モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「果てしなきスカーレット」感想ネタバレあり解説 赦すことに苦悩するハムレット。

果てしなきスカーレット

おおかみこどもの雨と雪」から少しずつ自分が求めてるものとは違う方向に行っている気がする細田守監督作品。

時をかける少女」や「サマーウォーズ」に思い入れが強い人は、もしかしたら同じ気持ちだったりしないですかね。

 

色んなインタビューを読んでいて気付くのは、子を育てる親である監督自身の思いが、作品を重ねる度に強くなっていること。

そこに一定の理解はしつつも、やっぱサマーウォーズを越えてこないんだよなぁ面白さが…。

 

現実と仮想現実の世界をうまく融合させた物語世界にはいつも驚かされるんですけどね、なんかもうその設定自体、どの映画でもやってるせいか古臭くも感じる。

 

…といきなり否定的なことを言ってますが、駿、新海、細田の3人はミーハー的な気持ちをもあり一応追ってはいるのでね、今回もちゃんと観ますよと。

なんでも今回は「ハムレット」が下地になってるそうで、一足お先に鑑賞したクロエ・ジャオ監督の「ハムネット」を見たばかりなので、あの悲劇がどうアレンジされているか注目ですね。

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

「サマーウォーズ」、「竜とそばかすの姫」の細田守監督が、ストーリーや映像表現など、これまでにない全く新しい境地に到達した「果てしなきスカーレット」。

 

国王である父を殺された王女が、「死者の国」と呼ばれる地で復讐の戦いに身を委投じるも、現代からやってきた看護師の青年との出会いを通じて、心動かされ変化してゆく感涙の物語。

 

シェイクスピアの四大悲劇のひとつ「ハムレット」では、亡き父が息子に「許すな」と告げることで復讐劇が行われるが、それに対し監督は「もし自分が国王の立場だったら、子供に敵を討ってもらおうとは思わない」という発想から、本作は「許す」ことの旅路を描いていく。

さらに中世の女性と現代の男性というバディ感や「竜とそばかすの姫」で盛り上がったミュージカル要素を再び取り入れ今回パワーアップ。

 

また、世界に追い抜かれないような新しいルックのアニメーションにも挑戦。

明らかに過去作とは違う映像表現で、世界に挑む。

 

本作の主人公スカーレットの声を担当するのは、「はたらく細胞」の芦田愛菜

同世代のキャラとはいえ、現代とは違い動乱の世を生きた女性をどう声で表現するかに注目だ。

そして現代からやってきた青年・聖役を、「ドライブ・マイ・カー」の岡田将生が、スカーレットの父を殺したクローディアス役を、「バケモノの子」はじめ細田作品常連の役所広司が担当する。

 

他にも、市村正親吉田鋼太郎といった舞台俳優たち、山路和弘宮野真守津田健次郎羽佐間道夫古川登志夫などの声優陣、斉藤由貴松重豊染谷将太青木崇高などの俳優たちもボイスキャストに名を連ねている。

 

『時をかける少女』から19年。細田守監督が描き続けてきた壮大なテーマと内面世界。根底に流れる精神は今も変わらず、観る者全ての心を掴み、大きく揺さぶる―。

 

 

 

サマーウォーズ

サマーウォーズ

  • 神木隆之介
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あらすじ

 

父の敵への復讐に失敗した王女・スカーレット(CV:芦田愛菜)は、《死者の国》で目を覚ます。

ここは、人々が略奪と暴力に明け暮れ、力のない者や傷ついた者は〈虚無〉となり、
その存在が消えてしまうという狂気の世界。

敵である、父を殺して王位を奪った叔父・クローディアス(CV:役所広司)もまたこの世界に居ることを知り、スカーレットは改めて復讐を強く胸に誓う。

 

そんな中彼女は、現代の日本からやってきた看護師・聖(岡田将生と出会う。

時を超えて出会った二人は、最初は衝突しながらも、《死者の国》を共に旅することに。

 

戦うことでしか生きられないスカーレットと、戦うことを望まない聖。

傷ついた自分の身体を治療し、敵・味方に関わらず優しく接する聖の温かい人柄に触れ、凍り付いていたスカーレットの心は、徐々に溶かされていく―。

 

