白頭山(ペクトゥサン)大噴火
お隣の国韓国。
こういうこと言うと怒る方もいるかもしれないけど、エンタメに関しては韓国の方がはるかに質がいいです。
最たる理由は、どこへ向けて発信してるかだと思うんですよ。
グローバルになってきたとはいえ、日本のエンタメビジネスはまだまだ内向き。
日本でウケればいいと思っている。
決して間違いではないけど、同じアジアでこれだけ差がついちゃってるよってのは気付くべきじゃないかと。
クリエイターや演者や歌手たちじゃなくて、もっと上の人たちね。
見てくださいよ、今回鑑賞する映画の予告。
日本でこの規模の映画作れますか?
無理して作らなくてもいいけどもさ、単純にすごくない?
製作期間も事実を裏付けるための研究も、それを可視化させるための時間と資金と熱意よ。
向こうじゃ1本当たれば、監督は2~3年は食っていけるくらいもらえるそうですよ。
もう土台までが全然違う。
冒頭から苦言を呈してばかりですが、このいかにもハリウッド御用達感のあるディザスタームービーを、韓国でやってしまう凄さを肌で感じたいと思います。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
本国で3週連続1位を獲得、観客動員数820万人を動員した、韓国発超ド級エンタテインメント大作がいよいよ上陸。
北朝鮮と中国の境にある白頭山の大噴火。
半島を救出するために成功率3.48%のミッションに挑む勇士たちを描く。
「パラサイト/半地下の家族」のデクスタースタジオが参加したことで、大都市崩壊から大噴火に至るまで、革新的な技術により災害状況をリアルに映像化。
また、迫りくるタイムリミット、大国アメリカや中国の思惑が絡み合うスパイ映画さながらの展開、核の争奪戦などを組み込むことで、観る者の目をくぎ付けにする内容となっている。
さらには初共演のハ・ジョンウとイ・ビョンホン、MCU映画「エターナルズ」に出演するマ・ドンソク、「建築学概論」のペ・スジら大スターの競演も魅力。
決して後悔させない中身と布陣で世界に挑んだ、タイムリミットディザスターアクションがいよいよ幕を開ける!
あらすじ
北朝鮮と中国の国境にそびえる火山・白頭山(ペクトゥサン)で観測史上最大の噴火が発生!
マグニチュード7.8の地震は遠く離れたソウルをも直撃し、ビルは倒壊し、漢江は荒れ陸橋は崩壊。
未曾有の事態に朝鮮半島は大パニックに陥る。
史上最悪の災害を止めるため、政府は白頭山の地質分野の権威である大学教授カン(マ・ドンソク)に協力を要請。
カンは半島を崩壊させるほどのさらなる大噴火が起こることを予測する。
タイムリミットは75時間―韓国軍爆発物処理班の大尉チョ・インチャン(ハ・ジョンウ)は部隊を率いて、北朝鮮へ潜入し火山の鎮静化を図る秘密作戦を実行に移す。
そのためにはまず作戦成功のカギを握る北朝鮮・人民武力部の工作員リ・ジュンピョン(イ・ビョンホン)を見つけ出し、次の大規模噴火を何としても食い止めなければならない。
果たして彼らは、朝鮮半島の崩壊を阻止することが出来るのか!?(映画『白頭山大噴火』公式サイト 8月27日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー (paektusan-movie.com)より抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、イ・ヘジュンとキム・ビョンソ。
「22年目の記憶」、「彼とわたしの漂流日記」(すいません未見です・・・)に続いて3度目のタッグとのこと。
またキム監督は撮影メインの方。
今回共同監督として名を連ねたそうですが、「神と共に」シリーズ(すいませんこちらも未見です…)の評判を聞く限り、映像面でも度肝を抜かれそうです。
登場人物紹介
- リ・ジュンピョン(イ・ビョンホン)
白頭山最後の噴火を止めるための重要な情報を握る北朝鮮武力省所属の少佐。
北京駐在北朝鮮書記官として偽装活動をしていたが、北へのスパイ行為が発覚し収監されていたところ、チョ大尉率いる極秘作戦チームに合流することになる。
白頭山噴火を止めようとする南の作戦を無謀だと感じているリ・ジュンピョン。
作戦に協力するように見せかけながら、実は彼には隠された思惑があった。
予期せぬ行動でチョ大尉たちを翻弄するが、一方でエリート軍人らしい修練された判断力と行動力で困難を乗り切っていく。
- チョ・インチャン(ハ・ジョンウ)
半島の運命を託された秘密作戦に投入された、韓国軍爆発物処理班大尉。
除隊直前で白頭山が噴火し、妊娠中の妻のアメリカへの疎開を条件にミサイル解体を担当する技術部隊として北朝鮮に行く。
最初は簡単な任務のはずだったが、予期せぬ出来事が起こり命がけの作戦を遂行することになる。
戦闘経験は皆無だが、瞬発力と責任感で隊員たちを引っ張って行くインチャン。
作戦の鍵を握るジュンピョンに近づくことに成功するが、本心を読み取れないジョンピョンに翻弄される。
しかし、家族のために命を賭して火山噴火を止めるため立ち向かう。
