トゥモロー・ウォー
未来で繰り広げられている人類対人工知能の戦いに終止符をつけるべく、未来のリーダーの母親を殺しにやってくる謎の殺人マシーン。
これが「ターミネーター」です。
そして、この殺人マシーンであるT-800が未来のリーダーと母親を、人工知能「スカイネット」が送り込んだ液体金属T-1000から守るためにやってくるのが「ターミネーター2」です。
どちらも未来を変えるために過去に行って歴史を変える戦いを繰り広げるんですよね。
なぜ急に「ターミネーター」の話をしたかというと、今回鑑賞する映画は「未来で起きている戦争で勝利するために過去から精鋭を連れていく」というお話。
未来の歴史を変えるために未来人が過去へやってくるのは同じですが、過去の人を未来に連れていくってのは微妙に違いますよね。
この似たような物語、実はキャストも深いつながりがあるんですよ。
なんと「ターミネーター」を演じたアーノルド・シュワルツネッガーは、本作で主人公を演じるクリス・プラットの義理の父親なんですよ。
え?どういうこと?と思うでしょう。
実はクリス・プラットはシュワちゃんの娘さんとご結婚されたからなんですね。
偶然だとは思うんですが、二人とも時空を超えた戦いを映画の中でするということで、冒頭で書いてみましたw
というわけで、明日を変えるための戦いを描いた本作。
早速自宅で鑑賞いたしました!
作品情報
「レゴバットマン・ザ・ムービー」で高い評価を得た監督が、本作で実写映画デビュー。
エイリアンとの死闘に敗れた人類は、反撃をするために過去から兵士を連れていくことを決意。
選ばれた主人公らが、地球の運命を変えるために立ち上がってくミリタリーSFアクション。
本作で製作総指揮も務めるクリス・プラットが、子供のために、また疎遠となった父のために、普通の父親からソルジャーへと変貌を遂げていく。
また本作は2020年に劇場公開の予定だったが、パンデミックによる影響を受け、
Amazonプライムビデオで独占配信される。
ただ終わりを待つのではなく、未来を変えるために抗う戦い。
彼らの勇姿を目に焼き付けよ。
あらすじ
2051年から現代にやって来たタイムトラベラーグループにより、30年後に人類は未知の生物との戦争に敗北するという緊急メッセージが伝えられる。
人類が生き残る唯一の方法は、現代に生きる兵士と民間人を未来に送り、戦いに加わることだった。
幼い娘を持つ高校教師のダン・フォレスター(クリス・プラット)は、娘の未来のために戦う決意をする。(シネマトゥデイより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、クリス・マッケイ。
「レゴバットマン・ザ・ムービー」でデビューした監督。
この前作「レゴムービー」にも携わっていたこともあり、主演のクリス・プラトットはここで御縁があったようです。
本作について監督は「ゴーストドラフト」というタイトルのついた脚本を読んで、SFでありながら家族の物語であること、主人公ダンの掘り下げにもしっかり描かれてたことに感銘を受け、監督のオファーを受けたとのこと。
また初の実写映画を務めたことについては、キャストやスタッフに恵まれたことにも言及。
アイスランドの寒い場所での撮影や、真夏のジョージアでの撮影はみなぐったりだったようで、そんな中でも皆が前を向いて一つの作品を制作できたことに感謝しているとのこと。
クリプラがプロデュース業も兼ねて臨んだ本作は、監督の実写映画デビューにいい効果をもたらしていたのがうかがえるインタビューです。
一体どんな作品なのか待ち遠しいですね。
監督の作品に関してはこちらをどうぞ。
キャスト
主人公で高校教師のダンを演じるのは、クリス・プラット。
みんな大好きクリプラ。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」でのブレイク以降、「ジュラシックワールド」シリーズ、「マグニフィセント・セブン」、「パッセンジャー」等、あらゆる大作で主演を飾るほどまで成功しています。
実は「レゴ・ムービー」や「2分の1の魔法」など声優としてもすぐれた才能を持っているクリプラ。