一方でクローディアスは、《死者の国》で誰もが夢見る“見果てぬ場所”を見つけ出し。我がものにしようと民衆を扇動し、支配していた。

またスカーレットが復讐を果たすために自身を探していると聞きつけ、彼女を〈虚無〉とするために容赦なく刺客を差し向ける。

 

スカーレットと聖もまた、次々と現れる刺客と闘いながら、クローディアスを見つけ出すために、“見果てぬ場所”を目指してゆく…。

 

そして訪れる運命の刻。

果てしない旅路の先に、スカーレットがたどり着く、ある〈決断〉とは――(HPより抜粋)。

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キャラクター紹介

  • スカーレット(芦田愛菜)…とある国の国王である父を殺された王女。宿敵に復讐を果たすため“死者の国”を旅する。
  • 聖(岡田将生)…現代の日本から“死者の国”に来て、スカーレットと共に旅をする心優しい看護師。
  • クローディアス(役所広司)…権力を求め、スカーレットの父であり自身の兄であ
    アムレット王を殺して王位に就いた、冷酷非道な国王。何らかの理由で≪死者の国≫におちて、スカーレットの命を狙う。

 

  • アムレット(市村正親)…スカーレットの父で、とある国の心優しい国王だったが
    クローディアスに嵌められて処刑される。
  • ヴォルティマンド(吉田鋼太郎)…騎士たちを従えるクローディアスの側近。≪死者の国≫でスカーレットの命を狙う。
  • ガートルード(斉藤由貴)…スカーレットの母。弱腰な夫・アムレットを見限り、野心家のクローディアスの陰謀に加担する。

 

  • コーネリウス(松重豊)…腕っぷしの強いクローディアスの側近。≪死者の国≫でスカーレットの命を狙う。
  • ポローニアス(山路和弘)…クローディアスの側近。レアティーズと共に≪死者の国≫でスカーレットたちの動向を監視している。
  • レアティーズ(柄本時生)…クローディアスの側近。ポローニアスと共に≪死者の国≫でスカーレットたちの動向を監視している。

 

  • ローゼンクランツ(青木崇高)…クローディアスの家来。ギルデンスターンと共に
    ≪死者の国≫でスカーレットの命を狙う。
  • ギルデンスターン(染谷将太)…クローディアスの家来。ローゼンクランツと共
    ≪死者の国≫でスカーレットの命を狙う。
  • 少女(白山乃愛)…≪死者の国≫でスカーレットが出会う、少女。
  • 老婆(白石加代子)…≪死者の国≫でスカーレットが出会う、謎の老婆。
  • 墓掘り人(宮野真守)(津田健次郎)…スカーレットが出会う、瘦せこけた墓掘り人
  • 年寄りの長(羽佐間道夫)…スカーレットと聖が≪死者の国≫で出会う、懐の広いキャラバンのリーダー
  • 宿の住人(古川登志夫)…スカーレットと聖が≪死者の国≫で出会う、“見果てぬ場所”を知る宿の主人。

(以上HPより)

 

 

 

 

 

 

 

見果てぬ場所とはいったいどこなんでしょうか。

中世と現代の人間が相互理解するのってすげえ時間かかると思うんだけど、その辺もうまく整合してくれたら面白そう。

ここから鑑賞後の感想です!!

 

 

感想

画力を増すための労力は相当時間を費やしたんだろうが、物語を作り込むのには大して時間を割かなかったんだろうか。

良く言えばオーソドックス、悪く言えばよくある話。

これでいいのか細田守。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

復讐のために生きるのは勿体ない。

叔父に父を殺されたスカーレットが、死者の国で叔父を殺すための旅を、現代で生きる若者で、優しさの塊である聖とと共に「見果てぬ場所」へ向かう物語。

 

冒頭でも書いた通りケネスブラナー版のハムレットが、ちんぷんかんぷん且つナルシスティックなケネスを見てられなくてものすごく面白く感じなかった分、本作はいわゆるハムレットの現代的解釈とも呼べる作品故、ハムレットをまず知りたかったからこれを見ればなんとなくわかるよ、といった小学生向けのハムレットだったのではないかと、小学生みたいな感想から始まってすいません。

 

そもそも死者の国とはなんなのか。

これは多分に天国でも地獄でもない場所、三途の川的場所なんでしょうかね。

行き場所がないから誰もが見果てぬ場所を目指すわけであり、やることがないから支配しようと企む愚か者がいる。

現世では死んだことになってるけど、だからといってここでずっと生きてもいけない。

死ねば虚無となってしまう条件があることから、誰もがそれを恐れながら、現世で果たせなかった思いを胸に「生きてる」という設定、でいいのか?

