モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「NOPE/ノープ」感想ネタバレあり解説 僕も最悪の奇跡を体験してしまった。

NOPE ノープ

ジョーダン・ピール監督が空から飛来する「あれ」を使って、またもや面白そうな映画を作ってくれました。

 

無理という意味のタイトルである「NOPE」。

一体何が無理なんでしょうか。

 

毎回黒人差別や格差問題などを根底にスリラー映画を手掛けてきた監督。

映画ファンとしては考察や解釈のし甲斐がある作品ですし、彼の作品を通じて今アメリカがスルーしている問題に目を向けることができ、アメリカ映画好きとしては堪らないんですよね。

 

でもたまには、そういう部分を忘れて楽しみたい側面が僕にはあって、そろそろ色々調べなくてもいいくらい単純な娯楽映画、それこそコメディ出身なんですから普通のコメディ映画を作ってみては?と思うんですけどw

 

今回「アレ」は何を指すんでしょうかね~。

搾取する者と搾取される者のメタファーになってるのかなぁ?

予算もいっぱいもらえたみたいで、かなりの映像になってる事でしょう。

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

スリラー映画に「人種差別」という社会性を結び付け、数々の賞を受賞しているジョーダン・ピール監督が新たに挑むのは「空に浮かぶ妖しき物体」??

 

ロサンゼルス近郊にある牧場を舞台に、父から牧場を譲り受けた兄妹が、父の死の原因と思しき飛行物体の真相に迫る姿を、過去作以上にスリリングに描く。

 

監督のもとに集められたのは、監督の出世作「ゲット・アウト」での熱演が記憶に新しいダニエル・カルーヤや、「ハスラーズ」、「バズ・ライトイヤー」など着実にキャリアアップしているキキ・パーマー、そして「ミナリ」でアジア系初のアカデミー賞主演男優賞にノミネートしたスティーヴン・ユァンなどが名を連ねる。

 

また広大な風景に浮かぶ妖しき飛行物体をより奥行きのある映像に収めるため、「TENET テネット」や「ダンケルク」などクリストファー・ノーラン監督御用達の撮影監督ホイデ・ヴァン・ホイデマを起用。

雄大さと不気味さを最大限に引き立てる。

 

作品を生み出すたびに、現代の黒人らが抱える問題を浮き彫りにするジョーダン・ピールが、本作で一体何を突き付けるのか。

映画史上かつてない「最悪の奇跡」とは?

 

ゲット・アウト(字幕版)

ゲット・アウト(字幕版)

  • ダニエル・カルーヤ
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あらすじ

 

南カリフォルニア、ロサンゼルス近郊にある牧場。

亡き父から、この牧場を受け継いだOJ(ダニエル・カルーヤ)は、半年前の父の事故死をいまだに信じられずにいた。

形式上は、飛行機の部品の落下による衝突死とされている。

しかし、そんな“最悪の奇跡”が起こり得るのだろうか? 

 

何より、OJはこの事故の際に一瞬目にした飛行物体を忘れられずにいた。

牧場の共同経営者である妹エメラルド(キキ・パーマー)はこの飛行物体を撮影して、“バズり動画”を世に放つことを思いつく。

 

やがて起こる怪奇現象の連続。

それらは真の“最悪の奇跡”の到来の序章に過ぎなかった……。(HPより抜粋)

youtu.be

 

 

 

監督

本作を手掛けるのは、ジョーダン・ピール。

 

未だ根付いている人種差別を根底に、搾取しようと企む白人からの脱却を図る姿を、ユーモアを交えながらスリリングに描いた「ゲット・アウト」では、アカデミー賞脚本賞を受賞。

次なる作品では、人種差別に格差社会を加えたテーマを軸に、黒人一家が同じ姿の自分たちに翻弄される姿を描いた「アス」で前作以上のヒットを飛ばすなど、新たなブラックムービーを牽引するお方です。

 

コメディアン出身でありながら、社会問題をしっかり紐づけながらエンタメ作品に仕上げる脚本力は。批評家や映画ファンをもうならせるほど。

彼が脚本を手掛けた「キャンディマン」でも、そうした問題提起をしながら優れたホラー映画として作り上げていました。

 

