ザ・フォーリナー/復讐者
映画を好きになって約10年が経つ私モンキーですが、恥ずかしながらジャッキー・チェン主演作品を鑑賞したことが一度もありません…。
え~!!うわぁ~!!まじかよ~!!
ジャッキー観たことねえとかマジこいつ終わってるよぉ~!
これまでずっとこいつのブログ読んできてたけど、マジ引くわぁ~・・・
そう思われても仕方がないです。
厳密にはしっかり見た記憶がない。
アクションやら1シーンやらは記憶にあるんですが、どれを見たとか明確に覚えてないし、もしかしたらTVの特集かなんかで見ただけかもしれない。
「ポリスストーリー」のテーマも昔ipodに入れてたし、決して嫌いだから避けていたわけではありません。
単純に優先順位が低かった、それだけのことです。
ただ、初めて見るジャッキーの映画を今回の新作映画にしていいのか、という戸惑いはあります。
しっかり彼の名作を見てから臨むってのが筋であり礼儀なんでしょうが、逆に僕みたいなジャッキー童貞は、ある意味希少な存在なのかなと。
勝手な解釈でそのままの自分の視点で鑑賞してもいいのかなと。
なので、こいつジャッキーのことわかってねえなぁみたいな感想になると思われるので、その辺はどうかご容赦くださいませ。
まぁ今回は今までのジャッキーとは違い、明らかに影を背負った男を演じているので、その辺が楽しみなのと、ナーメテーター映画要素、そしてある種のハードボイルドな空気に期待しております。
というわけで早速鑑賞してまいりました!!!
作品情報
「007/ゴールデン・アイ」そして「007/カジノ・ロワイヤル」と2人ものボンド誕生映画を手掛けた監督による、スタイリッシュサスペンスアクションが誕生した。
これまで香港のアクションスターとして長年にわたり君臨したジャッキー・チェンが、これまでのアクションスタイルを封印し新たなアクションを披露するのが話題の今作は、無差別テロによって娘を失った父の、静かな怒りを爆発させた復讐劇。
やがてたどり着く黒幕を、かつてジェームズ・ボンドとして活躍したピアース・ブロスナンを抜擢し、往年の2大スターが孤独な戦いを繰り広げていく。
復讐と贖罪に終わりはあるのか。
あらすじ
ロンドンでレストランのオーナーとしてつつましい生活を送るクァン(ジャッキー・チェン)。
平穏無事な生活を送っていた中、突然たったひとりの高校生の娘が無差別テロに命を奪われてしまう。
クァンは復讐の怒りに煽られ、静かに爆発していく。
彼は犯人を探すうちに、北アイルランド副首相のリーアム・ヘネシー(ピアース・ブロスナン)にたどり着く。
ヘネシーは、官僚としての仕事で過去に抱えた問題に脅かされていた。
クァンの犯人を追うあくなき執念が、昔アメリカの特殊部隊出身である事を浮き彫りにしていく。
次第に明らかになっていく二人の過去。
敵か、味方か…孤独な男たちの戦いは、想像もしない結末へと向かっていく―。(HPより抜粋)
監督
今作を手掛けるのは、マーティン・キャンベル。
彼の作品は007はじめ、何作か見てはいたんですが、監督自身を知らなくてまだまだ勉強不足だなぁと。
基本はアクション専門の方なんだと思います。
そんな監督の代表作をサクッとご紹介。
ゲイリー・オールドマン主演の映画「クリミナル・ロウ」でハリウッドデビューした後、軍人が絶対脱出不可能な刑務所から脱獄を図る近未来映画「ノー・エスケイプ」が大ヒット。
そのおかげもあり、5代目ボンドを迎えたシリーズ作品「007/ゴールデン・アイ」の監督に抜擢。
沈んでいた往年のシリーズを再び大ヒットさせた。
その後も、ゾロの名を引き継いだ男の復讐劇をアクションとコメディ満載で底滑に明るいテイストに仕上げた「マスク・オブ・ゾロ」と続編「レジェンド・オブ・ゾロ」、現在のジェームズボンドのエピソード0とも言える作品「007/カジノ・ロワイヤル」、銀河の平和を守る一員に抜擢された男が、壮絶なバトルを繰り広げるDCヒーローの誕生譚「グリーン・ランタン」など、あらゆるアクション映画を手掛けております。
キャスト
今作の主人公、クァン・ノク・ミンを演じるのはジャッキー・チェン。
おいおいおい、どうしたらそんな顔になるんだ…ってくらい沈んだ表情。
僕が今回見たいなぁと思ったのは、僕が抱く彼のイメージとは違う一面を予告編で感じたからです。
たっぷり堪能したいと思います。
そんな彼の代表作を作とご紹介。
70年代後半からアクション俳優として活躍する彼は、自身のキャラを生かした「ドランクモンキー/酔拳」が大ヒット。
80年代には海軍警備隊の主人公が海賊たちと果敢に戦うコメディアクション大作「プロジェクトA」、自ら監督脚本を務め、香港国際警察と麻薬シンジケートとの戦いを描いた「ポリス・ストーリー/香港国際警察」などで香港のトップスターに君臨します。
