マイティソー4 ラブ&サンダー
「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」でユーモアの片鱗を見せたソー。
その続編「マイティ・ソー/バトルロイヤル」では、タイカ・ワイティティ監督を起用したことで、一気にMCUメンバーの中でお笑い担当兼無敵の存在として頭角を現しました。
確かに舞台俳優上がりのケネス・ブラナー版「マイティ・ソー」は、シリアス一辺倒でユーモア性に欠けた部分が大きく、物語としても置きに行った感じがあり、正直MCUシリーズの中ではだいぶ下位に当たる作品になりがちなのかなと。
そこにコメディ監督を起用した前作は、誰もが笑いを止められず、ソーシリーズの中で「傑作」だとも言われるまでになりました。
今回鑑賞する映画は、そんな「爆笑王」ソーの新たな旅。
「アベンジャーズ/エンドゲーム」で家に引きこもってぶくぶく太ったソーは、一体どんな訓練をして元の身体に戻っていったのか。
そして最愛の恋人ジェーンは、なぜ雷神となって再び現れたのか。
宇宙の旅を共にすることになったガーディアンズのメンバーたちとは、どこまで旅を共にするのか。
色んな「続き」が早く知りたくて、早速観賞してまいりました!!
作品情報
アベンジャーズの3強だったソーの新たなる旅路を描く第4作。
前作「マイティ・ソー/バトルロイヤル」に続き、劇中キャラ・コーグを演じたタイカ・ワイティティが再びメガホンを撮る。
「アベンジャーズ/エンドゲーム」でサノスとの激闘を繰り広げたソーは、ニュー・アスガルドの王をヴァルキリーに託し、ガーディアンズのメンバーのと共に自分探しの旅に出ることに。
しかし彼の前に現れたのはかつての恋人ジェーンや、神殺しと名乗る謎の強敵。
果たしてソーはかつてのバディを取り戻し、神の威厳を取り戻せるのか、それとも。
前作と同じキャラックターに加え、シリーズ1,2作目でヒロインを演じたナタリー・ポートマン演じるジェーンが登場することでも話題の本作。
ガーディアンズの面々も登場することで、笑いの部分でも賑やかになることは確実。
また神殺しゴア役に、「ダークナイト」シリーズ以来のヒーロー映画に出演するクリスチャン・ベイルや、「マン・オブ・スティール」でカル・エルの父役を演じたラッセル・クロウが、DC映画からMCUへと鞍替えしたのも面白いキャスティング。
果たしてソーの新たな自分探しの旅は、どんな結末を迎えるのか。
サプライズなども含め、大いに楽しみたい1作だ。
あらすじ
サノスとの戦いで多くの仲間を失ったソー(クリス・ヘムズワース)は地球を去り、戦いを避けるようになっていた。
自分を見失い迷走する彼の前に、神々の殲滅をもくろむ“神殺し”のゴア(クリスチャン・ベイル)が現れる。
ゴアによって絶体絶命のピンチに追い詰められたその時、救世主として現れたのは、マイティ・ソーに変身したかつての恋人、ジェーン(ナタリー・ポートマン)だった。
2人となったソーは、ゴアを倒すためにタッグを組む。(Movie Walkerより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、前作に引き続きタイカ・ワイティティ。
「ジョジョ・ラビット」でアカデミー賞にノミネートした記憶も新しいワイティティ監督。
ただ下品な会話ばかりのコメディ作品というイメージを、この映画で一気に払拭したことでしょう。
最近では「フリー・ガイ」でも口だけ達者のCEOをクドイ芝居で熱演。
個人的には非常に苦手な監督ではあるんですが、彼の作る映画や演技はどうしても笑えてしかないのです。
今後は「スター・ウォーズ」の新作を製作することが決まっており、彼のユーモア満載な作家性が、一大サーガにどんな新風を巻き起こすのか期待したいですね。
キャラクター紹介
- ソー(クリス・ヘムズワース)…アベンジャーズの破天荒な雷神 最凶の敵サノスとの激闘を経て、 ガーディアンズと宇宙へ旅立つ その後、<ヒーロー卒業>を宣言!?
