モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「夏目アラタの結婚」感想ネタバレあり解説 なんだ、ラブストーリーじゃねえか。

夏目アラタの結婚

刑務所の面会が印象的な映画、たくさんありますよね。

個人的には「羊たちの沈黙」とか、邦画で言えば「凶悪」、最近だと「死刑に至る病」とか「三度目の殺人」とかがあがりますが、どれも共通するのは「シリアルキラーに翻弄される面会人」てことでしょうか。

 

そのミステリーチックな展開が面白いので、僕もついついハマってしまうわけですが、今回観賞する映画はちょっと違う。

なんと死刑囚に結婚を申し込むというお話。

 

仰天ニュースとかアンビリバボーのようなTV番組で「獄中結婚」みたいなのを見かけますが、それだけ檻の向こうにいる人間に魅力を感じたり好きになったりする人っているんですね~。

俺は無理だけどw

 

いったい何故結婚を申し込むのかよくわかりませんが、何か事情があるのでしょう。

どんなミステリーサスペンスなのか、早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

医龍-Team Medical Dragon-」で大ヒットを飛ばした漫画家・乃木坂太郎による同名原作コミックを、「TRICK」、「ケイゾク」でムーブメントを巻き起こし、「20世紀少年」や「BECK/ベック」など、原作を忠実に再現することに定評のある堤幸彦監督の手によって実写映画化。

 

元ヤンキ―で児童施設職員の主人公が、とある事情により死刑囚との獄中結婚という危険な駆け引きから、被害者の首探しを探る姿を描いたサスペンス映画。

 

「原作ファンを裏切らないということと同時に、映画として作品として別の見え方をし、かつ漫画では得られなかったという、見ている方の心を揺り動かしたい」と語る監督。

一筋縄ではいかない印象を持った監督が、虚実入り乱れるような描写を本作で心掛けたとのこと。

混乱を起こし真実を炙り出すことで、観る者を見事に騙せる映像に期待だ。

 

キャストには、Netflix映画「浅草キッド」や「さかなのこ」の柳楽優弥、「十二人の死にたい子どもたち」、Netflix映画「パレード」の黒島結菜、「坂道のアポロン」、「碁盤斬り」の中川大志、映画初主演のものまね芸人・丸山礼、「男はつらいよ お帰り 寅さん」、「引っ越し大名」の立川志らく、「変な家」、「あんのこと」の佐藤二朗、「燃えよ剣」、「そして、バトンは渡された」の市村正親などが出演する。

 

3人の男をバラバラにして殺害した死刑囚 VS その死刑囚に初対面でプロポーズする児童相談所職員という、異常者同士の駆け引きから、一体どんな真実が浮かび上がるのか。

 

 

 

 

あらすじ

 

「品川ピエロ」の異名で知られ、日本中を震撼させた連続バラバラ殺人事件の犯人・品川真珠(黒島結菜)。

 

死刑囚として収監されている22歳の真珠のもとを訪れた、元ヤンキーで児童相談所の職員である夏目アラタ(柳楽優弥)は、突如“獄中結婚”を申し出る。

 

その目的は、真珠に好かれ、消えた遺体を探し出すことだった。

 

毎日1回20分の駆け引きに翻弄されるアラタは、やがて真珠のある言葉に耳を疑う。「ボク、誰も殺してないんだ。」(Fassion Pressより抜粋)

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キャラクター紹介

  • 夏目アラタ(柳楽優弥)・・・元ヤンキーで児童相談所に勤務する33歳。独身。好きなタイプは児童相談所の先輩の桃ちゃん。正義感が強く、子どもに頼まれたことをきっかけに死刑囚・品川真珠と面会することになるが、まさかの「結婚」を申し出て――!?
  • 品川真珠(黒島結菜)・・・弱冠20歳にして3人の社会的地位の高い男性をバラバラにして殺害した死刑囚。裁判では2年間もの間、黙秘を続けているが、アラタとの出会いをきっかけにある“告白”をする——
  • 宮前光一(中川大志)・・・事件の弁護を自ら申し出、二転三転する品川真珠の供述に翻弄されながらも、一途に彼女の無実を信じ疾走する弁護士。

