#真相をお話しします
現在話題沸騰中のアイドルグループ「timelesz」の中心メンバーにして、ドッキリはじめバラエティで爪痕残しまくりの菊池風磨と、現在人気ナンバー1バンドといっても過言ではない「Mrs.GREEN APPLE」のボーカル大森元貴が主演を務めるという、いかにも東宝らしい「旬」を集めたキャスティングの本作。
興行というビジネス面において話題性は非常に大事ですから、個人的にこの座組は決して問題はないんです。
ただ、お芝居の方は少々気がかり。
特に大森さんは違和感なく演じることができるんでしょうか。
今回鑑賞する映画は、そんな旬の二人がメインを張る「真相を語る」物語。
大どんでん返しと社会問題を売りにした短編集が原作だそうで、コミック版を一つだけ試し読みしたことがきっかけで見ることを決めました。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
新時代のミステリの旗手・結城真一郎原作による短編集を、話題のキャストを主演に迎えて製作された、「違和感」だらけのゴシップエンターテインメント。
多額の報酬をかけた暴露系生配信チャンネル「#真相をお話しします」に参加することになった警備員と謎の男を中心に、様々なキャラのエピソードを交えながら、驚愕の暴露ネタが待ち構える、大どんでん返しのミステリサスペンス。
「怪談新耳袋」でおなじみの豊島圭介が監督を務める本作。
5つのエピソードを見事に一つの映画にまとめながら、いくつもの「違和感」を仕掛けることで、果たしてどれが「真相」なのか読めない構造になっているとのこと。
そしてキャストには、Mrs.GREEN APPLEの大森元貴と、timeleszの菊池風磨というトップアーティストとトップアイドル夢の競演が実現。
特に大森は今回演技初挑戦。忙しい音楽活動の合間を縫って周囲に助けられながら挑んだとのこと。
他にも、「ある閉ざされた雪の山荘で」の中条あやみと岡山天音、「少年と犬」の伊藤健太郎、「お嬢と番犬くん」の福本莉子、「ゴールデンカムイ」の桜井ユキ、「レジェンド&バタフライ」の伊藤英明などが出演する。
投げ銭文化が加速する現代に、ゴシップで荒稼ぎするという画期的なシステムが、二人の男の人生をどう変えるのか。
あらすじ
かつて一流商社の営業マンだった桐山(菊池風磨)は、友人に裏切られ、借金を抱え、以来、人と深い関わりを持たず、ビルの警備員として暮らしている。
しかし、ビル内に事務所を構える、不思議な雰囲気の男・鈴木(大森元貴)の出現で、桐山の人生は再び動き出す。
人懐っこく話しかけてくる鈴木を始めこそ煙たく思っていたものの、荒み切った桐山に多くを聞かず、受け入れてくれる姿勢に、桐山もいつしか心を許していた。事件以来三年ぶりにできた友人だった。
そんなある日、鈴木が桐山に一つの提案をする。
それは、世間を騒がす暴露チャンネルで桐山自身の身に起きた事件の真相を語ることだった。
バーチャル生配信暴露チャンネル【#真相をお話しします】、それはランダムに選択された視聴者が匿名で“有名人のゴシップ” “殺人事件の報道されていない真相”などとっておきの暴露話を披露し、そのたびに多額の投げ銭が投じられる前代未聞のチャンネル。
「投げ銭なんかじゃんじゃんきますよ。 桐山さんの話、すごいから。
そしたら桐山さん、大金持ちじゃないですか。」
思いもよらぬ提案に舞い上がる桐山だったが、勇気を出して一歩を踏み出すことに。
「これは三年前、僕の身に起こった本当の話です。」
殺人がらみの壮絶な物語に観衆は過去最大の盛り上がりを見せ、一瞬にして、100万、200万と投げ銭が積みあがっていく。遂に借金地獄から救われた桐山は鈴木への感謝の気持ちでいっぱいになったのだった。
「次のスピーカーは僕です」
隣から聞こえた大きな声とともに、警備室で不敵な笑みを浮かべる鈴木の顔が画面いっぱいに映し出される。
唖然とする桐山を横目に鈴木が語る、すべてを覆す「真相」とは――。(HPより抜粋)
