トリプル・フロンティア
見ろ!このメンツを!!
ある意味アベンジャーズでジャスティスリーグでエクスペンダブルズでオーシャンズなこの布陣!!
全員が主役レベルのハリウッドスターを、ネットフリックスがやってしまうんだからまぁ凄い。
しかも!!
凄腕の特殊部隊の面々が麻薬組織の金を奪うんだけど!!っていうですね、いかにもメンズボーイズキッズからグランパまでが好きそうな題材でございます。
凄く楽しみなんですが、一つ注意したいのは監督したのがいわゆる娯楽映画とかを撮っている方ではなく、どちらかというと結構重めのヒューマンドラマを手がける方だったりするんですね。
なので、メンツ重視で見始めると「ん?」てなる人も多いのかと。
きっと強奪の痛快さを描くのではなくて、そこで起きてしまう予想だにしない事態での5人の心理描写がメインになってくるのかなと。
というわけで早速自宅で鑑賞しました!!!
作品情報
パラグアイ、ブラジル、アルゼンチンの三つの国境が重なる無法地帯「トリプルフロンティア」で、元特殊部隊の5人が麻薬王から大金を奪う強奪作戦を企てていくサバイバル映画。
社会派ドラマに重厚感を加えた作品で高い評価を得ているJ・C・チャンダーが監督。
当初パラマウントがキャスリン・ビグロー監督トム・ハンクス主演で企画をしたものの、中々折り合いがつかず、紆余曲折を経てネットフリックスが権利を買収、製作再開にありついた。
彼らはなぜ強奪に挑むのか。そして計画はうまくいくのか。
5人の絆と友情が試されていく。
監督
今作を手がけるのはJ・C・チャンダー。
おそらくあと2,3本撮ればこの方アカデミー賞にノミネートするくらいの力量はもっている気がします。
とは言うものの、1,2本しか見ていないので僕の勝手な推測ですがw
冒頭でも触れたとおり、監督の作品は基本渋くて重い感じがします。
モンキー的には彼のマフィア犯罪モノがちょっと見てみたいですね。
これまでの映画も含めて今回の映画も緊迫感がものすごそうです。
自宅で息を潜んで鑑賞したいですね。
そんな監督の作品をご紹介。
CMクリエイターを経て映画製作に臨んだ彼は、大手投資銀行を舞台にリーマンショックにフォーカスを当てたサスペンス映画「マージンコール」で長編映画監督デビューします。
サンダンス映画祭をはじめ世界中で上映された今作は、初の監督ながらアカデミー賞脚本賞にノミネートされる評価を得ます。
その後、たった31ページという短い脚本にほれ込んだロバート・レッドフォードが、大海原で単独遭難し極限のサバイバルを強いられた一人の男を熱演し賞賛された海洋ヒューマンアドベンチャー「オール・イズ・ロフト~最後の手紙~」を製作。
ほぼ単独での出演と熱演によりレッドフォードは数々の映画賞を獲得する高い評価を得ました。
そして、当時危険な街だったニューヨークを舞台に、全うな方法で成功を夢見た男と、それをさせる妻に訪れる窮地をとその顛末を、重厚にスリリングに描いたドラマ「アメリカン・ドリーマー~理想の代償~」を手がけています。
キャスト
今作の主演、というか特殊部隊のリーダー、トム・デイヴィスを演じるのはベン・アフレック。
「ジャスティスリーグ」でバットマンを演じて以降の作品になるんですかね、これが。
予告では国のために命を張って尽くしてきたのに、これっぽっちのお金しかもらえないという割の悪さから現金強奪を企てる姿を映していますが、こういう哀愁というか何かを背負ってる感じのベンアフもまたオツなもので、楽しみであります。
こういうアクションをやりたかったんでしょう彼は。お面をかぶってでなく。
そしてアルコール依存を克服したんだから、監督もそろそろやってね。
彼の出演作品はこちら。
他のキャストはこんな感じ。
サンティアゴ・ガルシア役に、監督の前作「アメリカン・ドリーマー」や、「スパイダーマン・スパイダーバース」のエンドロールに登場したスパイダーマン2099の声を担当したオスカー・アイザック。
ウィリアム・ミラー役に、「パシフィック・リム」、「パピヨン」の公開が控えるチャーリー・ハナム。
ベン・ミラー役に、「トロン:レガシー」、「オン・ザ・ロード」のギャレッド・ヘドランド。
フランシスコ・モラレス役に、「キングスマン:ゴールデンサークル」、「イコライザー2」のペドロ・パスカルなどが出演します。
彼らに巻き起こる想像以上の困難とは。無事強奪し生還できるのでしょうか。
それとも誰かが裏切ったりして?
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
激シブな強奪ミッションだったなぁ!
金の重さか命の重さか、その試練を試された5人の物語でした!!
