モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。」感想ネタバレあり解説 この映画からまた新しい音楽が生まれてくれたら。

ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。

インディーズ音楽。

メジャーレーベルから音源を発売するのではなく、自主的に資金を集め製作して流通し、ライブ活動を行うのがインディーズ。

 

契約形態が違うだけではあるものの、タイアップやプロモーションなどの宣伝活動やスタジオでのレコーディングなど、全国に発信してくれるだけの環境面においても、圧倒的にメジャーレーベルの方が良い。

しかし、アーティストが製作した楽曲にいちいち口をはさむし、商業として成功しなくてはいけないのが務めでもあるのが弊害。

 

その点インディーズは自由に楽曲製作できるし、音源が売れたらほぼ惹かれることなく自分たちに売り上げが入る。

しかし資金調達やプロモーション等は自己負担の部分も多く、練習時間を割いての宣伝活動もしなくてはならないと色々大変ではある。

 

一応かつてミュージシャンでしたから、メジャーレーベルとの契約を目指してやっていた部分はありますが、じゃああの時俺はインディーズだったのかと言われると厳密には違う。

俺の場合自主制作でCDは出していたけど、流通はしておらず、もちろん稼ぎもない。

ただの「アマチュア」でしかなかったわけ。

 

今回鑑賞する映画は、そんなインディーズレーベルを立ち上げ一つのムーブメントを作り上げたパンクキッズたちの姿をカメラマンの視点で描くというもの。

正直俺はパンクロック自体そこまで好きではなく、「東京ロッカーズ」の歴史も本当によく知らないので、本作を通じて彼らに触れたいと思っています。

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

東京のインディペンデント・シーンの当事者として活躍した写真家・地引雄一が、70年代から80年代の東京を舞台にしたパンク・インディーズ・シーンを記録した同名原作を、90年代バンドブームを舞台にした青春映画の傑作「アイデン&ティティ」の田口トモロヲ×宮藤官九郎タッグによって製作。

 

インディーズ、オールスタンディング、ロックフェスなど、今や当たり前となったカルチャーの原点を作り上げた「東京ロッカーズ」の、リアルでエネルギッシュな1年の記録を、主人公であるカメラマンの視点で活写していく。

 

「アイデン&ティティ」でのタッグはもちろん、宮藤官九郎が監督した「少年メリケンサック」にも出演するなど長年にわたり交流のある田口トモロヲ監督。

名バイプレーヤーでもある彼が約10年ぶりにメガホンをとった理由は「日本のロックを変えた奴らのことをほとんどの人が知らない、それを映画にしたら面白いと思った」からだそう。

東京ロッカーズの演奏を生で見たのち、自らもバンドを結成した過去を持つ監督は、そうした音楽の歴史を知ってもらうことでロックを継承したいと考えてるのだろう。

 

脚本には交流の深い宮藤官九郎に依頼。

当時のロックシーンを後から知ったというクドカンは、自身が手掛けた作品の参考資料として「ストリートキングダム」を手にしたそう。

ただ「記録」でしかない原作からどうドラマを作り出すかに苦労したようで、監督とミーティングを重ねて執筆したとのこと。

ミーティングはやがて「インディーズ精神とは何か」にまで発展し、当時の彼らの心境を想像しながら物語を膨らませていったとのこと。

 

そんな作品を彩るキャスト。

主人公のカメラマン・ユーイチ役を、「銀杏BOYZ」のボーカルであり、「アイデン&ティティ」「ピースオブケイク」に出演した峯田和伸。

TOKAGEのボーカル・モモ役に、「ぼくのお日さま」の若葉竜也、ロボトメイアのベース・サチ役に、「正体」の吉岡里帆、解剖室のボーカル・未知ヲ役に、「すばらしき世界」「十一人の賊軍」の仲野大賀、軋轢のボーカル・DEEP役に、「東京リベンジャーズ」の間宮祥太朗、ロボトメイアのボーカル・加世子役に、「終点のあの子」の中島セナ、S-TORAのボーカルSーTORA役に、「アイデン&ティティ」の大森南朋、ごくつぶしのボーカル・ヒロミ役に、「アイデン&ティティ」の中村獅童など、「アイデン&ティティ」の田口トモロヲだからオファーを快諾したと語る者たちが出演した。

 

EDMに押され、ドラム人口も減ってしたっまとされるほどロックの影が薄くなってしまった今、日本のパンクロックがどのようにして生まれたのかを知ろうではないか。

 

 

 

 

あらすじ

 

