ソング・サング・ブルー

「ものまね」芸って、いろんなお笑いがある中でどこか軽視されてる気がするんですよね。
ものまね芸が他のより勝ってるのではなく、漫才やコント、ピン芸人以下とは決して考えにくい、むしろ同等に扱うくらいの価値がある。
…なんて真面目に語ってますが、ビジーフォーのものまねはどれも同じにしか聞こえませんw
今回鑑賞する映画は、ものまねの中でも「歌まね」に特化した人たちの物語。
わかっちゃいたけど、ものまねも歌まねも決して日本だけじゃない、世界にたくさんいるわけです。
その中でも、同業者同士で夫婦になり。波乱万丈の人生を送った人たちがいると。
これはいいドラマになるんじゃないでしょうか。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
70年代に全米で一世風靡したミュージシャン、ニール・ダイアモンドのトリビュート・バンドとしての活動で生計を立てていた実在の夫婦を巡る物語を、「ハッスル&フロウ」で一躍注目を浴び、「ルディ・レイ・ムーア」、「星の王子ニューヨークへ行く2」でエディ・マーフィとタッグを組みヒットを連発したクレイグ・ブリュワー監督の手によって実写映画化。
何十年も歌まねミュージシャンとして陽の当たらない道を歩いてきた主人公が、ニール・ダイアモンドのトリビュートバンドを結成して大成功を収めるまでの軌跡、その栄光を一瞬で砕いた衝撃的な出来事、さらなるどん底からの再起、そして伝説になった“あの日”など、彼が成し遂げた奇跡の全貌を余すことなく描いた、感動の1作。
音楽映画の名手として名高いブリュワー監督は「2009年にライトニング&サンダーを描いたドキュメンタリー映画が公開された。この映画はそのドキュメンタリーを基にしている」と実在した夫婦バンドの真実の物語を描くきっかけについて明かした。
かつて夢を追いかけ、音楽にすべてを捧げたものの、誰かの「歌まね」でしか生計を立てることができない男マイクを演じるのは、「デッドプール&ウルヴァリン」で、久々にアメコミキャラを演じたヒュー・ジャックマン。
彼といえば「レ・ミゼラブル」や「グレイテスト・ショーマン」などで披露した歌唱力は、ブロードウェイで鍛えただけの実力と説得力があるが、今回はただ歌うだけではなく、歌をまねるという1ランク高い難易度の演技に挑戦。
プライベートでの労働者ぶりからステージで披露するエンターテイナーへの変化にも注目だ。
ほかにも、マイクとともに「ライトニング&サンダー」としてトリビュートバンドを組み、彼と夫婦になる女性・クレア役を、「あの頃、ペニー・レインと」、「ナイヴズ・アウト:グラス・オニオン」に出演し、本作で第98回アカデミー賞主演女優賞にノミネートを果たしたケイト・ハドソン、マーク・シュリラ役に、「あの頃、マイアミで」のマイケル・インペリオリ、レイチェル役に、「ヘンリー・デンジャー:ザ・ムービー」のエラ・アンダーソン、アンジェリーナ役に歌手のキング・プリンセスなどが出演する。
彼らがトリビュートするアーティスト、ニール・ダイアモンドは50年を超えるキャリアの中で1億3000万枚以上のアルバムセールスを記録し、ポップミュージック界の至宝として君臨、全米トップ40シングル38曲、トップ10アルバム16枚を世に送り出し、40枚のゴールド、21枚のプラチナ、そして11枚のマルチプラチナ・ディスクを獲得するという金字塔を打ち立てている。
そんな大御所でもあるアーティストのパフォーマンスをまねた彼らにのしかかる悲劇と、それらを乗り越えて起こした奇跡とは。
あらすじ
かつて夢を追い、音楽にすべてを捧げた男マイク(ヒュー・ジャックマン)。
しかし今や、誰かの“歌まね”でしかステージに立てない、人生のどん底にいた。
そんな彼の運命を変えたのは、同じ情熱を抱く女性クレア(ケイト・ハドソン)との出会いだった。
敬愛するニール・ダイアモンドのトリビュートバンドを結成し、小さなガレージから始まったふたりの歌声は、やがて街の人々の心を掴んでいく。
だがその矢先、突然の悲劇が彼らを襲う——。(公式より抜粋)
感想
#ソング・サング・ブルー 鑑賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) April 17, 2026