他にも、かつてスピルバーグやジョージ・ミラーらが映画化した「トワイライト・ゾーン」の製作総指揮とホストを担当。

不思議な世界に迷い込んでしまう登場人物たちの悪夢的体験を描くこの物語は、ピール曰く、新たな社会問題から生まれた恐怖と向き合う必要性を説いたとのこと。

 

現実と幻想の境界線を舞台にしていますが、もしかしたら本作を作るうえでのヒントとなったのかもしれませんね。

 

アス (字幕版)

アス (字幕版)

  • ルピタ・ニョンゴ
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キャスト

本作の主人公OJを演じるのは、ダニエル・カルーヤ。

 

監督の出世作「ゲット・アウト」で主演を務め、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされて以降、様々な作品で存在感を発揮するお方。

他にも「ブラックパンサー」や「ユダ&ブラック・メシア」などにも出演。

黒人映画には欠かせない存在です。

 

本作の主人公OJは寡黙な男として設定されており、今回演じるにあたりセリフで語るのではなく表情で伝えることを意識して臨んだとのこと。

「ゲット・アウト」とは違う演技に注目ですね。

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

妹エメラルド役に、「ハスラーズ」、「バズ・ライトイヤー」のキキ・パーマー。

テーマパークの支配人リッキー・”ジュープ”・パーク役に、「ミナリ」、「バーニング劇場版」のスティーヴン・ユァン。

兄妹をサポートする技術セールスマン、エンジェル役に、Netflixドラマ「The OA」のブランドン・ペレア

著名な撮影監督、ホルスト役に、「エイリアン4」、「ヒッチコック」のマイケル・ウィンコット

OJたちの父、オーティス役に、「アルマゲドン」、「21ブリッジ」のキース・デイヴィッドなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲットアウトとも、アスとも違う気配の映画。

監督は我々にどんな問題提起をするんでしょうか。

ここから観賞後の感想です!!

 

感想

「見世物」の復讐とも言うべき作品。

ホイデマの撮影力のおかげで見れたものの、ピール作品の割には衝撃度が少ない・・・。

てか、何が面白いのか全然理解できない・・・。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

考察とかしませんよ。

ハリウッドで唯一黒人が運営する牧場で切り盛りする2人の兄妹が、謎の未確認物体相手に一発お見舞いしようと奔走する姿を、ホイデ・ヴァン・ホイデマの撮影能力によって月明かり眩しい夜の大自然や、空に浮かぶ謎の物体に駆けずり回る当事者たちを臨場感たっぷりに見せる技術に感服したものの、「観たことのない楽しさ」に比重を置きすぎてしまい、これまでのピール作品の中では一番パッとしない作品でございました。

 

これまでのピール作品は、考察しがいのある魅力と、スリラーとしての魅力の両方が備わった、娯楽性と批評性のレベルが高い作品だったわけですが、今回ばかりは正直そうでもない感じがした作品でした。

 

そもそも彼の作品て決して「今回はこういうテーマです」ってのを劇中で説明せず、こちら側で色々察して楽しんでねっていうスタンスが多く、それが彼の作品を作る上での美学というかポリシーというか、どこか我々を試してる節がある人ってイメージなんですよ。

もちろん監督が何を意図してるのかを読み取るのを、時には作業的になってしまいがちだけど、そうならないように時にスリリングに、ジャンプスケアなんかも挟みつつ、サプライズとユーモアを混ぜた映画になってるんですよね。

 

実際本作の中でも、TV番組に出演したチンパンジーが人間に危害を加えたり、それを間近で見ていた元子役の男が大人になった今でも「アレ」を見世物にして人々を楽しませている光景、主人公であるOJも父親もハリウッド映画に自分の馬を出演させるような、動物たちを「見世物」にして銭を稼いでる姿が描かれてるわけです。

 

そして「アレ」を動画で撮影してネットなりTVに売りつけることでアメリカンドリームを掴もうと躍起になる姿から、人間以外の動物を使ってのショービジネスに対する警鐘を鳴らしてる節がある作品だったと思うんです。

 

実際「見世物」で金を稼ごうとする興行師の姿を描いた映画って探せばいくつかあるわけで、それこそ「グレイテスト・ショーマン」や、僕の好きなロバート・アルトマンの佳作でもある「ビッグ・アメリカン」なんかは人間を見世物として成り上がろうとする興行師の姿を描いており、本作で扱われる動物や「アレ」よりも「見世物」に対する尊厳みたいなものをストレートに描いた作品だったと思うんですよ。

