モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

【スポンサード リンク】

映画「RAW少女のめざめ」感想ネタバレあり解説 理性をもって大人になりましょう。

2月2日

RAW~少女のめざめ~

f:id:monkey1119:20180113125530j:plain

このポスター、決して湯船に浸かりすぎてノボせている女の子、ではありませんw

まぁ非常にインパクトのあるポスターだなぁ、というくらいの興味しかなかったんですが、お肉の味を知ってしまった少女の青春映画、というのを知って、は?何だそりゃww

と思ってたんだけど、意外とシリアスなお話のようで、俄然興味が湧きスタコラサッサと鑑賞してこようと。

 ただ海外では失神者続出するほどのショッキングな映像があるということで、ビビりすぎて全編ちゃんと見られるだろうか、とちょっと不安であります。

ホラーではないだろうから過度の描写はないとは思いますが、是非その辺も観賞後の感想で伝えられたらと思います。

てなワケで早速観賞してまいりました。

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

2016年のカンヌ国際映画祭批評家週間でワールドプレミア上映し、大喝采を浴びたフランス・べルギー合作のセンセーショナルな青春ドラマ。

才色兼備を誇るフランスの女性監督によって作られた今作は、人が人を喰らうカニバリズムを扱いながらも、グロテスクな描写といった生々しい映像ではなく、息を呑むほどスタイリッシュな映像美と独特のユーモアを交えた、オリジナリティ溢れる作品として完成されている。

隠された自分の本性に目覚めた思春期真っ盛りの少女は、どんな変貌を遂げるのか。

 

 

 

 

あらすじ

 

 

16歳のべジタリアン、ジュスティーヌ(ギャランス・マリリエ)は、両親と姉と同じ獣医科大学に入学する。

初めて親元を離れて、見知らぬ新しい環境である大学の寮で暮らし、生活する不安に駆られる彼女。

両親に車で寮まで送ってもらうが、寮にいるはずの姉アレックス(エラ・ルンプフ)に電話をかけるもつながらない。途方に暮れつつも、仕方なく一人で寮に向かいルームメイトと対面するが、女性との相部屋を希望したはずなのに、そこにいたのはアドリアン(ラバ・ナイト・ウフェラ)という男性。「俺はゲイだから」と言われてもなんの慰めにもならない。

さらに追い討ちをかけるように、『フルメタル・ジャケット』も真っ青の上級生による新入生歓迎のハードコアな儀式としごきが突然始まり、地獄の日々が幕開け。ようやく姉と出会えて安堵するが、狂乱かつ過酷な日々が続く。

 

ある日、そんなしごきの一環として、全身に血を浴びせかけられ、さらにうさぎの生の腎臓を強制的に食べさせられたジュスティーヌは、体に異変を感じるようになる。

身体中に発疹ができ、皮がむけ、体調はすこぶる悪い。悪夢にも悩まされるようになる。学業では優等生として本領を発揮するが、原因不明の精神的、肉体的なドラスティックな変化についていけない。ストレスもマックスで、最悪だ。

学食で衝動的にハンバーグを万引きしようとしたジュスティーヌの姿を見たアドリアンは、彼女を連れて寮を抜け出し、バスで小旅行に出かけて夕食を共にする。

アドリアンにすすめられて、そこで生まれて初めて自発的に肉を、ケバブを口にしたジュスティーヌは、肉の美味しさに衝撃を受け、がつがつとむしゃぶりつく。その後も夜中に無性に腹が減り生肉にかぶりつくなど、さらなる変化に戸惑うジュスティーヌは、次第に自分の内に秘めた恐ろしい本性と秘密に気づくことになる……。(HPより抜粋)

 

youtu.be

 

 

 

 

 

監督

今作で長編映画デビューを飾ったジュリア・デュクルノー

f:id:monkey1119:20180130153954j:plain

フランスの有名な監督、フランソワ・オゾンを輩出した名門映画学校「ラ・フェミス」を卒業し、映画界で若い女性監督が著しく活躍し始めた中でも、今後が楽しみ監督の一人として挙げられているようです。

今作でカンヌ国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞したそうで、次回作も期待されています。

 

 

 

キャスト

主人公ジェスティーヌを演じるのは、ギャランス・マリリエ。

f:id:monkey1119:20180130154638j:plain

子役の頃から監督の短編映画に出演していたそうで、今回も主役に抜擢ということは監督から信頼を得ている証拠でしょう。

デヴィッド・リンチやクローネンバーグを愛する注目の若手女優さんだそうです。

彼女はベジタリアンではないそうですw

 

 

他のキャストはこんな感じ。

ジェスティーヌの姉アレックス役に、スイス人女優エラ・ルンプフ。

寮のルームメイト・アドリアン役に、「パリ20区、僕たちのクラス」でデビューした、ラバ・ナイト・ウフェラなどが出演します。

 

 

 

うん、薄っぺらいイントロダクションwwだってフランス映画精通してねえもんw

しかも新人監督や若手の役者ばかりで情報が全くないしw

たまにはいっかwとりあえず失神しないように楽しみたいです!