 

  • 桃山香(丸山礼)・・・アラタが勤める児童相談所の先輩職員。通称・桃ちゃん。アラタの様子を心配しながらも自身も品川真珠と接することで翻弄され、次第に心酔していく――
  • 大高利郎(立川志らく)・・・アラタが勤める児童相談所の所長。
    ヤンキーだったアラタを当時から知っており、父親的存在。品川真珠と結婚するアラタを心配して、注視している。
  • 桜井健(福士誠治)・・・品川真珠の連続殺人事件を担当した検事。二転三転する真珠の言動に惑わされることなく、冷静に事件を追う。
  • 井出茂雄(今野浩喜)・・・アラタと品川真珠が面会する際に、そのやり取りを見張る刑務官。
  • 藤田信吾(佐藤二朗)・・・死刑囚の裁判傍聴が趣味で、死刑囚にまつわるアイテムを集める"死刑囚アイテムコレクター"。奇妙で怪しい男で、品川真珠の面会に訪れたアラタと拘置所のロビーで知り合う。
  • 神波昌治(市村正親)・・・品川真珠の控訴審の裁判長で彼女の言動を懐疑的に見ながら裁判を見守る。”演技力怪物”と真珠を表現し、裁判を通して冷静に真珠を分析、その本質を見抜こうとする。

(以上公式HPより)

 

 

 

 

 

 

 

果たして死刑囚は本当に人殺しなのか。僕もちゃんと翻弄されたいと思いますw

ここから観賞後の感想です!!

 

感想

気軽にみられるミステリー、というのもルックがTVサイズなので、映画を見てる気がしない。

とはいうものの、色々な駆け引きから炙り出される真実を丁寧に順を追って見せていくからストレスもない。

でも歯ごたえがない…。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

かわいそうな子、なんかじゃない。

裕福に暮らす男性3人をバラバラに殺害した若き女性、品川真珠、通称品川ピエロとひょんなことから獄中結婚することになった元ヤン児相職員のアラタが、つかみどころのない彼女と面会室で様々な駆け引きをしながら真相を辿っていくミステリー。

 

そもそもアラタは3人目の被害者の息子がやり取りしていた手紙の相手と偽って接触を図ったものの、真珠にまんまと見破られそうになったことがきっかけで、結婚を申し込むというもの。

 

最初は無効の無邪気ながら芯を食うような発言に翻弄されていくものの、ヤンキ―魂なのか洞察力が高いのか、そうは簡単に心奪われねえぞと気を張るアラタという構図で進行し、中々化けの皮が剥がれない真珠に手を焼くアラタが、それでも手がかりを掴もうと敢えて向こうの術中にハマって距離を縮めようと模索していくのが楽しい。

 

俺と結婚するからには、お前の過去の男を知る必要があるから教えろとか、もしかしたら子供作っておろしてないだろうな、とか、色々デリケートな所を「女関係乏しいキャラ」としてつっついていくあたりが、正直話を引き出すの下手くそ過ぎだろとも思ったが、向こうも20前後の若い小娘ということでこの辺りがちょうどいいのかもも思った。

 

しかしその手の話にはどうも激昂するタチなようで、それがアラタにとって手掛かりのヒントになっていくというのも都合のいい展開。

 

真珠も真珠でアラタと面会を重ねていくうちに、隠してあったバラバラ遺体の一部の在り処を教えたり、裁判でアラタがいるのを承知で「僕は殺してない」と語るあたりから、一気にミステリー的展開に。

 

最初の言い分では、看護師学校時代に出会った父に執拗に付きまとわれ、彼氏だった3人の男たちを父がバラバラにして殺し、その一部を埋めるよう強要されたと。

 