 

ここでスカーレットはクローディアスが送り込んできた伏兵と幾度も闘いながら、現代から「間違って」やってきた聖と出会い、復讐にかられるスカーレットとは違い「それは違う」とストッパー役として敵の怪我を直したりするハクソー・リッジのアンドリュー・ガーフィールドみてえな役柄として活躍する。

 

一応戦いがメインだった中世の王女と、新しい戦前で生きるZ世代の聖という全く違う時代を生きる2人が、戦うこと、復讐することの是非を問いながら旅を続けるバディモノとして描かれてはいる。

 

しかしこの聖、弓矢は撃てるわ琵琶だかマンドリンみてえな楽器は弾けるわと何かと芸達者で、救急隊員としての仕事っぷり以上に、こうした芸が旅で活かされていくのは面白くもあり不思議でもあった。

何が驚いたって、夜にたき火しながら弦楽器を弾いて歌いだすと、スカーレットが急に眼を大きく見開く。

辿りついた場所はなぜか聖がいる近未来の渋谷で、スクランブル交差点でみんなが歌って踊り出す姿が映し出される。

 

監督自身「龍とそばかすの姫」のミュージカルパートが気に入ったから今回もやってみたそうだが、あまりに唐突すぎる描写以上に、「一体俺は今何を見てるんだ?」とこっちが虚無に落ちる所だった。

そこではスカーレットも現代にいて、誰もが楽しそうに歌い踊るんだけど、そのダンスがいわゆる腰クネクネしながら踊るラテンのリズムで、やたら聖の腰回りが柔らかすぎて逆に気持ちが悪かったのだ。

 

スカーレットがどう踊ろうが問題はない。中世にラテンのリズムがあったのかどうかは知らないけれど、社交界に出れば殿方とのダンスは必然だろうから、仮にあのダンスでも理解はできる。

でも聖は救急隊員で、頭は短髪。

見てくれのイメージも相まって、その腰つきはどうも解せん。

 

・・・と自分の視点なので好き勝手書いてみたが、恐らく誰もだがあのミュージカルパートに戸惑うことだろう。

 

物語は、普通に生きる市民たちと、あらゆる時代で戦った兵士たちで構成されたクローディアス軍団との一騎打ちが描かれる。

まるで革命を起こしてるかのような命を丸投げにした突っ込み、それを容赦なく攻撃し虚無に支える軍隊。

どの時代もどの場所でも争いはこうして悲劇にしかならないことを示唆したかのような描写を容赦なく見せていく。

 

その中でもスカーレット歯向かってくる敵を斬り、聖は大けがを負った人の手当てに勤しむ。

すると火山が噴火し、相当量のマグマが彼らに降り注ぐ。

それでも「見果てぬ場所」へ向かおうと足を止めない彼らは、無論焼け焦げはいとなっていくんだけど、これがアニメーションとはいえ生々しい。

 

そう、結構本作は気味悪い描写がちょっぴり入ってるのがスパイスになってたように思う。

特に終盤でのクローディアスとの対峙はなかなかで、ドラゴンが放つ雷によって丸焦げになった姿をグロテスクに映すし、その後虚無になっていくまでを時間たっぷり使うことで、如何にクローディアスが生き抜くことに未練タラタラなのかが伝わること以上に、血管むき出しにして命乞いをする表情が、細田作品にはあまり見かけない姿ではっとした。

 

