モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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映画「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」感想ネタバレあり解説 ウディアレンはこのスタイルでやり続けるのね。

レイニーデイ・イン・ニューヨーク

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偏見。

ある集団や個人に対して、客観的な根拠なしにいだかれる非好意的な先入観や判断、だそう。

 

ピエール瀧槇原敬之など、薬物を使用してしまった芸能人が、しっかり更生して復帰してくれることを望む一人ではあります。

 しかし、この「薬物を使用した」という事実を抱いたまま、彼らの演技や音楽に触れた際、純粋な気持ちで見たり聞くことは、もはや不可能です。

 

どうしたって「先入観」がついて回るんです。

 彼らがしでかしてしまった事以前の気持ちで触れることは、僕にとっては不可能です。

 

とはいえ、応援したい気持ちは今でもありますし、これからも期待しています。

 

 

映画界にも明かされてしまった疑惑により、偏見を持ってしまった人物が一人おります。

それが今回鑑賞する作品の監督、ウディ・アレンです。

 

 

これまで数々の名作や良作を手掛けてきた彼に「児童性的虐待疑惑」が浮上しました。

恋人の養女(当時大学生)との肉体関係に加え、当時7歳だった養女にも性的虐待をしたという事実と疑惑が、元妻や被害者の養女の告発により世界的に発信されました。

www.afpbb.com

 

彼の作品に関わったスターは、相次いで声明をし、今後出演しない、ギャラを寄付した、彼の無実を信じると表明、などの行動も出ています。

 

これまでNYを舞台に様々な男と女の物語を作り上げ、観る者に色んな感情を生んでくれたわけですが、正直この報道を見た時、僕は「マンハッタン」の設定を思い出して、あぁ今後この映画は普通の気持ちで見れないなぁと。

 

これがいわゆる「偏見」というやつなんですが、やっぱり巨匠の新作です。

実際、法で裁かれていないわけで、もしかしたら無実かもしれない、けれども火のないところに煙は立たないわけで…。

 

彼がしたかもしれないことには真っ向から軽蔑の念を抱いていますが、やっぱり映画界の巨匠です。

何とかその気持ちを抑えつつ、早速鑑賞してまいりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

84歳の巨匠ウディ・アレンが、今をときめく俳優陣を従え、雨の中のNYを過ごす二人に、運命のいたずらに翻弄されてしまう、甘くてほろ苦いラブストーリーを生み出した。

 

ニューヨークの様々な名所を背景に、移り行く恋模様を天気に絡めて描く内容は、正にシャレオツなアレンならではの設定。

果たして主人公2人の恋愛は、どんな雨模様になってしまうのか。

そして二人は開いた傘を閉じ、お天道様を見上げることはできるのか。

 

男女のキュートなロマンティックコメディを、あなたに。

 

A Rainy Day in New York

A Rainy Day in New York

  • 発売日: 2020/04/23
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

 

 

あらすじ

 

大学生のカップル、ギャツビー(ティモシー・シャラメ)とアシュレー(エル・ファニング)は、ニューヨークでロマンチックな週末を過ごそうとしていた。

 

きっかけは、アシュレーが学校の課題で有名な映画監督ポラード(リーヴ・シュレイバー)にマンハッタンでインタビューをすることになったこと。

 

生粋のニューヨーカーのギャツビーは、アリゾナ生まれのアシュレーに街を案内したくてたまらない。

 

ギャツビーは自分好みのデートプランを詰め込むが、2人の計画は晴れた日の夕立のように瞬く間に狂い始め、思いもしなかった出来事が次々と起こるのだった……。(HPより抜粋)

 

youtu.be

 

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのは、ウディ・アレン。

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 冒頭でも書いた通り、現在渦中のお方です。

詳しくはこちらの記事を読んでいただくとして。

toyokeizai.net

一応刑事裁判は棄却されたので、しこりはいまだ残るものの、出来上がってしまった世間のイメージを覆すことはできていない様子。

まぁ,養女と肉体関係持った上に、結局その後結婚したって過去があるくらいですから、何が起きても変じゃないよなぁ…と思ってしまうわけですが。

 

残りの人生も短い彼ですが、この茨の道を何とか抜け出してほしいものです。

彼に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

 

 

キャスト

大学生のギャツビーを演じるのは、ティモシー・シャラメ。

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人の成長ってのは早いもので、すっかり俳優が板についているといいますか、「君の名前で僕を呼んで」の時が、まだ最近のはずなのに、ずいぶん遠く感じるほど大人になりましたねえ…。

色気やべえなおい。

 

今年は「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」で、主人公ジョーに恋心を抱くもフラれて、ひとり傷心旅行する男を熱演してましたね。

そりゃ好きな人にプロポーズ断られたら、残りの人生どうにでもなれ!って不貞腐れますよね…。あの感じがよくでてましたよw

4姉妹の物語と共に彼の物語でもあったことで、女性だけでなく男性も共感できる人間賛歌になってましたよね。

言うまでもなく、ボロ泣きしましたw

 

www.monkey1119.com

 今後はウェス・アンダーソン監督の『The French Dispatch(原題)』や、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「DUNE 砂の惑星」と、素晴らしい監督の作品に参加する予定です。

日本のTVや!