しかしながら、第2階の公判では検事側から、本当の父親ではないことをすっぱ抜かれ自体は急変。

事件は難航を極めていくことに。

 

こうしてアラタはまんまと術中にハマり、彼女の真相を確かめるべく彼女の脚となりながら、独自の推理を始めていくというのが流れ。

 

要するに、真珠の言ってることは本当なのか、それとも利用されてるだけなのかをアラタ視点で描いていくのが本作の見方になっていくわけです。

 

 

真相を探っていくと、真珠自身親から虐待を受けており、歯医者にも連れて行ってもらえず、ご飯もツナ缶だけ。

学校でもいじめられていたなど、不運な人生を歩んでいたことが判明するんですが、この相手を児相職員という設定にしたのもなるほどと思えた。

 

終盤でアラタは児相をやめることにしたのだが、それもこれも虐待を受けた子供たちをどこかで「かわいそうな子」として見ており、それを救うことで自分が気持ちよくなりたいだけだったのかもしれないという思いが芽生えたとのこと。

 

そういうヒーロー精神というか、純粋に救いたい思いを持ってるからこそそういう仕事は続けられると思うけど、それで自分が気持ちよくなってはおしまいだ。

まして真珠も、人間同士として向き合いたいのに、いざ全てを語ったら犬や猫を憐れむような眼で見ているアラタを見て激昂しており、人を救う時の立ち振る舞いというか視線というか、そういうのって難しいなとも思えた作品だったのではと。

 

オチから語るとラブストーリーじゃんと。

本作の結末は、本当に二人は結婚する…?みたいな終わり方。

涙で濡れた離婚届をアラタは破り捨て、翌日神社で待っていると告げ、紋付き袴で待ち構えるアラタ。

しかし真珠は獄中の庭で空を浮かべ息を吸う。

 

彼女は手にハンドタオルを持っていた。

実は真珠がまだ幼い頃、雨に濡れながら裸足で玄関の前に座っているところを通りかかったヤンキ―時代のアラタが渡してくれたものだった。

 

彼女はそれをずっと大事に持っていたのだった。

彼女の嗅覚がどれだけ鋭いかはわからないが、要はアラタが結婚を申し込みに面会室へやってきた時から、彼女はアラタと再会できたことに大いに喜び、しかも結婚まで申し込んでくれたことが、心底嬉しかったに違いない。

 

だからこそ、犬や猫を憐れむような眼で見る行為などではなく、ちゃんと「人殺し」(かわいそうな子ではなくちゃんと人間として)接するアラタをさらに好きになっていったのだろう。

 

手の臭いをかぎ分け、3人目に殺した男の息子の手紙と臭いを識別し、差し入れで送ってくれたスポーツブラからアラタの臭いを再び嗅ぎ分け、そして海辺で二人方を並べて座った時にもしっかりアラタの臭いを感じて、確信していく。

 

それはまだアラタにはわからないことだが、彼女の最後の笑みをどうとらえるかは見たモノの判断になるわけで、一応個人的にはハッピーエンド?という位置づけにはなったかな。

 

あとは雑感

逮捕された時はピエロの名の如く、ふっくらしたい体型だった真珠が、2年の刑期を終えてあんなにガリガリになるもんだろうか。

歯並びは確かに酷いが、ルックスに関してはアラタが度肝抜いたように美人になってるたわけで、もしかしたらマスコミ関係者が「実は美人」とかすっぱ抜いて、佐藤二朗みたいな輩が求愛してもおかしくねえなと。

 

本人がシャットアウトしてたからそういう輩は寄り付かなかったかもしれないけど、それくらい変貌を遂げてるわけで、そんなに変わるもんかなぁとも。

 

あとはまぁ、結果的には理由はあれど真珠が4人を殺したことに間違いはなく、それをよくアラタは受け入れて改めて結婚を申し込もうと思えてなぁと。

いくらなんでも人殺しとは結婚したくないですよ。

自分の身も危険だってことを認識してないですよね~愛は盲目ってか。

 

