東京リベンジャーズ
「クローズZERO」以降、ヤンキー映画はいくつも製作されてきました。
「ドロップ」に「ワルボロ」、「BADBOYS」、「HiGH&Low」シリーズ、そして「今日から俺は!」などなど、若手俳優の登竜門として数々製作されては人気を博したものばかり。
クローズが興行的に当たったために正直二番煎じ的なモノにも思えますが、中身はれっきとした青春映画。
ヤンキーならではの絆やプライドをかけた戦いがメインであり、例えヤンキーでなくとも観る者を熱くさせる要素を秘めた素晴らしい映画ばかりです。
今回鑑賞する映画は、そんなヤンキー映画の歴史に新たなページを刻もうと、満を持して実写映画化された作品。
なんとかつての恋人を救うために学生時代にタイムリープして歴史を変え、人生をリベンジするという物語。
活きのいい若手俳優が勢ぞろいですし、何といってもヤンキ―とSFをミックスさせるという新しいジャンルで挑むんですから面白そうじゃないですか。
いざ、感想です。
作品情報
歌舞伎町の裏社会を舞台にスカウトマンの成長を描いた「新宿スワン」でお馴染み、和久井健原作の、単行本累計発行部数1000万部を誇る人気コミック「東京卍リベンジャーズ」を実写映画化。
フリーターとして冴えない日々を送っていた元ヤンキ―の主人公が、元恋人の死をきっかけに10年前にタイムリープし、かつての恋人を救うため、そして自身の人生をリベンジするために、命を懸けて戦いに挑む姿を描く。
硬派な青春映画から軟派な恋愛映画まで幅広いジャンルを手掛け、徹底した笑いと泣きの要素を入れるのが得意な監督の手により、ヤンキーたちの生き様に胸アツ必至の作品の映像化を成功させた。
そして歌に芝居に大忙しの若手俳優を皮切りに、大河ドラマ主演俳優やヤンキー映画常連俳優など、これからの日本映画を背負って立つ俳優たちが勢ぞろい。
底辺から抜け出すために命を懸けて挑む男の姿に、熱くなれ!
あらすじ
負け犬フリーター=タケミチ(北村匠海)の元恋人ヒナタ(今田美桜)が殺された。
事件を知った翌日、タケミチは駅のホームから転落、目覚めた先は何と10年前・・・
負け犬人生を歩んだきっかけとなった最悪の高校時代にタイムリープしてしまった。
もう一度繰り返される、あの頃。
最悪の過去でようやく見つけたヒナタを唯一救う方法は、ヤクザも恐れる危険な組織❝東京卍會❞を消滅させること。
熱い仲間たちとの出会いの中で、ヒナタを救うため、逃げ続けた人生を変えるため、タケミチは弱虫だった過去の人生にリベンジし、❝今❞を変えられるのか?(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、英勉(はなぶさつとむ)。
これまで年齢問わずな恋愛や青春映画を数々手掛けてきた監督。
近年では「前田建設ファンタジー営業部」、「ぐらんぶる」、「妖怪人間ベラ」、「映画 映像研には手を出すな!」、「映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット」と、かなりのハイペースで映画製作を行ってる様子。
それだけ売れっ子になったってことですねw
原作コミックの実写映画監督と言えば三池崇史が挙げられますが、今後は彼に代わっていくのかもしれないですね。
監督に関してはこちらをどうぞ。
キャラクター紹介
- 花垣武道(タケミチ)(北村匠海)・・・10年前はライトヤンキ―高校生。27歳の今は冴えないフリーター。かつての恋人ヒナタを救うため、そして自分の人生をやり直すため、東京卍會消滅のために命を懸けて挑む。
- 千堂敦(アッくん)(磯村勇斗)・・・高校時代のタケミチの親友。
- 橘日向(ヒナ)(今田美桜)・・・高校時代のタケミチの彼女。ナオトの姉でもあるが、10年後に死亡する。
- 橘直人(ナオト)(杉野遥亮)・・・ヒナタの弟。一度死亡したが、タイムリープしたタケミチに救われる。10年後姉を守るため刑事に。
- 佐野万次郎(マイキー)(吉沢亮)・・・10年前も現在も東京卍會=トーマンのトップ。小柄だが喧嘩の強さは断トツ!
