モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「レミニセンス」感想ネタバレあり解説 過去の記憶に縋って何が悪いのか。

レミニセンス

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いきなりでなんですが、もろ「インセプション」ですよねw

 

記憶に潜入する?別の記憶を植え付ける?

記憶に飲み込まれる?記憶に騙される?

 

これ「記憶」を「夢」に置き換えたら完全にインセプションですよねw

ポスターの色味もまんまだし(ワーナーの狙いだと思うけど)

 

それもそのはず。

本作を製作したのは、最近全然一緒に映画製作してくれないノーラン兄弟の弟ジョナサンですから。

クリストファー兄ちゃんは兄ちゃんで、時間のトリックを使ったスパイアクションに没頭してますけども、ジョナサンはそれが嫌になっちゃったのでしょうかw(多分ドラマ製作で忙しかっただけw)

 

確かに兄ちゃんは戦争だとかスパイとかをやりたいんでしょうけど、弟は脚本家だけにロジックにこだわりたいのかなぁ。

どちらも似たようなロマンチシズムをお持ちですが、そろそろ二人の共同作業が見たいものです。

 

インセプションの感動再びなるか!

早速観賞してまいりました!

 

作品情報

2000年以降、様々な「時間のトリック」で我々映画ファンを虜にさせたクリストファー・ノーラン監督。

彼と共に映画製作をした脚本家で弟のジョナサン・ノーランが、今度は「記憶の世界」を可視化させた。

 

ほぼ浸水した都市を舞台に、記憶に潜入するエージェントが、謎の女性を探し求めに記憶の深淵へと向かうSFサスペンス。

 

ジョナサンと共に製作にかかわった監督と共に、ディストピアな近未来の世界観と、ハードボイルドな物語をマッチングさせ、観る者を視覚的、知覚的に刺激を与えていく。

 

ジョナサン製作の「プレステージ」で主演に抜擢されて以来のタッグとなったヒュー・ジャックマンが、得意の歌とダンスを封印し、記憶の海に溺れていくエージェントをタフにピュアに熱演した。

 

ジョナサンが仕掛ける記憶と時間のトリックを、あなたは見破ることができるか!

 

インセプション(字幕版)

インセプション(字幕版)

  • レオナルド・ディカプリオ
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あらすじ

 

記憶には誰も知らない、深層世界があった。

その世界に潜入〈レミニセンス〉し、真実を暴けるのか。

 

ルール1:潜入できる記憶は、対象者が五感で体感した世界すべて。

ルール2:同じ記憶に何度も入ると。対象者は記憶に飲み込まれ、現実に戻れなくなる。

ルール3:記憶から、事実と異なるものを植え付けると、対象者は脳に異常をきたす。

 

 

都市が海に沈み、水に支配された世界で〈記憶潜入=レミニセンスエージェント〉として暗躍するニック(ヒュー・ジャックマン)に、検察から仕事が舞い込む。

新興勢力のギャング組織の男が瀕死の姿で発見され、その男の潜入し、ギャングの正体と目的を掴めという依頼だ。

 

記憶から映し出される事件のカギを握るなzの女性メイ(レベッカ・ファーガソン)を追って、多くの人々の記憶潜入<レミニセンス>を試みるニック。

 

膨大な記憶と映像に翻弄されるニックは、やがて予測もしなかった陰謀へと巻き込まれていく。(hpより抜粋)

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監督

本作を手掛けるのは、リサ・ジョイ

 

ジョナサン・ノーランと共に製作総指揮したHBOドラマ「ウエストワールド」が大ヒットしたことを受け、再び製作したのが本作。

・・・と思ったら、ジョナサンと監督、私生活でパートナーだそうで!!