キャラクター紹介
- 鈴木(大森基貴)…あるビルの警備室で知り合った桐山と気が合い、共に話題の生配信チャンネル「#真相をお話しします」を楽しむ。しかしその真の姿は「???」
- 桐山(菊池風磨)…自身が心を閉ざすきっかけとなった体験を披露して、投げ銭で金儲けをしようと、スピーカーに願い出るが、「???」になってしまう。
- ヨガ教室経営者(中条あやみ)…今話題の美人経営者。幼い時に「???」。
- チャンネル管理人(岡山天音)…「???」に頼まれてチャンネル主になる。
- 桐山の友人(伊藤健太郎)…普段は温厚。恋愛の悩みを抱えて、「???」しまう。
- 桐山の親友(柳俊太郎)・・・仕切り屋で女たらし。友情のために桐山を「???」。
- 桐山の知人(斎藤京子)…港区女子。「???」中。
- サラリーマン(綱啓永)…元・家庭教師の営業。「???」を目撃。
- 主婦(桜井ユキ)一戸建てに住む。「???」している。
- OL(田中美久)…大金が必要でパパ活をしてるが、実は「???」である。
- タトゥーの男(原義孝)…「???」グループの一員。
- 美容室経営者(伊藤英明)…娘のために、何度も「???」したことがある。
- 女子大生(福本莉子)…独り暮らしがしたくて、「???」を売る。
(以上HPより抜粋)
一体どんな暴露ネタが飛び出すのかも見ものですし、出演者がどういうキャラなのかも気になります。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
#真相をお話しします 観賞。すげぇとこで終わった…
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) April 25, 2025
真相をぶっちゃけて一攫千金を狙う暴露系ライブ配信に集う者たちに痛烈なパンチ。
複数のエピソードをどう一つの映画にまとめるのか不安だったけど、このまとめ方は良い。
大森さん、一人芝居は良いけど掛け合いはちと厳しい。 pic.twitter.com/qTC6fEngzs
「他人の人生晒してお金稼ぐってクズですね。」
決して上質なミステリーではないけど、ネット社会が生み出した悪しき構造に痛烈な一発をお見舞いしたのは間違いない。
知らぬ間に俺も…。
以下、ネタバレします。
ちゃんとひとつの映画になってた。
暴露系ライブ配信「#真相をお話します」には100万を超える視聴者や、投げ銭システムで一攫千金を狙うスピーカーたちが集う超人気コンテンツ。
そのMCを務めるのが、かつて一世を風靡したYouTubeチャンネル「ふるはうす☆デイズ」の砂鉄という男性。
このYouTubeチャンネルは、人口わずか50人という離島で暮らす子供たちの成長をドキュメンタリーチックに映す内容で、子供たちをキャラデザ化したグッズまで発売されるほどの人気ぶり。
どうもそれが一切の予告なく閉鎖されたことで、ファンたちはその真相を知りたくてウズウズしていた、という設定。
よってそのチャンネルに出演していた砂鉄がMCの「#真相をお話します」に集まる視聴者のほとんどは、なぜあのチャンネルが突如閉鎖されたのかを聞きたくて集っているということ。
こんな感じで始まる物語。
僕は観賞前に無料で公開されている「拡散希望」と、コミカライズされている「ヤリモク」の二つのエピソードを把握して臨んだんです。
これらをどうやって一つの映画にするんだろう、きっと誰かがこのライブ配信で暴露してってのを繋ぎ合わせて、ラストに「拡散希望」で締めて終わるんだろう。
そんな予想をして臨んだんですが、これが意外や意外、なかなか胸にグサッと来る内容でした。
まずどんなエピソードが語られたかというと、
- 家庭教師の営業で訪れた家で起きた真相を語る「惨者面談」
- 娘のパパ活を案じながらも父親がマチアプにハマる「ヤリモク」
- リモートのみで再会した友人同士の間に起きた「三角奸計」
そして、離島で暮らす子どもたちのYouTubeチャンネルに隠されたとんでもない真相「#拡散希望」の4つのエピソードから連なる流れ。
