G.I.ジョー/漆黒のスネークアイズ
ハズブロ社のアクションフィギュアとして、アメリカで絶大な人気を誇る「G.I.ジョー」。
今回鑑賞する映画は、その中でも一番の人気を誇る「スネークアイズ」の物語。
「G.I.ジョー」、「G.I.ジョー/バック2リベンジ」と過去2作映画化されたんですが、スネークアイズに関しての情報といえば、ストームシャドーとの少年時代からの因縁や、素顔も声も明かさないなど、とにかくベールに包まれたキャラクターなんですよね。
そもそもなぜ彼がG.I.ジョーに加わってるのかもわからないんですよ、映画だけ見ていくと。
本作では思いっきり顔も声も出してるので、彼がどうやってG.I.ジョーに加わっていくのか、そしてストームシャドーとの間に何があったのかなど、色々知ることができそうです。
それ以上に、怒涛の忍者アクションも楽しめそう。
あれを「忍者」というのには正直抵抗があるんですけど、予告を見る限りブチ上がる要素てんこもりなので、その辺りにも期待したいところ。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
過去2度にわたって制作された映画「G.I.ジョー」。
その中でも屈指の人気を誇るキャラ「スネークアイズ」を主人公にしたリブート作品。
父の仇を追っていたスネークアイズが秘密忍者組織「嵐影」に加わり、真の忍者としての試練や、テロ集団との攻防に巻き込まれていく姿を描いた「忍者大戦」アクション。
昨今配信映画も含め、ハリウッド映画による日本での撮影が少しづつ増えている傾向にあるが、本作はそんな中でもハリウッド映画史上最大規模の日本ロケを敢行。
岸和田城や姫路城を筆頭に、スネークアイズたちが日本の世界遺産で暴れまわる姿を拝めることだろう。
日本人キャストも名を連ねる中、アクション監督には「るろうに剣心」の谷垣健治が抜擢。
刀剣アクションとハリウッドアクションが融合した、未だかつてないアクション映画へと進化した。
あらすじ
標的は”日本“
世界の命運を掛けた”忍者大戦”が始まる!
日本の闇の組織から、ある男の命を救ったスネークアイズ(ヘンリー・ゴールディング)は、秘密忍者組織“嵐影”への入門を許可される。
600年の間、日本の平和を守り続けた“嵐影”は、悪の抜け忍集団と国際テロ組織“コブラ”連合軍による攻撃にさらされ、危機に瀕していた。
スネークアイズは嵐影の“3つの試練”を乗り越え、真の忍者となり、迫りくる“忍者大戦”から、世界を守る事が出来るのか!?(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、ロベルト・シュヴェンケ。
飛行機内で娘が行方不明、目撃者はおろか搭乗記録もない中、お母ちゃんパワーで捜索に乗り出す、「バルカン超特急」オマージュな映画「フライトプラン」でハリウッド映画監督デビュー。
他にも、自分の意志関係なしにタイムトラベルしてしまう男と、そんな彼に惚れてしまったヒロインが、時間軸による様々な試練に翻弄されながらも絆を深めていく切ない運命の行方を描いた「きみがぼくを見つけた日」なども手掛けています。
これ以降は「ゴースト・エージェントR.I.P.D.」や「ダイバージェント」シリーズなど、ゴリゴリの娯楽大作映画ばかりの様子。
とはいえ、それらに携わってきたからこそ本作に向いている監督かもしれません。
キャラクター紹介
- スネークアイズ(ヘンリー・ゴールディング)
G.I.ジョーシリーズ屈指の人気キャラクターで、12種の格闘技に精通する最強の忍者ヒーロー。
本名は不明。過去の痕跡も残ってない。
名刀・曙光(モーニングライト)を武器に、無双のごとき剣術スキルを発揮する。
父親の仇を追い求め世界を放浪中に、ある男の命を救い、秘密忍者組織”嵐影一門”に招かれる。
過去のシリーズでは、「沈黙の誓い」を結び言葉を発さず、素顔をも明かされていなかった。
