アナイアレイションー全滅領域ー
ナタリー・ポートマン主演映画がNetflixで配信ですよ!!
とはいうものの、元からネットフリックスでの配信ではなく、パラマウント製作だった作品だったそう。
上層部と製作側の折り合いがつかず結果ネットフリックスに売却した流れで世界配信される運びなった様子。
アメリカではきちんと劇場公開し初登場4位を記録。
ここ数年パラマウント映画は作品自体にあまり魅力がない上に、シリーズものも「トランスフォーマー」と「ミッション・インポッシブル」くらい。
日本では東宝東和と合体しちゃいましたからね、配給が。
そんな会社の事情はとりあえずこれくらいにして、早速自宅で観賞いたしました!
作品情報
SF作家ジェフ・ヴァンダミアの小説「全滅領域」を、かつてダニー・ボイル監督作品に脚本を提供し、後に「エクス・マキナ」で監督デビューし、その世界観と緻密な設定を駆使した脚本で、世界をあっといわせた監督によって映画化。
謎の領域に踏み込み、重体となって帰還した夫を助けるため、チームに志願した妻とチームの女性達が、調査隊員として未知の領域に踏み込むSFスリラーです。
あらすじ
アメリカの海岸地帯で拡大を続ける謎の領域"エリアX"。
数多の調査員が突入しては音信普通が続き、誰一人帰還したものはいなかった。
そんなある日、エリアXから生物学者であるレナ(ナタリー・ポートマン)の夫ケーン(オスカー・アイザック)だけが生還する。
しかし、彼は瀕死の重症を負っており、エリアXのなかで一体何が起きているか聞きだすことができなかった。
レナは夫のみに何が起きたのか真相を探るため、そして彼の命を助けるために調査隊員に志願。
心理学、人類学、測量技師、言語学者の女性エキスパート達と共に、エリアXの奥地へと足を踏み入れるレナ。
そこは生態系が突然変異を遂げた生物が群がる、想像を絶する景色であった・・・。
監督
今作を手がけたのは、アレックス・ガーランド。
ダニー・ボイル監督の初期の作品から原作や脚本として参加。
アリシア・ヴィキャンデルを主演に迎え、開発中である美しい女性アンドロイドのテストを手伝うことになった若者に、思いも寄らない事態が起きてしまうSFサスペンス「エクス・マキナ」で監督デビューし、見事アカデミー賞視覚効果賞を受賞しました。
今作で2作目になるわけですが、やりたいジャンルはスリリングSFなんですね。
これまでも「28日後・・・」や「サンシャイン2057」でその才能を発揮してきた方だけに今回も非常に楽しみです。
彼に関してはこちらもどうぞ。
キャスト
生物学者であり、こん睡状態の夫のためにエリアXに向かうレナを演じるのは、ナタリー・ポートマン。
日本ではディオールのCMでシーアの曲に乗せ、「Proof it!!!」と叫び、だだっこなのに麗しの表情と視線を向けるもんだからそりゃあ許しちゃうよね~っ気にさせるナタリー。
そんな彼女、サタデーナイトライブにゲスト出演した際、自身のパブリックイメージを覆す、かなり過激なラップを披露したのが話題となりましたね。
そこで「スター・ウォーズ」にも言及し、プリクエルにケチつけるんか!とブチギレラップで場を沸かせました。
一応お母さんになったので、ほどほどにやってくれれば幸いですw
彼女に関してはこちらをどうぞ。
他のキャストはこんな感じ。
エリアXに向かう心理学者ヴェントレス博士役に、「ミセス・パーカー/ジャズエイジの華」、「ヘイトフル・エイト」のジェニファー・ジェイソン・リー。
同じく調査隊員で人類学者アニャ・ソレンセン役に「マイ・ファミリー・ウェディング」、「バーニング・オーシャン」のジーナ・ロドリゲス。
測量技師ジョシー・ラデク役に、「クリード/チャンプを継ぐ男」、「マイティ・ソー/バトルロイヤル」のテッサ・トンプソン。
言語学者キャス・シェパード役に、ツヴァ・ノヴォトニー。
レナの夫、ケイン役に、「エクス・マキナ」、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」のオスカー・アイザック。
医学生ケイティ役に、同じく「エクス・マキナ」、「ラ・ラ・ランド」のソノヤ・ミズノ。
ロマックス役に、「ドクター・ストレンジ」、「オデッセイ」、「プロメテウス」のベネディクト・ウォンなどが出演します。
エリアXとは一体なんなのか。
そこで反映してしまった生物とは一体どんなものなのか。
女性5人がツナギ着てるのを観ちゃうとゴーストバスターズを連想してしまうんですが、コメディではないでしょうし、クリーチャーもあんなものではないでしょう。
ここから観賞後の感想です!!!