吹替えの方がいいと思ってる人も、彼の実力を感じるために一度字幕で試してみてほしいですね。
本作ではプロデューサーとしても担当。
様々な大作で主演を務めた経験を活かし、本作をただのブロックバスター映画ではない、現実味を帯びた内容のSF大作にしたっかったとインタビューで語っています。
また、俳優としての経験はあるもののプロデューサーとして経験は浅く、本作の製作でたくさん学べたことも語っており、まるで結婚式の準備をするかのような作業の連続だったそう。
それだけ彼の思いが詰まった本作。
ヒューマンドラマの要素も備えたハートフルなSF作品ということなので、非常に楽しみですね。
彼に関してはこちらもどうぞ。
他のキャストはこんな感じ。
ミューリ・フォレスター大佐役に、「キラー・エリート」、「ザ・プレデター」のイヴォンヌ・ストラホフスキー。
ダンの父、ジェームズ役に、「セッション」、「パーム・スプリングス」のJ.K.シモンズ。
リリー役に、TVドラマ「ナース・ジャッキー」、「ザ・ハント」のベティ・ギルビン。
ドリアン役に、「パージ」シリーズ、「バンブルビー」のエドゥイン・ホッジ。
ノラ役に、「24-twenty four-」のクロエ・オブライエン役でお馴染みメアリー・イン・ライスカブなどが出演します。
未来に勝利し家族を守ることができるのか。
SF特有の穴をどう処理するのかってのも興味がわく本作。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
『トゥモロー・ウォー』
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2021年7月2日
目先ばかり考える俺たちに警鐘を鳴らすかのようなテーマがアツい!
山場がありすぎなのと既視感ある設定はあれど、伏線も上手だしアクションもクリーチャーも親子愛もたまらん! pic.twitter.com/Lh9UMr70N5
いやぁよくできたブロックバスターだと思いますよ。
これでもかってくらい山場あって、逆に疲れるw
以下、ネタバレします。
未来は俺たちの手の中に。
30年後に訪れるエイリアン奇襲の未来に終止符を打つため、科学者の夢を諦めきれない高校教師が、かつての軍隊スキルを活かして未来でエイリアン撃退に挑む姿を、名作SF映画特有の描写や、頼んでないのにお椀に入れられるわんこそばのように来る山場に少々疲弊感を抱くも、父と子の愛やわだかまりもしっかり描きながら登場人物や細かいセリフをしっかり伏線回収する丁寧な作りにまんまとやられた、理想的なブロックバスター映画でございました!!
子供たちの将来を案じながらも「今」にしか関心の無い私たち。
選挙の投票率は軒並み下がる一方だし、今の政治が満足いってないのもこれまで大人たちが政治に関心を持ってこなかったからだ。
環境問題にしたってそうだ。
若き活動家のグレタさんが国連で話したように、私たちは目の前のお金や経済にばかり目を向けてばかりで、これから社会の先頭に立つ子供たちが豊かな暮らしを送れるような自然保護を優先させていない。
このままいけば数十年後には環境破壊によって気温上昇はおろか、食糧問題や生態系にまで影響を及ぼすことになる。
ではどうすればよいか。
それは大人たちが今この段階で食い止める必要がある。
確かに面倒かもしれない。
現実の辛さを忘れるために好きなことばかりに目を向けたくなる。自分もそうだ。
しかし現実を未来を変えるためには、今一体何が起きているかを見極め問題提起し、解決策を見つけることが大事なのではないか。
急がば回れの精神で、数十年後の豊かな暮らしを確保するために行動しようではないか。
何も全部やれとは言わない。
少しづつ何かを変えていけばいいのだ。
さぁ未来を見据えよう。
過去の過ちを正すことはできても、許すことはできても、元には戻れない。
でも未来は変えられる。
君次第だ。
・・・とかなんとかいっちゃってww
いやホントね、見終わった後に感じたのは正しくこれなんですよ。