今回初めて、彼の過去が明らかになる。
- ストームシャドー/トミー(アンドリュー・小路)
秘密忍者組織”嵐影一門”の頭領の血筋を継ぐ、若きエリート忍者。
武器は二刀流。
いつの日か”嵐影”のリーダーとなるため、人生を捧げ訓練を続けてきた。
スネークアイズを”嵐影”に招き入れる。
- スカーレット(サマラ・ウィーヴィング)
世界各地の戦闘エキスパートで構成されたチーム”G.I.ジョー”の女性エージェント。
対敵諜報活動、秘密工作、敵の把握能力に優れ、ボウガンタイプの武器を駆使した戦闘能力も高い。
”G.I.ジョー”と同盟関係を結ぶ”嵐影”の危機に、協力を申し出る。
- バロネス(ウルスラ・コルベロ)
世界征服を企む国際的テロ組織”コブラ”の女スパイ。
周りの人間を巧みに操り、破壊工作を遂行する。
コブラの邪悪な目的達成のためには手段を選ばず、”嵐影”の危機に暗躍する。
- ハードマスター(イコ・ウワイス)
”嵐影”の忍者マスター。
拳を武器に戦う、”嵐影”最強の武術の使い手。
スネークアイズの武の師範となり、真の忍者へと導く。
- 鷹村(平岳大)
”嵐影”を追われた最強の抜け忍。
悪の抜け忍集団を率い、世界秩序を揺るがすという”嵐影”の秘密を狙っている。
”嵐影”を壊滅させるべく、”忍者大戦”を画策する。
- ブラインドマスター(ピーター・メンサー)
”嵐影”を守る盲目の鎖鎌使い。
神出鬼没の忍術を得意とし、忍びの神髄をスネークアイズに教える。
- 暁子(安部春香)
”嵐影”の保安責任者を務める”くのいち”
”嵐影”に忠誠を誓い、素性の知れないスネークアイズの入門に、警戒心を抱く。
(以上HPより)
これまで全く明かされてこなかったスネークアイズについて知ることができるだけも楽しみですし、怒涛のSHINOBIアクションが堪能できそうです!(術とかないのかな…ないかw)
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
#GIジョー
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2021年10月22日
漆黒の #スネークアイズ 観賞。
オリジンとしては楽しめたが、忍者大戦になるまで長い…
あと嵐影は掟に厳しいのにスネークアイズに甘いw pic.twitter.com/7pt4cIN4mk
トンデモJAPANは許そう。
しかし、試練が長いし嵐影甘いしいつまで経っても忍者大戦始まらないし。
でもこれ見た後1を見たくなりました。
以下、ネタバレします。
トンデモJAPANは100点満点。
親父を殺した敵を糧に生きてきたスネークアイズが、日本の忍者軍団「嵐影」と出会い、太陽の宝玉を巡る争奪戦を繰り広げるまでを描く本作は、暗がりの中での刀剣アクションをスローモーションを多用して美しく見せる一方で、如何にしてスネークアイズが「G.I.ジョー」に加入するまでをゴールとしたシリーズのオリジンストーリーであるにもかかわらず、嵐影に加入するまでの試練の長さや、端に追いやられたジョーとコブラの勿体なさ、ストームシャドーとの仲違いまでの経緯の浅さにがっかりしてしまった非常に勿体ない映画でございました。
本来ならば「東京オリンピック」開催によって、多数来日するはずだった観光客へ向けたプロモーションの一環だったであろう本作。
コロナ禍によって見事に経済効果は損なわれ、北米興行においても木っ端みじんだったことでしょう。
それは置いといて、実際の中身はというと、「アメリカ人が見たい日本」を見事に体現したであろうトンデモJAPAN。
渋谷のスクランブル交差点を通って浅草寺方面へ向かい、森を抜けたらでっかいお城の登場って、一体どこにあんねんそのお城。
その白では忍者が警護し、城下町まで存在するとんでもなくでっかいお城。