- カン・ボンネ(マ・ドンソク)
3年前から白頭山の噴火の研究をしてきた米プリンストン大学の地質学教授。
白頭山噴火を事前に予見し、何ども警告し続けたが誰にも信じられずにいたが、噴火後アメリカに避難する直前に、韓国大統領府から協力を求められる。
彼が提案した最大級の噴火を防ぐ唯一の手段は、白頭山の地盤を崩壊させること。そのためには山の麓で600キロトンの大規模爆発を起こすという不可能に近い提案だった。
噴火の時間が迫るなか、成功率の低い作戦をいかに成功に導くか奮闘する。
- チョン・ユギョン(チョン・ヘジン)
どんな状況になっても冷静な判断力を失わない民政首席。
白頭山の噴火が半島の崩壊を招くと察し、いち早くかつて噴火の危険性を説いていたカン教授に協力を仰ぐ。
成功率わずか3.48%という作戦だが、朝鮮半島を救う唯一の方法として、大統領を説得し作戦を実行に移す。
作戦遂行のため尽力するなか、だんだんとカン教授とも心を通わせていく。
- チェ・ジヨン(ペ・スジ)
夫のチョ大尉が作戦のため北朝鮮に行ったことを知らず、一人ソウルに残る妊娠中の妻ジヨン。
夫からアメリカへの疎開するため仁川港で合う約束をするが、向かう途中、白頭山の2次噴火の被害に巻き込まれる。
これから生まれてくる子供のため、そして子供の誕生を楽しみにしている夫のため、必ず生き残るという強い意志で行動する。
偶然にもカン教授と行動を共にすることになり、夫の現状を知り愕然とする・・・。
(以上映画『白頭山大噴火』公式サイト 8月27日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー (paektusan-movie.com)より)
韓国発、超ド級ディザスタームービーは一体どれほどのクオリティなのか。
この目で確かめたいと思います!
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
#白頭山大噴火 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2021年8月27日
ディザスターを装っておいて中身はゴリゴリバディモノのスパイアクション。
アメリカ敵視しときながらもろハリウッドテイストで、タイムリミット迫ってるのにまぁ話止めて笑かす🤣
要するに好き! pic.twitter.com/VX11rxyQQv
いや~楽しい!
大噴火のタイムリミットをチラつかせながら、中身は思いっきりバディムービーでスパイアクション!
ハリウッド大作好きならおすすめです!!
以下、ネタバレします。
さすが韓国映画
半島を揺るがすほどの大噴火を鎮静化するために、北朝鮮に侵入し、工作員を救出し、核を盗んでからようやく本来の目的に向かうという非常に遠回りに思えてしまうミッションを、90年代ハリウッドブロックバスターをお手本に、完成度の高いCG描写、アクション➡笑い➡泣きという方程式を順序良く描くことで、韓国映画の意地とプライドをマジマジと見せられた、非常に楽しい娯楽映画でございました!
2021年にNetflix映画「スペース・スウィーパーズ」という映画を配信されました。
本作と同様に完成度の高いCG描写と韓国の社会事情も組み込んだエンタメ要素の高いお話だったんですね。
これを見た時に、あ~日本の大作映画もコミックの実写化ばかりやるんじゃなくて、こうした質の高い、それでいてしっかり娯楽要素の高いオリジナル作品がもっと製作されればなぁなんて思いを抱いたんですね。
今回も見終わった後、同じ思いを抱きました。
それと同時に再び差をつけられたなと。
もちろん金と時間をかけたものが絶対良い映画になるとは限りません。
しかし、いつまでたっても外側へ向けた映画を製作しない限り、路線も興行も変化しないのではと。
日本のアニメーション映画は世界レベルなのに、実写映画はポテンシャルあるのになかなか改善されないモノだなぁと思ってしまったわけであります。
お国の映画興行事情に対する意見はこれくらいにして、最高に楽しい映画でした。
そもそも大噴火と銘打っておきながら、4度も噴火を起こしておきながら、内容のほとんどはその噴火を止めるための難易度の高いミッション。
しかも爆弾処理班のリーダーにもかかわらず、途中のアクシデントによる行動班のリタイヤによって、工作員の救出も核を盗むのも指揮を執らないといけない事態に。
尚且つ、工作員が一癖もふた癖もある面倒な奴で、何度も裏切られたり何度も共闘したりと一筋縄ではないかない関係性といったバディムービー要素をぶっこんでくるわけで。
結果的にディザスターものじゃないっていうw
とはいってもですよ、噴火によって街がどんどん崩壊していく姿は、CGをガンガン多用することによってリアルな崩壊描写になっておりまして。
崩れていく道路や高層ビルをギリギリで回避しながら逃げ回るシーンも大迫力ですし、地震によってダムが決壊し車ごと飲み込まれてしまうシーンもドキドキモノですし、クライマックスでの飛んでくる溶岩を何とか避けながら目的地へ向かうシーンも白熱してしまうほどのダイナミックな映像の連発。
