乗る謎の男。なぜか愛情を渇望し、くんちゃんに問いかける。
- ばあば(声:宮崎美子)・・・くんちゃんの祖母。二人目の孫が生まれるにあたって、くんちゃんや犬のゆっこの世話を手伝う。
- じいじ(声:役所広司)・・・くんちゃんの祖父。ひなまつりの日に、孫に会いにくる。
- 青年(声:福山雅治)・・・くんちゃんが時をこえた先で出会う青年。父親の面影を宿している。くんちゃんに大きな影響を与えることに。
小さな場所から大きな世界へ、くんちゃんは一体どんな冒険を繰り広げるのか。
その冒険の先に何が待っているのか。
ここから観賞後の感想です!!!
感想
長男は手がかかるってのはホントなんだな・・・。
くんちゃんがお兄ちゃんになるまでの成長と、子育てに悩むお父さんの気持ちを監督目線でファンタジーに仕上げた映画でした!
でもモンキー的には好きくなぁいっ!!
以下、核心に触れずネタバレします。
俺もああだったのか・・・
初めての妹によって親の愛情を独り占めできなくなった4歳の男の子が、過去や未来の不可思議な世界で様々な体験をしていくことで、今の自分はどうあるべきかを子供ながらに見出していく成長物語。
妻に任せっきりだった夫が育児に四苦八苦しながらも懸命に向き合っていく姿を交えることで親の観点からも優しく寄り添ってくれる描写、今の自分たちがあるのは誰の存在からかや両親や祖父母の子供時代のエピソードを加えることで、如何に人は大人となり親となっていくのか、その遺伝子を受け継いでいくのかという大きなメッセージを盛り込み、やがてそれは太い根をはった大きな木=ファミリーツリーの一部だということを気づかせてくれる細田監督流の家族の物語でございました!!
既に言いたいことのほとんどを詰め込んでみましたw
これまでも家族をテーマに数々の作品を手掛けてきた細田監督。
今作は自身に子供が生まれたことで起きた実体験をもとに作ったそうですが、それを監督得意のSFファンタジー要素を入れることで娯楽大作に仕上げたなんだろうな、というのが随所に見て取れます。
やはり自身で子育てを経験したことで、さぞ苦労したことでしょう。
一生懸命良い父親になろうとしたんでしょう。
なのになかなかうまくいかなかったんでしょう。
自分の奥さんはこんなに大変なことを毎日していたのか!と感じたのでしょう。
それはどこの家庭も一緒なんだと、だったらそんな世のお父さんお母さんたちにそっと寄り添ってあげられる物語を作ろうじゃないか、そんな考えから生まれたんだろうなと僕は感じております。
誰にだって初めての経験てのはなかなかうまくいかないもので、ましてそれが育児となるとホントに大変なんだろうなと。
なんてたってくんちゃんがクソガキなんですよ!!あ、失礼。
お母さんが妹を連れて家に帰ってきたことで、久々にかまってもらえると思ったのか泣きつき抱きつくくんちゃん。
でも妹におっぱいあげたりおしめ代えたり、仕事復帰するために家事をお父さんが代わりにすることになるってんで、炊事洗濯などなど家のアレコレをお父さんに伝授しなくてはいけなかったりとくんちゃんの面倒を見る余裕などないのです。
そんな時くんちゃんは必死に自分アピールするんですね。
僕を見て!僕にかまって!いつものように遊んで!
などなどとにかく自分に目を向けるために猛アピール。
それでも全く見向きもしてくれないので、とうとうくんちゃんはやさぐれます!
オモチャひっくり返したり、喚き散らしたり、代わりにお父さんが面倒を見ようとしてもお母さんじゃなきゃ嫌だ!の一点張り。
くんちゃんはこれまでとは違うみんなの対応にどうしてこうなったのかと考え、すべての原因は妹にあるととんでもない勘違いをしだし、おもちゃの新幹線で妹を殴ってしまうんですね。
ああ子供ってめんどくせえっ!!!