以下、核心に触れずネタバレします。
まずは詳細なあらすじ。
軍人として活躍した5人の現在の日常から始まる序章。
アイアンヘッドことウィリアムは軍隊に志願した者たちへ、任務を遂行することの覚悟と素晴らしさを雄弁に語る。
一見すると、戦士の誇りを感じるものの、日常生活に順応できていない部分が垣間見える。
ポープことサンンティアゴは、中南米の警察に勤務し、今日も部隊を率いて麻薬組織との攻防を繰り広げている。
そこで捕まった一人の女性、イヴァンナと親密な関係にあるポープは、彼女を逃がした後、麻薬組織のボスとの接触ができるまでに昇格したことを聞きつけ、一つの作戦を思いつく。
特殊部隊のリーダー・レッドフライことトムは、妻のモリーと別居状態で家庭はうまくいっていない。自分が住んでいた家を必死に売却しようと試みるもうまくいかず、日常生活でまともに働いてもいなかった。
ポープとの再会で最初こそ作戦への参加に抵抗を示していたものの、娘の送り迎えの際、彼女のことを考えた後、作戦に加わることを決意する。
ウィリアムの弟ベニーは、地下格闘技でしのぎを削っていた。
ちょうどそこには共に戦地で戦ったパイロット、キャットフィッシュことフランシスコもいた。
ポープは4人に作戦の全容を話し、レッドフライがやるならと同意。
5人はポープがずっと追いかけていた麻薬組織のボス・ロレアのアジトへ向かい、イヴァンナの協力の下、偵察を始める。
「家そのものが金庫」と、銀行すらも信用していないロレアは金のそばから離れようとしない。そのため警備が手薄になる時間帯が存在し、そこを狙って現金を強奪しようとポープは4人に語る。
警察の任務のための偵察が、実はポープの独断によるもので、ここから先は5人だけの行動になることを知ったレッドフライは、怒りを見せるが内心久々の任務に興奮を隠せなかった。
一つ気がかりなのはイヴァンナの存在。彼女は果たしてどちら側の人間なのか、信用できる人物なのか。
ポープは彼女が協力するのは弟を監獄から出して共に逃亡するためだと、仲間に彼女の確かな信頼度と必要性を語る。
彼女がボスの顔写真をとれば、ポープは彼を始末することができるし、その上大金だって手に入る。危険極まりない任務だがやりがいはあることを訴え、ついに5人は作戦を決行するのだった。
必ずうまくいく、そう信じていた彼ら。
しかし、完璧な計画など、ない。
微妙なズレは作戦を徐々に困難にさせていく。
そのとき5人に課せられた選択とは。
とまぁ、こんな具合の序盤です。
5人のアンサンブルがたまらん!!
冒頭でも語ったとおり、この5人の関係性がめちゃめちゃ良くて、ほんとにこいつら一緒に戦ってきた仲間なんだなあと感じる映画だったんですよね。
劇中での掛け合いを見る限り、リーダーはもちろんベンアフことレッドフライ。
作戦資料を軽く目を通し、仲間たちに瞬時にどういう流れで作戦を遂行するのかを指示する。
そのとき必ず命を守ることを最優先に伝える辺りが、リーダーたる品格を現しているのがいいですね。
で、恐らく副リーダーなのが、俺のオスカーアイザックことポープなのかなと。
今回のネタを持って来たからには、何を優先すべきなのかを激しく訴える姿もあれば、どこか気を張っていなければという責任感があり、途中での優先事項を見失っては落ち込む姿もあり、今作で一番魅力的なキャラだったように思えます。
そしてアイアンヘッドことウィリアム。
彼はベニーと兄弟で同じ軍隊にいたという設定で、この中では一番冷静なキャラにみえました。偵察のスペシャリストでもあり、ナビの役目も果たしていましたね。
その弟ベニーは多分この中で一番下っ端。とにかくフェラーリがほしいみたいw
はしゃぎっぷりが一番ガキっぽいし、その分行動派でもあり、そして人一倍仲間思い。
ある人物が亡くなったときは号泣して抱擁していましたね。
そしてキャットフィッシュ。彼もどちらかというと、アイアンヘッドくらいの冷静さをもっていて、時に激高するときもあるけれど的確なことをいって仲間たちを静めさせる、そんな役割を果たしていたと思います。
この5人が最初集うときの画力ね!ぶっちゃけいいおじさんですよみんな。
でも和気藹々とするシーンもあれば、ちょっとしたヘマだったりトラブルが起きたときの責任のなすりあい、冷静でいられなくなったときに誰かが仲裁に入る、そして肝心の作戦実行は息の合ったコンビネーション、で、金を目にしたときの溢れんばかりの笑顔笑顔笑顔!!
そんな5人の連携だったり関係をですね、この中堅ベテラン勢がリアルに、そしてナチュラルに演じているのがとにかく素晴らしいのです。
特に、特にですよ、今回オスカーアイザックが大活躍でして、大ファンである僕としてはもう大満足ですよ!!