彼の特集とかやれよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

ギャツビーの恋人アシュレー役に、「マレフィセント」、「ティーンスピリット」のエル・ファニング。

ギャツビーがNYで出会う女性チャン役に、「君が生きた証」、「デッド・ドント・ダイ」のセレーナ・ゴメス

デッド・ダヴィドフ役に、「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」、「ポップスター」のジュード・ロウ

フランシスコ・ヴェガ役に、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」、「ビール・ストリートの恋人たち」のディエゴ・ルナ

ローランド・ポラード役に、「スポットライト/世紀のスクープ」、「僕の大事なコレクション」で監督デビューも果たした、リーヴ・シュレイバーなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだか初期の作品を想起させる作品に感じてなりません。

果たしてどんな物語になっているのでしょうか。

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

雨のニューヨークが麗しく美しすぎる・・・

夢に現を抜かす女と、現実の奥へと足が向く男。

男女の相性ってわからんもんですね。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザ・ウディアレンな映画

週末NYへ行くことになったカップルが、別行動と運命的なすれ違いにより、互いが人生に何を求めていくかを知っていく姿を、雨と夕陽という自然な照明でNYの名所をロマンティックに演出し、パステルカラーの衣装も決まった演者がさらにロマンティックを加速させ、初期の代表作やこれまでのスタイルを一貫させた物語性と会話劇に、安定のウディアレンを見せつけられた作品でございました。

 

いきなり始まる自分語り、終始一貫した会話ベースの物語性、背中を丸めながらインテリチックに語るギャツビー、女に翻弄され黄昏るギャツビー。

現代劇のはずなのにどこかメルヘンチックというか浮世離れしたニューヨーク。

ミッドナイト・イン・パリ」や「マンハッタン」をどこか思わせる感じの映画だったように思えます。

 

また1日の中で起こる目まぐるしい数の出来事を2人の視点で交互に描いているにもかかわらず、90分弱で収めてしまうテクニックも、監督ならではの手慣れた感じが出ていたようにも思えます。

 

そんな巨匠の最新作ですが、とにもかくにも雨のNYってこんなに美しいのか!?と、よだれが出てしまうほどの風景でした。

大学構内の中出会う二人の画には、特にこれといった思いはなく、この後淡々に話が進んでいくんだろうと思ってましたが、バスに乗りニューヨークに着いた瞬間、僕の心は一気に高揚感に包まれました。

 

降りしきる雨の中、荷物を傘代わりに二人寄り添って雨を凌ごうと、屋内へ駆け寄るんですが、時折除く夕陽が彼らを包むと同時に、光を手に入れた雨が二人をさらに煌びやかにさせてしまう、自然が生んだであろう照明が最高に美しいのであります。

 

このショットこそ今作の一番の見せ場とさえ思ってしまう、出来すぎたショット。

ティモシーとエルという若き二大スターが、雨に濡れながらはにかむ姿は、名画の如く我々の心に刻み込まれることでしょう。

 

他にもギャツビーが偶々であった大学の友人に誘われ、知人の妹チャンと車内でキスシーンを撮影するシーンも、恋愛を積み重ねてきた若い男女だからこそさらっとできてしまうにもかかわらず、どこか緊張感が漂う演出。

しかもカットがかかると同時に小雨が降るというニクい演出も加わって、この後の二人には更なるドラマ=本降りがあるのではないかと思わせてしまう伏線のおまけつき。

 

この後もMOMA(だったか?)の美術館の中を世間話しながら歩くギャツビーとチャンや、おじさま夫婦に見つかるまいとひとり逃げ惑うギャツビー、バーで一人悔み黄昏るギャツビー、土砂降りの雨の中あちこち異動するアシュレーのNY小旅行ぶりなど、演者に目を向けなくてはならないのに、ただでさえ行ってみたい街NYに+雨が加わり、こういう日のNYも拝んで観てえ!!と、誘惑がいっぱいな映画だったように思えます。

 

 

 

ロマンティックに恋をして

アリゾナの銀行経営者を父に持つアシュレーにとって、ニューヨークは幼少期に2度しか行ったことないほど慣れていない街であり、ある種憧れの街でもあります。

 

そんなアシュレーを喜ばそうと、生粋のニューヨーカーであるギャツビーは、ここは俺に任せとけ!ポーカーで2万ドル手に入ったから、あのホテル行ってあの店でディナー食べて、子供のころから行きつけのバーで優雅な週末を送ろう!と綿密なプランを立てて出かけます。

 

しかし、ギャツビーの母親からパーティーがあるからアシュレーを連れてきなさいと言われ、ギャツビーはせっかく立てた計画にゲンナリ。

 

さらに不運は重なっていく。

 

著名な映画監督のインタビューのため別行動のアシュレーと来たら、監督の最初の奥さんと名前が一緒という共通点から、なぜか口説かれたり、作品を降板したいがために酔っ払った勢いで失踪してしまう監督を探す羽目になったり、共に行動する脚本家と奥さんの不倫現場を目撃したり、間に入って相談相手になったりしたかと思えば、今度は撮影スタジオで女癖の悪い俳優と対面し、これまた口説かれてしまう始末。

