太陽は動かない
秘密工作員たちのミッションを描く日本映画ってなかなかないですよね。
思いついたので言うと、
- エスパーとスパイを組み合わせた「エスパイ」でしょ?(由美かおるが美しいのよ!)
- 大日本帝国軍のスパイを養成する「陸軍中野学校」。⇦これは見てないw
- 実在のスパイを描いた篠田正浩監督の「スパイ・ゾルゲ」。
- ユダヤ人を救った外交官を描いた「杉原千畝」。
- 亀梨君主演の「ジョーカー・ゲーム」
など、あくまで時代背景が一昔前の「スパイ映画」という名目なら出てくるんですけど、現代を舞台にした邦画スパイアクションてあまりないんですよね。
今回鑑賞する映画は、胸に爆弾を埋め込まれたエージェントが機密情報を巡っての争奪戦を繰り広げる、正真正銘の「スパイアクション日本映画」。
予告編の段階で「今を生きろ!!」と説教じみた台詞が耳に残りますが、ぶっちゃけそんなのどうでもいい。
アクションを見せてほしいのよ!
工作員ならではの!!
劇場版MOZUのような激しいやつを期待しております!
早速鑑賞してまいりました!
作品情報
「悪人」、「怒り」などヒット作品を生み出す吉田修一原作の同名小説を、常にスケールの大きな大作を作り続ける監督の手によって映画化。
WOWOWとの共同制作により前日譚となる連続ドラマと映画で大スケールに描く。
次世代エネルギーの機密情報を入手すべく、胸に爆弾を埋め込まれたエージェント二人が錯綜する極限ノンストップサスペンス。
主演に、これまでアクの強い役柄でインパクトを残し続けてきた中堅俳優と、仮面ライダー出身俳優のネームバリューに媚びることなく演技を磨いてきた若手俳優二人が、冷静に行動しつつも、タイムリミットに追われていくことで、汗臭く泥臭く駆けずりまわる姿を魅せる。
また、極限状態の中で錯綜する彼らを通じて、「一日を強く生きる」ことの意味もこめられており、単純なスパイミッションではないことが予告編からうかがえる。
果たして二人は、世界各国が狙う機密情報を無事入手し、命をつなぎとめることができるのか!?
あらすじ
24時間ごとに秘密組織:AN通信へ定期連絡しなければ爆死する爆弾を埋め込まれた、冷静沈着な鷹野(藤原竜也)と相棒の田岡(竹内涼真)。
精鋭エージェントコンビに課せられた、過去最大にして最悪のミッション。
キーワードは、全人類の未来を決める次世代エネルギー。
その機密情報をめぐり、世界各国のエージェントたちが争奪に動き出し、命がけの頭脳戦が始まる!
そんな中、二人の心臓の起爆装置が発動!
刻々と迫りくるカウントダウン!
時間がない!
襲い来る数々の困難を乗り越え、彼らは明日の太陽を見られるのか!?(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、羽住英一郎。
「海猿」シリーズや「暗殺教室」などで知られる監督。
限られた予算内でいかにダイナミックでスケールの大きな日本映画を作られるかに挑戦している人だと思います。
モンキー的には「インファナル・アフェア」のリメイク「ダブルフェイス」や、同じ主演コンビで手掛けたポリティカルアクション「MOZU」は、映像表現としても優れていたし、爆破シーンはじめアクション面も頑張っていたと思います。
ハリウッド映画やパニックムービーを好むという監督は、今回製作するにあたって、原作の「太陽は動かない」を読んだ際、映画化するのには物足りなさがあったそう。
続編「森は知っている」と2作で映画化できないかと考えていたそうですが、その話を聞いたWOWOWのプロデューサーから、「2冊の小説を1本の映画にしちゃえば?」というアイディアをいただき企画を動かしたとのこと。
また、本作の前日譚「太陽は動かないーTHE ECLIPSEー」をWOWOWで6話から構成されたドラマを映画と同時進行で作っており、若き日の鷹野のエピソードを入れることで、ドラマも映画も楽しめる内容になっているそうです。
過去作「MOZU]を超えたいという監督は、今回も海外ロケを敢行。
景色なども含め、国内だけでは成し遂げられないようなスケールの大きいアクションを目指したとのこと。