これらを要所要所で挟むことで、「あれ?そういやこれ噴火を止める話だよなぁ」なんて疑問が浮かび上がるかと思われる時間帯に、「申し訳ありません!」的な感じで忘れたころにドカーン!とでっかい打ち上げ花火を上げるかのように見せつけるんですね。
もうそれ以外はイ・ビョンホンとハ・ジョンウのラブストーリーみたいなバディムービーですw
離れてはくっついて、くっついては離れの繰り返しです(褒めてますw)
インチャンは訓練はしてるものの、がっつり工作員のようなミッションを指揮する羽目になり、どこか頼りない感じ。
尚且つ除隊当日にこんな目に遭わされるなんてついてねえなぁくらいのテンションで任務を遂行していくわけです。
とはいえ、リーダーとしてしっかり部下を鼓舞したり、核の回収でも男気を見せるなど役目を果たす健闘ぶりを見せるわけです。
逆にジュンピョンは色々謎の多い男。
そもそも彼が収容されてる場所で暴動が起きてるのがめちゃんこ都合的なんですが、それもこれも彼が仕組んだもの。
不気味な笑みを浮かべながら、処理班の面々を下に見て、いとも簡単にインチャンの私物を盗んでは自分の命に保険を掛ける術を見つけ、人質ではなく対等な関係に瞬時に持っていく工作員ならではの動きを見せます。
実際は中国のスパイのために、今回核の場所を教えたらお役御免のはずが、上層部からの命令により核の起爆装置と指揮官を確保しなくてはいけなくなります。
そんなことを暗躍しながらも共通の敵が出現することで、ここは一時休戦だ!と言わんばかりに互いが協力して難関を突破するんです。
でも共闘タイムが終わればすぐさま裏切り行為!
段々インチャンも実戦で起きるあんなことやこんなことを想定できるようになり、色々機転がきくように。
2人がテーザー銃によって同時に感電して抱きながら気絶してしまうシーンは微笑ましいし、この2人には「娘」という父の立場が共通することで、終盤に近付くにつれ絆が強くなっていくんですよ。
もちろんミッションを遂行するために、半島を救うために手を結ぶんですけど、それ以前に個人としてどう在りたいか、どう在るべきか、どうなりたいかを模索していくことによって、互いを信じあっていくというゴリゴリのバディムービーへと進化していくんですね。
あ~こういうの好き!って瞬間がいっぱいありましてですね、色々語りたいですが全部言うわけにはいきませんので、是非ご自身の眼で体で体感していただきたいと思います。
もちろん彼らだけではありません。
マ・ドンソク演じる教授も大活躍です。
3年間も白頭山の噴火を訴えてきたのに、政府に全然相手にされず、アメリカ国籍を取得してさっさとアメリカに疎開しようとしているんですね。
そこへユギョンが半強制的に教授を連行、軍事会議に出席し、成功率3%の案を採用されてしまい必死にデータを研究する羽目になります。
あれだけアクション系に出てる人が、アクション映画なのに教授として最前線で無くバックアップ的立場で登場する時点で面白いんですけど、今回一番のコメディリリーフとしても見どころがたくさん。
バスの中でインチャンの奥さんジヨンと遭遇してしまい、アメリカ人ですと流ちょうな英語で喋るんですが、見事に韓国の方ですねと流されてしまう姿は爆笑モノですし、インチャンにミッションの変更を告げるシーンでもジヨンの知らない真実をべらべらインチャンに喋ってしまうことで「え?どういうこと!?」と詰め寄られタジタジになってしまう表情も最高に笑えます。
早々この映画、思いっきりクソまじめに描かれてません。
どうでもいいところでちょいちょい笑いを挟んでくるのがすごくいいんですね。
だからず~っと緊張感MAXになってないんです。
ミッションが延滞していても大尉無リミットが迫っていてもどこか呑気な場面が登場。
妙に和んで観てしまうような映画なんですよ。
最後に
すいません、今回は短めで。
本作はしっかり北と南で条約が結ばれる直前に起きる設定になっていて、その後ろ盾をしている大国が、世間体だか威信をかけてなんだか色々仕切りたがるわけです。
さらには、漁夫の利しようとする国も出てきて、北と南どころじゃない大風呂敷広げすぎだろ!と思ってしまうスケールのデカさがあります。
もうね、おめえらの手なんか借りねえよ!おめえらにやらせたら半島がぶっ飛ぶんだよ!
テメェのケツはテメェで拭くから邪魔すんな!って臭いがプンプンする内容になってますw
もう早く出てってほしいんでしょうね~w
いや、アメリカの言い分もすっげえわかるんですよ。
あんたら勝手に北に侵入して核盗んで、しかも北の土地で核爆破させるって正気か!?と。
もうね、内容がホントぶっ飛んでるんですよw
正に90年代ハリウッド映画スタイル。
ア〇マゲ〇ンくらいぶっとんでる。
これだけ大国否定しておいて、大国を意識して製作しているのが矛盾なんですけど、もうそんなことどうでもいいくらい楽しいw
是非、頭空っぽで見てほしい韓国大作映画でした。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10