- 龍宮寺堅(ドラケン)(山田裕貴)・・・トーマンのNo.2。熱い男でマイキーとは友情以上の固い絆で結ばれている。
- 清水将貴(キヨマサ)(鈴木伸之)・・・10年前のタケミチの天敵のような存在。
- 三ツ谷隆(ミツヤ)(眞栄田郷敦)・・・トーマンの頼れる弐番隊隊長。マイキー&ドラケンからの信頼も厚い。
- 稀咲鉄太(キサキ)(間宮祥太朗)・・・愛美愛主の幹部だったが、10年後マイキーと共にトーマンの最重要人物に。
- 半間修二(ハンマ)(清水尋也)・・・トーマンと敵対する愛美愛主に所属。不気味な微笑みの真意は・・・?
(以上HPより)
多くのキャスト陣がハマった原作のキャラ立ちをどう熱く演じ切るのかも十分楽しみですし、何より今引っ張りだこな監督が、どこまで熱い映画を作ったのか気になります。
原作未読で臨みます!!
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
東京リベンジャーズ。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2021年7月9日
北村匠海が熱い。
吉沢亮がカッコいい。
腑に落ちない点がたくさん。 pic.twitter.com/6DwMTzerKs
男の意地、見させてもらいました!!
やっぱ北村匠海は声が良いから吠えっぷりがハマりますね。
でも話は中途半端やなぁ…。
以下、ネタバレします。
喧嘩弱いけど熱い男タケミチ。
かつての恋人を救うため10年前と現在を行き来する主人公が、歴史と自分の人生、果ては運命を変えようと奮闘する姿を、監督得意の些細なユーモア描写を挟みながら、これまで誰かのせいにしてきた人生に見切りをつけていく男の勇姿や情熱がみなぎる、非常にエモい作品でございました。
原作を読んだことが無かったので、きっとタケミチが卍會でのし上がって、相手のトップと殴り合うかのような「クローズ」っぽい話だと思いこんで見に行ったんですが、全然違いましたねw
全然違ったからといって全くつまらない映画ではなく、ホントに熱い。
観る者を熱くさせてくれるのは、やっぱりタケミチくんなんですよ。
ヘタレでクズで謝ってばかりの負け人生だった彼が、友達の非行を制止するため、彼女を守るため、彼女の弟を守るため、とにかく誰も死なせないために体を張っていく。
それだけじゃない。
誰かを守る目的を果たし、少しづつ未来が変わっていったことを実感し、自信と勇気を身に付けることで、なぜ自分は残念な人生を歩んでしまったのかに気付き、強い相手の向こう側にいる「自分自身」と対峙していく。
あれこれセリフで感情を吐露してしまうのは好みではありませんが、声質も高めでよくとおる北村匠海が、嘆いたり喚いたり悔しがったり怒ったりと、本気で叫ぶから「熱い」んですよね。
人間誰しも「なんで俺はこんな人生を歩んでしまっているのか」と後悔する瞬間て、あると思うんですよ。
誰かと比較したり、昔の楽しかった思い出とか、それこそ過去の栄光とか、そんなことを思い出したときに、ふと、ぶわあ~って。
もちろん本作は「過去に戻ってやり直す」というフィクションです。
だけどこれ見終わったら、別に過去なんか戻らなくてもやり直すことはいくらでもできて、いつだってリスタートできるんじゃないかって気持ちにさせてくれるんですよね。
それもこれも全部タケミチくんが泥まみれになったり血まみれになったり、思いっきり顔腫れても、絶対後ろを見ない、後ろに引かない姿勢で立ってるからで。
俺も学生時代に同い年のイキった不良に目をつけられて、何度か逃げたことありましたけど、自分もタケミチくんくらいの度胸があれば、もうちょっとマシだったのかなwなんてのも思い返しましたしw
とにかく熱かったし、熱くさせてくれた映画だったんじゃないかなと。
