モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「クワイエットプレイス:DAY1」感想ネタバレあり解説 3作目にして号泣しちゃった。

クワイエット・プレイス3 DAY1

2024年の抱負は「ニコラス・ケイジ主演映画を追う」を掲げているモンキーです。

 

世間的に「低迷期」だったころの作品を追っているのですが、まぁめちゃめちゃ面白い。

何が面白いってニコラス・ケイジの演技がどれもクオリティが高くて感心しっぱなし。

もはや「彼の出演シーンを欲しがっている」くらいハマっています。

 

そんな彼の主演作の中でも「pig ピッグ」は、まぁ~素晴らしかった。

触れ込みこそ「リベンジサスペンス」ですが、そんな映画ではなく、目先の事ばかりに目がくらんで肝心なことを見失った者たちの物語で、それを経験した主人公だからこそ醸し出せる存在感と説得力、そして悲哀がこもった作品でした。

 

ここでのニコケイの芝居が超越していて、なぜ劇場で見なかったのだろうと後悔したほどです。

 

そんな彼が主演した「pig ピッグ」のマイケル・サルノスキ監督が、大人気シリーズ「クワイエットプレイス」の監督に抜擢されたということで、今回めちゃめちゃ楽しみにしておりました。

前フリが遠回りですいませんw

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

突如出現した“音”を立てるもの全てに襲い掛かる“何か”に支配され、崩壊した世界を舞台に、“沈黙”を守り生存を試みる家族の姿を描いたサバイバル・ホラーシリーズで、「音を立てたら、即死」というキャッチコピーによって世界的大ヒットを記録した『クワイエット・プレイス』の最新作。

 

前作までの主人公が住んでいた田舎町から一転、大都市・ニューヨークへ舞台を変更、1人の女性とその猫を主人公に、「絶対音を立ててしまう」場所とキャラによって、極度の緊張感を映しながら、シリーズ最大の謎である“何か”の襲来を映し出すことで、一気にスケールアップして描く。

 

前2作で監督を務めたジョン・クラシンスキーは今回プロデューサーに回り、「pig ピッグ」のマイケル・サルノスキが務めた。

「pigのタッチを是非クワイエットプレイスに取り入れてほしい」というクラシンスキーからのオファーを受け実現した本作は、前作までの「繋がった関係」とは無縁のキャラを起用することで、どんな「世界の終わり」を見せることができるかというテーマで描く。

 

主演には、「それでも夜は明ける」でアカデミー賞助演女優賞を受賞し、「ブラックパンサー」や「アス」での出演が印象深いルピタ・ニョンゴ

彼女と共にエイリアンから逃げる男性役に、Netflixドラマシリーズ「ストレンジャー・シングス」のエディ役で一躍脚光を浴び、「グラディエーター2」への出演も決定しているジョセフ・クイン

他にも「オッペンハイマー」のアレックス・ウルフや、「グランツーリスモ」や、Netflix映画「レベルムーン」のジャイモン・フンスーが、前作でも登場したキャラ役で出演する。

 

これまでの2作から大胆な変化を施した本作。

世界の終わりの始まりは、如何にして始まったのか。

その謎が明らかに。

 

 

 

あらすじ

 

ひとつの家族を襲ったあの衝撃から471日前、世界が沈黙した日[DAY 1]へと遡る。

 

音を立てるものすべてに襲い掛かる謎の生命体が突如として大都市・ニューヨークに襲来し、猫を抱えた1人の女性サミラ(ルピタ・ニョンゴ)は、“即死度MAX”のサバイバルを余儀なくされる。

 

果たしてこの街に生き残る術など存在するのか。

この絶望に、彼女はどう立ち向かうのか。

そして、“音を立ててはいけない”というルールに、人類はいかに辿り着くのか。(Fassion Pressより抜粋)

youtu.be

 

 

感想

繋がりを持たずとも暮らせる街で、繋がりを作っていく2人のドラマに感動。

マイケル・サルノスキ恐るべし!!!