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

 

 感想

何度目を伏せたくなったことか・・・大人になるための通過儀礼や成長を、他者への愛の表現を、「肉を食べる」ことで描いた異色の青春ホラー映画でした!!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大人になるってどういうこと?

ベジタリアンの主人公に訪れる大学寮という新しい環境。神童と呼ばれるほど秀才の彼女は、親元を離れ不安に駆られる。その予感は的中しいきなり先輩たちから文字通り血の洗礼を浴びるのだった!

お父さんもお母さんも同じ学校出身ということで安心していたがとんでもない!いきなり廊下に並ばせられ、妙な地下室で酒池肉林の夜会に参加させられ困り果てる主人公。

お姉ちゃんもこの学校で獣医学を学んでいる。しばらく離れていた内にお姉ちゃんは派手になっていた。せっかく久々の再会なのに、こんな場所でこんな再会。

そんな中儀式は続き、ウサギの生の腎臓を食さなければいけない事態に。

これからお前たちは獣医として一人前にならなければいけない。人間と動物は違うのだ!こんなことで躊躇してたら立派な獣医にはなれんのだ!

でもアタシベジタリアンでお肉食べちゃダメなの・・・。お姉ちゃん助けて!

はぁ?んなもん気合いで食いなっ!ここで拒絶したらあんたの大学生活肩身の狭い思いするよ!

ルームメイトのフォローもあり何とか口に帆張った。しかし体は痒くなり食欲もおかしい。

どうしたのアタシ・・・お肉欲しがってる。

そして彼女は肉を欲しがるあまり、禁断の人間の肉までも欲しがってしまう・・・。

 

 

とまぁこんな感じで話は進むわけですが、簡単な感想としては、フランス映画特有の風景や映像の美しさはもちろんのこと、血と肉体と衝動が艶めかしく、そして生々しく鮮やかに描かれることで、ホラー的要素を含みながらも、そこはどこか芸術的。

 

そして、「肉を食べる」ということが、少女が大人への階段を登る上での通過儀礼として、そこから姉との間にある溝を埋めていく愛の行いであって、相手を性の対象として求めていく愛欲であって、もっと大きく言うならば「性」と「生」と「愛」のメタファーとして描かれていました。

女性が大人になるってこんなにむず痒い気持ちで迎えるのか、男には決して理解できない歯がゆさというか恥ずかしさというかもどかしさというか。

そんなものを表現していたんだなと感じました。

 

男も思春期を迎えた時の苛立ちや悶々としたものがあったり、下の毛やら脇やらに毛が生えた時の「俺も男になったかぁ~~~っ!!」みたいなアホ臭さがありましたけど、女の子ってそういう感じではないんだなと。

 

「肉を食べる」ことのメタファー

ベジタリアンというのも結局は親の言いなりとしてのツールとして設定されていて、それが解放され肉を食することで、今までは拒んでいたけどそれって親に言われてたから頭でそう思い込んでいただけで、実は全然違くて。

で、それまでものすごく拒んでいたからその反動もめちゃめちゃデカい。

中学の時に門限17時を守ってた子が、つい反動で夜遅く帰った時の、ダメなのにいけないことをしてしまった時の妙な感動と一線を越えてしまったあの感じ。例えていうならそういった制限からの解放ってのも実は孕んでいたのかなと。

 

今まで言いつけを守ってきた主人公が、洗礼を受けついに頬張ってしまった肉。そこから彼女の中でアレルギー反応が起きます。これって要は内面の葛藤ですよね。

今までいい子にしてきたのに悪いことしてしまった事に対して、自分の中のいい子ちゃんが、ダメ―!!って。

その葛藤の現れとして、蕁麻疹が出て、皮膚が赤くかぶれて、やがて皮がはがれるほど掻き毟ってしまう。

もうこれ一種の脱皮です。少女から大人への。

肉を食べ体は拒絶して痒くなって皮をはぎ、を繰り返して少しづつ大人へと変化していく。

 