 

さらに、二人が車に乗る瞬間を報道陣に撮られ、上機嫌でインタビューに答えてしまうアシュレーの映像をギャツビーは見てしまうことになり、雨のNYの週末は二人にとって、一気に明暗を分けてしまうのであります。

 

夢の街で夢のような出来事に遭遇しまくりで、酒とマリファナで上機嫌になりまくりのアシュレーに対し、二人の夢を想像していたギャツビーは金持ちの家柄という肩書に捉われ夢すら見れずに賭けポーカーで再び運を使ってしまう皮肉な状況。

 

 

一体2人の運命はどうなってしまうのか、ってのが大体のあらすじなんですけども。

 

 

ギャツビーは夢を見たくてホームタウンを訪れたわけですが、これまで母親から家族の名を汚さぬようにピアノやオペラといった趣味や勉学にいそしむよう教育されてきたことに対し、常に反感を持っていたんですよね。

だから母親主催のパーティーになんか行っても、どうせまた蘊蓄聞かされたり上流階級ばりの会話を聞けば、また気持ちが興ざめになっちゃうと。

 

そんな愚痴をこぼすギャツビーに対し、チャンは恵まれている環境なのにそんなこと言うなら自分で学費稼いで自立すればいいのに、あなたは結局甘えてるのよと一喝。

さらにダークサイドに墜ちていくギャツビーでしたが、なぜ自分は親の期待に背くようなことをしてしまうのか考えてしまうのかという疑問の答えを、母親から明かされることで、自分がどう人生を歩んでいくかってのを知っていくんですよね。

地に足付ける、とでもいうのでしょうか。

 

アシュレーも様々な夢のような出来事に、地に足がつかず、酒も入った状態も加わって、フワフワ加減はどんどん上昇。

彼氏がいるにも関わらず、色気ダダ漏れ俳優に体を委ねてしまう始末。

そりゃ著名な方に口説かれたら、田舎女子なんてなおさらロマンスに溺れてしまうのも無理はない。

孫の代まで語られる一大事件よ、なんて言っちゃうわけですから、そりゃあビッグチャンス到来ですわな。

 

しかし彼女も所詮夢であることに気付き、地に足を付けようとギャツビーの元へ帰るわけです。

私にはちゃんと相手がいるじゃないと。

 

これを機に心を入れ替えるような人生になるように思わせておいて、なんか結局同じことの繰り返しになりそうな結末でしたけど、ウディアレンの映画はこれでいいのかなぁとも思えた映画でもありました。

 

 

 

 

最後に

ティモシーが今回も色気ダダ漏れでしたね。

背中丸めてクタクタのシャツにネクタイ緩めて、ピアノ弾いて歌うかと思えば、バーで一人人生を憂うかのような落ち込み具合。

女性が見たらカッコよすぎてたまんないでしょうね。

正直僕もこれはさすがにカッケーな!と思いましたが、どこかこういう哀愁漂う華奢な男性がお前ら好きなんだろ?とも言われてるような気がしないでもない。

 

逆にエルちゃんは、僕はそこまで好みの女優さんではないんですが、今回に限ってはかなり好み。

これまで無表情で影を背負った役や、怪しげな小悪魔、不思議チャンのような役柄などを見てきたんですが、田舎女子というスタイルを見事に着こなし、憧れのスターを目の当たりにしてはしゃぎまくってテンション可笑しくなってる表情が凄く無邪気で、あ、この子こんな表情も出せるんだ!と彼女の新たな部分を発見できたように思えます。

 

 

そして肝心の僕が抱いていた「偏見」への不安。

映画の内容と監督のプライベートは区別すべきか混同すべきか、という問題は、鑑賞中こそ気にせず堪能させてもらいましたが、見終わったあと振り返ると、うん、やっぱり監督のロリコンイズムみたいなものは、やっぱりあったような気もします。

 

アシュレーって結局おじさんに口説かれっぱなしだったわけで、しかも抱かれる寸前までいくし、迷走中のポラード監督に至っては「俺と南仏に行こう、君はオレンジの香りを嗅ぎながら、僕の新作映画の感想を、ピュアな語り口で僕に話してくれる」って、その映画監督ってアレンなんじゃねえの!?とも思ってしまう。

 

映画はフィクションです。

夢を見させてくれる至福の時間です。

でも作り手の思考や嗜好、価値観、趣味趣向ってのが反映されるわけです。

 

それが作家性というモノに繋がると思うんですけど、ここまで騒がれてしまったのに頑なに自分の作家性を崩さないスタイルってのを、老害として片づけるか、何にも恐れない物怖じしないアイアムミ―こそカッコイイと称賛するのかってのは、僕としては判断難しい所です。

 

きっと問題さえ出てこなければ、こんなこと考えずに観れたろうに、と。

 

とはいえ、鑑賞中は夢を見させてもらったわけで、そこに関しては感謝はしています。

果たして今後の監督の作品は製作されるのでしょうか。

一丁前に語ってしまいましたが、これからも「偏見」と対峙しつつ見続けよう、とは思ってます。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10