映画的には、どれもこれも顔のアップでカメラ目線という構図ばかりが目立つ。

特に面会室ではガラスを挟んで対象人物をシンメトリーで撮るよりも、カメラ目線で切り替えて撮るパターンが多く、黒島結菜の奇行をクローズアップで見せることでより気味の悪さが目立つ一方で、柳楽優弥にはクサいセリフばかり言わせるというギャップは、今考えると笑えるなぁと。

 

正直それ以外でのカメラアングルやカメラワークには映画たらしめるものが一切なく、日テレ製作ということもあって、TVサイズなシーンばかりが目立って、どうも映像としての面白みがなく、歯ごたえもなかった印象。

 

お話の流れ的にも、柳楽優弥のナレーションは非常に耳に心地がよく、話もスムーズに入ってくるからすごくいいのだけど、それに頼ってばかりで演者が今どんな気持ちで佇んでいるのかや、何を考えているのか、リアクションなども含めて、全部説明がついてしまってるようなナレーションになっているため、面白みがない。

 

その分真珠自身の考えがなにも明かされないまま進行するので、片やわかりやすい、片やミステリアスという意味での対比は成立していたのかもしれない。

 

というか、こっちはミステリーだろうと思って見に行ったのに、真珠がアラタをおhン労せずに、一方的にヒントを与えて導き、結果的に裁判で真相を全部自らが語ってしまうので、誰かが暴くという意味ではミステリーにもなってないし、謎解きとしてもどこかしっくりこず、そういう意味でも歯ごたえのない話だったなぁと。

 

それこそこれラブストーリーへ持っていくような仕掛けをしたかったラストと仮定するのであれば、最後のやり直し裁判で真珠が真相を自白するのではなく、証人として夫アラタが証言台に立ち、これまですべてのバラバラ遺体の一部を見つけてきて、しかも母親の第一子の遺体まで見つけたのだから、彼がパズルを全て揃えて真相を明かす、そして真珠は自分のためにここまで調べて真相を突き止めてくれたアラタへの態度に再び惚れ直して涙、みたいな展開にした方が、ミステリーとしても謎解きとしてもラブストーリーとしてもスッキリするんじゃないかなぁと。

 

それだと思いっきり古畑任三郎みたいな展開だし、アラタ自身探偵でもないから変と言えば変なんだけど、これくらいだと俺もしっくりくるなぁと思ってさ。

 

 

最後に

正直可もなく不可もない、刺激がもっとあるようなサイコパス系のミステリーだったら面白かったんだろうけど、まさかのラブストーリーにしてくるのが良いとも思えるし、思ってたんと違うとも思えた作品でしたね。

 

正直堤幸彦、やる気ないなって思ってしまったのも事実。

あくまで原作を忠実に再現しつつ、観客を裏切るような展開も入れたいって言ってたので、ある意味それは成功かもしれないけど、そこまでの過程が順序よく進行してるもんだから、ホントまんまやってしまってるのかもしれない、あ、俺原作未読です。

 

決して黒島結菜のせいではないんだけど、真珠というキャラがもっとかき回すような物語にしないと、興味がわいてこない映画だったかなと。

それこそジョーカーくらいの影響力が画面から放たれてないので、普通に純粋無垢でちょっとイタイ系の女の子にしか見えないんだよな。

 

からくりに関しては、なんかの映画でもあったなぁそんなの程度。

そりゃ母ちゃんもバレないように太らせたり歯医者行かせなかったりするわけだわ。

そんな母ちゃんが苦しくなってる姿を見て、同じように苦しむ人を楽にさせてあげたいという看護師を経験した彼女ならではの救い方。

 

とにかくラブストーリーという意味では、へえ~くらいでミステリーサスペンスとしては及第点といったところでしょうか。

やる気出せ堤幸彦。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10