サンダーボルツ*
2025年はMCUにとって「変革」の年なのでしょうか。
「キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド」では、過去作を引用しつつ初期にあった「手堅く面白い」空気を醸し出していたのが印象的でした。
果たして本作も監督の作風や作家性を表に出さない「娯楽に特化」した作品になっているのでしょうか。
とはいえ、これまでのMCU(ドラマ含む)に登場した敵キャラやサブキャラといった「無法者たちの寄せ集め」集団が世界を救うという内容は、スーサイド・スクワッドそのもの。
しっかり差別化した内容になってないといけないなと思っております。
その辺を踏まえて早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
かつてマーベル・シネマティック・ユニバースに登場したスーパーヴィランたちがチームを結成し、己の過去と向き合いながら世界の脅威に立ち向かっていく姿を描いたアクションエンタテインメント。
アベンジャーズが姿を現さない中、突如襲来した黒い影に立ち向かうため、かつて世界に混乱を招いたならず者たちが一堂に会し、世界を救うため決死の闘いに挑む姿を、盛りだくさんのアクションを泥臭く映しながらも、スタイリッシュに洗練された現代的な描写で鮮やかに魅せる。
Netflixシリーズ「BEEF」の高評価によって本作の監督に抜擢されたジェイク・シュライヤー監督。
彼含め多くのスタッフやキャストが新鋭スタジオ「A24」作品に携わっていたこともあり、本作はどこかアート感が漂う映像になっているとのこと。
また「スパイダーマン」を手掛けたジョン・ワッツ監督と大学時代からの友人で、自身も作品に携わっていた経験から、監督を引き受けたとのこと。
また、アンソニー・バッキ―はじめ、フローレンス・ピュー、デヴィッド・ハーパー、ハナ・ジョン=カーメン、ワイアット・ラッセル、オルガ・キュリレンコ、ジュリア・ルイス=ドレイファスらがそれぞれのキャラを続投。
既にほとんどのキャラが26年公開予定の「アベンジャーズ:ドゥームズ・デイ」に登場することが決まっており、本作はその足掛かりになる可能性が高い。
果たして、瞬く間に人々を消し去ってしまう能力の持ち主に、肉弾戦を得意とする彼らはどう立ち向かうのか。
あらすじ
ある時、ニューヨークの街に突如として大きな黒い影が出現。
瞬く間に市民を消し去っていく謎の敵により、世界は再び大きな脅威に直面するが、そんな人類の危機にも、数々の敵から世界を救ってきたヒーローチームの「アベンジャーズ」は姿を現さない。
CIA長官のヴァレンティーナ(ジュリア・ルイス=ドレイファス)は、誰がこの脅威から世界を救うのかを問いかけるが、そこで立ち上がったのが、かつてヒーローたちと対立したことのあるバッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)だった。
バッキーは、エレーナ(フローレンス・ピュー)、ジョン・ウォーカー(ワイアット・ラッセル)、レッド・ガーディアン(デヴィッド・ハーバー)、ゴースト(ハナ・ジョン=カーメン)、そしてタスクマスター(オルガ・キュリレンコ)という、全員が過去に悪事を犯したことのあるならず者たちに声をかけ、「サンダーボルツ*」というチームを結成する。
そんな彼らの前に、バッキーの強力な武器でもある義手すらも簡単に打ち砕く、謎の敵が現れる。(映画.comより抜粋)
キャラクター紹介
- エレーナ・ベロワ(フローレンス・ピュー)…“レッドルーム”出身の暗殺者であり、ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウの義妹。
- バッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー(セバスチャン・スタン)…サンダーボルツのリーダー。スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ(初代)の親友にして元相棒。フラッグ・スマッシャーズとの戦いにて自分の過去と向き合い、サム・ウィルソン/ファルコンのキャプテン・アメリカ襲名を見守った。
- エイヴァ・スター/ゴースト(ハナ・ジョン=カーメン)…幽霊の如くあらゆる物質をすり抜ける量子フェージング能力を持つ女性。ジャネット・ヴァン・ダインを巡る戦いにて、スコット・ラング/アントマンとホープ・ヴァン・ダイン/ワスプと戦って敗北し、その後保護者であるビル・フォスターと共に逃亡。現在は量子フェージング能力は彼女自身で制御している。