僕の中で彼はカメレオン俳優だと思っていて、常に違う魅力を放つ方だと思ってるんですね。
今回はこれまでにない人間味溢れる役柄だったと思ってます。
途中で彼はリーダーとしての役割を担うことになるんですが、そこで的確な判断ができないんですよ。
恐らく特殊部隊で人を殺めてきた経験なんてザラなわけですよ。でも銃を持った少年が登場したり、近しい存在が命を落とすことで、彼の信念がぶれてくるんですよ。優先事項が定まらなくなってくるんですよ。
その時の喜怒哀楽の表情がもうステキすぎるんですよ!
君、その引き出しどっかでやったことある?ないよね?ないよね!!
また新しいオスカーを僕は拝んでしまったんですよ!!
こんな嬉しいことはないぞ!!
監督の前作が彼主演だったからっていう贔屓目もあるかなぁとも思うんですけど、きっと監督も彼を撮りたかったんだと思うんです。だから副リーダーの役をやらせたんだろうなぁと。
すいません、なんかオスカーのことになると暴走しがち・・・w
金の重さと命の重さ。
南米の雄大な自然を空撮しながら描かれる本作。
その広さと美しさに飲み込まれるんですけど、その奥地の中の奥地に麻薬王の屋敷は存在するわけです。
これなんというか、大きなお金を手に入れたければそれ相応の道のりだったり苦難の連続だぞってのを表しているようにも感じます。
そんな奥地でついに作戦決行するんですが。
タイムリミットは40分。手下を隠密行動で始末してボスの命を狙う、それからお金をいただきマンモスするって計画が、一つのミスがミスを呼びって流れに。
そして飛び出したのは当初聞いていた金の量とは比べ物にならないくらいの大金。
そんな時人間はどんな行動に出るのか。
時間は刻一刻と迫っているのに、必要な分の金は積んだのに、モアマネーモアマネーなんですよ。
誰が取り乱すってレッドフライですからね、リーダーである。最初イヤだとか言っといて超必死なんですよ。もう理性を失っている。
情けないと思うじゃないですか。
でもこれが人間の心理だと思うんですよ。
もう十分だ、よりもまだいけるの方が勝っちゃうっていうね。
そこからの5人は欲のせいで大変な目に遭っていくというお話に進んでいくのです。
欲に負けたせいで警備に見つかり余計に命を奪ったり、欲に負けたせいヘリが重量オーバーになったり、挙句の果てにはその重さでアンデス山脈を越えられず村の中に突っ込んで友好的な態度が一変瞬殺してしまったりと、ふんだりけったりです。
結局お金も途中で捨てないと命に関わる壁にぶつかり、泣く泣く捨てる始末。
本末転倒です。なんか落語みたい。
ある意味この映画、現金よりもカードの方がスマートでっせ!とも言っているようにも見えますが、そんな映画でないことは重々承知しております。
では一体どういうことを訴えているのか、それはお金と命、どちらが重いかということ。
命は金で買えない、ということを5人はこの作戦を持って知るのです。
いやそんなこといわれなくても解ってるっつーのwといっても、実際目の前に大金があっていくら持ってってもいいとなったら、恐らく目がくらむ人がほとんどでしょう。
でも人生お金の持ち過ぎは危険なのだということを、彼らは逃亡のいく先々で知るんです。
大金は身のこなしを鈍くし、移動手段も制限される。
お金は沢山あるのに寒さをしのげない彼らはお金に火をつけてたき火を決行したり、山一つ越えるのにも一苦労。
そしてその行為が再び災いを呼び、仲間を失う羽目になるという皮肉。
そのせいで何度も衝突を繰り返し胸ぐらをつかむまでになってしまう始末。
彼らはここで何が大事で何が不必要かを考えるわけです。
そう、人生何よりも命が大事。お金はポケットに入る程度で十分なんだと。
そしてやっとのことで手に入れた金は、誰がもらうべきなのかということも。
最後に
まぁ出会ったばかりのような関係性なら、ここで独り占めしてやるぜ、とか悪いこと考えますが、何より彼らは死と背中合わせの現場で戦った仲間、お金のことでそう簡単に壊れるような関係ではない。
たとえいがみ合ったり責任のなすり合いをしたりケンカしたりして作戦が頓挫してしまう事態になっても、そう簡単に崩れない彼らの絆の深さを感じるラストが待っています。
確かに大きな代償を払った、しかしこの教訓を経て次集まるときはもっと夢見ようぜ、と、書きなぐったメモを渡すあたりも友情が見えます。
お前が全て背負うことはない、そんなラストハグだったように感じます。
思っていたような怒涛のアクションではありませんでしたし、終盤はもっとドンパチが繰り広げられるような展開とは言えず、若干の肩透かしはくらったものの、ひしひしと伝わる緊張感、要所できちんとインパクトを与える攻防戦、旬な俳優陣の男クサさ、そして何より金と命での心の揺らぎ。
なるほど、これはこれでいい映画だった、オスカーのラストショットを拝んで、そう感じた作品でした。
「ボーダーライン」ほどの重さはなく、「ローン・サバイバー」ほどの凄まじさはない。だけどこれはこれでいいじゃん。
とりあえずこのメンツだけでも拝んでほしいですね。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10