ニールダイアモンドを全く知らなくても楽しめる歌まね夫婦の波瀾万丈の物語。
いや、ほんとに波瀾万丈。神様は乗り越えられるやつにだけ試練を与えるなんてよく聞くが、それにしても試練を与えすぎる。さすがに2度目の〇〇は笑えない。彼女だから笑える。… pic.twitter.com/REHJkXqhtN
これだけ波乱万丈ならもっと劇的にしてもよかった気がするくらい、結構あっさりしてる。
その代わりステージングは抜群。なんてったってヒュー・ジャックマンですから、パフォーマンスは超一級。
それだけで見応えある一作。
以下、ネタバレします。
Mrシャチホコとみはるに例えてみる。
バンドで飯が食えたらいいな、それだけで家を建てたり家族を養えたらどれだけ素晴らしいことだろうか。
俺もそんな夢を追いかけ、そして敗れ、宙ぶらりんの毎日を送っては、その穴を映画で埋めている。
今回の主人公マイクのように、「ニール・ダイアモンドのトリビュートバンドで今度こそ花を咲かせる」なんて野心は俺にはない。
今回の映画、早い話がMrシャチホコとみはるのものまね夫婦の話ととらえればグっと親近感がわく設定に思える。
歌まねステージで、サザン桑田ものまねをさせてもらえないことに腹を立てたシャチホコを横目に見ていたみはるが、「あなたの声素敵ね、ミスチル桜井もいけるんじゃない?」と声をかけたことがきっかけで、二人でミスチルのトリビュートバンドを結成。
仕事と割り切れない二人は瞬く間に急接近し結婚。
地元で人気が出始めた矢先、地方遠征でライブをしに来ていたバックナンバーから「前座をやってくれないか?」と声をかけられ、見事にバックナンバーのファンまで虜にしてしまう。
このままいけば念願の「歌で飯が食える生活」を手に入れることができると思っていた矢先、老人が運転していた車が家めがけて暴走、庭で花を植えていたみはるに直撃、なんと左足を切断する大けがを負ってしまう。
薬の副作用でうつを患い、彼女と衝突してばかりのシャチホコ。
彼女なしではトリビュートバンドできないと嘆くシャチホコは、意を決して彼女を施設に入れることを決意。
無事に回復した彼女とともにもう一度ステージに立つ決意をするのでありました…っていう話と思えば、ニール・ダイアモンドを知らなくてもわっかりやっすい~って説明をしてみましたw
一応劇中の二人はともにバツイチで子持ちという設定をシャチホコに当てはめることができなかったので省きましたが、およそはこんな展開です。
と、例えで語ってみたものの、やっぱり「ものまねアーティスト」と「トリビュートバンド」って一括りにするのはいかがなものかとは思うんですよね。
かたやものまねアーティストは、歌をまねるのが仕事で、楽器を演奏して本格的になりきるってわけではないというか。
そういう人たちもいるんだろうけど、やっぱりトリビュートバンドと謳ってる以上「愛を持って真似る」わけですよ。
それこそクイーンのものまねをして巡業してるバンドとか実際日本でもいるわけですから、そういう人たちこそ「トリビュートバンド」なのかなと。
あとやっぱり本作で感じたトリビュートバンドのすごさは、歌唱パフォーマンスよりも、オーディエンスを楽しませたり一体感を味合わせるショーマンとしての腕の良さですよね。
これをヒュー・ジャックマンが完璧にやってのけてるのが、俺にとってこの映画の一番のハイライトかな。
送風機を前髪にあてて風を感じる姿を演出するなんてのはほんの入り口に過ぎなくて、一曲目で歌う「スイート・キャロライン」のサビでしっかりコール&レスポンスをすることで、オーディエンスを乗せる。
さらに、口上ともいえる最初のMCでさらに場内のボルテージを上げる持っていき方がほんとにすごい。
これこそ「グレイテスト・ショーマン」なんじゃねえかと。
こういうパフォーマンスできるミュージシャンてそうはいないと思う。
また、クライマックス手前「ライトニング&サンダー」が晴れて復帰はするものの、与えられた舞台は、マイクがピンで仕事をもらっていたタイ料理店のカラオケの司会。
クレアと二人でしっとりとした曲「ホリーホーリー」を演奏しながら歌うマイク。
皆が飯に夢中な中、経営家族の協力を受け、徐々にMCをヒートアップさせていくマイク。
そもそもここでの仕事は自分たちの歌を聴いてもらうのではなく、カラオケをしてもらうために客を乗せるのが仕事。
さぁみんな手拍子して!