エイリアンていう外来種のせいでめちゃくちゃなことになってしまった未来を何とかしてくいとめるために、過去から人選して戦わせるってぶっちゃけむちゃくちゃだったりするんでんすけど、40歳以上の大人が選ばれ若い大人は選ばれないってパラドックスを起こさせないための選出とはいえ、やっぱり酸いも甘いも経験した大人たちが未来を変えるために戦うって、これからの未来を背負って立つ人たちにステキな未来を送ってもらうために責任を果たすってことだよね?っていう。
実際ダンは30年後の未来に行ったことで、この先起きる自分の宿命や運命を、思いもよらぬ相手から聞かされることで、より一層娘の未来のために粉骨砕身賭けて戦うわけで、父親としての使命を果たす姿を見て、独身の俺が言うのもなんだけど「そうだよなぁ」なんて感慨深くなってしまいして。
エイリアン襲来ってきっと今後起こるかもしれない未曽有の出来事のメタファーでもあるわけですよ。
実はすぐ近くに危機の種が転がっているのに調査も研究もせず、目の前のめんどくさいことを鎮めることに注力して他の事を疎かにしてしまってるわけで。
もちろん目の前のことも大事なんだけど、先にも目を配ろうぜっていう。
クリプラからこんなことを教えられるなんて思いもしなかった(失礼w)非常にためになる映画でしたよ。
これでもかとやってくる山場
といってもまぁ映画ですから、考えさせられることも大事ですけどやっぱりドンパチやってくれないと景気が良くないわけでw(何も学んでない)
とにかくバトルシーンから何から迫力満点の映画でしたよ。
30年後の未来へジャンプしてから怒涛の展開かと思いきや、いきなり転送場所エラーが起きるんすね。
マイアミビーチのはずが、どこかの高層ビルの空から落ちてしまうというアクシデント。
ダンら主要キャストは幸運なことに屋上のプールに着地できたものの、多くの人たちはそのまま地面に落下したり、どこか壁にぶつかって即死状態と、訓練もせずに「行け!」と言われた結果無残な死を遂げるなんてかわいそうすぎますw
着地地点からは最初のミッション。
司令官からの指令により、研究ラボの研究員を救出するために行動開始。
既に街はホワイトスパイクなるエイリアンにより崩壊の一途を辿っており、ミッション突入するや否や、大量のホワイトスパイクを駆除するために空爆する指令も下されているというタイムリミットが迫っているミッション。
ラボにはホワイトスパイク撃退のために研究された薬品がおいてあり、これを回収しないと戦争に終止符を打つことができないために、何が何でもミッション成功しなくてはいけないわけです。
ラボは既に研究員は全滅。
薬品を回収してさぁ戻ろうと思った矢先、ホワイトスパイクの大群が急襲!
複数の触手に大きなお口、白いお肌にすばしっこい動きと、明らかにどう見ても一発では死んでくれそうにない姿。
喉と腹が急所だそうなんですが、銃弾を浴びせようとも背中でガードされたり動き速くて急所狙えないし、そもそもR軍隊に選ばれた面々が素人だかりだし!!
このようにどんどん兵士たちが戦死していく怒涛の展開。
空爆へのカウントダウンが迫っているにもかかわらず、元軍隊に属していた仲間想いのダンにより、目の前の人を助ける行動をとってしまったことで多くの兵士が命を落とす結果に。
街を封鎖して撮影したのか、セットを作って撮影したのかわかりませんが、これだけ大きな場所でドンパチやってくれるわけで、CGもかなり力を入れているのが爆破シーンやホワイトスパイクの数の多さから窺えます。
さらには、ダンやドリアンら経験者は見事な銃の構えですが、他の素人たちもそれなりに姿形が決まっていたし、ガンガン銃を連発するので、とにかく景気が良いんですよね。
この後も怒涛の展開。
オスには鎮静剤が効くが、メスには効かないことから、メス用の薬品を作るためにメスを確保する作戦へ。
なかなか洞穴から出てこないメスに、兵士たちはキョトンとした途端、急に襲い掛かってきて、一戦交える状態に。
ロープで引っ張って外に出そうとしたこともあって、妙な絡まり状態で兵士たちをどんどん食いちぎっていくんですね~。
何とか捕獲に成功したわけですが、少ないメスを取られたことに怒りをあらわにしたオスの大群たちが一斉に人間たちを襲いかかってきます。
軍用ヘリも飛んできたホワイトスパイク(♂)によって落下してしまうし、ダンも大佐も逃げるのに一苦労。
ここでも乱射や爆破シーンの連発で非常に景気が良く、さすがブロックバスターといったところ。