嵐影が代々守るお宝を奪われないように厳重に警備しているのであります。
スネークアイズが宿泊する部屋も金屏風の襖があったり、洞穴にアナコンダがいたり(ヤマタノオロチみたいな扱いだったのかね?)、石畳の階段も試練を受ける山道もどことなく日本の忍者がいそうな雰囲気の数々。
さすがに「007は二度死ぬ」や「ウルヴァリン:SAMRAI」のように女中が殿方を体を洗うなんて仕来りはなかったようで一安心。
そんなの今やったらフェミニストに叩かれまくりますからね。
新宿に繰り出せば「ブレードランナー」よろしく、色とりどりのネオンサインがきらめき、降り注ぐ雨が存在しない現代の街を一掃美しく魅せてくれます。
東京タワーもスカイツリーもちゃんと見せる辺りは、国が製作費に助成金を出資した分借りを返せたのではないでしょうか。
また、タイトルロールでも太鼓をたたく者たちや、舞い踊る芸者、ロボットレストランの従業員など、どこをとってもアメリカ人が好き好みそうなものばかり。
きっと本国で鑑賞された方々は、「えーびばでぃ SAMURAI SUSHI GEISYA びゅてぃほーFUJIYAMA HA!HA!HA!」と米米クラブのFUNK FUJIYAMA気分になったことでしょう。
抑揚が出描かれる日本の風景に「こんなの日本じゃない!」と文句を言う方を見かけます。
確かに全く違う。
違い過ぎて駄作扱いしたくなる気持ちも分かります。
でも、まだ行ったことのない日本にいつか行ってみたいと思っている外国人の夢を壊したくないじゃないですか。
「007は二度死ぬ」以降、ひたすらトンデモJAPANを見てきましたが、いつだって忍者も侍もいる国と思って、来訪してほしいものです。
何せ日本は未だにインバウンドで経済効果を狙おうとしてるのですから。
あくまでエピソード1。
そろそろ本題に入りましょう。
子供の頃に父を殺されてしまったスネークアイズは、大人になっても地下格闘技場で日銭を稼ぎながら、いつかいつの日か親父を殺した奴を見つけて復讐してやると胸に闘志を秘めていました。
そこへやってきた鷹村の誘いによって、ロサンゼルスの港で銃の密輸を手伝うことに。
しかしスネークアイズをかわいがる「トミー」は組織の裏切り者として殺されそうに。
人殺しはしたくない気持ちのスネークアイズは、彼を助け組織に反旗を翻すのです。
鷹村をあと一歩のところで逃してしまった二人は、トミーの誘いで日本へ。
秘密忍者組織「嵐影一門」の後継者であるトミーは、自分の命を助けてくれたしるしに、彼を一門に招き入れたいと、頭である千に申し出ます。
部外者は一切立ち入れない門を、トミーの計らいで簡単に潜ってきたスネークアイズに、警備担当の暁子は不満げ。
皆を説得するために、一門に入るための試練を受けることになったスネークアイズ。
ハードマスターやブラインドマスターから、忍者としての極意を学びながらギリギリで試練をパスしていくのでした。
しかしスネークアイズ、暁子が感じていた不安通りの行動に出ます。
なんとこっそり鷹村と会っていたのです。
実はここまでのスネークアイズの行動は「嵐影の屋敷に入ってお宝を盗む」ための計画の一部だったのです。
彼が課したミッションをクリアすれば、自分の父を殺した犯人を教えるという見返りのために、スネークアイズは鷹村の計画に加わっていたのでした。
そうとも知らず、簡単に彼を信用しているトミーは、未だ怪しいと決めつける暁子をうっとおしく感じるも、試練をクリアすれば俺の判断は正しいと念を押します。
鷹村は嵐影を任せる身に相応しくない理由から追い出された男。
そんな男の復讐心は底知れず、彼は嵐影をぶっ潰すために屋敷のどこかに隠れている嵐影の家宝「太陽の宝玉」をスネークアイズに奪ってくるよう画策します。
さらに彼のバックにはテロ集団「コブラ」がついており、銃の密輸も彼らが関わっていたことが明かされます。
