トロン3:アレス

ディズニーは大コケした作品で、なぜ続編を作るのか…。
僕が映画に目覚めたあたりに公開された「トロン:レガシー」。
バイクにゲームにコスチュームに音楽と、青を基調としたデジタル世界を舞台に、色々と洗練されたかっちょいい映画だったと記憶してますが、いかんせん話がそこまで面白くない…というかややこしいw
CGを使った初めての映画といわれる1作目「トロン」も、今じゃポリゴン全開で見ごたえのない映像ではありますが、8bitだか16bitだかのしょぼいゲームの世界をあれだけ実写映像に落とし込んだのはすごかったなと。
同僚にゲームを盗まれたことが発端。証拠をつかもうとしてたらコンピュータの中に取り込まれてしまいさぁ大変。
自分そっくりのプログラムと共にゲームをしながら敵を倒すって話が1作目。
そっからめっちゃ時が流れ、帰ってこない親父をずっと待ってた息子がゲームの中に侵入、1作目より遥かに広大な世界となった場所で、親父そっくりのプログラムや謎の美女と共に再び戦いに身を投じるって話が2作目。
つまるところ、人間のあくなき欲望がきっかけで、現実世界を侵食しようとプログラムが暴走してる、それを食い止めるために人間が中で戦うって話ですわ。
で、今回はとうとう軍事利用を目的としたAI兵士が現実世界にやってくるって、これまた想像力のない人間のバカが露呈して大変なことになっちゃうって話みたいです。
前置きが長くなりましたが、話よりもカッコよさを求めて堪能したいと思います。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
世界初の長編映画としてCGを本格導入し、映像エンターテイメントの歴史を切り開いた『トロン』の待望の続編は、ディズニーがAI時代に挑む新たな映像革命を突き付ける。
これまでの「現実世界の人間がデジタル世界へ足を踏み入れる」構図の本シリーズだったが、本作ではデジタル世界から現実世界へと現れた超高度AIプログラムが、現実世界と人類を脅かす存在として描かれ、活動制限のあるプログラムが永久に現実世界で活動できるコードをめぐって、人間たちが壮絶な戦いを強いられていく。
ブレードランナーと同じくサイバーパンク映画の先駆けであるトロンシリーズ。
様々なクリエイターが刺激を受けたことから、本作がなければ「ターミネーター」や「マトリックス」といったありとあらゆる名作は生まれなかったとさえ言われている。
そんなトロン3作目の監督を務めるヨアヒム・ローニング。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」最後の海賊」や「マレフィセント2」など大作映画を任されるk十が多くなった彼は、今回現実世界が舞台となるため、可能な限り実写で撮影しリアリティを求めたと語る。
そして今回AI兵士として主演を務めるのは、「スーサイド・スクワッド」「ブレードランナー2049」のジャレッド・レト。
子供のころからあこがれていたライトサイクルを運転できたことを大いに喜んでいる彼が、本作ではどんな役柄を演じるのか、大いに楽しみだ。
他にも、「パストライブス」のグレタ・リー、「アメリカン・アニマルズ」、「X-MENダーク・フェニックス」のエヴァン・ピーターズ、「X-ファイル」のスカリー捜査官役でお馴染みジリアン・アンダーソン、そして本シリーズの主人公ともいえるケヴィン・フリン役のジェフ・ブリッジスらが出演する。
また、本作の音楽をあらゆる作品で音楽を提供したトレント・レズナーとアッティカス・ロスが、「ナイン・インチ・ネイルズ」名義で担当。
バンドとしては初めて映画音楽を担当するとのこと。
その時代の社会状況やテクノロジーをめぐるホットな話題を、いち早くエンタメとして昇華してきたトロン。
AIの普及と実用化が進む現代で、本作は何を伝えようとしているのか。
新たな映像革命を、体感せよ。
あらすじ
AIプログラムが実体化することで生まれたのが、AI兵士アレス(ジャレッド・レト)。
圧倒的な戦闘能力と高度な知性を備えた“究極の兵士”だが、現実世界での“生存”はわずか29分間に限られていた。
やがて“永遠”を渇望するAI兵士たちは暴走を始め、デジタル世界が現実を侵食していく。
世界が崩壊へと向かう中、アレスの中に“人間”を知ったことで変化が生まれる。
彼は本当に人類を滅ぼすのか、それとも?(Fassionpressより抜粋)
キャラクター紹介
- アレス(ジャレッド・レト)…デジタル世界から“現実世界”へ送り込まれるAI兵士。圧倒的な力とスピード、優れた知能を持つが、現実空間での“生存”は29分が限界。プログラムを実体化する画期的な発明によって開発された。しかし、現実世界で人間を知ったアレスにある“異変”が起きる。劇中では29分という制約を超える“永続コード”を巡る攻防が描かれる。
- イヴ・キム(.グレタ・リー)…天才プログラマー。頭がよく、好奇心が旺盛で、家族思い。エンコム社の現CEOで、現実世界で実体化できる”永続コード”を発見&これを追うキーパーソン。エンコム社は「トロン」シリーズに登場する巨大テック企業で物語の舞台となるシステムや技術の母体。
- ジュリアン・ディリンジャー(エヴァン・ピーターズ)…ディリンジャー・システムズのリーダーでAIの軍事利用を目論む。アレスの開発者に関わっているのか?アレスを送り出す側の立ち位置。永続コードを巡ってエンコム社と対立。
- エリザベス・ディリンジャー(ジリアン・アンダーソン)…ジュリアン・ディリンジャーの母でディリンジャー社の前CEO。ジュリアンの野心を懸念している。
- アテナ(ジョディ・ターナー=スミス)…アレスのセカンドに位置づけられるプログラム。
- ケヴィン・フリン(ジェフ・ブリッジス)…エンコム社の創設者で「トロン」シリーズの象徴的存在。彼は前作で消滅しはずだが…。
(以上FassionPressより)
なんてったって音と映像がウリの作品ですから、度肝抜くやつでお願いしたいところ。
こりゃIMAX案件ですかね。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
#トロンアレス 鑑賞。あれ!?面白いんですけど!すいませんナメてました!