- ジェーン・フォスター(ナタリー・ポートマン)・・・かつては天文学者で、 研究がすべてだったソーの元恋人。 最強のハンマー《ムジョルニア》を手に、 新生 マイティ・ソーとして ソーの前に再び現れて…
- 神殺しのゴア(クリスチャンン・ベイル)・・・全ての神々を殺害するため、ある奇妙で恐ろしい剣を手に動き出す傷ついた殺し屋。
- ヴァルキリー(テッサ・トンプソン)・・・ソーから王座を押し付けられた女戦士。ニュー・アスガルドの王として民衆を守る。
- コーグ(タイカ・ワイティティ)・・・全身が岩で構成されたクロナン人。サノスのとの最終決戦からゲームに至るまでずっとソーと戦ってきた陽気な友人。
- ピーター・クイル/スター・ロード(クリス・プラット)・・・ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのリーダー。エンドゲームでソーと共に宇宙の旅に出る。なぜかソーと馬が合わない様子。
- ドラッグス(デイブ・バウティスタ)・・・ガーディアンズのメンバー。脳内まで筋肉。
- グルート(CV:ヴィン・ディーゼル)…樹木型ヒューマノイド。インフィニティ・ウォーでは共にストームブレイカーを探す旅に出た仲。
- ロケット(CV:ブラッドリー・クーパー)・・・アライグマをベースにした元賞金稼ぎ兼傭兵。かつてソーと共にストームブレイカー探しの旅に出た仲。
- ネビュラ(カレン・ギラン)・・・サノスの娘でガモーラの義妹。ガーディアンズと共に旅に出ることに。
- マンティス(ポム・クレメンティエフ)・・・心を操ったり読むことができる能力を持つガーディアンズのメンバー。
- クラグリン(ショーン・ガン)・・・元ラヴェジャーズでヨンドゥの右腕。彼の死後ヤカの矢を引き継ぐ。
- ゼウス(ラッセル・クロウ)・・・神の上に立つ全知全能の最高神でありながら自堕落な神。
(以上公式twitter&ウィキペディアより)
きっとグダグダコメディシーンをやり続けるんだと思うんで、あまり期待してないんですが、神バトルを楽しみたいと思います。
ここから観賞後の感想です!!
感想
#ソーラブサンダー 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2022年7月7日
いゃ〜全然面白くなくてビックリした。
バトルロイヤルの方がまだマシだった。 pic.twitter.com/tdQR3eT74w
全体的に凡長過ぎて「これで2時間?」とさえ思った。
ずっと言ってきたことだが、タイカ・ワイティティは優れた監督とは到底思えない。
以下、ネタバレします。
ざっくりあらすじ
荒廃した砂漠で娘を抱えるゴア。
偉大なる神に「水と食料をお与えください」と懇願するも、願いは虚しく娘は息を引き取る。
暑さと飢えに耐えながら蹲るゴアの前にオアシスが。
そこには神が森の中で寝そべっていた。
これまでずっと神を妄信し続け、来世は必ず幸せになれると信じてきたゴアだったが、神は「民は神が豊かに暮らすための道具に過ぎない」と突き放される。
神を殺すことのできるネクロソードを回収できたことに喜ぶ神だったが、剣はゴアの心に沸きあがる憎悪を感じ取り、彼と融合。
ゴアは、愛する娘を殺された復讐心から神に裁きを下すのだった。
こうして神の本性を知ったゴアは「神殺し」として息吹を吹き返し、様々な惑星へ出向き殺戮を始めるのだった。
一方のソー。
サノスとの戦いを経てガーディアンズと共に「自分探し」の旅に出たソーは、太った体をシェイプアップし、従来の肉体を取り戻す。
しかしいくつもの星を救っても、心は晴れなかった。
何かがぽっかり空いていたのだ。
それでも「お前が必要だ」と言われれば戦いに参加し、圧倒的な力で勝利を収めてきた。
色々な惑星からの救難信号を披露ガーディアンズの面々は、次はどこへ行けばいいか模索していたが、ソーの親友シフからの救難信号を見て、ガーディアンズと別れを告げることに。
コーグと共に訪れた星では、巨体の神がやられており、その前でシフも横たわっていた。
どうやら神殺しと名乗る者の仕業だと知ったソーは、彼の次なる目標である「アスガルド」へと急ぐ。
一方ジェーン。
彼女はこれまでの研究の成果を一冊にまとめた「宇宙理論」で成功を収めたものの、ステージ4のガンであることが発覚。
同僚のダーシーは励まし、セルヴィグは化学療法では手の打ちようがないと現実を突きつける。
それでもあきらめられないジェーンは、「アスガルド神話」の本からムジョルニアが人間の身体を健康にする問う文言をヒントに、ニューアスガルドへ向かう。
ニューアスガルド。
ソーの代わりに王の役目を押し付けられたヴァルキリーは、外交や産業を盛んにさせ国を守っていた。
