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映画ってのは時代が進むにつれて様々な形の作品が増えていってると思うんです。
「カメラを止めるな!」ってちょっと変わったワンカットの映画がありましたし、終始主人公の視点=FPSで描くアクション映画「ハード・コア」てのがありまして(まぁ酔った酔ったw)。
FPSってもう何作も世に出てるけど、アクションてのは無かったわけじゃないですか。画期的でしたよね。
で、今回観賞した映画も斬新な作品として話題を呼んでるんですよね。
どんな内容かというと、全編PCの画面の映像のみで展開されるサスペンススリラー。
すごいですよ。
パソコンの画面だけで話が成立するんですよ?
物語ができちゃうんですよ。
一応娘を探すお父さんの話なんですが。
恐らくいっぱいファイルだったりブラウザだったり乱立するんでしょうね。Youtubeの動画から、たくさんのSNS、音楽まで聴いちゃうのかな?
そしてカメラを使って主人公の様子だったり、相手とスカイプしたりして会話や物語を組み立てていくんでしょう。
外行ったりはしないってこと?
ひたすら室内ってこと?
外行ったら人は出てこなくてSNSだけで話が進むのか?
その間Youtubeの動画流れたりして回想とかするのかな?
いやぁ~どうなるのかわからん!!全く読めん!
楽しみ!!
色んな妄想や疑問が止まらない中、早速観賞してまいりました!!
作品情報
普段私達が余所見をしながら、テレビを観ながら、又は仕事でひたすら向かいあっているパソコンやスマホといった画面。
そんな極々身近なモノを映画にし表現することで、過去に例を見ない全く新しい映画が誕生した。
忽然と姿を消した娘を探すため、父は娘のパソコンにログインし行方を追うが、そこには自分の知らない娘の姿が。果たして娘は・・・という一見手垢のついたような内容の話だが、この物語は最初から最後までPCの画面のみで展開されていく。
この巧みな手法を使い製作した監督は今回が初の映画作品。
内容はもちろんながら斬新なアイディアが受け、今年1月に行われたサンダンス映画祭で観客賞を受賞し、全米ランキングでも最高4位まで上昇し話題となった本作が日本でも公開となる。
予想の斜め上を行く展開に、今作は「事件」になることは間違いない。
あらすじ
忽然と姿を消した16歳の女子高生マーゴット(ミシェル・ラー)。
行方不明事件として捜査が始まる。
家出なのか、誘拐なのかわからないまま37時間が経過。
娘の無事を信じる父デビッド(ジョン・チョー)は、彼女のPCにログインしSNSにアクセスを試みる。
インスタグラム、フェイスブック、ツイッター・・・
そこに映し出されたのは、いつも明るく活発だったはずのマーゴットとはまるで別人の、自分の知らない娘の姿があった・・・。(HPより抜粋)
監督
今作を手がけたのは、アニーシュ・チャガンティ。
現在27歳というピチピチの新人さんです。
当初GoogleGlassっていうメガネ型のヘッドマウントディスプレイを使って撮影した、およそ2分くらいの短編作品「Seeds」が、Youtubeで一気に拡散されたことで約2年間、GoogleのCM製作を任されたんだとか。
さすがGoogleっすね。
それからはこの映画を元々短編映画として想定していたものの、急遽長編映画として製作しないかという打診があり、プロデューサーと今作に関して製作を詰めていくに当たって色々あったそうですが、何とか完成まで至ったそう。
こちらもどうぞ。
キャスト
マーゴットを探すお父さんデビッド・キムを演じるのはジョン・チョー。
リブート版「スタートレック」で、クリス・パイン演じるカークと共にエンタープライズ号に乗り、主任パイロットとして活躍するスールー役でお馴染み。
むしろ他の出演作品知りませんw
アメリカでは「クレイジー・リッチ」の大ヒットによりアジア系俳優が主演した作品が注目を浴びており、今作もその波に乗ってプロモーションをしたようで、彼が今作の無料上映会を催したようです。
うん。いい傾向ですな。
そんな彼の過去作をサクッと紹介。
高校卒業までに初体験を済ませようと恋人探しの大奮闘をする人気コメディシリーズ「アメリカン・パイ」で注目を浴びます。
その後も元カノが忘れられずひたすら自作のCDを贈り続けるミュージシャンの青年と、その選曲に惹かれたヒロインが繰り広げる青春ラブストーリー「キミに逢えたら!」、人工的な記憶を植えつけることができる近未来を舞台に、記憶を塗り替えられた男が、記憶を取り戻す死闘を繰り広げる、シュワちゃん主演作のリメイク「トータルリコール」、他人の情報を盗んで結う裕二的な生活を送る詐欺師のオバさんと、被害をこうむった中年サラリーマンが珍道中を繰り広げるコメディ映画「泥棒は幸せのはじまり」などに出演しています。
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他のキャストはこんな感じ。
デビッドの娘・マーゴット役に、Netflixドラマ「ギルモア・ガールズ:イヤー・イン・ライフ」に出演したミシェル・ラー。
デビッドの弟・ピーター役に、韓国系アメリカ人の俳優ジョセフ・リー。
ヴィック捜査官役に、TVドラマ「ふたりは友達?ウィル&グレイス」、「ラッキー・ユー」のデヴラ・メッシングなどが出演します。
全編PC画面で展開される今作。
娘を検索したことで本当の彼女を知るとこになる父の心理とは。
父ちゃん勝手に娘のパソコンいじるなや!とか野暮なツッコミは致しません。
行方不明なんですから非常事態ですよ。
一体どんな仕掛けが施されているのか。
ここから観賞後の感想です!!