菊池風磨演じる警備員は、借金返済をかけて「#真相をお話します」のスピーカーに立候補をする男、それを横で見守るのがミセス大森が演じる鈴木という男。
4つのエピソードはどれも、メディアで取り上げられるほどの有名な事件のため、視聴者はそこで得た情報は理解しているモノの、実はマスコミが発表していない隠された真相をスピーカーは持っていて、それを暴露することで7桁レベルの投げ銭をもらうという仕組みになっているんです。
どれも「それ喋ってしまっていいの?」と思うような真相である一方、それを打ち明けてくれたことへの対価として皆が金銭を渡す気持ちもわからなくはない。
こうした「刺激」を求めて集う人たちの心理には、どこか現実では味わえない非現実的な何かを本能で求めてしまうモノがあるんだろうと、普段そうした配信に投げ銭などしない自分ですら、話にのめり込んでしまいました。
それこそ普段利用するSNSでも、あまりにも非常識な内容の投稿に、つい自分なりの正義を振りかざして一言モノ申す節は皆あると思うんですけど、結局それは匿名だから強く言えたりできるわけで、果たして個人情報晒してまで他人のあれこれに突っ込むことってできるんだろうか、誰かの事に言及できるのかとも思えるんですよね。
また今じゃ認証バッジ付けてるアカウントが、政治やらゴシップやら何やらに一丁前に語気を強めて煽ってインプレッションで銭を稼ぐような輩もおり、気味の悪い仕組みが出来ちまったもんだなぁと思うこの頃。
そんなネット社会の中で気づかぬうちに「一部」になっている僕ら。
本作は、#拡散希望のエピソードを用いて、我々現代人に痛烈な問題提起を投げて幕を閉じます。
#拡散希望のエピソードがエグい。
実は警備員の横で応援してるだけの鈴木という男は、#真相をお話しますのMC砂鉄と共に「ふるはうす☆デイズ」に出演していた渡辺珠穆朗瑪(ちょもらんま)という男だった。
過去の体験によって人間不信に陥り借金まで作って人生のどん底に警備員だったが、暴露系ライブ配信によって心を許せる友人ができたことに救われたことを打ち明けると、500万円を超える投げ銭を獲得する。
涙を流しながら喜びをかみしめる警備員を横目に、急に正体を現したちょもらんまは、砂鉄と共に「ふるはうす☆デイズ」の真相を語り始める。
このエピソードを要約すると、ちょもらんま、サテツ、そしてルーと呼ばれる女の子・口紅(ルージュ)と、凛子という4人組の子供たちが仲良く離島で過ごした日々を送っていたが、ある日凛子が事故死してしまうことに。スマホを手に入れたことで伝えたいことがあった凛子がなぜ死んでしまったのか悲しみに暮れるチョモとサテツだったが、彼女が持っていたスマホを手に入れたことで驚愕の真実を知ってしまうことに。
それが「自分たちの生活がYouTubeで垂れ流しされていた」ということ。
彼らの親が共同で編集し、自分たちの子供を使って金儲けをしていたというわけ。
動画を見ていくうちに、ルーはその事実を知っていたのではないかと疑惑を持ち、さらにルーは凛子を殺害したのではまで発展、チョモとサテツは彼女を問い詰めていく。
結局事故死として処理され前向きに生きようとしてきたが、大人になったことで復讐を決意。
暴露系ライブ配信を立ち上げ、集客数を上げたことで復讐を実行するというものでした。
自分の人生が知らない間に他人に覗かれ、それを「見守る」という建前であれこれ物言う視聴者たち。
大人でさえメンタル的にやられるのに、幼い子供がこんな目に遭っていたらどれだけ傷ついたことだろう。
原作ではもっと具体的な描写が書かれているので是非読んでほしいが、名前決めも「どのキラキラネームがウケるか」や「ルーレットで生活拠点を決める」など、人生における大事な拠点や一生を背負う名前など全て視聴者への受け狙い=投げ銭のためにやっていたというなかなかエグい内容が記されています。
挙句の果てには凛子の葬儀で子供たちがどんなリアクションをするのかまで動画として収めており、金のためなら何をやっても良いのか?と頭を抱えるエピソードまで出てくる始末。