偶然ラジオから流れたセックス・ピストルズに衝き動かされたカメラマンのユーイチ(峯田和伸)は、ロックミニコミ雑誌「ロッキンドール」に出会い、とあるライブハウスへと足を運ぶ。

 

そこで出会ったボーカルのモモ(若葉竜也)率いるバンド「TOKAGE」のライブに衝撃を受け、無我夢中でシャッターを押した。

そこは音楽もバンドも観客たちも何にも縛られない生のエネルギーに溢れた異空間だった。

 

カメラマンとしてライブの撮影を依頼されたユーイチはモモたちと交流を重ねる。

やがて彼らの音楽は瞬く間に若者たちを熱狂させ、日本のロック史を塗り替えていくのだが−。(公式より抜粋)

youtu.be

 

 

感想

今では当たり前な仕組みやライブの原点を作った者たちの青春。

資本と戦い、形式や枠に捉われない自由な生き方、そして踊りを模索していった者たちのパンク魂。

なんか、一緒に演りたかったなぁ。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

もうひとつのアイデン&ティティ。

本作を鑑賞する前日、監督デビュー作の「アイデン&ティティ」を鑑賞して臨んだ本作。

なんといっても主演を務めた峯田の変わり様に驚く。

アイデン&ティティの時は「ロックは怪獣だぜ!!」と示してるかのような大きなアフロ姿で、当時演技も素人当然だから、演者として色々と見てられない部分が多かったけど、やっぱりゴイステ銀杏のフロントマンだけあって、彼が吠えたり噛んだり、誰かに語りかける言葉は、脚本通りにもかかわらず彼の即興化のように聞こえる「威勢の良さ」が随所にあった。

 

あの映画も自分のやりたい音楽という道をまっすぐ歩いたかと思えば、とんでもない方向に歩いていた、そんな主人公を正す女神の存在という二人のサクセスストーリーであり、タイトルの如くアイデンティティの模索の物語だった。

 

実は本作「ストリートキングダム」も実在したミュージシャンたちが、大きなムーブメントを生み出し、やがて終焉を迎えた後に自分たちのアイデンティティは何なのかを、メジャーやインディーズという枠にとらわれることなく模索していった者たちの物語だったように思う。

 

東京ロッカーズという名前だけを聞けば、イベント名なのかバンド名なのかはっきりしない印象だが、ロックとかポップとかパンクとか定義の無い彼らの音楽を括らなければならないからついた名称なのだろう。

 

そんな仲間入りを果たしたTOKAGEのボーカル・モモとサチと出会ったユーイチの3人を軸に物語は進んでいく。

 

現在の六本木を映しながら、監督である田口トモロヲの語りで始まる冒頭。

さすがプロジェクトXでナレーターを務めただけある声だが、個人的にはこの時点で少々心が離れてしまった。

その後も主人公ユーイチが事あるごとに、カメラ目線で我々観衆に向けて説明をするシーンが挿入される。

 

これは恐らく原作者である地引雄一の著書が、小説ではない記録媒体だからだと思うわけだが、どうしてもこの演出のせいで物語に没頭できず我に返ってしまう。

なんというかリズムが崩れる。

別に語るなというわけではない、その役目のスクリーンで演技をしている峯田にやらせる行為そのものが受け入れられないのだ。

 

説明が不要と言ってるのでなく、説明は別に「心の声」として声のみで伝えればいいのではないのか、と。

 

とまぁノイズになってしまったけれど、彼らの物語は実に楽しい。

実家に暮らしながら6年も売れずじまいのバンドをやっていても、決してそれが「ロック」だとも「ロックじゃない」とも思わない、ある種自分の音楽に対する概念ががっちり決まっているモモの姿は、登場した瞬間からもうかっこいい。

 

あ~50年近くも前の東京に、こんな人たちがいたのか。

自分たちで小冊子やレコードを作って、客も自由に体を揺らす、誰の指図も受けずに自分たちの音楽を鳴らす。

セックスピストルズが解散した後に生まれたことになってるから、当初歌う音楽は、ピストルズのような音楽ばかりが並ぶのかと思ったら、TOKAGEはテクノポップ寄りのニューウェイブ系で、70年代ではなく80年代のそれだったし、ニューヨーク帰りのバンド・軋轢も3ピース系のニューウェイブ系パンクでこれまたかっこいい。

 

そんな二つのバンドを中心に結成された東京ロッカーズを軸に物語が進むかと思ったが、ブーム自体は1年程度のモノだったようで、そこを分厚く描くわけではなかった。

 