感想
これは神様のミスなのか?
科学的SF、サバイバル、サスペンス、スリラー、そして夫婦の愛。
あらゆるジャンルをうまく取り込んだ非常に難解な作品でありました!!!
以下、核心に触れずネタバレします。
ざっくりあらすじ。
物語は、唯一生還した主人公レナが隔離された場所で尋問を受けながら、エリアXでの出来事、そして夫の生還と以前の生活にフォーカスをあて話が進んでいく。
夫がある秘密任務に出発してから音信不通のまま1年。
7年軍人として活動したのち生物学教授として働いているレナは、連絡のない夫を待ちながら辛い日々を送っていた。
自分の前からただ消えただけなのか、それとも死んでしまったのか。
自分だけ幸せな日常を送ることができないレナは、同僚のホームパーティーの誘いも断って一人寝室の壁の色を変えていた。
すると突然夫が帰宅。
嬉しさのあまり抱きしめ、いったい音信不通のまま何があったのか質問攻めをする。
しかし、夫はわからないというばかり。
挙句の果てには君に見覚えがあると意味深な発言をしたまま吐血。
意識不明の重体に陥る。
救急車で移送中、警察車両に囲まれレナと重傷状態の夫ケインは連行されてしまう。
とある施設。
ふと目が覚めるとそこには心理学者のヴェントレスが待ち構えていた。
ケインの事をいろいろ聞かれるも何も知らないレナは、彼女にここはどこで夫は何の任務につき、どうしてこうなってしまったのかを聞き始める。
3年前ブラックウォーター国立公園の灯台に突如飛来した光により、辺り一帯が謎の超自然現象へとなってしまった。
いくつもの調査隊が調査に向かうも誰一人生還した者はおらず、困難を極めていた。
近隣住民には化学汚染と偽り避難させているが、徐々に範囲は広がるばかり。
機密扱いしているものの、このままではそれも難しい状態となっている。
昏睡状態の夫のそばにいたところで状況は何も変わらないと判断したレナは、調査隊に志願。
人類学者のアニャ、測量技師のラデック、言語学者のシェパード、そしてヴェントレスの5人でエリアXに向かう。
到着してから4日。
昨日のことを何も覚えていない。
通信も不可能でコンパスもきちんとした方向を指し示さない。
一行はサバイバルな状況へと突入していく。
原始的なやり方で灯台への方向へと向かう一行は、途中色とりどりの花を見て立ち止まるが、生物学者のレナはその花の異変に気付く。
なんとすべて違う花なのに、蕪は一つのものから咲いていたのだ。
何かの突然変異なのかそれとも進化なのか。
困惑したまま先へ進み移動手段を見つける一行。
川を下るボートを見つけ進もうとした途端、小屋の中からラデックが何かに襲われてしまう。
巨大なワニのような動物が襲ってきたのだ。
なんとかラデックを救出し、再び襲いかかってくるワニをレナが何とか仕留める。
死骸の口を開けてみるとワニの歯とは思えない同心円状になっていることに気付く。
何者かによって交配されたのか、でもそれは不可能である。
いったいこの地帯に何が起きているのか。
一行は前に訪れた調査隊がアジトにしていた廃墟に到着。
彼らが残した配置図や銃、名前にバツ印のついた張り紙を見て、さらに不安を募らせていく。
全滅した前調査隊はここで何があったのか。
するとヴェントレスがビデオテープを見つける。
「次の調査隊へ」と書かれたテープを見ると、そこにはケインが映っていた。
ケインは隊員の腹を引き裂きそれをビデオに収めていたのだ。
腹を斬られた隊員の内臓は一見腸に見えるが、何か大きな蛇のようなモノが動いていた。
驚愕した一行は、さらに大きな不安を募らせる。
元中毒患者だったアニャは、少しづつ精神に異常をきたしていく。
