ビーキーパー
新年1発目くらい景気のいい映画が見たい。
そんな一般映画市民の願いを叶えてくれるかのような、とっておきのアクション映画が公開です。
2024年の1発目は「エクスペンダブルズ/ニューブラッド」というこれまた景気の良い映画で僕の映画ライフが幕を開けたんですが、これがまぁ酷かった。
構成から編集、アクション描写に至るまで全シリーズの中で一番クオリティが酷く、敵キャラもスター級で無かったこともあって、非常に残念でした。
そこで主演を務めたジェイソン・ステイサムが、そのお詫びにこれでもどうぞとばかりに単独主演を務めたのが今回観賞する映画。
僕自身彼のいわゆる「強すぎる系アクション映画」を通ってきてないわけでして、彼を語るには適してないわけですけども、昨今サメと戦ったり(MEGザ・モンスター)、ハリウッドスターを仲間にしてスパイミッションをしたり(オペレーション・フォーチュン)と大忙し並びに、ネタ枯れしてやしねえかと心配だったわけですが、まだまだネタがあったんですね。
だからと言って養蜂家ってなんすかw
あんなコワモテのおっさんがローヤルゼリーを採取して生計を立ててるんですか?
そこからどうやってアクション映画に繋がるんですかw
もうわかりません!w
とにかく久々のデヴィッド・エアー監督作ってことが何よりの楽しみですので、痛快で爽快なお年玉を期待しております。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
これまで犯罪組織、悪徳警官、巨大ザメなど数々の強敵と戦ってきたアクション俳優ジェイソン・ステイサムが、仮の姿は「養蜂家」、真の姿は「特殊工作員」という一風変わった職種を演じながら、これまで以上に激しいアクションを魅せる。
詐欺集団の悪事によって親友を失った養蜂家が、復讐のために、そして世界の秩序のために、これまで隠してきた本来の姿を晒し、容赦なく敵を死の果てまで追いつめていく、痛快リベンジアクションムービー。
ガン・カタでお馴染み「リベリオン」やアンジェリーナ・ジョリーが工作員を演じた「ソルト」などアクション映画の脚本家として知られるカート・ウィマーは、自身の祖母が口座をハッキングされたことで、無一文のままこの世を去ってしまったという、身内の哀しい過去を物語に注ぎこんだ。
この脚本を知ったステイサムは、「スーサイド・スクワッド」や「フューリー」など、「ならず者集団」を映画化してきたことでで知られる監督のデヴィッド・エアーとタッグを組んで製作。
ステイサムと初めてタッグを組むことになった監督は、「これまでリアルでシリアスな作品が多かったけど、彼と組むことやよりポピュラーで楽しく工夫が出来そうな脚本だった」ことを受けて快諾。
実は監督とステイサムは、この後もシルベスタ・スタローンが脚本を務めた作品で再タッグ。
本作で相当息があったに違いない。
壮絶な銃撃戦シーンを得意とする監督が、ステイサムを使ってどんな規格外のアクションシーンを見せてくれるか注目だ。
主演のステイサム以外にも、「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」のジョシュ・ハッチャーソン、「バットマンVSスーパーマン」でアルフレッドを演じたジェレミー・アイアンズ、Netflixシリーズ「アンブレラ・アカデミー」のエミー・レイヴァ―=ランプマンなどが出演する。
日本でも社会問題になっている特殊詐欺だが、本作ではそんな最悪の組織を一網打尽にするジェイソン・ステイサムの姿を見て、気持ちのいい年明けを迎えようではないか。
あらすじ
アメリカの片田舎で静かな隠遁生活を送る養蜂家(ジェイソン・ステイサム)。
ある日、彼の恩人である善良な老婦人がフィッシング詐欺にかかり、全財産をだまし取られた末に自ら命を絶ってしまう。
詐欺組織への復讐を誓った養蜂家は、かつて所属していた世界最強の秘密組織“ビーキーパー”の力を借り、怒涛の勢いで事件の黒幕へと迫っていく。
その先に立ちはだかるのは、この国では絶対に誰も手が出せない最高権力の影。
それでも養蜂家は何も恐れず前進し、社会の秩序を破壊する害虫どもを完膚なきまでに駆除し続ける。
そしてついに、彼が辿り着いた最大の“悪の巣”とは――?(HPより抜粋)
感想
#ビーキーパー 観賞。ジョンウイックを彷彿させるリベンジアクション。やっぱよ、弱い人から金をむしり取るような奴は懲らしめねえとよ。スカッとしたぜ。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) January 3, 2025
激しい銃撃戦を得意とするデヴィッドエアーが今回もキレッキレだし、いつの時代も弱気を助け強気をくじく物語は必要だと思う。 pic.twitter.com/YUpXkKYxld
痛快!爽快!大正解!