店長がまずは手本をと、マイクとともに歌う。
ほら全然恥ずかしくないよ、歌えばだれもが気持ちよくなれるんだ。
そう優しく背中を押すマイクは、客に合いの手をさせようとマイクを向ける。
ここまでくると完全にマイクのペース。
見事に客を乗せ店内が一体になっていく。
別にしっとりした歌でも客を乗せることができるという、20年以上も音楽活動をしてきた経験値だけあるマイクのすごさが、あのシーンで十二分に伝わった。
波乱万丈すぎる。
見る前からきっとステージングや歌唱パフォーマンスはすごいんだろう、おそらく二人の実話を知らないほとんどの人が、そうした期待を胸に映画館に訪れるので、そこは期待していい、ということを一応書いてみました。
しかしこの映画のもっとすごいことは、歌で飯を食っていこうと誓った夫婦に、あまりにも辛すぎる試練が多すぎるということ。
物語前半のピークは、なんと地元でライブをするパール・ジャムから「前座をやってくれ」とオファーが来るシーン。
夫婦になり、家族とともに一枚岩でやっていこうと願うも、まだ足並みのそろわない子供たち。
そりゃ無理もない、急に新しいお父さんがやってきて、しかも母ちゃんと一緒に歌を歌って生計を立てようとか言うんだから。
特に長女は思春期真っただ中で、彼氏もマリファナ吸ってばかりの、田舎によくあるタイプの男。
そんな長女が新しい父親・マイクに対して見る目が変わるのが、この「パール・ジャムの前座をオファーされる」出来事なのであります。
そもそもレッチリもパール・ジャムも知らないマイクが、彼らのライブの前座など勤まるだろうか。
客層はおろか、日本でいう歌謡曲みたいな歌の、しかも歌真似である。
そういう心配があったのか、マイクはフロントマンのエディ・ヴェダーにあるお願いをする。
それが「一緒にステージにあってニール・ダイアモンドの歌を歌う」ということ。
さすがにこのシーンは俺でも興奮した。
長女が「ぎゃあああ~~~~おーーまいがーーーーっ!!」となるのも頷ける歓喜のサプライズだったからだ。
エディが登場せずとも地元で人気のトリビュートバンドだけあって皆乗ってはいた。
しかしせっかく地元に来てくれたからには、もっとお客さんには楽しんでほしいといううサービス精神が、奇跡のコラボを実現させたんだろう。
これはある種の伏線になっていて、物語の終盤ではニール・ダイアモンド本人と会えるというトリビュートバンドにとって最高の賛辞が待っているのである。
こうして夫婦仲も家族の仲も最高潮に達したマイクとクレアの前に、とんでもない悲劇が襲うわけですよ。
クレアが庭に花を植えようとすると、そこに老人が運転する車が暴走して、彼女の背後めがけて突っ込んでくるというもの。
映画はぶつかる寸前で映像が途切れますが、これなかなかショッキングなシーン。
正直俺も顔をしかめました。うわっ、って。
子供たちも泣きじゃくって不安そうな顔をしてめっちゃ焦って病院へやってきたけど、実はマイクもいっぱいいっぱいだったというから見てるこっちも気が気じゃない。
なんと、アルコール依存症だった過去のせいか心臓に疾患を抱えてる様子が映る。
クレアのことが心配すぎて心臓に負担がかかっていたのだ。
長女を呼び、誰もいない病室で電気ショックの方法を教えたとたん気絶するマイク。
母ちゃんが車にぶつかってやばいというときに、父ちゃんまでぶっ倒れるって、もうギャグで会ってくれとしか言いようがないハプニングの連続。
娘には同情しかない。
何とか言われたとおりに電気ショックを与え、見事に回復したはいいものの、この設定が物語にどう影響するかっていうね。