きっと前の調査隊は2パターンによって全滅した、一つは何かに殺されて、そしてもうひとつは狂って殺し合った、と。
そして拠点場所の地下に人間と木が同化した様な謎の植物。
緊張感が増していく調査に精神を追い込まれていく一行。
このままでは危険だが、その先に何があるのかという興味が湧くレナ。
そして危機は訪れるのであった・・・。
果たしてレナは灯台で何をみたのか。
夫ケインに何があったのか。
そしてこの地帯で何が起きているのか。
マクロな感想。
監督の前作「エクス・マキナ」は、ものすごく期待していたものの、腑に落ちない部分が多々あったり、きわめて難解に感じてしまい自分の中で租借できず楽しめなかったのですが、今作は地帯で起きる恐怖やサバイバル要素などの部分で楽しめたので概ね面白く感じました。
シャボン玉のような色彩が美しくもあり不気味にも感じる森が、この後何が起こるかわからない緊張感を漂わせており、サメの歯をしたワニ、桜のような花を角に咲かせた鹿だかヤギだかわからない動物、人と同化した木、人の形のように蔓を伸ばし咲いた花々など、不思議な植物や動物がそこいらじゅうに現れる森に、どんどん食い入るように見てしまいます。
中でもシェパードが襲われたクマは、シェパードの最後の言葉を鳴き声にするというとんでもなく恐ろしい生き物へとなっていて、精神が崩壊し自暴自棄になっていたアニャを食い殺す描写は恐ろしかったですね。
森の中ではそこまで特化したCGなどがなくどこか現実的に見えます。
また、ひとつひとつのクリーチャーだったり、変異した植物や動物の登場でSFチックに仕上げてましたし、森の奥へ進むたびに迫ってくる危険な状況が緊張感を増幅させており、サバイバル要素など含めてよくできているなと感心しました。
レナとケインの夫婦生活も、つかの間の休息とも取れるシーン。
ケインの任務前の落ち着きのなさや、夫婦間にある見えない不安も描いており、ケインがなぜ秘密任務に就くのか、彼といる時の幸せな表情の裏に潜むレナの感情などの人間描写も物語の核心に迫っていくシーンなので気を抜くこともできません。
そしてクライマックスは恐らくこの製作の予算の多くを占めるくらいCGをフル活用した映像。
タンカーが事故を起こして脂が海に混じったかのような虹色の光を放つ海岸。
クリスタルがそこら中に生えている砂浜。
灯台の中にはうねうねとした白く太い線が生え真ん中に空いた穴。
さらに奥に入ると、暗い洞の中で最終段階に入ったという謎の言葉を発し光を放ったヴェントレスから飛び散った、星のように鮮やかな光を放つ細胞が大きくなり、やがて謎の物体へと進化していく様は神々しくもあり怪しくもあり、その後起きる現象へと一気に加速させる美しい映像でもありました。
ミクロな考察。
では、一体この物語が何を意図した話なのかおバカな頭絞って考えてみました。
レナは生物学者ということで、細胞というものがどういうものかを説明するシーンが冒頭で語られています。
全ての生物は40億年前に生まれた細胞が分裂して存在する、だから我々は古来一つの細胞から生まれたと説明しています。
そして灯台に飛来した光の一帯は、光を反射することで細胞と細胞を組み合わせ、新たな植物や動物へと変異を遂げていました。
一つの株から咲いたいくつもの花も、人の形をした蔓、ワニもクマも草や花が体内から咲き始めたラデックも、交配ではなく品種改良でもない。
光の反射によってあらゆる細胞が組み合わさって変異を遂げていたのです。
よってこの物語は細胞をテーマにした物語といえるでしょう。