90年代は以前から出演していたハリウッド映画にも意欲。ニューヨークにやってきた香港の刑事が巨悪組織の犯罪を阻止すべく立ち向かう「レッド・ブロンクス」を皮切りに、香港からやってきた刑事と彼のお守り役に抜擢されたお騒がせ刑事の二人が衝突しながらも黒幕へとたどり着く痛快ポリスアクション「ラッシュアワー」は3まで制作される人気シリーズに。
00年代にはジェット・リーと初共演した「ドラゴン・キングダム」やウィル・スミスの息子ジェイデン・スミスと名作をリメイクした「ベスト・キッド」、紀元前を舞台にローマ帝国軍と前漢との戦いを壮大なスケールで描いた「ドラゴン・ブレイド」とさらなる飛躍を遂げました。
他のキャストはこんな感じ。
北アイルランドの副首相リーアム・ヘネシー役に、「007」シリーズの5代目ジェームズボンドや、「さよなら、僕のマンハッタン」のピアース・ブロスナン。
リーアムの妻、メアリー・ヘネシー役に、「愛のエチュード」のオーラ・ブラディ。
テロ対策司令部指揮官リチャード・ブロムリー役に、「美女と野獣」などに出演したレイ・フィアロン。
リーアムの愛人マギー役に、「ベルファスト71」、「あなたを抱きしめる日まで」のチャーリー・マーフィー。
クァンの娘ファン役に、「ハリーポッター」シリーズでハリーの初恋の相手チョウ・チャンを演じたケイティ・ルングなどが出演します。
いったいどんな復讐劇になるのか、それともその先に新たな事実が生まれるのか。物静かな男の物静かな怒りを堪能したいと思います。
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
寡黙なジャッキー、沈んだジャッキー、そこまで無敵じゃないジャッキー。
イメージしていたジャッキーがここにはいない!
北アイルランド闘争を背景にした政治的サスペンスアクションでした!!
以下、核心に触れずネタバレします。
ジャッキーサイドについて。
娘がドレスを買いに入った店が無差別テロ事件に巻き込まれ、失意のどん底に落ちた主人公クァンが、私の娘を殺したのは誰なのか?この恨みはらさでおくべきか!!と、静かな復讐心を燃やし、まずは警察、そして北アイルランド副首相ヘネシーに出張アポなし訪問を決行。
テロ事件の犯人は誰ですか?
今探しているから。
テロ事件の犯人を教えてください。
だから今探してるから!
教えてください!!
俺も知らねえんだよ!!!
そうですか、では。
と、答えを教えてくれないヘネシーに、便所でコソコソ爆弾づくり。
そしてどーん!!と爆破を起こして宣戦布告をするクァンなのでした。
というのが前半の大きな流れ。
全くジャッキーを知らない僕にとって、今回の作品は僕の思っていたジャッキーとは違い、笑顔など無くコミカルな描写もなく、娘の心配を常に心がけるどこにでもいるお父さんでした。
あんなに泣いて、あんなに人を憎んで、あんなに体が重くて、あんなに復讐心に駆られるジャッキー。
テロに巻き込まれた娘を抱きしめる姿は目に焼き付いたし、それ以降一切心を閉ざしバッグいっぱいに爆弾の道具を詰め、ベトコン上がりの手製の中々の破壊力の爆弾を淡々と作り、とにかくヘネシーを追い詰める彼の執念とやらをジャッキーが見事に演じていたように思えます。
アクションスターである彼が、精神的な部分を前面に出して役に没頭したのは、年齢的なものからだと思うんですが、さすがは役者。徐々にクァンの心の痛みが画面を通じて伝わってくるではありませんか。
ラストの抱擁にはいつかどこかで報われてほしいと願う気持ちが芽生えた、そんな映画でした。
そしてアクションですが、ヘネシーの部下によって拠点を知られ襲撃されるシーンでは、身のこなしこそ当時のキレのある動きではないものの、お決まりの椅子を使ってのアクションから屋根からキレイに棒を伝って着地したり、体ごとぶつかってガラスに突っ込んだりと年相応のアクションを見せたかと思えば、ヘネシーの別荘での森の中でのアクションは、あらゆるトラップを仕掛け、敵を一人ずつ始末していく隠密的アクションも見もの。
新たな刺客であるヘネシーの甥っ子との戦いも、ナイフを的確にかわしながら相手を劣勢に追い込み、服をグルグル巻いて相手の動きを狭め攻めていく香港アクションスタイルも健在。その後のナイフVS木の棒2本で、素早くナイフを遠くへ追いやりカウント123で仕留めるジャッキーの重たくも瞬間鮮やかな接近戦でのアクションスタイルをまじまじと見れて感動でした。
クライマックスでの室内での5VS1のアクションもカメラワークによって瞬発力のある動きを作り出し、その辺にあるもので戦うのではなく、あくまで銃撃戦と接近戦で勝負をつける、あっという間に敵を始末する姿が見事でした。