不良映画ってそういう気持ちにさせる側面があるから、嫌いになれないんですよね。
カッコいいぞ、マイキー。
そんな喧嘩は弱いけど度胸は男前なタケミチくんとは違い、実力もカリスマ性もある卍會の総長、マイキーは常にカッコイイ。
一般人には手を出さない、喧嘩賭博とかダサいことはしない。
誰かを守るためなら絶対引くことをしない男には大手を振るって歓迎する。
あまり今では見かけないタイプのキャラですよね。
どちらかというと昭和気質というかガキ大将タイプというか。
そんなマイキーの緊張と緩和がキャラとして際立ってましたね。
もし自分がマイキーなら、タケミチがキヨマサとのタイマンで、負け濃厚なのにも関わらず引かない姿勢を取っていたら、卍會に誘うと思うんですよ。
見た目不良だし、喧嘩してるし。
でもマイキーは彼を友達になろうぜと声をかけるんですわ。
自分の配下に置かず、同じ学校の友達として招く。
劇中では、喧嘩弱いくせに歯向かっていく性格だった10個上の兄貴に似てるからという理由を語ってましたが、単純に熱い男としてタケミチに惚れたと受け止めたいし、この言葉が今後のリベンジャーズに深く関わっていったりするのかな。
またドラケンとの関係性もしっかり抑えてましたね。
抗争相手のグループにケガを負わされた被害者のお見舞いに向かった際、親にあれこれ怒鳴られてしまうシーンでは、自分が直接手を下したわけでも、卍會の誰かがやったわけでもなく、寧ろこれから相手と喧嘩する=かたき討ちをしようと腹の中で思ってるために、父親から不良だからというステレオタイプな見方であれこれ言われてついカッとなってしまうマイキー。
でもドラケンは違う。
誰にでも家族や大切な人がいる。その人まで迷惑をかけてしまうということはこちらにも責任がある。だから頭を下げるんだとマイキーに諭すんですね。
どちらかというとマイキーは子供みたいな性分があって、ニコニコしながら喧嘩したり、タケミチを気に入るときも直感で近寄るし、それこそ被害者の父親にない事言われてカッとなったりするわけですよ。
その分めっちゃ素直で、ちゃんとドラケンの言うことだったり、タケミチの言うことにも耳を貸して受け入れるんですよね。
喧嘩強くて子供みたいなことばかりいう悟空とかルフィとかに似てる気がするというか。
自分はそういうタイプのキャラには弱いんで、マイキーかっこいいなぁと。
また、緊張と緩和の使い方もハマっている。
タケミチが不良に連れられて行ってしまうと勘違いしたヒナが、マイキーにビンタで制止して一触即発になった場面。
タケミチはドラケンの肩を掴んで、ヒナを守るためなら自分も引かないと、さっきまで友達だった空気が一変するんですね。
さらにマイキーが「どうやって死にたい」と発するところからさらにピリつく。
だけどデコピンして「嘘だよん♪」なんて屈託のない笑顔を見せるシーンなんて、マイキー最高だなと。
他にも隠れて男泣きしてる場面とか色々ズルい見せ方するなぁなんて、マイキーにどっぷり浸ってましたw
腑に落ちない点
というように、主要キャラの熱さとカッコよさに魅せられた映画だったんですが、お話関してはどうも腑に落ちない点が大きく2つありまして。
一応タイムリープを扱ってる映画なんですけど、あくまでヤンキ―の生き様だったり人生をリベンジすることに重きを置いてる映画なので、ぶっちゃけ戻って来たら誰かの人生が変わってるとか、世界線が一つしかないとか整合性に関しては特に気にしてないんですよ。
どちらかというとそこ説明省きすぎじゃない?とか、このキャラ結局必要?みたいなことで。
まず一つ目は現代パートでのアッくんとの屋上でのやりとり。
結局タケミチを電車の線路に突き落としたのは、卍會の幹部キサキに命じられてしかたなくやったアッくんでした。