で、それがエスカレートして学食のハンバーグを無意識に盗んで、外で肉が挟まったバケットをむさぼるように頬張って、頭の中がお肉の事でいっぱいになっていく。

しまいには夜な夜な生肉を食べたくなってかじりついてしまう。

 

体の中は既に革命的な変化をしようとしてるけど、頭がそれに追いついていない。大人になるということは外見も変化していくわけで、身だしなみやムダ毛処理なんかもして女を磨いていかないといけない、ということをお姉ちゃんから教わるんですね。

お下がりのクラブの衣装をもらい、パンツからはみ出たムダ毛も処理してもらう。痛みは伴うけどそれは決してただの痛みではない。大人になる痛みだ。

しかしここで事故が起きてしまう。お姉ちゃんが処理に失敗し、ハサミで毛を斬ろうとしたが、お姉ちゃんのはさみを持つ手が震えていたことに不安を覚え、蹴とばしてしまう。

 

その勢いでお姉ちゃんの左手中指が切断してしまうのだ!!

おおおおぉぉおぉおぉぉぉぉぉっっっっ!!!!唐突!!!その直前買ってた犬が股間の匂いを嗅ぎに来るというコミカルで和やかな描写の後の痛ましいカット!

お姉ちゃんは失神してしまい、急いで電話して運んでもらうけど来るのに15分かかるから処置だけでもしようと氷を探すけど冷蔵庫に氷がねえ!

ああどうしよう・・・と落ち込む主人公。しかし、彼女は切り落としてしまった指を見て、そこから垂れる血を観て、ついにとうとう指を食ってしまう!!!

ああああああぁぁあああぁぁぁっぁぁぁっ!!!!!!

何ですかそのちゅぱちゅぱ音をたてながら吸いついて、スペアリブでも食べるかのようにかぶりつくその食べ方っ!

 

とまぁこれを機に人間の肉を欲するようになるんですけども。

実はこれには一つ大きな真実が隠れていまして。この人間の肉を食べるという行為、彼女だけだと思ったらとんでもないわけです。

実はお姉ちゃんも人間の肉を食べる人だったんですね~。

 

とうとうあなたも目覚めたのね。じゃあ我慢できなくなったらこうやって食べるのよ!と教えてくれるわけですが、単純にやっちゃいけない行為で人間を食べるわけです。

なんでそんなことまでして食べるの!?我慢すればいいじゃない!

そうです、我慢してくださいお姉ちゃん。僕もそう感じました。なんでもかんでも本能のまま行動してはいけません。それでは動物です。

 

人間と動物の違い。

序盤で新入生たちが食事している最中に猿を強姦するのかしないのかという話をしていました。それに対し主人公は、人間も動物も同じで猿にも自己がある。いやなものは嫌だと思うはず、という見解を示します。この時彼女の中では、人間も動物も同じ生き物であることが示されています。

ベジタリアンというのもそういう考えから来てるのかもしれませんが、果たして人間と動物は同じなのか。

 

ここでお姉ちゃんの行動を考えると疑問になります。

冒頭、車道をフラフラと歩きながら車が来た途端飛び出して事故を引き起こし、事故って重傷を負った人間に近づくシーンが流れます。

これが結局お姉ちゃんの仕業だったということが後々明かされ、お姉ちゃんは本能に従い食べたくなったらそれをやって人間を食べていたのです。

 

本能のまま生きる。これは非常に動物的な行動ではないか、ということです。

では人間は本能のまま生きているのか、違いますよね。人間には理性があります。

今からやろうとしていることは本当にやっていいことなのかどうか、判断する能力があります。それがあるから人間は道理に対して判断し見極め人間らしい行動をとるわけです。

 

もちろん主人公はお姉ちゃんのやってることに反発します。でも欲求を抑えることができません。

気が付くと同じ部屋でゲイのアドリアンの裸を目で追って、異性として意識していき、彼と寝るのですが、それと同時に彼を食べたくなるのです。

彼に止められ何とか自分を取り戻しますが、どうしても我慢できない。

夜中シーツにくるまって身悶えます。これまたメタファーです。胎内で正に生まれようとしている新生児のよう。第二次性徴期みたいなものでしょうか。

 

ここでまたお姉ちゃんの登場です。お前さぁ何我慢してんのよ、ほらこっち来な、お前は人間の肉を欲しがる家畜なんだよ!!と酒に酔ってるからといえやりすぎだろ・・・という行動を主人公にさせるのです。