途中、なまった体を呼び覚ますかのように、車のドアを両手で行ったり来たりさせて腕を鍛えたり、坂道を利用して車を押したりしする姿がちょっとツボでしたね
で、クァンの心情とかですが、はっきり言って何の根拠があって、あそこまでヘネシーを追い込んだのかはさっぱりわかりませんが、そこは元特殊部隊の直感なのかとにかくしつこいジャッキー。
ヘネシーだって、「わからないんですよ~クァンさん~押しかけて来る気持ちもわかりますけどね~ここはどうかお引き取りを~」、と大人の対応をしているんですが、方やこれまで苦難の道のりを経てイギリスに亡命し、その道中でタイの海賊に二人の娘と妻を殺され、もはや残った娘はクァンにとってかけがえのない存在なわけで、はっきり言ってそんなこと言われても聞く耳持たないってのは、非常に共感。
既にここは鬼と化し、どんなことをしてでもこいつから情報を聞き出すってのがクァンにとって最後の手掛かりだったと思うんです。
だからといって、殺すわけじゃないのもまた彼なりの理念というか。
あくまで脅しなんですよね。
敵が襲ってきても首を絞めて気絶させるとかで済ますし、ヘネシーの甥っ子も倒したものの、焚火の中手足を縛った状態で過去の話を聞き、家族を殺され残された身という共通点に生きる辛さを噛みしめるクァンとか、ヘネシーの犬も眠らすだけだし、当のヘネシーも直接銃を向けて脅迫するんだけど決して殺しはしない。
過去にベトコンで散々人を殺めてきたことで得た教訓なんでしょうか。あくまで悪いのは実行した犯人で、それ以外の事には目も向けない彼の真っ直ぐな復讐心に狂気と悲しみを感じた映画でしたね。
ブロスナンサイドについて。
北アイルランドの副首相ヘネシーは、かつて元UDIという軍隊として爆弾闘争などを繰り返した人。
イギリスとの紛争で第一線で活躍したお方なんでしょう。
しかし政治家になってからはかつての攻撃的積極的スタイルとは異なり、丸くなってしまったことが妻の口からうかがえます。
そんな彼は自分がかつて組織で指揮していた残党によって追い込まれていく姿がメインになっていきます。
政治的にはイギリスに恩赦をくれとせがむ件や警察との取引など、自分の地位と権力を使って、何とか穏便に今回のテロを片付けようとする姿がみられますが、そう簡単にはいかなくなってしまう大きな原因がクァンだったんですね。
だから完全に板挟みです。
自分としてはこのままだと元組織のリーダーとして責任を問われ副首相のポストが危ぶまれるという危機、何とかイギリスに対して北アイルランドを優位に立たせたいという謀略などの保身からくる失敗感がどんどんヘネシーを責めていきます。
そこに個人の復讐からの報復を仕掛けるクァンが入ってくることでヘネシー参加bb年してよ状態。
もっと言えば妻との関係、不倫相手との関係、表と裏の厄介事が一気にやってくるんですね~。でも時々のんきにウィスキーをたしなむヘネシー。おまえもうテネシーだな。あれアメリカか、じゃあ違うか。
この役をピアースブロスナンが演じており、監督とは007ゴールデンアイ以来のタッグになるんでしょうか。
もちろん今作では政治家なので、ボンドのようなイギリス紳士で機転を利かせて危機を脱出するようなキレのある賢さとガンアクションはほとんどないんですし、女の扱いもまぁ残念。
しかしながら、組織を鼓舞する発言や対象人物を追い込んでいく姿は、切羽詰まった男の凄みというか威厳というか、力強さを感じた印象がありました。
最後に
爆破のシーンがいくつか用意されているんですが、音も映像も大迫力です。
特にロンドンバスを端のど真ん中で爆発させるシーンなんかは白昼の撮影でよくできたなと。
テロはいつ何時起きるかわからないというリアルさと、それによって周辺がどれだけ非常事態になってくるかってのを見事に描いたシーンだったと思います。
お話に関してですが、ぶっちゃけジャッキーメインな部分はいいとして、ヘネシーの部分のお話はちょっと渋滞気味といいますか、シンプルに復讐するものとされるものという構造にすればいいものを、もう一つ加えての話になってくることにややこしさともたもたした展開になっており、どこかもったいないなぁという印象。
加えて実際に北アイルランド問題とかIRAとか知らないとなぜヘネシーがあんなに追い込まれているかが理解しづらいなぁと。
僕も見終わったあと調べてなんとなく把握しましたが、うまく書けないのでその辺の背景については他をあたってください。
てか誰か教えてくれたら嬉しいなw
とはいえ、僕の中ジャッキーのイメージをぶっ壊してくれた今作であったことは正しく、かつてのジャッキー映画を見るいいきっかけになればと思います。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10