後半からはそんなムーブメントが去り、これから各バンドがどうやって自分たちの音を確立するのか、メジャーでやっていくのかインディーズでやっていくのかと模索していく姿が映る。

 

「ちゃんとしてる人」ユーイチもまた、彼らに刺激を受けてロックフェスの原型とも言える6日連続のイベントを立ち上げたり、サチやモモと共にレコード会社を立ち上げる。

商業的成功を義務付けられるメジャーレーベルと、歌いたい歌を自由に発信できるインディーズレーベルを使い分けるバンドやミュージシャンは今でもいると思うが、当時はかなり画期的だったんだろうし、色々手探りだったに違いない。

 

TOKAGE自体もその後ストレンジャーズなるバンドに気に入られロンドンでレコーディングできるまでになるが、自費による借金とメンバーの怪我等重なり、空中分解しかけていく。

誰からも指図を受けない、自分たちだけの王国を作る、その理想はものすごくいいことだが、その代償から目を背けてはいけない。

目を背けなかった結果どうなったか、散っていった者たちを散々見てきてるはず。

俺もその一人だったりする。

だからモモの葛藤は痛いほどわかるし、彼についていけず疾走するメンバーの気持ちも分かる。

ほんと、理想だけ追いかけても腹は膨れないのよ。

 

クスリに手を出して墜ちるところまで墜ちたモモにユーイチが語る。「ちゃんとしろよ」と。

客が悪い、メジャー資本が悪い、メンバーの演奏が悪い、そうやって誰かのせいにして自分は小さな王国の王様になっている、それはちゃんとしたことなのか。

目を背けているだけなのではないか。

アイデン&ティティから20数年、あの頃の峯田が戻ってきたかのような、目の覚める説教に目が熱くなった。

 

内田けんじ監督の「アフタースクール」でも大泉洋が佐々木蔵之介に行ったセリフ「お前がつまらないのはお前のせいだ」に匹敵する「全部誰かのせいにして逃げてんじゃねえ」といったユーイチの言葉は、今でも「自分の音」を見つけたふりして「見えない檻」から抜け出せない者たちに聞いてほしい言葉に違いない。

結局売れてないのは、みんなが離れていくのは、理想にたどり着けてないのは、お前が自分の音を、自分の踊りを探せてないから、ちゃんとしてないからだ。

 

 

彼らのムーブメントが終わり、世間はイカ天だ、渋谷系だ、ビジュアル系だロキノン系だと、誰が仕掛けたかわからないいくつものムーブメントが生まれては消え、生まれては消え、今に至る。

TVを付ければ「平成がブーム」とメガヒット連発だった曲を懐かしむ者もいれば、ダサイと言わず新しいと受け入れる懐の深い若者たちがいる。

だから本作を見た若者たちが、彼らの音楽から刺激を受けて新しい文化が生まれたらいいなと心の底から思ったし、そうしたムーブメントに躍らされて淘汰されていったミュージシャンたちが報われればいいなと思った。

 

 

最後に

演出が好みではないので固い感想になりましたが、やっぱ自分もアマチュアのミュージシャンんだったんで色々感慨深いものがあります。

でもって、劇中で披露された音楽がどれもかっこいい。

 

ヒロミちゃんが「自分の踊りを探せ」と言ってましたが、右に倣えと教えられて育った俺らはどうしたって誰かの真似事ばかり繰り返しちゃうわけですよ。

オリジナルってなんだよって。

でも創作者たちはこうやって自分たちの踊りを探して王国を作ってきたって語り口が、この映画のカッコよさだったりする。

 

 

気が付きゃこの感想を書きながら彼らのプレイリストを聞いてますw

いやぁ~リザードと暗黒大陸じゃがたら、かっこいいですね!

遠藤ミチロウも名前しか知らなかったけどTHE STALINもクラッシュみたいな王道パンクで最高です。

てかさ、どこのバンドもベースラインが印象的。

特にロボトメイアの曲、好きだなぁ。

ギターリフだけで曲作ってない感じのオリジナリティがベースラインから出てるなぁって。

メロディラインも今のJ-POPのようなそれじゃないっつうか。

 

 

彼らは一体何を聞いて音楽を生み出したのか、その辺も見せてほしかったなぁ。

 

渡辺大知やハマケンといったミュージシャン俳優が峯田以外にも登場してたのも良かったなぁ。

あとあんまし大森南朋にクサいセリフ言わせないでくれ。

俺どうしても合ってないと思って笑っちゃうんだw

 

あ、放尿は愛の表現らしいですよ。

大河ドラマの主演を務める男は、スクリーンでそんなことしてますw

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10