それをまわりの生徒たちは動画で撮影して拡散。アドリアンに見せてもらったことでついに怒りが爆発。屋上でのお姉ちゃんとのキャットファイトが始まります。

首根っこを掴みマウントポジションを取り髪を引っ張り、ついには顔をかみちぎり腕を噛みと、犬と犬が本気でケンカしているかのよう。

この姉妹のケンカを他の生徒が止めるんですが、まさに飼い主が飼い犬を紐で引っ張って離しているような構図。

 

やはりお姉ちゃんは動物のような考えで行動していたのです。そしてこの時ばかりは主人公も動物でした。

 

考えてみれば、獣医のための大学という設定も振り返ると非常に理にかなった設定です。

人間は動物と違う、ということを動物を解剖したりケアする描写を入れることで画として説明していますし、新入生たちを束ねて誘導する先輩たちも、まるでヤギや羊を大移動させるような画にもみえます。最初の地下室でのパーティーに行くまでの道中、よっつんばいで移動させてたのもつじつまが合います。

 

 

この衝動を抑えるにはどうすればいいのか、お姉ちゃんのように本能のまま生きるしかないのか、それとも我慢していくしかないのか。人間は食べていかないと生きていけない。肉が欲しい。でも食べるとまた欲しくなる。食欲がない。でも食べないと生きていけない・・・。

主人公は解決法を見つけ出すことができるのか。

 

 

大きな愛。

お姉ちゃんは捕まるのを覚悟で肉を提供します。

結果として今までの一連の行動はお姉ちゃんなりの愛情表現だったことがわかります。

全ては妹のため。ちょっと異常なことまでさせたけど、人間の味を知ってしまったあなたは後戻りなんてできない。だったらアタシがあなたに手取り足取り教えてあげる、そんな風に振る舞っていたのかなぁと。

 

動物は愛情表現の一環で体を舐めたり噛んだりすることがあります。

屋上でのケンカもお姉ちゃんからしてみればそんな感じだったのかもしれません。

そしてそれはエスカレートし大きな事件へとなっていくのですが。

 

で、結末に大きなオチが待っています。いきなり突拍子もなくぶっ根でくるんで笑ってしまうんですが、これも大きな愛だな、と。

相手を受け入れる事ってこの上ない愛の表現なんだなというのが感じられた結末でした。

 

親からの愛、姉からの愛、異性を求める愛、それを拒まず受け入れてくれる愛、主人公は他者から様々な愛をもらっていたんですね。

それを知った時また一つ主人公は成長していくんだと思います。そうやって大人になるんだなぁと。

肉の味を知って、少女から脱皮し、もがきながらも本能と戦い、我慢を覚え、それを分かち合ってくれる理解してくれる人がいて、愛を知る。

一見ホラー的描写の多い作品ですが、なんと奥が深い映画だったことでしょう。

ダラダラと書きなぐり、結構ネタバレしてしまいましたが、モンキー的には観てよかった!良作でした!

 

最後に

公開日、東京は雪が降っていた関係で、いつも初日朝イチで見に行くのが当たり前だったんですが、前日ブログを夜中まで書いていたこともあり、昼からの回に見に行ったんです。ネットで予約したら朝と夕方はスカスカなのに、昼だけ座席が残りわずか。

なんで?と思いながらも今回昼の回で鑑賞したんですが、終わってもみんな帰らない。

なんで?そんなに席を立てないほどみんなショッキングだったの?

 

なんと上映後にトークショーがあったんですね。しかも映画評論家の町山智浩さん!

え!?ウソ!?マジで!?聞いてないよ~wてか超ラッキーww

短い時間でしたが、色々お話を聞かせていただきました。親から見たら子供って食べたくなるほど愛おしい存在なんだ、自分の手がうんこまみれになっても、それすらも愛と思える。これはそんなことを教えてくれる映画だと仰っていました。

 

今まで親からのいいつけで「肉を食べる」行為をしてこなかった子が、親の監視下から離れ、酒の味を知り、醜態をさらし、おしゃれに目覚め、男を異性として見はじめ、初めての経験をし、性に食に欲求が高まり、親へ初めて反発をし、姉にも反発をし、それを経て大人になる、成長譚でありました。

大人になった誰もが通る道を、肉を食べることで表現した異色の青春成長物語。

ショッキングな映像連発だし、実はものすごく笑える場面も多々あり、エンタメ要素としても抜群でした。

是非見ていただきたい1本でした。

というわけで以上!あざっした!!

 

 

RAW 少女のめざめ ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

RAW 少女のめざめ ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

 

 

 

満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10