観光業も盛んで、多くの人たちがガイドの説明に耳を傾けたり、ソーの神話劇(再びマット・デイモン登場)を観劇して楽しんでした。
そんな中に一人フードを被った女性が一人、ジェーンだ。
粉々になったムジョルニアを見つめていると、雲行きが怪しくなっていく。
彼女に身に何が起こったのか。
ニューアスガルドの夜。
ゴアはネクロソードから影のモンスターを召喚し、街を襲う。
ヴァルキリーらが戦うさなか、ソーがシフと共に到着。
ヴァルキリーに応戦しながら影のモンスターを撃退していく。
そんな中、ソーの目の前をムジョルニアが飛び交っていく。
懐かしさのあまりムジョルニアを自分の手に呼び寄せるが帰ってこない。
持ち主は一体誰なのか。
それは「マイティ・ソー」と化したジェーンだった。
物語は2人の始まりと終わりを回想で描く。
息を合わせ中を深めていく二人だったが、仕事の忙しさ故にすれ違いが生じ破局。
それ以来の再会だった。
ゴアの登場により劣勢になっていくソーだったが、形勢逆転したと同時にゴアは退散。
これにて一件落着かと思われた矢先、ゴアはニューアスガルドの子供たちをさらってしまう。
翌朝民たちはヴァルキリーに八つ当たりをし出していく。
元王であるソーは、そんな民たちを鎮めるべく語り出し、単身飛び出していくがストームブレイカーの威力が凄まじくコントロールできずにいた。
さらわれた子供たちの中にヘイムダルの息子アクセルが降り、親と同じ能力でシーにコンタクトをとってきた。
意識をアクセルのいる場所へ向けたソーは、彼らがどこに幽閉されているかを探知。
ジェーンの持つムジョルニアとソーの持つストームブレイカー、そして惑星を救ったお礼にもらったヤギ二匹を引き連れ、様々な神たちが集う惑星へ出向き、ゴアを倒すための仲間探しへと向かう。
一行が訪れた場所は全知全能の神ゼウスのいる星。
神々が集う集会の中には小籠包の神までいるほど多くの神が集っていた。
全体集会が始まるや否やゼウスの登場に皆興奮状態。
そして始まった集会の議題は、なんと「今度の乱地域騒ぎ」についてだった。
なんとかして仲間を集めたいソーは、ゼウスの会話を止め舞台に上がり懇願する。
しかしゼウスの答えはノー。
ここにいればゴアなど怖くない、彼は「永久」にたどり着くことはできないから安心だ、と余裕綽々な態度を見せる。
しかし内心はネクロソードを持ってる以上侮れないと本音を漏らすゼウス。
結局協力してくれないゼウスに腹を立てたソーは、ゼウスの武器であるサンダーボルトを奪って逃亡を図る。
加勢したジェーンとヴァルキリー、コーグらの応戦によりゼウスにサンダーボルトを突きさし逃げる一行。
神々の協力を得ることができなかった一行は、ゼウスの武器サンダーボルトを持ち、アクセルらが幽閉されているゴアの惑星へと向かうことに。
果たしてゴアの暴走を止めることはできるのか。
ジェーンは病を克服できているのだろうか。
そしてソーは、ぽっかり空いた穴をふさぐことはできるのか。
…というのが半分くらいのあらすじです。
非常に面白くない。
タイカ・ワイティティ監督を再び起用しての「ソー」4作目は、前作「バトルロイヤル」以上に低クオリティな映像づくりと物語の作りに、驚くほど気持ちが乗れず本気でMCUを卒業したいと思えるほどがっかりな作品でございました。
今回の目玉は何といってもソーの元カノ・ジェーンが「ソー」として登場するというもの。
彼女を再び登場させ、しかもただの彼女でなく対等な力を得たヒーローとして再登場させたのは、男性優位社会とされてきたハリウッド映画界に一石を投じた意味を持たせる設定だったように思います。
そんなジェーンは、原作の設定通り癌を患っており、ムジョルニアの力を使って病の進行を軽減させていたが、元の身体に戻ると進行の反動が大きくなっており、再び元恋人であるソーとの再会によって、彼への愛のために命を削って戦いに身を投じるという流れ。
逆にソーもまた、ぽっかり空いた心をそっと埋めるべき存在は、ジェーンであることを再確認。
彼女への愛を知ったソーは、彼女を身を案じながらもゴアとの戦いに全力を注ぐという流れ。
またゴアも神に娘を殺された腹いせに神殺しを実行しており、彼と同じく病によって親を失ったジェーンとの対比を描く(愛を知ることと愛を理解できずに突き進む行動)というのも、説明が弱かった部分もあるが映画的に巧くハマってたように思います。
ただ全体的にはタイカ・ワイティティ監督の悪い癖がびっしりこびりついていてとにかくテンポもユーモアも物語の構成もうまくいってない。
相変わらず立ち話で物語の進行を止めるのはいつものワイティティ。
ガーディアンズが懸命に接戦している前で急にしょうもない演説を始め、その後単独で敵を撃破するソー。