- ジョン・ウォーカー/U.S.エージェント(ワイアット・ラッセル)…かつてアメリカ政府に新しいキャプテン・アメリカ(2代目)に指名され活躍した、元アメリカ陸軍の兵士にして超人兵士。不名誉除隊になったあと、フラッグ・スマッシャーズとの最終決戦にてバッキー達と協力をし、事件解決に貢献した。その後、ヴァレンティーナからU.S.エージェントのコードネームと役職を授かる。
- アレクセイ・ショスタコフ/レッド・ガーディアン(デヴィッド・ハーバー)…“キャプテン・アメリカ”に対抗する目的でソ連が生み出した超人兵士であり、以前の任務ではナターシャとエレーナの“父親”を演じていた男。レッドルーム壊滅後は、エレーナ達とアントニアを保護し、行動を共にする。
- アントニア・ドレイコフ/タスクマスター(オルガ・キュリレンコ)…かつてエレーナ、アレクセイと戦った観察するだけで相手の動きや武装の使い方を完全にコピーできる能力を持つ、レッドルームの長だったドレイコフの娘。レッドルーム壊滅後は、エレーナ達に保護され行動を共にする。
- ヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ(ジュリア・ルイス=ドレイファス)…“ヴァル”のニックネームを名乗る謎の伯爵夫人で、CIA長官。CIA捜査官のエヴェレット・ロスの元妻でもあり、彼の上司でもある。
- ボブ・レイノルズ/セントリー(ルイス・プルマン)…サンダーボルツの任務中に突然現れた謎の男。後に無敵であり、大地を暗闇で染め、人々を影に変えることができる能力を持つ“ヴォイド”と化す。
(以上Wikipediaより抜粋)
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
#サンダーボルツ 観賞。虚無との戦い。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) May 1, 2025
居場所もなく孤独な者たちがヒーローになる物語。
せっかくキャラが泥臭くやってんのにカッコつけた映像に手持ちカメラ多すぎて、全体的に合ってない。
期待してたぶんガッカリ。 pic.twitter.com/dQjI97XJYk
私たちは「影」の存在だった。
其々が抱えるトラウマと向き合って戦いに挑む孤独なヒーローたちが見つけた「我が家」。
新たなアベンジャーズの物語が今、始まる。
しかし、ルックとキャラが合ってねえなぁ…。
以下、ネタバレします。
ざっくりあらすじ。
高層ビルの屋上で黄昏るエレーナ。
姉であるナターシャがいなくなって以降、どんな任務をしても「虚無感」しかないエレーナは、OXE社のラボに潜入し、ヴァレンティーナから依頼されたミッションに取り組んでいた。
爆弾を仕掛けようとするが、拳銃を持った研究員が「ヴァレンティーナは間違っている」と語気を強めてエレーナに近づくが、彼女はあっさり任務を終えてアレクセイの家を訪ねる。
一方、ヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌと秘密兵器製造会社オックス社との取引をめぐるスキャンダルと議会調査の波を受け、米国政府は弾劾手続きを開始する。
新米下院議員を務めるバッキー・バーンズは、ヴァレンティーナの個人秘書メルに近づきながらヴァルが秘密裏に関与している証拠を掴もうと奔走していた。
裁判でヴァル「アベンジャーズのいない今、誰が国を守るのか」を引き合いに、オックス社との関与はないと強調。
しかし裁判終了後「全て掃除しろ」とメルに指示。
虚無感に追われ、仕事を辞めたいとアレクセイに語ったエレーナは、父親の助言により再び前向きな気持ちになり、ヴァルから頼まれた任務をさっそく実行する。
エレーナはオックス社が放棄した基地に潜入して資料を盗もうとする者を排除する任務に就く。
基地に入ると、人体実験が行われた資料や謎のエンブレムのイラストが描かれた紙を見つけるエレーナ。
すると突然何者かが襲い掛かる。
それはU.S.エージェントだった。
さらに建物に侵入したのはかつてアントマンと戦った過去を持つゴーストで、3人は事情を聞く余裕もなく拳を交えていく。
そこにタスクマスターも参戦するが、ゴーストの発砲により即死。
さらに格闘の拍子で木箱の中から見知らぬ男性が起き上がることで事態は混迷していく。
銃を構えながら対峙する一行は、全てはヴァルの仕業であることに気付く。
彼女にとって不都合な資料や存在は、ここで消されるということに。