それは知らなかったです。

 

本作のきっかけは「ウエストワールド」でのブレイク前、しかも妊娠中に書き上げた脚本とのこと。

妊婦に与えられるようなTVでの仕事がなく、失業中の身も手伝っての大胆な内容だったとのこと。

 

さらに本作のテーマである「記憶への潜入」については、祖父の遺品整理の際に感じた「一生の思い出」や、子供を育てたときに感じた「瞬間を保管したい気持ち」をきっかけに「人生に影響力がある過去の記憶を再体験することができたら」というコンセプトができたとのこと。

詳しくはこちら

 

他者の記憶を追体験するがごとく捜査する設定が、極私的な体験からだったのは意外です。

ジョナサンと共に作り上げた映画は、果たして我々をどんな気持ちにさせてくれるのでしょうか。

 

キャラクター紹介

  • ニック・バニスター(ヒュー・ジャックマン)・・・退役軍人。「バニスター&アソシエイツ」で記憶潜入エージェントとして、他人の記憶に潜入し、事件を捜査している。

 

  • メイ(レベッカ・ファーガソン)・・・ニックの前に突然現れる謎の女性。ニックが検察から捜査を依頼された事件のカギを握る。

 

  • ワッツ(タンディ・ニュートン)・・・「バニスター&アソシエイツ」でニックの相棒として働く。退役軍人で狙撃の名手だった。ニックのことを見守りながらも、時に厳しい言葉をかける一面も。

 

  • セント・ジョー(ダニエル・ウー)・・・水に支配された都市で、麻薬の流通の取り仕切るギャングのボス・検察から目をつけられている。

(以上hpより)

 

 

 

 

 

 

記憶や時間を操る設定を難しく捉えてしまいがちですが、よくよく考えれば探偵が女性を探す物語。

SFジャンルにも目を向けながら堪能できればいいですが。

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

あ~すっぺえ!!

すっぱ過ぎるよ!おヒュー様っ!

水に溺れかけた世界で記憶に溺れかけた男が事件の行方を追うSFサスペンスでした!

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

記憶とは過去である。

浸水しかけた都市を舞台に、記憶を可視化させることでクライアントの心を救う男が、依頼された事件を突き止めていく物語。

 

あらすじでは謎の女性を探すことが事件を解決するカギだと紹介してますが、中身はそんな単純なモノではありませんでした。

 

普通にバニスターの恋人なんですよ。

突如彼女が消えたことで、ただでさえディストピアな世界なのに唯一生きる糧を失ったことで、どっぷり記憶潜入装置で過去に縋りまくってるわけです。

そこへ検察から依頼された事件を記憶潜入装置を使って調べていくと、彼女の姿を見つけるんですね。

 

だから事件を追うことは追うんですけど、結局は行方不明となった恋人探しなんですね。バニスターの主旨は。

 

この時点で「話と違うじゃねえか!」ってなる人は多いかと思うんですけど、僕はこの物語、嫌いになれません。

 

なんでかと言いますと、人は時に過去に縋る生き物だと思うんですね。

特に2021年の今、いつものように生活することができない事態わけで、気軽に出かけることも居酒屋でお酒を飲むことも旅行や帰省することも考えなくてはいけない、色々と制限しなくてはいけない日々を送っていると思います。

 

こういう時、人は「あの頃は楽しかった」、「あの時こんなことしたね、またしたいね、いつできるかね」と過去を回想し、思い出に浸り、鬱屈した今を忘れようとするんです。

 

本作の舞台も、戦争や自然破壊によって都市部にまで水が浸水し、土地を持つ者が土地持たない者を搾取し、貧富の差が生まれている息苦しい世界になってます。

一見空撮すると美しく見えますが、昼と夜の生活を逆転しなくてはいけないほど生活しづらく、デモ活動しても世界が一変するわけでもなく、市民はただただ記憶潜入装置を使って、楽しかった日々を体感し、一時だけ今を忘れることで何とか生き抜いているんです。

 

また記憶というのは自分の頭の中にあるわけですから、引き出すのも自分自身。

都合の悪いことは忘れ、都合のいい事だけ覚えていればいい。

 

冒頭でも「過去が幽霊なのではなく、過去に縋る我々が幽霊」だと語りますが、正にそんな人たちの物語なんですね。

そして大事なのは、決してそれが悪い事ではないと伝えること。

決してあの頃に戻れないのであれば、あの頃の記憶=過去の中で生きてもいいのではないかと。

 

実際バニスターは、とある依頼を通じて恋人関係になるんですが、突如行方不明に。

その後数か月も自ら記憶潜入装置に入り、メイトの甘い背活に溺れるわけです。

こんな世界だけど前を向くしかないと説教する相棒のワッツの言い分も理解できますが、バニスターにとってメイは生きる上でこれ以上の意味はないと思える存在だったわけです。