ディザスター的にも十分怖いけど、感動の方が上回った!!!

今年の夏の大作洋画は調子いいぞ!!

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

ざっくりあらすじ

舞台はニューヨーク・マンハッタン。

この街では、常に90デシベルという騒音がひしめく街であることを、テロップ表示で伝える。

 

NYのとある病院。

患者たちと共にグループセラピーを受ける主人公サミラ。

ネコを抱えながら、この病院での入院生活や患者たちが如何にクソかを、自身が認めた詩を通じて伝える。

看護師の男性は、周りへの配慮を促しつつも、彼女が一生懸命書きながらも前向きに生きていることを讃えるため、他の患者たちに拍手を求める。

 

彼らは舞台を見るため、バスに乗って出かけることに。

サミラは退屈な人形劇であることが判ると溜息を吐きますが、劇中のパペットが膨らんだ風船によって空を舞うも、破裂した風船によって落ちていく姿を見て、突如劇場を飛び出します。

 

気晴らしに猫のふろどのエサを買いに行くと、米軍専用車が走っていることに気付く。

劇場へ戻ると、看護師が何やら電話をしている。

病院から早く帰って来いという催促の電話だった。

サミラは「ピザを食べたい」と駄々をこね一時口論となるが、結局バスへ乗り込むことに。

他の患者がバスの後部座席から外を覗いているとに気付くサミラ。

自分も気になって後ろへ向かうと、突如飛来物が落下し、辺り一面真っ白の景色に覆われていく。

 

耳鳴りが鳴りやまず、瓦礫によって真っ白な姿になったサミラは、一体何が起きたか皆目見当もつかない。

早く逃げろと叫ぶ街の人たちは、何かによって連れ去られていく。

 

阿鼻叫喚が飛び交う中、サミラは気を失ってしまう。

目を開けると、アンリという男性が、サミラの口を塞ぎながら「シーッ!!」と囁く。

 

彼女はさっきまでいた劇場に連れていかれ、避難していた。

看護師も猫のフロドも無事だったようで一安心したが、音を立ててはいけないという米軍のアナウンスの指示に従い、皆が静まり返っていた。

 

いきなり劇場の外へ向かおうとするフロドを追いかけるサミラ。

しかし床に散らばったガラスの破片を踏んでしまったことで、何かに居場所を察知されピンチに。

無事回避することに成功したものの、身動きが取れないことを改めて知るサミラ。

 

やがて米軍によって橋を壊され、マンハッタン島から脱出できなくなることを知った一行。

地下室にある電力装置が誤作動を知らせるブザー音を発したため、看護師と共に停止に向かうが、勇気を振り絞って止めた看護師は、何かの餌食となってしまう。

 

サミラは劇場を飛び出し、途中立ち寄った商店で必要なモノをバッグに入れ、どこかへ向かう。

 

明朝、島から脱出するための船が到着するアナウンスが町中に響く。

皆がそれに乗るため一方向に向かうが、集団が歩けば音も増すため、結局何かに音を感知され、何かの餌食になってしまう群衆。

サミラは無事回避できたが、そこでとある男性と出会う。

 

彼の名はエリック。

イギリスから法律を学ぶため単身NYへやってきたが、突然の事態によって人生をめちゃくちゃにされたことに腹を立てていた。

彼は浸水した地下鉄入り口の階段で水の中にもぐって息を潜めていた。

そこへ偶然通りかかった猫のフロドに誘われるかのように、サミラと出会う。

 

やがて雨が降り出したことで、二人はようやく言葉を交わすことに。

一人になりたいサミラに対し、あまりの恐怖から一人になりたくないと語るエリック。

ひとまずサミラのいた病院へ避難した二人は、お互いの事を知るため、降りしきる雨の音を利用して、思いのたけを語り出す。

 