物語は、ようやく「赦す」とは何を刺すのかの答えを提示する。

それは「クローディアスを赦す」のでもなく「先に死んだ父を赦す」のでもなく「自分を赦す」こと。

復讐に駆られて生きる事なんてしてほしくないという細田パパの思いがラストのセリフで告げられることはもちろん、将来のビジョンや夢を持って生きる次世代の若い人たちが、「復讐する」ことで道を誤ってほしくない、そんなことのために生きて何になるというメッセージを、父であるアムレットの口から伝えられ、スカーレットは涙を流しながら誤った道に進もうとしていた「自分を赦す」ことにする。

 

死者の国では一人だけが現世に戻れるのだが、残念なことに「間違って死んだ」と思っていた聖は実際に死んでいて、さらに戦いの最中に受けた傷が癒えておらず、傷口から虚無状態が始まっていたのだった。

死んでいなかったスカーレットは聖と根性の別れを告げ、聖が生きてる世界でも争いのない世界にするため、市民が豊かになる暮らしを目指すことを民に告げるのだった。

 

 

こんな話なんだけど、わかりやすいといえばわかりやすいので、普段映画を見ない人、それこそ細田守作品だから見に行くなんて人にとっては見やすい内容だと思う。

それ以上に、手書きとCGによる画力がこれまでと全く違うモノになってるので、それを受け入れられるかが本作を楽しめるカギになってくるんじゃないだろうか。

 

自分も最初は戸惑ったモノの段々慣れてきたし、髪切ったスカーレットがまぁかわいいんだなこれが。

あとは背景が物凄くダイナミックに描かれてるので、幾度か目を奪われもした。

渋谷にトリップしてしまう瞬間のスパーキングな映像はもちろん、溶岩が飛んでくる火山、民衆がイモ洗いのようにうねうねと動く空撮の描写など、大きく画を映そうとするシーンはかなり力が入っていたように思う。

 

しかし物語はどうにかならなかったろうかと、強く物足りなさを感じる。

オーソドックスだし、ハムレットの二次創作だし、「生きろ」ってメッセージはもののけ姫だし、「生きたい」て叫ぶのはエニエス・ロビーのニコ・ロビンだし、赦すって何よ!!と葛藤した李慟哭する場面は、もうそれ碇シンジ以外の何物でもないよと、色んなアニメ作品が蘇ったりもした。

 

そうしたパーツも目立つけど、何よりも捻りのない物語過ぎるしオチも読めてしまう。

またハムレットをモチーフにしておきながら文学的な面も弱く(だから見やすいって利点もあるけど)、噛みごたえの無いガムをひたすら噛んでる感覚でもあった。

 

特に気になったのは、何故生きてるはずのクローディアスも死者の国にいるのかや、聖のキャラクターの活かし方はもっと工夫が必要だったと思う。

クローディアスに関しては最後に明かされるが、何それ?と思ってしまうほど拍子抜けした情けないオチ。

聖に関しては、全く素性の違う二人がぶつかりながらも呼応し合うから美しいのがバディモノだと思っていて、本作の場合二人がそこまで対等になっておらず、結局スカーレットのためのキャラになってるのが残念だった。

 

聖に関しては、唯一ハムレットとの差をつけるために必要だったキャラ故に、なんとかできなかったものか。

彼がなぜ死者の国にやってきたのかも劇中で明かされるが、その理由が特に響いてこないのは残念。

 

 

最後に

生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ

有名なハムレットのセリフですが、本作で引用するならば「復讐するべきか赦すべきか、それが問題だ」って感じでしょうか。

 

結局見果てぬ場所ってなんなんでしょう。あそこに行くと何があるんでしょう。

生き返ることができるってわけでもなさそうだし、結局あの門は開かれないし。

 

アクションはモーションキャプチャーでやったんですかね。

如何にも中世っぽい殴り合いをしてない、めっちゃ現代的な格闘してるのは気になります。

ちゃっかり伊澤彩織の名前あったな。今やどこにでも顔出すアクション俳優になりましたね。彼女主演の映画一度も見たことないですけど。

 

多分我々の様な人間が見ると、物足りなさの感じる映画だったんだろうけど、これから生きる子供たちに向けた映画だとしたらその意義は大いにある作品だったとは思います。

そういう意味において本作を俺の口で汚したくはないので、どうかたくさんの子供たちがこの映画で感動してくれたらいいなと願っております。

あくまで俺は面白いとは思わなかった、物足りなさを感じた映画だったなと。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10