2分の1の魔法
♪ 積み上げたモノぶっ壊して!(瓦礫の山)
身に付けたモノ取っ払って!(素っ裸)
止め処ない血と汗で乾いた脳を潤せ!(エナジードリンクの方がいい)
あの頃の僕はきっと全力で少年だった!(法的にそのはず…)
セカイを開くのは誰だ~~♪(誰でもいい)
予告編でひたすら流れている懐かしい歌。
スキマスイッチの「全力少年」。
僕は彼らの歌の中でこれか「キレイだ」が好きなんですけど、何をもってこの歌が日本版の主題歌になったのかいまだによく分かってません。
兄弟で魔法を取り戻しに行く冒険譚を描くんでしょうが、それが全力で少年時代の活力を取り戻すための応援歌とどう繋がってるのか。
観てみないとわからないんでしょうが、すいません、僕吹替えじゃなくて、字幕版見ますw
だってボイスキャストが、トムホとクリプラですもの!
MCUで人気になった二人が別の作品で共演てだけで、興味をそそりますよね!
というわけで早速鑑賞してまいりました!
作品情報
「トイストーリー」、「モンスターズ・インク」のピクサーが送る最新作は、かつて魔法で溢れたものの、科学技術の進歩によって「魔法」を使う必要が無くなってしまった妖精たちが暮らす世界を舞台にしたお話。
早くに父を亡くしてしまった兄弟が、一目父に会いたいという願いを胸に、好奇心旺盛な兄と共に魔法を取り戻しに行く大冒険を描く。
「モンスターズ・ユニバーシティ」の監督が、自身の過去の経験から生まれた今作は、科学の技術によって便利な社会となったのと引き換えに、失われてしまった大事なモノを取り戻すことの必要性とかけがえのない兄弟との絆を、圧倒的なアニメーション描写と冒険の醍醐味を惜しみなく作り上げた。
また、MCUでその名を知らしめ、ユニークなおしゃべりでも有名な2人がボイスキャストとして参加。
2人の掛け合いにも注目だ。
あなたの中にもきっとある「魔法」探しの旅に、一緒に出掛けませんか?
あらすじ
科学や技術の進歩と発展によって、かつては当たり前のように使われていた魔法が忘れ去られた世界。
何をやってもうまくいかない少年イアン(CV:トム・ホランド/志尊淳)は、自分が生まれる前に亡くなった父に会いたいと願っていた。
イアンは、父が母に託していた魔法の杖と彼を24時間だけよみがえらせる魔法が記した手紙を、16歳の誕生日にもらう。
早速魔法を試すが失敗し、父は半身だけよみがえってしまう。
魔法オタクの兄バーリー(CV:クリス・プラット/城田優)も父に会ってどうしても伝えたいことがあると、兄弟で父を完全復活させる魔法を探す旅に出る。(シネマトゥデイより抜粋)
監督
今作を手掛けるのは、ダン・スキャンロン。
これまでに「カーズ」や、「メリダとおそろしの森」などに製作で参加し、「モンスターズ・ユニバーシティ」を手掛けた監督。
今作は、自身が小さい時に父を亡くした経験から着想を得たそう。
父の面影を知らない彼にとって、父親は一体どういう人物なのか、父とどれだけ似ているのかなど思いながら育ち、もし父親と会えることが出来たらどんな体験をするのか、何を学ぶのかを考えながら、物語に仕上げたとのこと。
また本作の主人公イアンの性格は内気で気弱な少年。
監督自身もイアンと同じ年の頃は、シャイで前に出たいと思うような性格ではなかったとのこと。
ピクサーのキャラが愛されるのは誰もが共感できるからと語る監督は、本作のキャラ設定を自身の体験を踏まえて肉付けしており、自分と過去と同じような境遇の人たちが応援したくなるキャラに仕上げたとのこと。
イアンと真逆の性格を持つ兄バーリー。
沢山の愛されるキャラがいるピクサーに、新たな人気キャラの誕生となるのでしょうか。
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キャラクター紹介
- イアン・ライトフット(CV:トム・ホランド/志尊淳)
“魔法が消えかけた”世界に暮らす、自分に自信が持てない内気な少年
家族想いで優しいが、なにをやっても上手くいかず、自分に自信がない。でも実は隠れた魔法の才能がある。生まれる前に亡くなった父親に一目会いたいと願っている。16歳の誕生日プレゼントに、父が母に託した魔法の杖を贈られたイアンだったが、魔法に失敗して “半分”だけの姿で父を復活させてしまい…