 

要は問題視させたい部分をシニカルにしたり、もっとストレートに皮肉った描写を入れることで社会性を孕んだ映画にできたと思うんですけど、今回はそこが非常に弱いんですよね。

実際ゲット・アウトもus/アスも、そういった部分を娯楽映画としてうまく取り入れていたから面白かったと思うんですが、どうもうまくいってないように思えてなりませんでした。

 

 

一応分類的にはホラー映画の要素を含んだ作品だったと思うんですが、まずそこまで怖くない。

 

ゲットアウトの時のように固定カメラで少しづつズームアップしていくある種の「いやらしさ」が本作でも存分に発揮されていましたが、なぜか過去作のような緊張感が失われていたように感じます。

タイミングの問題なのか、ここで「ドン!」とジャンプスケアなり突拍子もない画を挟めばそれなりの怖さを演出できたのに、それがうまくいってないように感じました。

 

こういうタイミングって一歩間違えばだらけてしまう要因になると思うんですけど、今回見事に緊張の糸が途切れてばかり。

というか、そういう演出を使い過ぎな面が見えました。

僕が一番怖かったのは、小屋の電気が勝手に点灯したので消しに行くOJが、何やら怪しい人影を確認し、携帯で動画を撮影するシーン。

ギリギリ肉眼で確認できない絶妙な距離で人影を捕らえているため、マジで何者かわからない怖さを、従来のいやらしい間でヒヤヒヤさせるあのシーンは、非常に良かったと思います。

しかもOJのすぐ右側から現れたために、とりあえずワンパンかます所作は一定のユーモアを秘めつつも驚きを隠せないシーンだったと思います。

 

正直ここ以外は、予定調和な部分での脅かせ方ばかり。

あのいやらしい間で溜めて正体を見せる一連の演出は、何度も繰り返しやってしまってはただ飽きるだけです。

それこそどこかで緩急をつけるための間を見せれば、見てるこちら側に緊張感を持続させられたのに、何度もやってしまうから結局「間延び」してるだけに思えてしまう。

 

また今回、空に浮かぶ謎の物体が当初は「UFO」なのではないかという仮説にひょって兄妹が行動をするわけですが、真相を追ってみると結局「UFO」だと思っていた物体は、物体そのものが生物だったことが明かされます。

 

劇中では「昔は未確認飛行物体って呼んでたけど、最近じゃ未確認物体って呼ぶそうだよ」なんてセリフがありましたが、いつの間にか見世物も時代によって呼び名が変化しているという意味合いもあれば、実際飛行物体ではなく物体そのものだったという伏線にもなるセリフです。

 

要は○○だと思っていたのが実は○○だったというパターンですが、これもそこまでのサプライズ感はありません。

これが例えば「あの雲、なんかおかしい」と思ったら実は全然違った、みたいならまだ驚くし、謎に興味を示す指標になるんですが、序盤の段階でUFOらしき形状が見えてしまってるので、結局そういうことかよ!ってなっちゃうんですよね。

 

一応本作は、M・ナイト・シャマラン監督の「サイン」にオマージュを捧げてるそうで、正体を最後まで引っ張るような展開が施されていました。

しかしながら、最後まで引っ張るようなドキドキ感は上でも書いたような理由で薄れてしまってるんでんすよね。

やっぱり謎を究明するような作品は、クライマックスまで明かさないような仕掛けと、興味を持続させる展開は必須だなと、本作を見て改めて感じました。

 

まだまだ続くよ不満の感想

とか言いつつ、褒めポイントは語っておこうかと思います。

 

今回父の死によって心をひそめてしまったOJと、常に陽気でファンキーな妹エメラルドとのキャラの対比が面白く描かれていましたね。

空から降ってきた5セント硬貨が頭部に直撃したことで亡くなってしまった父を見送ったOJは、半年後父の仕事を引き継いでいました。

自分の牧場で育てていた馬ラッキーを引き連れ、映画のスタジオで調教師として仕事をしている姿を映していましたが、どこか覇気がなく、不愛想で人と絡みたくないような態度を見せていたのが印象的です。

 

それに対し遅れて登場したエメラルドが、完璧なまでに人たらしな態度で馬に対する注意事項を、自身の家系図を含めた自己紹介と共に語る姿は、兄OJと全く違うキャラクターとして印象付けたシーンでした。