感想
中々楽しい映画だったぞ!
しかし5年後見たら駄作に感じるから今見ておいた方がいい。
以下、核心に触れずネタバレします。
全編PC画面でも疲れない工夫。
突然行方不明となった娘の捜索を、パソコン一台とスマホ一台で捜索を試みる父の姿を、全てパソコンの画面から描くとともに、妻を亡くしたことで崩れつつある父娘のわだかまり、その穴を埋めようと寄り添う父の弟、そして子を持つ親の異常なまでの行動など、加害者被害者関わらず子供のためならと粉骨砕身する姿をうまく脚本に盛り込むことで、ただのアイディア勝負にならない非常に優れた映画でございました。
今作の売りは何といっても全編PC画面。
一体どうやって描くのか、見る前から非常に気になっていた今作でしたが、これがうまく演出されていて楽しかった。
娘や弟、そして刑事とのやり取りをメールやフェイスタイム、または音声のみで伝える方法で会話。
普段パソコンを通してチャットもメールもフェイスタイムもしない僕にとって、向こうの方ってこんなに普段使っているんだなというのは驚き。
他の映画でもよくフェイスタイム使ってるシーンがあるけど、もうこれが主流なんですかね。
で、これを使うことによって、通話後のお父さんのなんともいえない表情がドラマを引き立ててるんですよね。
メールにしたってただ文章をやり取りするだけじゃない。
一度文章を送る一歩手前で文を消したり、打ち直そうか手が止まる瞬間などで、今お父さんがどんな心境か、というのを勘ぐることができる。
そして娘の捜索に関しても、ユーキャストやインスタグラム、フェイスブック、Twitter,などあらゆるSNSを使って探していくんですが、ちょっとずつ娘のプライベートが紐解かれていく流れをテンポよく映している。
娘のアカウントのパスワードを見つけるの、一体どうやるんだろうと観る前から考えていたんですが、なるほど、パスワードが分からなければ新しいパスワードにしちゃえばいいわけか。うまいな。
フェイスブックで繋がっている友達に片っ端から電話し、娘がいなくなったその時間何をしていたかをきちんと表にまとめて事件を追っていくのも非常にスマートに感じたし、閲覧履歴から娘が何のサイトを見ていたか、何のSNSを使っていたかを、まるで探偵のようにいとも簡単に探り当てていく父のパソコンスキルもちょっと引いてみてみると中々面白い。
で、一番気になったのが、父が外出して行動する際、パソコンの前にはいないわけだからどうやって話を映していくのか、という点。
これをニュース映像にして繋げていくんですね。
ちょっとネタバレになりますが、娘が一体どこへ行ったのか問う答えを見つけた父は、フェイスタイムで刑事と話しながら移動するという手段で映画のルールを成立させるんです。
その後事件に進展があり、警察が公開捜査にしたことでニュース映像に切り替わる。
あくまでこれもPCでそれを見ているという風にして、全編PC画面という今作のルールからはみ出さずに作り上げてるんですね。
その後も父の外での行動が誰かの撮影によってYouTubeなどにアップされていたり、事件が明るみになったことで市民の反応なども全てSNSでわかるようになっている。
もっとすごいのは、事件の真相に近づく接点を、父があらゆるSNSや動画で見つけてしまうという展開。
この事件途中何か変な流れになるんです。
警察から連絡が入り事件が急展開するんですが、ある人物の発言だけで幕引き。証拠も出てないのに非常にあっけなく終わってしまい、それ素人でも不思議がるよと。
正直これ強引過ぎて脚本が無理矢理すぎる気がしたんですがそれは置いといて、たまたま外部から来たサイトの案内に登録し利用した後、見たことある姿にピンときた父が、すぐさま娘のSNSを閲覧しまくり重要人物を見つける件があるんですが、いわゆる普通のミステリーでもよくある手法をPC画面だけで成立させてしまう。
それだけなのに感じる驚きは普通のミステリー映画と一緒。
このように今我々が手放すことのできないパソコンやスマホの画面だけで、どうやって映画にしてしまうのか疑問だったわけですが、あらゆるアプリの巧みな使い方や、ネットサーフィンなどによって、記号やヒントをいくつも画面上に出し組み立ててしまう監督のアイディアが見事にはまった映画でした。