親父の敵は討ちたいが、人殺しに加担はしたくないスネークアイズ。
復讐心が勝り鷹村の言いなりになる彼は、自分を疑う暁子や、自分を信じて疑わないトミーから兄弟の契りを交わすなど、一層の信頼を受けながらお宝探しに奔走します。
果たしてスネークアイズは鷹村の願いを叶え、親父の敵を討つことができるのか・・・。
というのが半分くらいのあらすじ。
物語はこのように、大人になっても親父殺しを犯人を見つけ出し復讐したい一心で突っ走るスネークアイズが、何とか勘付かれないようにトミーの信頼を勝ちとりながらミッションを遂行していくある種の「潜入捜査」が前半で描かれていきます。
そのためG.I.ジョーのリブート版としてはあまり相応しくない描写に思えて仕方ありません。
実際ジョーのエージェントであるスカーレットや、コブラの女スパイであるバロネスの出番は後半以降でないと活躍しませんし、マスターの面々はコマ扱い程度(イコ・ウワイスだぞ?)。
後半になるとスネークアイズが原因で嵐影にピンチが訪れたり、ようやく改心したスネークアイズが、大して修行も試練もクリアしてないのに「忍者」として覚醒していくなど、ようやく「忍者大戦」へとシフトしていくんですが、なんせ「試練」と「隠密行動」が長すぎて、せっかく刀剣アクションを楽しみにして身に行った人にとっては、苦痛の連続でしょう。
僕自身もそこに行きつくまでの話が長く思えたり、「あれ?俺G.I.ジョーを見に来たんだよな…」と自問自答するくらい、意識が遠のいていました。
我慢して見た甲斐もあって、待ちに待ったクライマックスはなかなかです。
高速道路でのバイクチェイスは、スローモーションを使った演出で華麗に舞うアクション。
後方に振り向き前宙3回転で刀の攻撃をかわし見事にバイクに着地したかと思えば、追手が乗る車に飛び乗り、上から刀でめった刺し。
車の積載車でのアクションも、暁子は三角飛びして飛び乗ったかと思えば、住んでのところで攻撃を交わして敵を一網打尽。
トミーも積載車の後方から乗り移り、二刀流でバンバン斬っていきます。
頭と城を守りに向かった一同は、利害関係が一致したことで共闘することになったスカーレットとバロネスも加わってのオールスターアクションへ。
トミーはハードマスターとブラインドマスターと共に、20人の手下を鮮やかに退治。
スネークアイズと暁子も敵を圧倒します。
頭である千も、恐らく戦わないんだろうなぁと思ってましたが、扇子を振りかざして一撃必殺をお見舞いするシーンもあり、さすが一門を引っ張っていくだけの力はあるなと感心しました。
バロネスとスカーレットが加わり、一同横並びで鷹村に立ち向かう姿は圧巻です。
これだけでも見た甲斐があったなと、クライマックスにしてようやく感じました。
最後に
本作はあくまでスネークが「スネークアイズ」になるまでを描いた物語。
なので、我々が良く知るスネークアイズはそこにはいません。
最後の最後でようやくスネークアイズとなるのです。
また正義の味方であるジョーと、敵であるコブラの対立関係も薄いですし、後のストームシャドーとなるトミーとの敵対関係も、最後の最後まで描かれません。
しかしまだ顔も見せるし声も出す状態なので、この後どうして彼が素性を明かさずにジョーの一員として活躍するかは、まだ先のようです。
原作では大やけどをしたことが一因のようですが、続編でそれを描くことになるのでしょうか。
後継者であるトミーには厳しく、まんまと裏切ったにも拘らずスネークを始末しない嵐影のしきたりがさっぱりわからないなど、色々ツッコミたい所ばかりが目立つ作品ではありましたが、日本のプロモーションのために一肌脱いだ作品としては歓迎してもいいのではないでしょうか。
とはいうものの、これ見て日本に行ってみたい外国人てどれくらいいるんだろうか・・・。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10