父がジャズのピアニストだったサミラは、エリックに自らが執筆したエッセイを読ませる。

そこには、彼女の闘病生活がつづられていた。

余命を宣告されながらも何とか延命し続けたものの、生き続けることの辛さが詰まった内容だった。

雷の音を利用して二人は、鬱憤を晴らすかのように叫ぶ。

 

雨が上がり日が昇った早朝。

サミラは念願のピザを食べるため、エリックを置いて一人旅立つ。

途中寄った本屋で本を漁るサミラの前に、エリックがやってくる。

どうしても彼女と共に行動したいようだ。

 

仕方なく彼を連れていくことにした矢先、音を立ててしまったことで何かに追われる2人。

地下鉄の構内へ逃げ込む二人は、浸水した線路を辿りながら必死で逃亡を図っていく。

 

やがて教会へたどり着いた二人。

痛みに苦しむサミラのために、エリックは単身薬局へ向かい、薬を調達することに。

猫のフロドもついてきたことで、少しだけ安どの表情を見せるエリック。

しかし、勝手気ままに動くフロドについていったエリックは、何かが群がる廃墟にたどり着いてしまう。

 

何とか音を立てずに回避できたエリック。

回復したサミラと共に、父とよく来たというピザ屋にたどり着く。

しかし店は既に焼け焦げた状態となっており、とてもピザなどありそうになかった。

父がいつも演奏していたジャズバーに避難した二人。

エリックはピザにありつけなかった彼女のために、別のピザ屋でピザを見つけ、彼女と共に食事をすることに。

 

落ち込むサミラを励まそうと、音を立てずにマジックを披露するエリック。

いつしか2人の間に「繋がり」が出来ていたのだった。

 

そして船付き場にだどりついた二人。

しかしそこには、船に乗って逃げる人間たちを襲おうと、何かが群れとなって待ち構えていた。

果たして二人は、無事船に乗りマンハッタン島を脱出することはできるのか。

 

 

・・・というのがクライマックス手前までのあらすじです。

 

こんなに泣かせるなんて聞いてない。

作品情報でも触れましたが、これまでのクワイエットプレイスは、田舎町を舞台に、既に何かによって世界全体が荒廃となった設定の下、聾唖の子を持つ家族が音を立てずに暮らしながら、絆を深めていく物語でした。

 

そんな家族の物語から、何かが飛来した始まりを描いた本作は、喧騒溢れる大都会を舞台に、どうやって何かから回避すればいいか誰もわからない状態で、しかも勝手気ままに行動する猫を連れた病人を主人公に、全くつながりを持たない都会の人たちが、どうやってつながっていくのか、または彼らに繋がりなど不要なのか?というテーマを基に描かれた作品となっておりました。

 

これまで大作の続編て、テーマに沿って徐々に増えていくキャラクターを見せながら描いていく物語が定番でした。

それこそダークなホラーモノだったエイリアンが、キャメロンによってがらりとエンタメ色を強めたエイリアン2だったり、未来からやってきたアンドロイドから逃げる人間を描いたターミネーターが、今度は人間を守るために未来からやってきて、これまたエンタメ色を一気に強めたターミネーター2などがあったように、本作はこれまでの設定はそのままに一気にジャンルを変えるという舵を切るという大胆な変更を施したわけです。

 

結果、音をガンガン立てながら逃げることしかできない人間たちの恐怖をしっかりスクリーンで見せながら、音を立ててはいけない状況下で声すら出せない状態の中、何かがすぐ目の前にいる怖さをしっかり見せたり、どんどん建物や車が破壊されていくディザスター描写がふんだんに描かれていたりと、予算がめちゃめちゃかかっているんだろうなという描写がめちゃめちゃありながらも、しっかり設定を守ることで、これおクワイエットプレイス!というシーンもめちゃめちゃあった内容になっておりました。

 

しかし、僕はそういうエンタメ色の強い箇所よりも、主人公サミラとエリック2人のドラマに完全にやられてしまったのであります。

 