察した一行は争いを中断し、閉じ込められたこの施設から脱出することを試みる。
しかしゴーストの壁をすり抜ける能力も超音波によって遮られ、焼却開始のカウントダウンも残り2分という危機的状況にあった。
音を出す電源を断ち、ギリギリで脱出することに成功した一行だったが、見知らぬ男性ボブと手が触れた瞬間に、向き合いたくない過去の闇の幻覚をみることになる。
エレーナはレッドルームに入隊するためのテストで友人を見殺しにしたこと、ウォーカーは公衆で人を殺めたことで失墜したことに執着し、家族に見放されてしまった過去と、その場で硬直してしまうほどのトラウマを見せられていた。
ボブは臨床実験に志願したものの、何も覚えておらず、気がついたらここにいたと語る。
昔からメンタルに自信のなかった彼は、強くなりたい一心で志願したとのこと。
役に立たないせいかいちいち苛立つウォーカーに対し、エレーナはボブに寄り添っていく。
故障したエレベーターを4人でなんとか登り切った一行だったが、既に証拠隠滅に失敗したことを嗅ぎつけたヴァルの軍隊が基地を取り囲んでいた。
手分けして脱出する術を探る一行は、倒した伏兵の戦闘服を着てなりすまし外に出ること成功、車を手配したゴーストの手引きによって脱出に成功したかに見えたが、ボブが自分たちの身代わりのためにヴァルらの前に現れ、銃で乱射されてしまう。
ヴァルはボブを殺すなと命令していた。
その理由は、彼こそがオックス社と共に進めていた「セントリー計画」によって生み出されたスーパーソルジャーだったからだ。
謝って射殺してしまったことを悔やむヴァルだったが、すぐさまボブは立ち上がり一気に上空へと飛び立つ。
能力が覚醒したと思われたが、ボブはすぐさま地上へ落下してしまう。
それを見たエレーナたちは、広い砂漠を彷徨いながら逃げるのみであった。
朝日が昇ったころ、たまたまヴァルのハイヤーを担当していたアレクセイが娘のピンチを聴きつけ現場までやってくる。
オンボロのリムジンで逃げる一行を、ヴァルの手下が追いかけてくる。
スピードの上がらないリムジンでは逃げ切ることもできず、防戦一方の一行だったが、そこへバッキ―が現れ敵を一網打尽にする。
助けにやってきたと思われたが、バッキ―は彼らを捕らえるためにやってきたのだった。
拘束された一行は、事情を説明するもバッキ―は聴く耳を持ってくれない。
しかし、内密に連絡を取っていたメルからの電話を聞いたバッキ―は、セントリー計画の全容を聞き態度を変える。
諸悪の根源であるヴァルを裁判にかけること、そして捕らえられたボブの救出を行うため、かつてエレーナが所属していた女子サッカーチームの名にあやかり「サンダーボルツ」は、一路ニューヨークへ向かう。
トニー・スタークがかつて所有していた「スタークタワー」を「ウォッチタワー」という名称に変え買い取っていたヴァル。
そこはセントリー計画が成功した際に使用する予定のラボを賄った施設だった。
意識を失ったボブを言いくるめたヴァルは、セントリー計画が成功したことをマスコミ向けに発表するためにマスコミを呼びつける手配をする。
そして彼女の筋書きは、裏でバッキ―と繋がっていたメルを利用してサンダーボルツを呼び寄せ、セントリーに始末することで「新たな正義の誕生」を世に知らしめることだった。
人体実験を隠し証拠を隠滅しようと企んでいた現CIA長官を野放しにできない、そのために下院議員にまでなったバッキ―は、チームを引き連れて行動を開始。
ヴァルのいるバールームへとやってきた一行だったが、まんまと言いくるめられたボブ=セントリーの力に押され、全く歯が立たないことから白旗を上げて退散するしかなかった。
ヴァルからとどめを刺すよう命令されたボブだったが、なぜ自分よりも力のない存在から指示されなければならないのか理解できず、一方的に断る。
万が一セントリーが機能しなかった場合を想定していたヴァルは、キルスイッチを使って制止しようとしたが、ボブに見つかってしまい首を絞められてしまう。
そこにメルが現れスイッチを起動し窮地を免れた。
死んだと思っていたボブは、突然体が黒で覆われた状態で息を吹き返し、ニューよーくの上空に現れ、人々を「影」そのものにしてしまう。
攻撃に失敗し落下するヘリから人々を守るため、そして暴走し「ヴォイド」と化したボブを止めるため、サンダーボルツは再び立ち向かうのだった。
アベンジャーズよりも遥かに強い能力をもつセントリー=ヴォイド=ボブに、肉弾戦でしか戦う術のないサンダーボルツに勝機はあるのか。
・・・というのがざっくりしたあらすじです。
やっぱりヴァルが悪役でしたね。