- バーリー・ライトフット(CV:クリス・プラット/城田優)
陽気で好奇心旺盛なイアンの兄
イアンと共に“魔法が消えかけた”世界に暮らしている。はまっているボードゲームが歴史に基づいて作られており、呪文も本物だと信じて疑わない、魔法オタク。まわりの空気が読めないように見えて、実はいつも弟のイアンを優しく見守っている。幼い時に失くしたお父さんにもう一度会って伝えたい事がある。
- ローレル・ライトフット(CV:ジュリア・ルイス=ドレイファス/近藤春菜)
イアンとバーリーのお母さん
やる気はあるが何をやってもうまくいかず自分に自信のないイアン、陽気で好奇心旺盛なバーリー、タイプの違う二人の息子、それぞれに合った愛を惜しみなく与える優しいお母さん。朗らかな性格だが、兄弟が魔法を探す旅に出たと知ると、一目散に彼らの後を追う猪突猛進な一面も。
- ウィルデン・ライトフット(CV:カイル・ボーンハイマー)
イアンとバーリーのお父さん
イアンが生まれる前に他界。イアンにとってはカセットテープの声がお父さんのすべて。自身は魔法使いではないが、ドキドキワクワクして最高だった魔法が残っている事を信じ、イアンの16歳の誕生日プレゼントに魔法の杖と、死者を一日だけ蘇らせる呪文、その呪文に使う補助アイテムの不死鳥の石を遺す。
- ブレイジー
ライトフット家のペットのドラゴン
とてもフレンドリーではあるが、火を吐き、とにかく活発なので周りにダメージを与えがち。
以上、HPより抜粋。
正反対の兄弟の大冒険。
バディモノでもあるし、魔法を扱ったファンタジーでもある。
オイシイとこどりなジャンルですから、きっと誰もが楽しめるだろうし、今の自分に欠けている何かを照らしてくれそうですよね。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
トムホとクリプラの声がめっちゃハマってた!!
まるでドラクエのようなRPG感と、兄弟の絆で拓かれる道。
この世界はワクワクとドキドキでいっぱいだ!
以下、ネタバレします。
魔法ってのが良いよね。
内気な少年イアンの16歳の誕生日をきっかけに、ヤンチャで魔法オタクな兄との「父親の上半身を探す」冒険譚を、夢いっぱいな魔法尽くしのオンパレードに、個性豊かなキャラクターの面々、まるでRPGのような辿り方やヒントやアイテム、そして本当に大事な存在とは誰なのかに気付いた時のカタルシスなど、一見ただのアドベンチャーではなく、しっかり家族愛も絡めたプロットに、さすがピクサー!な安定感も加え、非常に楽しめた作品でございました。
舞台設定から街の住人に至るまで、非常にワクワクする内容でした。
かつて魔法で溢れた世界というだけで、安易ではありますが「ドラクエ」を想像してしまう方も多いのではないでしょうか。
登場人物もイアンの家族はエルフ、お母さんの恋人はケンタウロス、不死鳥の石の在り処を示す地図を管理しているマンティコア、他にもピクシーや一つ目の人たち【サイクロプスでいいのかな?)、ペットのドラゴンに人魚にペガサスにユニコーンと、どれも伝説の生物を中心に擬人化された住人達。
そんな彼らが住む町では魔法で生活を営んでいました。
火がつかなければ火の魔法で火をおこし、灯りを灯すなど生活の暮らしに役立つ力として重宝されていたんですね。
しかし、魔法を身に付けるにはそれなりの鍛錬と修業が必要。
魔法が溢れていたとしても、そう簡単には習得できなかったわけです。
いつしか人々は便利なものに執着していきます。
電気を発明し、機械を発明し、技術の発展とともに、「魔法が使える才能」がありながら楽な方楽な方へと進んでいってしまうわけです。
時は経ち現在。
人魚はビニールプールで水を浴びスマホに夢中になり、ケンタウロスは立派な脚力があるのに車を使い、空を飛んでいたペガサスは翼を閉じ、家のゴミを漁る。
羽を持つ者たちは飛ぶことを忘れ、バイクに乗るものもいれば、今を生き抜くために時代に迎合している者と、皆が「便利な時代」にフィットするような暮らしを送っているわけです。