クレアの左足を切断することで命は助かったものの、今度は彼女に薬の副作用による鬱が襲い掛かるからさぁ大変。
それまで物語をリードしていたヒュー・ジャックマンに代わって、ケイト・ハドソンが前半で見せていた笑顔を封印し、どんどん自暴自棄になり妙な夢まで見ておかしくなってしまう姿を熱演。
ことあるごとにマイクにぶつかり、ベッドから出たくないと義足の練習をさぼって娘を困らせたりと、ほんとに別人になってます。
はっきり言ってこんな生活になるとは思っていなかった、でも彼女なしでは歌えない、ライトニング&サンダーは自分と彼女あってこそなんだというマイクの思いが、クレアともども見ていてつらいし、二人をつなぐものは音楽だったんだと理解できる後半部分でもあったのではないでしょうか。
最後に
音楽系の記事で「パール・ジャムが1995年7月8日にミルウォーキー公演を行なった際、アンコール時にライトニング&サンダーがステージに呼び込まれ、ニール・ダイアモンドの「Forever in Blue Jeans」のカヴァーでエディ・ヴェダーとの共演を果たしている」と書いてあったので、物語の出来事は決してフィクションではなかったことが分かると思います。
それこそグランジ全盛期の時代に、彼らのファンでも受け入れられるほどニール・ダイアモンドの認知度は高く、さらに地元ではライトニング&サンダーという驚異的なトリビュートバンドがいたからこそ実現できた共演だった、ということでしょう。
クレアも回復し、これでバンドに復帰できるぞ!と意気込む中、クレアは再び花壇に花を植えようとします。
もちろんあの日がフラッシュバックするわけですよ、でも大丈夫、あんなことは滅多に置きやしない、と花壇を離れた途端、再び車が家めがけて突っ込んでくる恐ろしい光景が!!!
これは本当にあったのかどうかわかりませんが、マジでばか野郎!と思いたくなるシーンでしたよ。
みんなが真っ青な表情をする中、クレアだけが大笑いし「稲妻が2回も落ちるなんて!!!」とか言ってる姿を見て、一度でかい事故を食らって乗り越えた人はハート強いんだなぁと感じたものです。
あそこでマイクは運転手をぶん殴ってくれたら最高だったけどw
しかしこれだけで終わらないのがこの物語の波乱万丈すぎるところ。
この後ニール・ダイアモンドがミルウォーキーでライブをする日に、ライトニング&サンダーも大きなハコでライブをするという企画が爆誕。
あえなくチケット落選したファンを呼んで、ほぼ同時にライブをやってしまおうという彼らにとってもファンにとっても嬉しいイベントが決定。
当日満員御礼で迎えたライブで、念願に「スイスイスーイレモン」を1曲目で披露するマイク厳選のセットリストになったようで、場内大盛り上がり。
しかもこのライブの後にニール・ダイアモンドの本人と会えるというサプライズ。
ものまね王座決定戦のような歌唱中に「ご本人登場」ってサプライズではなかったものの、ものまねしてる人からしたらこれ以上の喜びはないってもんですよ。
本人が認めてくれたってことですから。
そうした奇跡が満載の映画。
これだけで終わらないのがまたすごいんですが、それはぜひご自身の目でお確かめください。
ソングサングブルーを歌う前にマイクが「之は悲しい歌じゃない 喜びの歌なんだ」と語るんですが、正にこれは悲しい家族の物語なんかじゃないと思える、心温まる家族の物語だったのではないでしょうか。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