 

だから事件の影に彼女の存在があれば、事件そっちのけで彼女を行方を追うわけです。

 

バニスターの最後の選択は、僕が彼の立場なら同じことをしたかもしれない。

水に溺れかけた世界で、過去に溺れる選択。

 

非常に切ない物語でした。

 

展開ガバガバだけど嫌いじゃない

水浸しになった世界。

よくよく考えると「記憶潜入装置」を作れるほどの科学力があれば、自然によって淘汰された都市でも、市民がもっと豊かに暮らせるような世界って実現出来たりしないかなぁと、根本的な部分でクエスチョンが出てしまいましたw

 

あんな立派な機械ですから、売ったら結構な金になるだろうし、そもそも作るのに結構な金が必要だと思うわけで。

しかもバニスターだけが所有してるわけではなく、もっと性能のいい装置を持ってる企業もあり、この記憶潜入装置自体結構普及してるんですよね。

 

しかもバニスター&アソシエイツを経営するバニスターが記憶潜入エージェントなのかもしれませんが、劇中でやってることは生活に苦しんでる人に一時の清涼剤を与えるために装置を使って安価で記憶を見せてあげる事だけ。

別に他人の記憶を漁って捜査ばかりする役柄じゃないんですよね。

 

もうこの時点で宣伝詐欺なんですよw(でも!嫌いじゃない!)

 

 

物語は、麻薬組織のボスの行方を探すよう依頼されるんですね。

ボスの手下の記憶を探ってほしいと検察から言われ、早速旧式の装置で探すと、5年前に麻薬組織のボスとメイが接触してるではありませんか。

既にメイに未練タラタラのバニスターは、メイへの思いをさらに加速させ、一応組織のボスを探しに行くんですけど、決して検察に知らすことなく、ボスにメイの行方を聞きだそうとするんですね。

 

もはやエージェントとしての任務なんかしてません。

プライベートですw

 

物語はどんどんガバガバに。

既に組織のボスはワッツの手によって死んでしまうんですが、メイ探しは難航。

前を向いて進んでほしいがために重要なことを隠していたワッツの証言によって、バニスターはメイ探しへの手がかりを突き止めます。

 

メイはバニスター&アソシエイツの保管庫に侵入し、ある人物の記憶データを盗んで姿をくらましたのです。

ここからメイは一体なぜバニスターに近づき、データを盗んだのか。

雇い主や記憶データの持ち主の行方から、真相はどんどんデカい方向へとシフトしていくんですが。

 

結末は大好きです。

ですが、メイは結局何をしたかったのかという点については、記憶を追わずともなんとなくわかってしまうんですよね。

どう考えたって、途中から出てきた人物が絡んでるし、多分バニスターをただ利用するために近づいたわけではなさそうってのが透けて見えるんですよね。

 

まぁこれ以外でも、アクションは見づらいし、退役軍人なのに拳銃全然使いこなしてないし、そんなに強くないし。

 

あと恐らく見た人の中で一定数いそうな気がするんですけど、ああいう大きな水槽に身体ごと浸かるヒュージャックマンを見ると、ウルヴァリンのウェポンX計画を思い出してしまってw

起き上がったら拳から爪出てやしないか心配でしたw

 

最後に

インセプションでも主人公コブが夢の中に入る度に、元奥さんの亡霊が登場してミッションの邪魔をする件がありましたよね。

ラストも夢なのか現実なのかピリオドをつけないまま終わるし。

やはりジョナサンが製作に絡んでるからか、こういう現実ではない場所で夢見心地になってしまう人間の弱い部分を、否定も肯定もせずに終わらせる辺りは心を締め付けるよなぁと見終わった後感じました。

 

バニスターは結局利用されたけど、彼女の本心を知りたかったからあそこまで追いかけたと思うんですよ。

私はもうこの状況から抗えないけど、記憶の中で私はずっと輝き続けるから待ってる。

記憶装置を使って明かされる彼女の本心は、思い込みかもしれないけどそういってるようにも聞こえたし。

 

とにかくすっぱい映画でした。

昔の恋人が忘れられない人は、この映画を観てボロクソ泣いてほしいですねw

一瞬でも過去の記憶を体感できれば、案外現実世界で上手くいくのかもしれません。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10