一体どんなドラマになっているのでしょうか。
登場人物紹介
AN通信…国や企業などあらゆる組織の機密情報を入手し、売買する組織。エージェントは組織への裏切り防止のために爆弾を胸に埋め込まれ、24時間ごとに本部に連絡しなければ爆殺される。表向きは小さなニュース配信会社を装う。
- 鷹野一彦(藤原竜也)・・・エージェント。明晰な頭脳と突出した身体能力を併せ持ち、どんな危機にも冷静沈着に判断を下す、真のプロフェッショナル。感情を表に出さないが、実は内側には熱い思いを秘めている。
- 田岡亮一(竹内涼真)・・・若手エージェント。勇敢で行動力もあるが、仲間の死に耐えられない優しさや、心臓の起爆装置への恐怖が頭から離れないなど、精神的な弱さもある。ブレない鷹野に反発しつつ尊敬もしている。
- 山下竜二(市原隼人)…エージェント。本部の指令で、香港でCNOXのアンディ・黄の動きを探っていたはずが、ブルガリアで黄の裏組織に拉致され監禁される。鷹野と田岡が救出に向かう。
- 風間武(佐藤浩市)・・・AN通信の司令塔で、鷹野たちの上司。ある事件で重傷を負って車いす生活となった。アジトで本部とやり取りし、部下たちに指示を出す。少年時代の鷹野を引き取り、エージェントとして育て上げた。
MET…日本の大手電機メーカー。
- 河上満太郎(鶴見慎吾)・・・MET取締役。次世代型太陽光エネルギーの実用化に向けて、資金面からアンディ・黄と組もうと考え、山下から情報を得ていた。
- 河上麻子(宮崎美子)・・・河上満太郎の妻。夫がマニラに赴任していた時に誘拐されて行方不明になった息子を今も思い続け、息子の面影を鷹野に見る。
CNOX…中国の巨大エネルギー企業。
- アンディ・黄(ウォン)(翁華栄)・・・CNOX会長。中国の裏社会を牛耳る人物でもある。裏の実行部隊を駆使して買収と暗殺を繰り返し、エネルギー業界のフィクサーになろうとしている。
- ジミー・オハラ(横田栄司)・・・裏組織の実行部隊のリーダー。ターゲットを容赦なく叩きのめす残忍な男。
その他。
- デイビット・キム(ピョン・ヨハン)・・・フリーの韓国人エージェント。一匹狼で、その時々の依頼人のためだけに働く。洗練されたビジュアルで口もうまく、人に取り入るのが得意。鷹野のことは昔から知っていて過去に因縁がある。
- 小田部教授(勝野洋)…ブルガリアのソフィア大学教授。宇宙で発電した太陽光エネルギーをマイクロ波に変換して、地球に送る技術を開発している、
- 小田部奈々(八木アリサ)・・・小田部教授の娘。ブルガリアのソフィア大学学生。キムに利用される。
- AYAKO(ハン・ヒョジュ)…謎の女。CNOXのアンディ・黄に近寄り、次世代エネルギーの情報を集めている。
少年時代
- 柳勇次(加藤清史郎)・・・鷹野の高校時代の同級生。やはり親に捨てられエージェントの受けるが、弟が一人で生きていけるか心配している。
- 鷹野一彦(高校時代)(日向亘)…親に捨てられ弟を亡くして天涯孤独の身となり、AN通信に拾われ訓練を受ける。18歳を迎えて自らエージェントに志願する。
- 菊池詩織(南沙良)…鷹野の初恋の人。高校三年生の2学期に、ワケあって東京から南蘭島へ転校してきて鷹野と出会い、互いに励まし合う。(以上、HPより)
太陽は動かない THE ECLIPSE
ニュース配信会社を隠れみのに暗躍する諜報組織「AN通信」のエージェント鷹野(藤原竜也)と新人の田岡(竹内涼真)は、3年後に開催予定の国際都市博覧会の建設地に潜入していた。
建設地選定をめぐってはさまざまな謀略が動いており、政界のフィクサー中尊寺(石橋蓮司)と秘書・永島(吉田鋼太郎)からの依頼で、その情報戦に一役買っていたのだ。
しかしその現場は爆破され、2人は上司・風間(佐藤浩市)の指令で首謀者の調査を開始。
同僚の山下(市原隼人)の協力で見えてきたのは、中尊寺側の思惑に介入しようとする中国企業勢力と、そこに雇われた元AN通信エージェント桜井(安藤政信)の存在だった。
一方、NPO職員の落合(多部未華子)は、政界の陰謀を追って危うい接近を試み、無関係に思われた二世議員・桐野(柿澤勇人)までもが、暗躍を始める。