サミラという女性が、何故ピザ屋に拘るのか、一人に拘るのか、そんな「WHY?」を引っ張りながらも、エリックという超ビビリなのにしっかり優しさを兼ね備えた性格の持ち主によって、繋がりが持たれていくのであります。

 

何かが襲ってこなければ、二人が繋がることなどなかったでしょう。

何かが襲ってこなければ、サミラはこのまま気だるい病院での入院生活の中で、命の引き算をしながら死を待つだけの生活になっていたでしょうし、エリックもまた法律の勉強に追われ、誰かと共生することなどなかったでしょう。

 

幸か不幸かはわかりませんが、二人が出会い、幾度も危機を乗り越えながら、命の尊さや互いを支え合うことの大切さを知っていく2人。

 

中でもジャズバーでのシーンは涙ものでした。

あんな危機的状況の中、音を立てたら、即即死!ですよ?即死でなく、即即死!日本語可笑しいってツッコミは置いといて、とにかくじっとしてなきゃいけないわけです。

それでも、痛みに耐えながら生きるサミラを、これ以上悲しませないために、ビビリなエリックが、彼女を励ますためにピザを運んできて、しかも二人でマジックショーをして笑顔を取り戻させるんですよ。

最高じゃないですか・・・。

 

こんなディザスターモノの映画で感動させるなんて、俺聞いてません!!

泣くやんこんなの…。

 

確かに、猫を飼っている設定でしたから、予測不可能な行動を起こすことでパニック描写を強める方法はあったかもしれないし、過去作以上のアイディアは正直なかったように思います。

でもだ、この猫が、あくまで映画の段取りとして動いていることは抜きにしても、二人を繋げる存在だったわけでしたし、何より常に緊張を与えるこの映画に置いてのオアシス的かわいさを与えていたことは事実。

 

そこにpigのエッセンスを取り入れたいために抜擢したマイケル・サルノスキ監督の心理描写がまぁ~あざとくて最高。

言葉少ない中で、二人がどうやって絆を深めていくか、互いを尊重していくかってのを、劇伴を使って見事に演出してましたね。

雷の音を利用して叫ぶとこなんてめちゃめちゃグッときましたしね。

 

個人的には、エリック演じたジョセフ・クインがこれまた最高でした。

それこそあいつ、ストレンジャーシングスでロックよろしく中指経立ててデモゴルゴンに立ち向かう精神性を持っていたキャラだったのに、本作では何かが怖すぎて水中入ってると過呼吸起こしそうになるくらいのビビリなのに、サミラのためなら俺一人でも大丈夫です!!ていう強さを持ってるもんだから、まぁやられちゃう。

このギャップはずりぃわ~!!そして売れたわ~ww

 

 

最後に

ニーナ・シモンの「feeling good」をスピーカーで聴き始める所で終わるわけですが、その後どうなるかはお分かりですよね。

 

でもこの曲にしたってことは、歌詞の「私は私の人生を生きる 最高の気分だ」ってことからもわかるとおり、ずっとこの瞬間を待っていたかのような清々しい笑顔で幕が下りる、死んでるように生きていた主人公が、他者との出会いによって「生きた証」を見つけたかのようなラストだったと思うんです。

 

自分も正直ずっと一人で、この慌ただしい都会で忙しく、誰とのつながりも持たずに映画ばっか見てる日々ですよ。

正直ちゃんと息してんのかわかんないことだってあるんですわ。

そんな中、この映画を見て、失ったモノや足りないモノや求めてるモノを知れたし触れることができたというか、俺ちゃんと生きてるか?優しさをもらえてるか?

優しさを与えてるか?って問われたような気分で。

 

特にエリック問うキャラクターを通じて思い知らされたし、彼のキャラがホントに素敵で。

因みに俺は「pig」で3回泣いたので、監督作との相性は良さそうですw

今後も彼の作品を追うと共に、一気に舵を切ったクワプレを追っていこうと思います。

 

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10