もちろんお母さんに叱られますね。
当然です。
僕が親でも怒りますよ、お前何してくれてんねんと。
思い通りにいかないことに中庭でふてくされるくんちゃんでしたが、突然知らない男が現れるんですね。
ここからくんちゃんは、日常と非日常が混在する場所で様々な経験を積み、ほんのちょっとずつお兄ちゃんとしての自覚を芽生えさせていくんです。
見終えて感じたことのひとつとして思うのは、親は育児をする上でなかなか言う事を聞かない子供に苦労をするんだけど、実は子供って知らないところでちょっとずつ成長してるんだなっていうのを、こういうファンタジーテイストで描くことで伝えてるのかな?と。
正直僕は独身だし子育てもわからなければ家族を作ってもいないのでよくわからないのですが、監督が描いた家族の物語を鑑賞してなんとなくではありますが、そんなことを思ったのであります。
僕も3つ歳の離れた妹がいるので、もしかしたら子供の頃くんちゃんのように親の愛情を独り占めできなくてお兄ちゃんとしての自覚を持てないまま駄々をこねていたのかなぁ?と。
さすがに子供時代の自分は思い出せないので、めっちゃ恥ずかしいのをこらえて母親にLINEで聞いてみました。
すると返ってきた答えは、駄々をこねるような子ではなく、妹ができたことが嬉しくて保育園の先生や色んな人に妹自慢をしていたんだそう。
それでも色々ガマンしてたようにみえたのか、おばあちゃんがよく相手してくれたとか。
あれw俺、ちゃんとお兄ちゃんだったんじゃね??
ああ~よかったぁ!
とはいうものの、僕も子供でしたから色んなことで親を困らせたことでしょう。
妹を泣かせた記憶ってのも残ってるし、かなり手を焼いたという母親からの一言も。
決してくんちゃんのような子供でなかったとしても、彼の行動を否定するようなことはどう考えても言えないねこりゃ。
クソガキとか言ってごめんよ、くんちゃん。
作品の評価としては。
ここまでは自身の過去に触れながら、監督の実体験だよねこれ、といった部分まであれこれ書いて見ましたが、話の内容は、出来はどうだったのよ?ってところに言及しようと思います。
もちろんアニメーションとしてのクオリティは僕が言うまでもなく素晴らしいモノでありました。
風景はもちろんキャラの細かい表情までリアリティがあり繊細で可愛らしく描けていたのではないでしょうか。
くんちゃんや犬のゆっこは特に可愛かった。
ただ!
話が全然面白くない。
多分予告を見る段階で、これは未来のミライちゃんとくんちゃんが、小さな庭からまるで見たことのない世界へと旅立ち、家族の昔の時代を知ることで子供ながらに理解し吸収し成長をしていくんだろうと予想する人も多いのかと思います。
もちろん僕のその一人で、それはそれは大冒険をしていくんだろうと。
夏休み映画ですから監督の集大成として壮大なアドベンチャーになるんではなかろうかと、そんなことを思って期待していたんですが、ふたを開けてみるとなんというかすごくミニマムなお話で。
世界を広げるような展開ではなく、小さな場所から深く掘り下げていくような展開になってるんですね。
で、一度そっちの世界に行ってミッションこなさないと帰れないような制限とかがあるわけではなく、小さな体験でしかない。
しかもこの小さな体験を何度も何度も繰り返していくので、くんちゃん自体が劇的な成長をするのではなく、ほんのちょっと成長するだけ。
でも、別のエピソードに入ると元の駄々っ子に戻ってしまっているという、非常に物語としては見づらい構成になっているんですね。
感覚的には、テレビでサザエさんかドラえもんかクレヨンしんちゃんの番組のようなオムニバス構成。
のび太が道具を使って難題を解決してちょっといい子になったのように思ったら、別の話で元の怠けものののび太に戻ってドラえもんやお母さんに叱られてる、みたいな。
こんな構成で映画を作るってなかなか勇気のいることだなぁと。
映画って見る人の事を考えて徐々に感情が高まっていくようにクライマックスに向けてボルテージを上げるために場面場面で波を重ねて重ねていくものだと僕は思うんです。
しかしこの映画はその波を上げたと思ったら、元に戻すように仕向けている。
元に戻すから次の波が来たとしても、前の波が既にない状態だから中々感情の起伏が起きない。
だから僕はこれを観ていていつ本筋に入るんだろう、さっきの話はこの後どうつながるんだろうと意識して鑑賞していました。
結局くんちゃんが貴重な体験をしたのに元の駄々っ子に戻ってるので、全く気持ちが乗らずしかめっ面で見る羽目になってしまいました。
ただある意味これはこれですごい作りだなぁとは思います。
何というか挑戦的。
でもこれはあくまでくんちゃんという4歳の男の子の話であり、子供が急に何か体験をしたことで劇的に心境の変化を遂げるってのもおかしな話でリアリティに欠けるよなぁという点も一つの視点ではあるなと。