一見すると、無理に努力する必要も考える必要もなく、楽に暮らすことができる利点があるわけですが、せっかく属性のある種族として生まれ、能力を開花させる才能がありながら、目の前の便利なモノにしがみついてしまうというのが、今の僕らが住む現代と似ているような気がします。
もちろん便利で豊かな時代を目指すために、様々な思考を巡らせて発明されたのですから、決して何も考えずに生まれたわけではないですし、完成されるまでの過程はそれ相応の努力の賜物ではあります。
ただ僕らには足があり、手があり、モノを考える力という、人間が与えられた「才能」があります。
それらを蔑ろにして楽な方に進むのは、果たして本当に「いいこと」なのでしょうか。
今作には、便利なモノに固執するあまり、せっかくの力を使わずにのうのうと暮らしている僕らを皮肉ったような舞台設定のような気がしてなりません。
きっと僕らにも「魔法」のような力があり、それを習得するために努力する力があり、それを信じる心が備わっているはず。
そして目的を達成した時、目標にたどり着いたとき、我々は「成長」を遂げるのです。
それこそがこの映画が描く「魔法」なのではないでしょうか。
兄弟の絆が良いよね。
またもやきれいごと言いたくてカッコつけた感想になってしまいましたが、ここからは劇中の主人公、イアンとバーリーについてあれこれ語ろうかと思います。
基本的には「父親探し」の冒険であり、まるで正反対の兄弟が同じ目標に向かって進んでいく「バディムービー」の要素を得た内容になってるんですね。
イアンは父親を姿を見たことが無いため、何時もこんな時に父さんがいたら…と父の姿を追い求めがちなことろがあり、それに固執してなのか、学校では後ろの席に座るでっかい図体の生徒にモノを言えず、クラスメートを自分のウチへ招待しようと声をかけようとするもうまくいかないくらい、内気で小心者な性格。
登校する前の家のシーンでも、朝食を食べようとシリアルを用意するけど、お気楽極楽で元気いっぱいの兄貴バーリーがちょっかい出したりするもんだからなかなかありつけない。
結局床にこぼしてしいまったのでトーストを焼くも、これも結局兄貴と母親の恋人ブロンコがあーだこーだ言ってくるので、再び食えずじまい。
周りに遠慮して外で食事を済ますあたりが、優しいのか言いたい事言えないのかもどかしい感じ。
反対に兄貴のバーリーはというと、根っからの魔法オタク。
歴史的建造物を壊そうとする建設業者にひとりボイコットする姿や、家のテーブルには史実に基づいて作られたであろう「魔法のボードゲーム」、オンボロのバンの車体には、大きなユニコーンが描かれていたりと、筋金入りのオタクであることが分かると思います。
また、いつもウジウジしがちな弟を思いっきり肩に寄せて元気を押し付けたり、母親の恋人ブロンコと対等にやり合ったり、常にポジティブシンキングであるが故に、少々ウザい存在。
小さい頃に父を知ってるということで、イアンほど固執した考えはなさそうですが、言えなかったこと、伝えたいことがあるという心残りな面があり、今回の「父親探し」に関してはノリノリな所が見て取れます。
そんな対照的な二人の冒険の始まりは、イアンの16歳の誕生日。
父親から、イアンが16歳になった時に兄弟二人に渡してくれと頼まれていた母親から受け取ったのは、魔法の杖。
魔法オタクなバーリーは大興奮、すぐさま杖を獲り、呪文を唱え、24時間だけ生き返ることができる魔法を実践するんですが、これがバーリーの思うようにいかない。
構えを変えたり、言い方を変えたりと模索しますが、何度やっても魔法は発動されない。
せっかく父が遺してくれた杖と不死鳥の石と手紙を見ながら落ち込む家族たち。
陽が沈むころ、おもむろに手紙を読んだイアンの前に、とんでもない光景が。
杖が光り出し、部屋にある本やスマホや絨毯が舞う事態に。
何とイアンには、魔法を使える才能があったのです。
異変に気付いたバーリーが部屋に入り、魔法を唱えるとそこには下半身だけの父親の姿が。
もう一度魔法を唱えて上半身を甦らそうとしますが、必要なアイテムである不死鳥の石を使い切ってしまったので、魔法を使えない。
魔法が機能するのは翌日の日没まで。
父親の半分の身体を探し求めるには、この世界のどこかにある不死鳥の石を探しに行かなくては。