ジェイソン・ステイサムが弱き者から金をむしり取るクソ野郎たちを玉砕していくだけ!
イコライザーのような小道具アクションもあれば、監督得意の銃撃戦、最後には近距離格闘もあって、大満足。
こういう勧善懲悪な映画がもっと増えてほしいのは俺だけか?
以下、ネタバレします。
詐欺は本当に厄介。
養蜂家としてハチミツの栽培をしているクレイは、隣人のエロイーズと親子同然のような関係を結んでいる。
エロイーズの息子も娘も実家から離れ、一人淋しく過ごしていた時に、息子そっくりなクレイが納屋を貸してほしいとお願いしたことで、疑似親子の陽でありながら友人として振る舞っていた。
そんな優しい隣人が、フィッシング詐欺に遭い、全財産をむしり取られる。
彼女が運営している慈善団体の資金まで奪われてしまった罪悪感から、彼女は自殺をしてしまう。
お年寄りは現在のテクノロジーに後れを取っている姿をよく見かけるけど、確かに今は厳禁を持たずして決済できるし、銀行に行かずとも預け入れもできれば引き出しもできてしまうような時代。
強盗に入られたとしても、お金は全てネットで管理できるから安心・・・と思ったら大間違いだということを本作で改めて痛感する。
勝手にPC画面に警告が出れば、PCに疎いお年寄りは一気に不安がるだろうし、画面に表示された連絡先に対し、何の警戒心も持たずに電話をかけてしまうだろう。
今や特殊詐欺は、おれおれ詐欺以上に巧妙かつ狡猾な手口でお年寄りはもちろんネットリテラシーの低い層を騙して大金を稼いでるわけで、こうした詐欺による被害は、警察でも中々尻尾を掴めないくらい、大規模な犯罪になっているのはご存知でしょう。
警察がお手上げならばどうすればいいのか、ただただ泣き寝入りするしかないのか。
確かに不勉強な部分に自責の念を感じることも多いだろうが、そもそも悪いのは「金を騙して奪った連中」。
本作は、そんな泣き寝入りするしかない事態を解消してくれるような「正義」の鉄槌を拝ませてくれる。
クレイという存在。
彼がなぜあんなにも凄腕の特殊工作員でありながら、養蜂家として生計を立てているのか。
ビーキーパーと呼ばれる組織は、世界中の不正をただすための組織であり、その詳細はCIAやFBIでも「標的にされたら殺されるしかない」と呼ばれるほど脅威の存在。
そんな組織で工作員として働いていたクレイは、愛すべき隣人のために、自らの正義を振りかざしていく。
時代劇や洋画でも「完全懲悪」モノは楽しい。
弱気を助け強きをくじく英雄譚は、ずっと昔から語り継がれてきた一方で、現在では「敵」を作り上げることへの疑問から、アメコミ映画でさえも「明確な敵」を避けている傾向にある。
しかし、幾ら多様性だからと言って「悪」を「必要悪」に結び付けて我々に投げかけるというのはいかがなものか。
やはり世の中、法や警察では対処できない案件が山ほどあるのだから、せめて映画の中だけでも「悪をやっつける」物語が、もっとあってもいいのではと思う。
本作でのクレイは、普段社会や法に不満を抱いて過ごす我々を胸を、最初から最後までスカっとさせてくれる。
序盤、エロイーズから金を奪ったユナイテッドデータグループのコールセンターに乗り込み、ガソリンを撒いて大爆発を起こす。
辛くも逃げることに成功したコールセンターのセンター長は、武装した手下を連れてクレイの住む納屋に乗り込むも、クレイの鮮やかな手さばきによって一網打尽にされる。
そこでもセンター長は、指を切断された上代で逃げるも、すぐさまクレイに見つかり、クレイの車ごと海へ放り出される。
一度も笑顔を見せないクレイが「ハチ」の如く、標的を逃さない。
さらに一切の猶予も与えない。
とにかく怒っているのだ。
その後もユニバーサルデータグループの元締めであるデレクを追うクレイは、FBIやシークレットサービスといった精鋭部隊をあっという間に畳みかけていく。
もはや誰も止めることのできないクレイの暴走。
我々の目に映る彼の姿は、ただのヤバい奴ではなく、「正義」の名のもとに行動する英雄として映る。
たどり着いたデカい存在。
本作が「ただジェイソン・ステイサムが暴れる」だけの映画ではないことは、見た人なら容易だろう。
なんとユニバーサルデータグループの元締めであるデレクの母親は、大統領だった。
父親が築いた帝国を受け継いだ母親は、何とかしてこの国を正そうと奔走していた。
しかし、子を持つ母親としてはやや失格だったようだ。
一人息子のデレクは、ダンフォースエンタープライズというデータマイニングを警備する会社のCEOだった。