アメリカでも子供におもちゃを与えて動画を撮ってYouTubeにアップしていた親がいました。
そのおもちゃを楽しそうに遊んでいる姿が、おもちゃの売れ行きまで左右するという逸話もあるほどの影響力だったそうですけど、今考えればそれも「子供の人生の切り売り」でしかなく、一体何を考えてるんだろうと本作を見て改めて思います。
白状しますがこのブログで僕は広告収入を得ています。
沢山の人に読んでほしいという思いから始めたこのブログが、いつしか時間をかけて書き上げた分の対価を求めるようになり、それで映画代金を賄ってるのが現状です。
極論かもしれないけど、他の何かを使って金を儲けているという面においては、俺も彼らと何ら変わりないんだということ。
だから一丁前に「他人の人生で金を儲けている奴ら」に対して正義感ぶったことなど言える立場ではないんだなと。
そうした負い目を感じながらも、映画の感想の中に自分の過去のエピソードを入れることでチャラにしようと思ってますけど、やはり変わりはないんです。
物語が佳境に入ると、チョモとサテツは大人になってヨガ教室を経営しているルーを拉致し、手製のボウガンを向けて椅子に縛り付けます。
そしてチョモは、凛子を殺したと思われるルーに復讐をするのではなく、他人の人生で金を儲けるクズや、それを傍観しコンテンツとして消費する視聴者に向けて復讐を始めます。
自分の個人情報を晒されるか、それともルーを殺すかという二択をつきつけ物語は幕を閉じます。
もちろん退出すれば即時に個人情報は流出され、逃げ場はありません。
3つのエピソードを語ったスピーカーは、正に「他人の人生を暴露して金稼ぎした罰」によって、二人から個人情報を暴露され、窮地に立たされます。
一方警備員はチョモと特別な間柄になれたことを尊重し、個人情報の流出は免れましたが、究極の二択を最初に押すよう責められます。
一度は保身からルーを殺すを選択しますが、我に返ったことで選択を変更、視聴者に「殺しちゃダメだ」と訴えます。
その言葉に動かされた人も一定数いましたが、ルーを殺すの票を上回ることはありません。
結果がどうなったのか判明することなく物語が終わるんですが、チョモの切実な表情からは、人生を晒された痛みがあふれ出ており、なぜこんな現代になってしまったのかを考えさせられます。
このように、複数のエピソードをオムニバス形式で見せながらも、後半からは暴露した彼らに制裁を与えることでキャラクター全員を巻き込む仕掛けが施されていた本作。
事件そのものも不気味だし、その真相も不気味。
そうしたエピソードに食い入るように見てしまうゲスい本性を、ラストで試すという幕切れは、僕としては驚きの結末ででした。
最後に
ミセス大森の演技に不安がありましたが、基本的には問題ないです。
寧ろ菊池風磨より爪痕を残すほどのインパクトがありましたね。
どちらかというと他者との掛け合いはイマイチでしたが、カメラに向かって行う一人芝居はどこか舞台調の強弱ある芝居になっていて、ハマってました。
逆に菊池風磨くんは大森君の影に隠れてしまった印象が強かった一方で、喜怒哀楽の引き出しをしっかり出した面もあり、決してダメだったわけではなかったです。
他にも「悪の教典」ばりにサイコなキャラを演じた伊藤英明や、謹慎後初めて見た伊藤健太郎のお芝居の変わり様が良かったですね。
多数の演者が出演していたため、他の俳優陣にはこれといったものはなかったですが、その中でも二人はすごく印象に残るキャラを演じられてました。
いやぁ、前々期待してなかったんだけど、オムニバスホラーを手掛けてきた監督だけあって、エピソードの結び付け方やちょっとしたホラー描写もしっかりハマってたので良かったです。
しかし、二宮和也はどこで声の出演をしていたんだ??
最近サプライズゲスト多すぎないか?w
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10