俺がやったんだ、まではいい。
なのにタケミチは「アッくんがそんなことするわけない」みたいなことばかり言って受け入れることをしないんですよ。
まぁ親友だから受け止められないのは良いとして、「なんで突き落としたのか」を聞こうとしないんですよね。
そもそもキサキがなぜタケミチを殺害しろと命じたのかがよく分かりません。
そしてアッくんはキサキをどの程度恐れ、怯えているのか。
背景も理由も明確にされてないため、絶対聞かなくてはいけない、絶対観客に提示すべき疑問を省き、アッくんに起きた背景をスル―したのか。
これは結構厳しかったですね・・・。
この辺は原作で補填するしかないのか。
そしてキサキに関して。
結局彼は何をしたかったんでしょうか。
愛美愛主に所属していたものの、抗争には姿を見せずトップの男に耳打ちして何やら画策している男。
10年後には半グレ集団と化していた卍會。
マイキーがトップとはいえ、裏で仕切ってるのはキサキであることは、自ずと見ていれば理解できる。
しかし、10年前での彼の思惑が全然見えてこない。
もちろん卍會を変えようとはしていたんでしょうが。
というか単純に見せ場なかったですよね。
僕は主要キャラには必ず見せ場がないのであれば、そのキャラは不要だと常々言ってるんですが、キサキも見せ場が無かったことから、正直必要なかったんじゃないかと。
だったら卍會を陥れようとする黒幕に触れず物語を進めて、黒幕はキサキだった、なぜ彼がそんなことをしようとしているのかを語る場面を用意すれば、見せ場として成立するのになぁと。
結局、タケミチが人生のリベンジに成功したことでハッピーエンドになってるんですけど、卍會を手中に収められなかったキサキの悔しがる表情とか出てこないですし、そこまでして手中に収めたい明確な理由ってのはわからずじまいで。
あとはキサキ自身もタイムリープできるって設定なら辻褄が合うんですよね。
自分の目的を果たす障害としてタケミチがいて、配下にあるアッくんに殺せと命じれば理由にもなるし辻褄が合うというか。
あれ?もしかして原作はそういう設定なのか?
なんにせよ、続編が公開するということで、僕が抱いた疑問や不満はここで解消するのでしょう。
よくよく考えたら、キサキの伏線があるわけで、ここで終わるわけがないよなと。
最後に
原作も結構長いようなので、端折らなくてはいけない部分も多かったと思います。
どこまで描くとか結構議論したんじゃないかな。
だからストーリーライン内での整合性をしっかり見なくてはいけないのに、変な箇所が出ちゃってるもんだから、さっぱりわかんないですよね。
英監督なのでどこか割り切って見るべきではあるんですけど、これは監督どうこうでなく脚本の時点での問題かなぁと。
逆に構成はよかったと思います。
アッくんの今にも死にそうな表情を手前に置いて、奥のタケミチをぼかす屋上のシーンの構図だったり、何度もタイムループするから途中省略するのも悪くないし、何より喧嘩のシーンは非常によくできてましたよ。
あれだけワチャワチャしてるのにもかかわらず、誰を中心に映してるか明確だし、アクションもカット割りして巧く見せていたし、廃工場の天井から漏れる月光や飛び散る羽根がクライマックスの舞台を演出してたし。
演者も結構頑張ってた方だと思います。
きっと原作ファンが見たら「全然原作と違う」とか「あの名シーンはそうじゃない」とか言われそうな作品になってしまってるんじゃないかなぁと。
僕がちゃんと原作読んでれば比較とかできたんでしょうけど。
とりあえず職人監督だかこそまとめられた1作目でしたね。
とにかくタケミチとマイキーが熱かったのと、脚本どうなのこれ?という感想でした。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10