魔法オタクであるバーリーの知識をフル活用して、イアンとバーリーは不死鳥の石探しの旅へ出かけるのであります。
魔法が使える才能を持っているイアンと、魔法の知識を持っているバーリー。
どっちが暴走しても道は拓かれないし、どっちが足を引っ張っても目標地点には到達できない。
あくまで二人が互いを心の底から信じあい、許し合うことが冒険の最短距離であり、一人前の魔法使いとしての近道なんですね。
2分の1の魔法という邦題が絶妙なのは、父ちゃんの身体が半分しかないってことろもありますし、どちらも未熟で半人前だからという意味もあると思うんですけど、だからこそ二人が協力して一人前になろうとする姿が描かれてるし、互いが信じあうことで、目標に近づくことが出来たり、謎を解くことが出来たりといった「Onward=前進」ができる。
またたくさんの人に迷惑をかけたり、失敗してしまうようなこともあるわけですが、それを繰り返さないように二人が考え行動していくことで魔法使いとして、また人間として「成長」していく姿が美しいのであります。
さらには、あれだけ父親の身体を復活させることが最優先だと語っていたイアン。
魔法オタクのバーリーに振り回されて、様々な険しい道を歩む羽目になってしまったことや、いつもズケズケと土足で自分の領域に入ってくる存在をどこか疎ましいと心の底で思っていたことから、道中ではバーリーの事を信じ切れていなかったわけです。
けれども、兄の知られざる父との思い出を知ったり、彼もまた自分以上に父親に会いたいことを知ったり、「父さんとしたいことリスト」をじっくり見た時に思い出したことをきっかけに、自分にとって何が、誰が一番大切な存在なのかに気付くんですね。
新しい自分になるために、車の運転を教えてもらう、話を聞いてもらうなど、父さんとこんなことしたいと綴っていたリストに、ふとこれまでの出来事が蘇るわけです。
あれ、全部兄ちゃんが教えてくれた、全部兄ちゃんが叶えてくれてたってことに。
自分の力を信じること、そして頼れる兄が自分を信じてくれていたこと、さらにはそんな兄貴を信じることを、兄貴のために行動することを、冒険を通じて知っていく、気づいていくことから、僕らはどうすれば「成長」できるのかということを教えてくれる作品だったのではないでしょうか。
最後に
終盤のアクション描写は圧巻でしたね。
これぞファンタジーアドベンチャー!なドラゴンとの対決に加え、息子たちが心配であとを追いかけていたお母ちゃんのサイドストーリーが、しっかり最後で繋がっていき、肝っ玉母ちゃんならではの勇姿もおまけについてくるから楽しい楽しいw
また序盤で描かれていた舞台や建造物が最後でも用意されているあたりが、伏線の回収としても気持ちよかったです。
どうでもいいですけど、お母ちゃんと共に行動するマンティコアが車中でエナジードリンクをガバ飲みしてるのを、母ちゃんが制止するシーンがあったんですけど、あれも今の我々がしがちなことへのメッセージだったりするんでしょうか。
僕はエナジードリンクを一度も飲んだことが無いので効果とかわからないんですけど、飲み過ぎるとヤバいっていうじゃないですか。
そういうことへの警告なのか。
もしくはエナジードリンクに頼ってないで、自分の力を信じろって意味なのか。
なぜか気になってしまいましたw
魔法が使える才能を持つ弟を「魔法使い」としたら、魔法の知識を持っている兄はさしづめ「僧侶」とでも言いましょうか。
2人が一つになったら「賢者」になりますね。
あ、ドラクエでこの二つの職業極めると「賢者」になれるんで、そういう例えですw
そんなことも思い出した作品でしたw
オーソドックスな内容とメッセージ性ではありますが、しっかり面白くさせるエンタメ性と、ピクサーならではのアニメーションのクオリティ、これらに加え、トムホ&クリプラコンビの声がすごくマッチしていて、物語を楽しく追える良さがありましたね。
特にバーリーの動きから何からがクリプラっぽく見えて仕方なかったなぁw
吹替え版もきっとよくできているんでしょうけど、字幕版もおすすめです。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10