表向きはベンチャー系の優良企業に思えるが、実際は子会社であるユニバーサルデータグループで騙し高値を運営し、母親である大統領の政治資金に回していたのだった。
しかも若い頃は散々羽目を外していたドラ息子で、一通りの薬物に手を出したり、手あたり次第売春婦をゴミのように扱ってきた過去が明らかにされる。
そんなバカ息子の身の回りの世話をするのが、元CIA長官で彼の会社のセキュリティを任されていたウォレスだった。
ウォレスはデレクに対し、とんでもない敵を作ってしまったことを強く攻めるが、自分の役割を全うするために、あらゆるコネを使って息子を守る手立てを進めていく。
そんな危機感MAXのウォレスに対し、未だにクレイのヤバさを痛感していないデレク。
こういう「現状を把握できてない頭の悪い敵」をしっかり見せていくことで、幾らクレイが敵を一掃しても、我々は満足できない気持ちのまま映画を追う仕組みになっている。
クレイ、いやステイサムよ、早くあのバカ息子を成敗してほしい。
そんな気分で、クレイの巧みな侵入劇やアクションに心を奪われていくのだ。
どういう結末になるかは是非劇場で堪能してほしいが、とにかくジェイソン・ステイサムのリベンジアクションとして秀逸な作品だった。
アクションも豊富だった。
デヴィッドエアー監督曰く「ただの銃撃戦だけにしたくない」という思いから、本作ではステイサム演じるクレイが、周りにあるモノで敵を粉砕していく描写が多数見受けられた。
序盤ではガソリンを撒いた程度の者だったが、その後襲ってきた敵には、納屋にあるのこぎりや鎖、ハンマーなどを駆使して一撃で仕留めていく。
ガソリンスタンドで補給している際、現役のビーキーパーによる急襲に遭うが、これもガソリンのホースや家から持ってきたハチミツなどを使って冷静に対処。
毎秒100発発射されるガトリング銃を前にしても、彼にはただのおもちゃだった。
他にも、エレベーターの配線を首に巻いて敵の首を締めあげたり、エレベーターの前に糸を引き、エレベーターの上に避難した後、配線を切ってエレベーターごと落下させるという、一瞬の判断で処置を施す腕は見事だった。
こうした瞬時の判断で敵をどう処置するかという手段は、正にデンゼル・ワシントンの「イコライザー」そのものだった。
また、銃撃戦も迫力のあるシーンの連続だった。
特に見ごたえがあったのは、現役ビーキーパーが襲ってきたシーン。
ガトリング銃でクレイを一撃で仕留めようとする様は、目の前がガソリンスタンであるにもかかわらず、後のことなど一切考えず無我夢中で撃ちまくるビーキーパーのクレイジーなキャラクター像が最高だったし、何よりスクリーンいっぱいに広がる銃弾は、現役ビーキーパーが来ていたピンクのコートにあやかって、ピンク一色で彩られていた。
その光景は正に監督が手掛けた「スーサイド・スクワッド」そのものに思えた。
あの激しい銃撃戦をどこかポップなモノとして映す監督。
本作を「あくまでシリアスなモノではない娯楽作品」としただけの事はあるなと感じたシーンだった。
もちろんクライマックスでもステイサムは魅せる。
かつてビーキーパーと痛み分けを経験した武装集団のリーダーに追い詰められたクレイは、あらかじめ仕掛けておいた爆弾のスイッチを入れることで、相手に隙を与え、リーダーが持つナイフを瞬時に奪い取り、手下もろとも瞬殺していく。
負傷したリーダーも、これにより火がついたのか必死にクレイを追いかけ、大統領らがいる部屋の手前で1対1を繰り広げていく。
ナイフとカイザーナックルで応戦するリーダーだったが、ここでも「肉を切らせて骨を断つ」的アクションによって、深手を負いながらも力で押してくる敵を玉砕する。
最後に
また本作では、エロイーズの娘でFBI捜査官のヴェローナの視点も描かれていく。
一体誰が母を追い詰め、その敵を討っているのかを、法の名のもとに動く彼女視点で描くことで、詐欺組織に対して、そして法を無視して裁きを下すクレイに対して、無力であることを映し出していく。
誰が社会を正すのか、法がしてくれるのか、それとも。
善の魂を信じるクレイの行動に、誰もが歓喜するに違いない。
世の中には、そうした力が必要な時もある、そんな気持ちにさせてくれる。
ただあくまでそれは映画の中の話。
実際には到底できない芸当であり、法を犯してはならない。
だからこそ、こうした映画で我々を救ってほしい。
そんな気持ちにさせてくれるジェイソン・ステイサムの新たな英雄譚。
そのカッコよさに惚れ惚れしてしまう映画でした。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10