基本的に一戦交えあとにダンと大佐のシーンが挟まれ、ヒューマンドラマ要素に重みが増してくる流れとなっています。
後半も未来での大戦が終わった後に、更なる問題が生じる事態となっており、どう考えても「ここで終わるのか…」と落ち着いた途端、再び新たなエピソードに入っていくという。
こんなに頼んでないよ!っていうくらいメニューがどんどんテーブルに置かれるみたいなw
父と子の物語
このように景気の良いドンパチシーンが山盛りなんですね(何度目w)。
その間に挟まるように描かれる親子の物語が非常に良いんです。
9歳になる娘ミューリは、高校で科学を教えているダンの教えもあって、科学が特異な女の子。
ダンが兵士として招集を掛けられた際、悪夢にうなされ夜泣きしてしまった際には、ダンの言うとおりに深呼吸するんですが、体内でどういう状況だから落ち着きがないとか、どうしたら落ち着きが取り戻せるかを夜泣きの状態にもかかわらず説明できてしまうほど賢い女の子なんですね。
それくらいパパを愛しており、ダンもミューリを愛しているステキな親子なんですね。
必ず戻ると伝え未来へ向かうダン。
司令官はダンが経験豊富なことから贔屓にするんですが、実は訳があったんですね。
何と30年後の娘ミューリが司令官だったんですね。
そんなサプライズだなんて聞いてないし、急にダンに感情移入して涙が・・・。
30年後の娘という立ち位置から、ダンは自分が今後どうなるのかを知りたくてウズウズしてるし、まさかこっちの世界で娘と一緒に入れるなんてというトキメキも加わり、何とか娘をフォローしたい一心で戦うんです。
ミューリはパパの教えをしっかり受け継ぎ科学者として成功し、階級も大佐という輝かしい称号を胸に活躍していたわけです。
大学もMITとか言ってたな、まじすげぇ。パパLOVE効果絶大。
ダンは入隊する際に既に未来のことが分かる装置によって、自分の寿命がいつまでかを聞いおり、30年後の娘から自分がどうなってしまうのかを聞いてしまいます。
この告白のシーン、実はダンとダンの父親であるジェームズと確執があるんですがここと重なるような流れになってるんです。
具体的な詳細は省くとして、ダンもジェームズのような未来を歩いてしまっているのかなぁと思えた部分でもあり、子を思うあまりの態度や行動が、実は子供にとっては逆効果になっていることが窺えるやりとりでした。
この辛い現実を撃ち消すかのように、元の世界へ転送されるわずかな時間の中、懸命にミューリにフォローするダン。
休む間もなく新薬の研究を続けるミューリに、夜食どっちにする?野菜ラザニア?それとも野菜ラザニア?とパパギャグをかましたり、応援している地元のチームであるドルフィンズがどんな活躍をしたのか聞いたりと、パパならではのリラックスを与えるダンを見て、なんて素敵な親子なんだと(ウルウル・・・)。
その後訪れてしまう事態によって、悔いの残る結果となってしまったダンは、現代に戻り、娘のため、そしてこれまで疎遠だった父ジェームズに協力を依頼するなど、親子をベースにしながら激闘を繰り広げる激しく美しい結末へと進んでいきます。
最後に
SFによくある穴ですが、序盤で結構説明されてるんですよね。
現代より前の字だから招集すれば?という問いにも答えがあるし、30年後の世界とは別の世界線で未来を救うという着地など、色々考えての設定なんだなってのは良かったと思います。
また伏線の回収が非常に上手で、父親に放ったセリフが思いもよらぬドラマ性を生んだり、サブキャラの職業や身に付けているものがカギになっていたり、ダンの授業に熱心な生徒もしっかり回収してくれる巧さ。
さすがクリス・マッケイだなぁと感心した部分でもあります。
パンデミックによって、まだ映画館に行くのを躊躇している人にとって、家でもブロックバスター映画の新作が楽しめる環境ってホントすごいですよね。
僕は本作に関しては劇場で見たい感じの作品だったのですが、家で見ても十分迫力のある映像が目白押しでした。
半分程度(いやもっとか?w)ネタバレしてしまいましたが、是非本作を見ていただき、未来のことを考えてみてはいかがでしょうか。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10