やがて、都市博開催をはるかに超える巨大利権の存在が明らかに…。(公式より抜粋)
WOWOWで放送された6話構成からなる前日譚を描いたドラマ版です。
都市博誘致の件で湾岸側に会場を作りたい中尊寺、この案件に乗っかろうとする中国企業、古狸に引退してもらい新しい日本を作りたい桐野、そして彼につく大きなバック。
これに風間を追う落合や、鷹野を育てた元エージェントの存在などの人間ドラマが加わり、さすがWOWOW!といったような大掛かりなアクションや爆破、ヒューマン性にポリティカルな内容となっております。
映画では中国企業が大きく絡んでくる内容なんですが、なぜ中国企業に結びついてくるのかは、このドラマ版を見るとより理解できるのかなと思います。
特に単身中国で情報収集している山下は、本編ではブルガリアで拉致された状態から物語が始まるんですが、予想する限りドラマと繋がっていそうです。
また、予告編では田岡の自己紹介、上半身裸で叫ぶ姿、飯のマナーを注意されるシーンなどが写っていますが、これ全部ドラマ版で描いてる内容です。
なので、恐らく映画本編では鷹野と田岡はすでに出会っていて、半人前だった田岡がそこそこエージェントとして育っている状態から始まるのではないかと推測します。
映画本編をより楽しむにはドラマ版は必須かと思います。
WOWOWならオンデマンドで一気見できるので是非ご視聴してみてはいかがでしょうか。
鷹野の過去が本編にどう影響してくるのかも注目したいところ。
中国の巨大企業とかブルガリアとか次世代エネルギーとか、なかなかでかい規模の話になりそうですが、二人はミッションをクリアできるのでしょうか!?
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
尺も、アクションも、バディ感も、市原隼人も、脚本も全てが足りな過ぎる!
とりあえずホリプロ60周年おめでとう。
以下、ネタバレします。
やっぱり駄目だったか…
次世代太陽光エネルギーの中国企業独占を阻止するべく、最強の産業スパイ2人が世界を駆け巡っての情報戦の模様を、海外ロケでのド派手なアクション、鷹野の出自、敵の組織や素性のわからぬ商売敵などによる二転三転の展開、定期連絡を怠ると爆殺してしまう「死」への恐怖や、それでも生きとし生ける者たちに与えられた「1日を全力で生きること」の意味などたくさん要素を盛り込んだスパイアクション映画にも拘らず、どう考えても端折り過ぎだし、要らないエピソード入れ過ぎだし、同じセリフ繰り返しだしとダメダメな部分盛りだくさんの、非常に残念な映画でした。
はい、冒頭でも書いた通り日本映画ではなかなか実現することのできなかったスパイアクション映画に一抹の期待を寄せて臨んだ本作。
冒頭の「AN通信とは」という説明が流れた瞬間、あ~これはアカン!という不安が的中したものの、いきなりブルガリアでの同僚エージェント山下の救出ミッションで楽しませてくれたものの、開始5分で市原隼人がいなくなってしまうという悲惨な幕開け。
やはりホリプロ主導のキャスティングだからか、他事務所の人間は多く活躍させてもらえないのね…と大人の事情を汲んでしまった序盤でございました。
100分弱という上映時間の中で、一体どれだけかっこいいアクションや情報戦を繰り広げてくれるのかとワクワクしておりましたが、世界を股にかけておるにも拘らず移動時間をすっ飛ばしてしまったり、胸の爆弾が起動するタイムリミットを全然有効活用せず、別の緊急事態でハラハラさせちゃう設定のもったいなさ。
あれだけ「定期連絡を怠るとドォ~ン!!」と声高に予告編でリピートしてるのに、そこ上手く使わねえと意味ねえだろ!とモンキー激オコ。
おまけに最強のコンビであるにもかかわらず連係プレーは一切ないし、先輩と後輩の関係を構築していかないバディ感の弱さ、鷹野の過去を何度もフラッシュバックさせる過去のエピソードがどう繋がっていくかという流れはある程度の理解を示すものの、何度も挿入するしつこさや使い過ぎの尺。