 

全く違う性格の2人で、時に意見が食い違う場面があったりするけど、互いが互いを思いあっている心境が多々窺える表情や言葉が散らばってるんですよね。

それこそお父さんからもらえるはずだった馬Gジャンが結局売り飛ばされてしまったというエピソードを話した際、二階から調教している父と兄を見ていたエメラルドは、全く目を合わせない父に対し、兄はハンドサインをしながら「ちゃんとみてるよ」と合図を送ることで、兄妹の絆を示した過去話をしていました。

 

このハンドサインも伏線になってる巧さもありましたし、そんな自分を思ってくれる兄だからこそ、終盤自分を犠牲にしようとした兄を失いたくない一心で行動する妹の姿という展開が用意されており、「見世物」に対する問題提起を含んだ作品以上に、兄妹の絆を描いたヒューマンドラマ要素も秘めていた作品だったと思います。

 

 

一方西部劇風のテーマパークの支配人であるジュープですが、彼にはあるトラウマが潜んでましたね。

子役時代にチンパンジーと共演したTV番組での悲劇を目の前で見ていたことがずっと心に引っかかっており、大人になった今でも恐怖体験でありながら誇りに思っている節がありました。

 

だからこそ「アレ」を「見世物」にしたい欲求があったのだと思いますが、実際「星との遭遇体験」お披露目の際に登場した時に、ただ見上げるのではなく、当時の血まみれになったチンパンジーの姿をフラッシュバックさせて恐怖に駆られるような姿の方が自然なのでは?と感じました。

 

このチンパンジーの悲劇の映像は冒頭でセリフのみ、そして劇中で2度も映すほど重要なシーンだったわけですが、ぶっちゃけ冒頭のセリフの実の部分は蛇足だったなぁと。

話はそれましたが、ジュープの回想として描いたシーンだったんですが、回想が終わるとちょっとノスタルジックな表情をしてるんですよね。

あの時は怖かったけど今となっては良い思い出だなぁみたいな。

だからこそ、「見世物」の復讐として「アレ」が登場して飲み込まれる時に脅えてほしかったんですよね。

「見世物」に憑りつかれて興行師になったのだから、今回のテーマであろう「見世物」に対する問題提起と、このままではこうなってしまうよという恐怖を、ジュープを通じて演出してほしかったですね。

 

あとはエンジェルとホルストは、役柄を一緒にしても良かったかなと。

どっちも中途半端なんですよねキャラクター的に。

エンジェルは監視カメラを設置しにいったことがきっかけで「アレ」の存在を知り、兄妹を手伝う役目だったんですが、終盤何とか見せ場を作ったものの、これと行ったインパクトもなくフェードアウトしてしまったわけで。

だったら、撮影監督であるホルストを序盤辺りで興味を持たせて、「不可能を撮る」と息巻いてジエンド!の方が見せ場的にも立ち回り的にも良かったのではと。

 

 

最後に

人は得体の知れないモノを見た時に、思いがけない楽しさを味わうから今でもこうして「見世物」で興行しようとする輩がいるわけで、それに喜ぶのもいるわけで。

実際目に留まりますもんね。

 

だけどいつしか痛い目に遭うぞ、という警鐘を促す映画でしたと。

 

だったら動物園を舞台にした映画にしたらよかったのにね。

なんなら「猿の惑星」みたいに、人間が支配される側でも描いた方がよっぽどメッセージ性が強かった気もしなくもない。

とはいえ「未知との遭遇」や、得体の知れない物体が空にいるという意味では「ジョーズ」のようなスピルバーグ感も担ってたし、娯楽性が決してなかったわけではないんですけど、どうもうまく機能していなかったなぁと。

 

「AKIRA」のシーンを彷彿とさせるカットがあったり、なんなら「アレ」はエヴァの使徒ですよね、みてくれが。

そういうイースターエッグな部分を探すのも楽しいとは思いますが、僕は正直ガッカリでした。

彼の作品を通じてブラックカルチャーを学びたいなぁって思ってたんですけど、今回は要素としては少なかったですね。

あるとすれば、最初の映画は黒人が馬にまたがった映像だったという点で、黒人もかつては見世物扱いだったというところでしょうか。

 

僕としてはジョーダン・ピール作品なのに面白くなくて「NOPE!]でした。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆★★★★★★★3/10