そう考えた時にやっぱりこの物語構成は正しかったのかな?とふと思いとどまった次第です。
まぁそんな真面目なことを言ったとしても僕の評価は変わらずで、普通に監督作品の中では面白くない作品に入りますかね。
笑えるところもクスッとするところもなかったし。
辛口御免。
ファミリーツリー
ジョージクルーニーが主演した作品に「ファミリーツリー」という作品があります。
ハワイを舞台に一族で受け継いできた土地の処遇を巡って決断を迫られる深刻な時に、妻が事故で昏睡に陥り、しかも妻に関する衝撃の事実を告げられるというとんでもない事態に陥った男が、それでも身を粉にして家族を一つにまとめようと努力し奔走する物語。
このファミリーツリーというタイトルは「家系図」という意味だそうで、一族の血を引く男が代々守ってきた土地を手放すかどうか、またバラバラになった家族をどう修復するのか、という問題に、主人公の男がどう答えを出すのかというのがこの映画の終着点なんです。
その答えというのがこれまで先祖たちが代々受け継いできたものを自分の代で絶やしてしまうことはやっぱりしてはいけない、みたいな考えにたどり着くんですね。
要は今の自分が存在するのは父と母が出会ったから、その両親を生んだ祖父母がいたからと、自分が生まれるずっと前から続いてきた奇跡があったからこその自分なんだと。
そんな彼らが大事にしてきたモノを自分の手で終わらせるわけにはいかない、家族とはどういうことなのかということを謳った映画なんです。
もちろんこの映画は他にも魅力的な部分があるんですが、この代々受け継がれてきたものという点が、今回鑑賞した「未来のミライ」と共通するということで引用してみました。
なぜ自分は今存在するのかということを物語の終盤で描いていて、母親の子供時代や父親の子供時代、果てはひいじいちゃんの悲惨な体験から辛くも生き延びたことで自分は生まれている。
そしてなぜ自分はこんなに物を散らかすのか、自転車にうまく乗れないのか、そのきっかけを知ることでくんちゃんは自分の中に家族の血が流れているからということを子供ながらに知り、決して自分だけがこんな子供じゃないみたいなことをなんとなく知っていくことで、ほんのちょっとだけ成長していくんですね。
そして行きついた先で、今自分はどんな立場になるのかという明確な答えをみつけることで、くんちゃんはお兄ちゃんとしての自覚を手に入れ、ミライちゃんに手を差し伸べていくんです。
ちょっと強引ではありますが、この映画はそんな家系図的な視点を入れることで家族の意味を教えてくれる映画だったのではと思います。
最後に
冒頭、舞台となるくんちゃん家が空撮で写るんですが、くんちゃん家がねぇ、他の家より敷地面積狭いんですよ。隣の家の半分くらい。
で、ミライちゃんが生まれると、くんちゃん家がリフォームされてることに気づくんですね。
これがまぁ劇的ビフォーアフターとでもいいましょうか。
庭を全部つぶし、駐車スペースだけ確保。
段々構造になっていて、下はくんちゃんの部屋、2階部分は中庭、3階部分はLDK兼お父さんの仕事場所。その上にバストイレと両親の寝室ってな具合になっていて、非常に面白い作りになっているんですね。
お父さんの職業が建築家ということで、考えに考え抜いた設計になってます。
これなら日当たりもいいし、狭さを感じない。お父さんやるな!と。
実はこれが一番感動した所でw
こういう家いいなぁ!!と。
余談でしたww
くんちゃんがお兄ちゃんとしての自覚を持つと同時に、この映画は子を持つ親の苦悩と葛藤をお父さんの初めての子育て目線で描いています。
そしてたどり着いた答えは無理に完璧にこなそうとしなくていい、「そこそこでいいんだよ」ということ。
あくまでくんちゃんは非日常な世界を体験することで、知らぬ間にちょっぴり成長をしてますが、実は子供は親の観てないところで成長してるってことを暗喩している映画だったのかと。
だから、お父さんもお母さんも安心して子育てをしてほしい、という監督の経験故の願いが込められた映画だったのではないでしょうか。
あれ、なんかおんなじことループして書いてる?いつものことかww
とりあえずですね、これまでの細田監督映画の面白さをイメージしてると、明らかに肩透かし食らう映画なんじゃないかと思います。
僕はハマれませんでしたが、いわゆるイクメンと呼ばれるお父さん方は観て損はないと思います。
というわけで以上!あざっした!!
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満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10