普通に色仕掛けで手柄を奪われてしまう情けな~い一匹オオカミのスパイのデヴィッド・キムや、その色仕掛けを使って美味しいところを全部かっさらってしまう峰不二子感丸出しのAYAKOの2人に至っては、正直二人で一つの人物に変更して鷹野と田岡の任務の邪魔をした方が物語がスムーズだったと思うんです。
あとは製作スケジュールの裏が据えて見えちゃった感じのするブルガリアでのアクションシーンね。
冒頭ブルガリアに行って、香港、インド、日本に戻ってすぐさまブルガリア。
なんか、普通に考えたら鷹野も田岡もブルガリアにずっと留まって任務すればよかったんじゃね?と思ってしまって。
一度MET社の社長に接触するために木箱の中に入って輸送されてまで帰国するんですけど、それもメールなり電話で済んだのになぁと。
どうしても派手なアクションをするにはブルガリアでないと出来ない事情があったのか、小田部教授がいる場所をブルガリアに設定してブルガリアでのシーンを再び入れるという面倒な流れ。
恐らく原作を忠実に再現しようと試み、しかもその原作2作を一つの作品にまとめて製作しようとした監督のムチャが悪い方に進んでしまった感じがした映画だったと思います。
ざっくり解説
本作は明らかに前日譚である「太陽は動かない THE ECLIPSE」とセットで見たほうが楽しめる内容になっています。
というのも、鷹野と田岡は既にドラマ版でバディを組んでおり、ミッションの邪魔をする死んだはずの先輩エージェント桜井の身柄を何度も確保しようとするも、情が沸いてしまう鷹野の葛藤や、山下から鷹野に預けられ勝手に一人前だと思っていた田岡の「命をかけて任務を遂行する」覚悟の無さや未熟感、それをしっかり諭す鷹野という関係性が、本編に進むまでに完成されてしまってるからです。
また同僚エージェント山下はドラマ版では、別件で中国のある裏組織に潜入捜査して情報を追っていました。
それが鷹野と田岡が追っていた中尊寺議員の都市博湾岸案に便乗して日本の政治に絡んでくる中国企業が一体何を企んでいるかという点と繋がってくるんですね。
山下が潜入している裏組織はすでに山下が怪しいと睨んでおり、鷹野と田岡を拉致して吐かせようと試みます。
何とか難を逃れた山下でしたが、本編ではその後の彼の足取りが明かされます。
それがMET社に情報を渡すために動いてた「CNOX」の裏側でした。
結局正体がバレてしまい、拉致されていたところを救出しようと試みる鷹野と田岡という場面から本編は始まります。
山下を救えなかった二人は、風間からの命を受け、山下が何を追っていたのか探ることに。
次世代太陽光エネルギーの蓄電池技術の開発に成功したMET社は、資金調達のために中国企業のCNOXと業務提携を結んでいましたが、CNOXが裏で既に技術だけ盗んで衛星を使ってエネルギーを吸収できる装置を開発していたことが明かされます。
このままでは中国企業に全て持っていかれると踏んだAN通信は、MET社の社長に今すぐ撤退するよう訴えます。
一方デヴィッド・キムは別の依頼人から命を受け、鷹野たちの邪魔をしてきます。
香港へ出向きデータを盗もうとした鷹野と対決したり、ブルガリアで太陽光エネルギーをマイクロ波に変換して供給できる研究をしている小田部教授に近づいたりと怪しい動きを続けます。
さらにはCNOX側についていたAYAKOもフリーのエージェントスパイであり、鷹野にCNOXに近づくなと忠告したり、キムに近づき手を組もうと画策。
実際キムは依頼人からインドで次世代太陽光エネルギーの10倍ものエネルギーを畜産できる原料を開発した若干15歳の少年に目をつけており、彼の開発した原料と小田部教授の研究ノウハウを独占しようしていました。
そこに美味しい所にすぐ食いつくAYAKOが手を結ぼうと近づき、CNOXを出し抜こうと画策。
物語は、MET社のために動くAN通信側と、謎の依頼人により怪しい動きを見せるキムとAYAKO、中国企業CNOXのバックについている闇組織との三つどもえ戦に展開していきます。
一方物語は、鷹野の出自が明かされていきます。
ドラマ版では、18歳になった鷹野がエージェントに合格し、彼の世話係となる桜井との訓練と日常が描かれています。
本編ではそれよりも前の南蘭島での彼の生活ぶりが描かれていました。