また、飛来した光は宇宙からの侵略という風にも捉えられることができ、「君に見覚えがある」と謎めいた発言をし意識不明となったケインは、果たして本当のケインなのか、違うならばそれは宇宙人なのかというSF的な部分も孕んだ内容。
また、細胞は分裂に限界があるようで、これを回避できれば人間は不死になれるというセリフがあります。
だから人間は老いていき死んでいくのだと。
昼間に浮かぶ月は神様のミスだと語るレナと、神さまは過ちなどしないと語るケインのやり取り、さらにはこの危険な任務に志願した者たちが自己破壊という細胞から生まれる衝動によって突き動かされているなどといった会話からか考えるに、
この飛来した光は神さまからの贈り物であり、人間の細胞分裂の限界を超えるさらなる進化とも考えられます。
細胞というひとつのものから宗教や他の生命体の侵略へと飛躍することにより、我々人類は一度全滅し、神によって再び生まれ変わる、というようなことを物語っているのではないかと。
神さまは今の人類を作ったことを過ちだと確信した。
だからそれを帳消しして完璧な人間を作るためのものだったと。
ん?人類補完計画みたいなこと?
あ~自分でも何言ってるかワカンネw
要はこのままでは人類は滅びていく。
そこへ一筋の光が差したことで、今ある既存の生命体は全滅はするんだけど、新たな生命体として生まれ変わるということなのかなと。
そしてもう一つは「ガン」です。
普通細胞はカラダや周囲に応じて増えることもあれば、増えるのをやめることをするそうです。
傷口をふさぐのがこれにあたります。
ただしがん細胞は無視して一向に増え続けるんだそうです。
我々の遺伝子が光を浴びることで、今まで入ることのなかった遺伝子が組み込まれ体内で増えていくと、人間は今の状態ではなくなり変異してしまう。
これらを考えると、外部からの侵略によって、ガンが進行していき、蝕んでいき、やがて全滅してしまうと。
実際終盤でヴェントレスが、「灯台に何があるか知りたいと思ってたけど、それは私の中にある、全てを飲み込むその一部となる、全滅よ」と言っており、彼女はガンだったことも劇中で触れていることを考えると、そうなのかなと。
前者はどちらかといえばハッピーエンド的な考察になるんでしょうか。
もちろんガンて考えるとバットエンドになるのかな。
アナイレイション=全滅という意味を、今の人類を一度消して、新しく構築していく意味なのか、それともそのまんまの意味で全滅するのか。
他にもいろんな見方ができそうですが、自分はこのどちらかにたどり着きました。
最後に
ただでさえおバカなのに考察なんてするもんだから読み返しても何言ってるかわからない感想になってますが、どうかこれを読んだ方は頑張って咀嚼してくださいw
とにかく普通に見ても面白くできてるし、隅まで見てみるととても奥深い内容だったと思います。
原作は3部作だそうなんで、もしかしたらこんな考察とは全く違うディストピアな展開になってくるかもしれませんが、単純に映画で堪能したい僕としてはこんな感想です。
とりあえず俺のオスカーアイザックと夫婦でありながら不安をかき消せなくて情事に走ってしまうナタリーてめぇ!!ってなるんですけど、俺のナタリーでもあるから許してしまう妙な気持ちってのもありました。なんだそれw
最後のアレさ、全身タイツ感すごくない?
でも全身タイツなのにちょっと色加えただけでめっちゃSFチックになるの何なんw
で、なんで最後だけアイツ同じ動きしないんだよw
クライマックスはすごくお金かかってるし、衝撃度もすごいです!オーマイガっ!です。
レナとケインの瞳にご注目を。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10