フェイズ4以降、ちょいちょい顔を出しては一体何を企んでるのかよくわからなかったヴァレンティーナ。
ちゃっかりCIA長官にまでなっていたのは前夫のロス捜査官のセリフからわかっていましたが、裏で「セントリー計画」、いわゆるスーパーソルジャー計画を復活させていたなんて全く予想もできなかったですね~。
今回も新たな敵が襲来したわけではなく、身から出た錆とでもいいますか、自らまいた種を回収する羽目になるチームという構図だったわけで、あいかわらずMCUは話を大きく見せようとするけど実際は小さいコミュニティの中で尻拭いをするだけの争いしかやってくれないのが残念なところ。
きっと外部からの新たな敵ってのはアベンジャーズまでお預けってことなんでしょうね。
また今回は「鬱」や「心の闇」といった部分にフォーカスを当てながら、これまで「影」の存在だった彼らに光が当たるという展開のメンタル改善映画でもありました。
内容として面白かったのは、新たなキャラクターボブが闇落ち化した「ヴォイド」を通じて、過去にトラウマを持ってるせいで虚無感に覆われてしまう彼らが、どうやってそれに決着をつけるか、どうやって向き合うかに繋がっていく構成。
不安と孤独を抱えてきたエレーナ、かつての英雄になりたいのになれないでいたアレクセイ、ずっと葛藤を抱えて生きてきたバッキ―、誰も近づけないことに孤独を抱えていたゴースト、そして名声や承認欲求に捉われ歪んだ正義感で暴走し、大事なモノを失ってしまったウォーカー。
それぞれが不安を隠し強がっていたからこそ、終盤で吐き出す本当の気持ちがグッとくる作品でしたね。
影の存在だった彼らに光が当たる瞬間は眩しかったですね。
しかし、個人的にはせっかく調子をとりもどしつつあるMCUだったのに、話に面白みがないと感じてしまいました。
120分というちょうどいい尺だったにも拘らず、中盤まで基地内で4人がダラダラおしゃべりしながら行動する内容で、テンポよく描けばそんな尺にならないのも腹立つし、それをA24あがりだか何だか知りませんが、妙にシックに描こうとしているのがミスマッチに思えてしかありませんでした。
劇中では結構手持ちカメラで撮影している箇所があり、ある種新鮮に思えたんですが、どうもこれが鼻に突く。
この手の人は、映像にこだわりがあり過ぎて編集が疎かな傾向にあると思っており、実際アレクセイがユーモラスに喋るシーンも、テンポが悪いせいかイマイチ笑えない。
というかアレクセイをギャグ要因にしてロクなツッコミもなければ、他の誰かがそっちに回る気配もなく、1つのシーンの締めとしてアレクセイに一言面白いことを言わせて次のシーンへ行くのも何か嫌。
挙句の果てにはNYの街中で、コスチュームを着た二人が真剣に親子の話をする姿を、落ち着いた配色とトーンで映しだす。
背景にたくさんの人が歩いているのに、誰も見向きもしない演出とかめちゃくちゃノイズでした。
僕はジェームズ・ガンをそこまで評価してないんですけど、彼がやったスースクよりもカッコつけて見せてる気がして、ものすごく嫌気がさしました。
別にあれをやれよとまではいいませんが、もっとリアル路線の様なカメラワークとか演出とか求めてないんで、ヒーロー映画ならではの誇張した描写が欲しかったです。
MCUには職人監督を起用してほしいとずっと思っていて、どうしてもここ最近はそれがないのが一番の不満。
闇を抱えてようが、鬱っ気があろうが、一応はアメコミキャラで、エクスペンダブルなキャラなわけですよ。
もっと泥臭い人間臭い、無様でももがくようなキャラを外連味たっぷりにユーモアたっぷりに、そして編集を意識した絶妙なテンポで描いてほしかったですね。
最後に
蓋をかけて見ればヴァルの策略にまんまとハマり、いやむしろ乗ってあげたくらいの態度で「ニュー・アベンジャーズ」となったサンダーボルツ。
ポストクレジットではファンタスティック4が乗っているであろうロケットが映り、いよいよ「アベンジャーズ:ドゥームズデイ」へ向け加速したのはテンションが上がりますね。
彼らがどうやってやってくるのかは、次回作までおあずけですが、別の並行宇宙からやってくるんですかね。
またアベンジャーズを名乗ったことでサムがお怒りだってのも気になるところ。
リーダーを差し置いて勝手にチーム作るなよってことなんでしょうか。
何とかバッキ―に仲を取り持ってもらいたいですね。
とにかく個人的にはあまり乗れない映画でした。
次のファンタスティック4に期待したいと思います。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10