おばあちゃんの家で世話になっていた鷹野は、柳と共に楽しい高校生活を送っている一方でコワモテのお兄さんと何やら格闘するシーンが映し出されているなど、序盤は謎の要素が描かれています。
実は柳も鷹野もこの島で普通に暮らしているだけではなく、AN通信のエージェントして訓練も兼ねて生活していたことが明かされます。
鷹野は柳を親友だと思っていましたが、柳はもうすぐ高校卒業とともにスパイにならなくてはならないことへの嫌悪感と、自分がいなくなってしまったらダウン症(多分ですが)の少年カンタの面倒を一体誰が見るのかという心配から、この島から逃げることを鷹野に伝えます。
逃亡に成功した柳の代わりに白羽の矢がった鷹野は、東京から来た転校生詩織に想いを寄せながらも、エージェント合格のための試験に臨みます。
日韓合同のある資料を盗み出すミッションをこなしてく鷹野でしたが、ここである邪魔者に遭遇。
韓国人の凄腕スパイでしたが、その正体は自分と年齢大差ない少年デヴィッド・キムでした。
鷹野がキムをすでに知っていて敵対視していた理由はここからでした。
物語は風間と高野の絆についてを、鷹野の生い立ちによってさらに掘っていきます。
鷹野も田岡も親の虐待によって餓死寸前のところをAN通信に拾ってもらった過去をドラマ版では明かしてしましたが、本編ではどういう経緯で鷹野が風間に拾われたかについて触れています。
4歳の鷹野は2歳の弟と共に、男を作って出て行ってしまった母親によって家に閉じ込められ、布団の綿やビニール袋などを食べながら飢えを凌いで生きていました。
家の近くのボヤ騒ぎによって生存確認された鷹野でしたが、弟は餓死。
無事風間に引き取られた鷹野でしたが、弟を死なせてしまった後悔を抱えたまま成長してしまっており、風間の自宅の部屋に閉じこもり火をつけて自殺しようと試みます。
死ぬのはいつだっていい、だけどまず1日を生きる事だけを考えてみないか。もし生きれたら明日、明後日と生きていけばいい。
家の柱の落下によって足に大けがを負ってしまった風間は、ずっと苦しんでいた鷹野の閉ざした心を解放し、南蘭島へ向かうのでした。
常に冷静沈着な鷹野が、山下が死んでも微動だにしない理由、そして常に心に爆弾を抱えて生きることに疲弊してしまった田岡を何としてでも生き延びてほしいと願うわけは、ここに在ったのです。
最後に
要するに僕が言いたいのは、無理にドラマ版と映画を分けて製作するのではなく、一つの作品にまとめてしまった方が鷹野と田岡の関係性が良くなっていく過程がしっかり映し出せたと思うんです。
それによってバディ感が色濃く出たと思うし、鷹野の過去バナも詩織の存在など削ってしまえばスッキリできる。
ロケ地を有効活用したかった気持ちもわかるけど、ブルガリアなんて一目でわかる人なんていないんだから映画の嘘として別の国って変えてしまえば僕のように変な感覚にならないわけで。
あとは胸の爆弾をもっと活かすべきでしたね。
確かに途中でヤバい状況にはなるけれど、あれは普通最後でしょ。
何で最後海猿テイストぶっこんできたのかw
他にも親の虐待によって命を失おうとする子供たちをスパイにするってことに対する風間の考えがノイズ。
風間的にはそれが正しいことだと思って、親に返さずに自分で保護したんだろうけど、普通に彼らのような子たちを保護する施設はありますからね。
胸に爆弾入れてまで任務しなきゃならないスパイになるなら、ちゃんと親と隔離された施設で普通に生きる方がよっぽど幸せでしょ。
無理にそういう方向に持っていかなくていいんですよ、この手の映画は。
色々と酷評してしまいましたが、なんとももったいない映画でした。
監督のハリウッドテイストな映画を作り続ける精神は大いに買います。
だからこれだけスケールの大きな作品を見れたことに対するリスペクトは欠いてませんし、これからも作ってほしい。
しかしもっとお話の部分を詰めていかないとせっかくの作品が台無しじゃないかと。
アクションももっとこだわって撮って欲しかったですね。カット割り増やしてスピーディーにしてほしかったなぁ。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆★★★★★★★★2/10