これ以外にもせっかくのいいムードをぶち壊してまで会話で進行を止める始末。
この会話も前作「バトルロイヤル」のようなメタ的なユーモアセンスとは程遠い内容で、唯一クスっとできたのはムジョルニアという元カノに焼きもちを焼くストームブレイカーを擬人化的感情表現くらい。
また今回IMAX3Dでの観賞だったが、アクション以外のシーンは、構図や立ち位置がどれも平面的に配置されており、低予算のコメディ映画でも見てるかのような画づくり。
このままだと平面に見えるから3Dにしたくらいしか理由が見つからないくらい、3Dの良さが見つかりませんでした。
他にもニューアスガルドでのシーンは、民たちが私服で生活してる中でソーとジェーンだけがいわゆる戦闘服なのですが、今までのMCUの中で一番といっていいほど浮いているのが目立つ。
映像の質のせいなのか、それとも平面的に見せた結果の現れなのか説明できないが、とにかくソーのパロディ映画なんじゃないかというほど彼らが浮いていて、これまで描き続けてきたソーならではの神々しさが全く見受けられなかった。
タイカ・ワイティティという男は、コメディ映画出身であるが故にシリアスなシーンを毛嫌いでもしているのかというほど、せっかくの良いシーンを茶化してしまう癖があるように感じる。
「ジョジョ・ラビット」の時も立ち話での退屈な時間があったものの、一つの物語としてカタルシスをしっかり出していた作品だったが、どうしてソーとなるとこんなにも退屈で中身のない作品になってしまうのだろうか。
バイキングの船でソーとジェーンがようやく本音を話し、口づけを交わす瞬間が訪れるが、これもせっかくのムードが台無し。
余韻もなければCGもクオリティが低く、2人の美しい瞬間が全然盛り上がらない。
しかもすぐさまコーグとヴァルキリーの冷めた会話を挿入する始末。
ラブ&サンダーと銘打ってるのだから、もっと2人の「愛」の瞬間を見せてほしい。
終盤でも子供たちが活躍するシーンが映る。
僕たちもエンドゲームのように激しく戦いたい!という声があったのか、子供たちと影のモンスターたちの総力戦が描かれており、きっとこれを見た子供たちは興奮する、もしくは興奮させるためのシーンだったように思える。
が、本作には全く持って必要のない部分とも言える。
ソーなりの愛の物語なのに、彼らが活躍するシーンを入れてまで語る物語とは到底思えない。
ソーが故郷愛のために彼らを守る姿は合点がいくが、戦え!と言われて戦うのもなんかなぁと。
また永久にたどり着いたゴアが、ようやく復讐心を忘れ、娘への愛を持っていたことに気付く終盤。
何故ソーは彼の娘を引き取ったのか、正直よくわからない。
実際託されたからというのが一般的な答えだと思うのだが、だったらジェーンを死なせずに2人の愛の物語をもう一度始めていく終わり方の方がスムーズだったのではないだろうか。
別にソーはゴアに対して借りもないし貸しも無くて、ただ頼まれたから引き取っただけ。
何故預かったのか本心が読めないような流れになってるように思えて仕方がない。
最悪ジェーンとの間に生まれた子供だよなぁ。
最後に
結局のところ、笑いもハマってない、画づくりも3流、MCU的サプライズもなしと3拍子揃った駄作でした。
ケヴィン・ファイギはよくこのクオリティでOKを出したなぁと。
それこそMCUフェイズ4は、これまでにも増して監督の自由度が高くなったきらいが感じられるが、逆に統率を緩くしてしまったことによる「面白く無さ」という代償も孕んでいることを、ファイギはそろそろ気付くべきなんじゃないだろうか。
確かに今回は単独作品としての流れが強く、他の作品を見る必要もなく誰でも気軽に楽しいめる良さはあったかもしれない。
しかし、スパイダーマンであれだけがっつりマルチバースを絡めたり、ドラマ版必須となったドクターストレンジのように、本作もMCUたらしめる部分をもっと要しても良かったのではないかと。
やはりそこはガーディアンズを登場させたのだから、当初予想された「ガーディアンズの誰かが残ってソーの旅についていく」みたいな設定でもよかったし、ガーディアンズとの絡みをもっと多く映した方が「MCUらしさ」が出たのはないかと。
まぁそれをやったところで「それ以前」の問題が山積みなんですけどね。
ラッセル・クロウは、あんな役回りで良かったのだろうか・・・。
神々があんな怠惰で程度の低い部分を見せているのだから、ゴアの正当性をもっと巧く見せればラッセルも役として活きただろうに、結局大した見せ場もなく終わってしまったかなぁ。
いやぁ超つまんなかったです。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆★★★★★★★3/10