このほかに、パソコンの隅に出てくる連絡文や、動画や画像や文章を打つ瞬間をクローズアップしたりすることで、あえて画面を固定させない映し方にしていたり、パソコンのキーボードを打つ音、メッセージ受信の音、着信音など普段耳にする雑音も心地よく、ミステリーに欠かせない不穏な劇伴も手伝って、パソコン画面をそのまま見せないようにすることで、より映画的になってるのも良かったと思います。
家族の絆も描かれていた。
監督がインタビューで、今作を映画にしないかと打診された時に、当初は断ったそうです。何故ならこれそのままやるんだったら短編で十分だからと。
でも冒頭にキム一家のこれまでの軌跡を挿入することでドラマチックにできると確信したことで映画として完成できたそうで、全編PC画面という枠を外せば、家族の物語であることは一目瞭然だったと思います。
初めて購入したウィンドウズのパソコンに家族のそれぞれをアカウントを作成し、子供の成長を画像と動画で綴っていくことで、キム一家がどれだけ素晴らしい家族かというのが一気に読み取れる冒頭。
そして娘マーゴットの母が病を患い闘病する姿も描くことで、一体この家族に何があって現在に至るのかというのを、これまた様々なアプリケーションを使って伝える。
容体は悪化し入院する羽目になった母が、一時帰宅をすることになりその予定日をカレンダーに打ち込むんですが、予定日が後ろ倒しになり、その予定日を削除しゴミ箱に入れるシーンは冒頭から悲しくなる瞬間でした。
よくセリフで説明する映画はつまらない!みたいなことをこのブログでも書くのですが、今作はそういった説明的なものを、冒頭のようなやり方で語ってくれるので、耳で情報を入れるのではなくて目で情報を入れられるのがいいですね。
そして始まる物語。
要はこの映画、妻に先立たれたことでどうやって残された娘とどうやって暮らしていくか、という父の考えと、母がいなくなってしまったのにどうして父は母の話をしないのかというモヤモヤした気持ちをもったことで、互いが本音を言えない生活を送っていたんですよね。
それが原因で娘は父に隠して色んな事をしていたことが、事件を追っていくことで発覚していくんです。
それもまたミステリーチックに描かれてるから、娘が何をどう考えていたのかってのが父と同じ目線で見られる。
また自分の子供が事件に巻き込まれた時、やるせなくなってしまう姿や懸命に探す姿、そして常軌を逸した行動に出てしまう姿ってのもこの映画は伝えていて。
普通行方不明になった子供の捜索って、警察に全部任せてただ待つばかりだと思うんですが、この映画のお父さんは単独行動するんですよ。
決して警察をあてにしてないとかではなくて、警察は警察で動いて自分は娘のパソコンから手がかりを探す、何か見つけたら情報共有みたいな。
そのおかげで事件が進展するんですが、お父さんのある行動を境に警察からもう捜査に加わらないでと言われてしまうんですね。
それでもお父さんは再び娘のパソコンであれこれ探すんですよ。
で、とうとう弟にまで疑惑の目がいってしまうことになるんですが。
なんて言うか、娘のためなら何でもするっていう父の姿勢が凄くドラマとして胸を掻き毟られるなぁと。
で、これ面白いのがもうひとつあって、加害者の方にもそういった親子の愛が描かれてるんですよね。
大いにネタバレになるんで、わかりづらいように書きますが、自分の子供が何かしでかしてしまったら庇うのも親の務めだってことも、この映画では描かれてるんですね。
そのやり方が果たして正しいかどうかってのは置いといて、それも一つの愛情の形というか。
だから、この物語は、対照的な子を思う親の気持ちってのが焦点になっていて、それも映画を面白くさせる要素になっていたと思うんです。
これまたこのブログ恒例のミスチルで例えますが。
「タガタメ」という歌がありまして、争うことの是非とそれに巻き込まれた時巻き込んだときどうすべきかを声高に歌った歌なんですが、その中のフレーズでこういうのがありまして。
もしも被害者に加害者になった時涙を流し瞼を晴らし祈るほかにないのか?
もしも被害者に加害者になった時かろうじてできることは相変わらず性懲りもなく愛すこと以外にない。
切り取っただけなのでこういう趣旨の歌ではないんですが、このフレーズを思い出しました。
自分の子供が事件を起こしてしまった時、または事件に巻き込まれた時、一体どうすればいいのか。
飛躍しすぎかもしれませんが、この映画はそういったことも考えてもいい作品だったのではないでしょうか。
不満な点。
というわけで、斬新で革新的なアイディアが素晴らしい点、そして家族間の気持ちのすれ違いなどをテーマにした今作だったわけですが、僕はこの映画を今見ないでいつみるの?と思うわけです。
それはなぜかというと、全編PC画面だけで作った、という点にあります。
現代のコミュニケーションツールをふんだんに使うことで映画として新しい形を作り上げたわけですが、これって今だから新しく感じる映画であって、5年後10年後果たしてこの映画を見た時にどう感じるかなんですよね。
こういう動画サイトやSNSってのは時代が進むと共に進化していき、また全く違うツールが生まれてくることで、流行り廃りも発生するもので。
例えばもうミクシィって誰が使ってんの?って話で、この映画で使われているSNSが果たして5年後10年後も存在するのかってことなんですよ。
もしかしたらパソコンも時代遅れなものになってるかもしれない。
そういう意味で言うと、今だから成り立つアイディア映画で。
5年後にこれ見てみるか、あぁ面白い斬新画期的!て風にはいかないよなぁと。
あの僕「モテキ」って映画が大好きでソフトも持ってるんですけど、これ今見るとすごく使ってるツールがダサいんですよ。
まぁTwitterが主なんですけど、随分前のバージョンで。
今「~なう」とか使ってる人あまり見かけないですよね。それが普通に使われてる。
これを懐かしいと思えれば良いんですけど、やっぱり時間が経つと中々見てられないもので。
だからこの映画も年月が経つと扱ってるSNSやなんかが風化されて、それが原因でつまらなくさせちゃうんじゃないかと。
そういう意味で考えれば今見てほしい映画だと強く言いたいですね。
まぁ後他に言うこととすれば、この話が果たして全編PC画面である意味ですかね。
娘の捜索を父が単身で行動するってプロットを、別にPC画面から映す意味ってそこまでなくて。
普通にカメラまわして父の行動を撮ればいいだけの話なんですよこれ。
全然それで成立しちゃう話。
こんなこと言うとヒドイ!とか言われちゃうんですけど、冷静に考えればそう思いませんかね。
ただ!
全編PC画面で描くから面白くなってるのはもちろんで、そのままやったら絶対話題性もないし、むしろ企画も通らないだろうと。
パソコンだから見せられる視点とミステリー性はさすがでしたってことは重々理解しております。はい。
まぁここ無視ししてくださいw
最後に
長々とあれこれ語ったわけですが、これほんと今スマホやパソコンにしがみ付いている現代人だからこそ面白い作品になってるし、娘の行方の真相が二転三転するので、非常に見ごたえがあります。
SNSなどでコミュニケーションをとるのが一般的になった時代。
親は自分の子供の友達をどこまで把握しているのか。
SNSで繋がっている友達は一体どこまでのものなのか。
そして人間を探そうものならばネットで大体の事はわかっちゃうという怖さもこの映画は伝えています。
是非今見てほしい映画でございました。
というわけで以上!あざっした!!
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満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10