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) October 10, 2025
敵のクリシェが強いんだけど、0と1の間を感じ取っっていくAI、過去作をちゃんと踏襲するうまさ、ビッグバジェットて見劣りしないグレタリー、そして現実世界での壮絶なバトル!クライマックスが特に最高だ!続編早く!! pic.twitter.com/HxwIFhC5AS
気をつけろ。私は恐れ知らずで、それゆえ力強いのだ。
対象を学ぶごとで0と1の間にある「自我」に目覚める最強AI。
永続コードを巡る戦いは、色々既視感あれど崇高過ぎてチンプンカンプンだった前作よりも分かりやすく激しいバトルで超エンタメになってました!!
以下、ネタバレします。
ざっくりあらすじ
敵対し合うビックテック企業エンコム社とディリンジャー社。
ケヴィン・フリンの息子サムの退任後、経営に苦しむエンコム社をキム姉妹が新たなゲーム「スペース・パラノイド」で見事再建。
一方、父の跡を継いだジュリアンは、母の助言を無視してグリッド世界のプログラムを現実世界に転送し、軍事AIとして新たな事業を展開することを画策していく。
しかし、現実世界での活動は29分という限界があることを知ったジュリアンは、妹亡きあと姿を消し永続コードを探し続けるイヴの行方を追い、彼女からコードを奪うことを計画していく。
アラスカの奥地で仲間と共に永続コードを探していたイヴは、ケヴィンが残したデジタル世界の中から発見。
それを使えば世界中の飢餓や病気をの治す無限の可能性を秘めており、晴れて実験成功したイヴは、急いで本社に戻る。
ジュリアンは、マスターコントロールであるアレスにイヴの居所を探させる。
エンコム社のGPUをハッキングし、イヴの情報を抜き取ったアレスだったが、使い捨てのように仲間を犠牲にするジュリアンに疑問を抱き始める。
どのように育ったか、どのような知識を持っているのか、亡くなった妹への思いなど、彼女にまつわる全ての情報をインプットしていくことで、人間の心を知っていくアレス。
イヴの居所を掴んだジュリアンは、アレスとアテナに彼女からコードを奪うよう命令。
再び現実世界に転送された二人は、ライトサイクルで街を暴走し、イヴにあとわずかのところまで迫っていく。
ジュリアンによる陰謀を知ったイヴは、バイクで会社まで移動するが、アレスとアテナによる追走により追い込まれていく。
立体駐車場で待ち伏せ、アテナを出し抜くことに成功したイブは、彼女のライトサイクルで街を滑走していく。
彼女を見つけたアレスはイヴを捕まえようと追走、埠頭まで追い込むことに成功するが、イヴはコードの入ったUSBを破壊、アレスはタイムリミットが近づいてしまう。
プランBを発動したジュリアンは、部下にレーザーを使ってイヴそのものをディリンジャー社のGPU内に転送し、彼女の脳内にあるはずの永続コードを抜き取る作戦に出る。
寸でのところで取り逃がししてしまったアレスだったが、ディリンジャー社内のグリッド世界で徐々にイヴを信じ始めていく。
あくまでコードが優先、イヴの命などどうでもいいと語るジュリアンの命令に背くアレスは、ジュリアンの命令に従順なアテナの阻止を振り切り、イヴを連れ出して現実世界に抜け出すことができるポータルまで疾走する。
命を助ける代わりに永続コードを渡す、そんな交換条件の元協力して逃げる2人。
見事現実世界に転送できた二人は、ジュリアンに宣戦布告。
29分間の間に、アレスに永続コードをインプットさせるミッションへと移っていく。
アテナの追走を振り切りエンコム社にたどり着いた2人は、仲間の協力を経てケヴィンが作った第1世代のコンピュータにアレスを転送させ、永続コードをゲット紗あせる作戦にでる。
しかし、アテナが追い付いてしまい万事休す。
ギリギリのところで転送に成功するが、イヴはアテナの攻撃を受けてしまうことに。
彼女の活動時間が終了したことで難を逃れる。
想像以上の破壊活動に今後の心配を気にするジュリアン。
しかし命令して無いにもかからわずアテナが勝手に転送して再び現実世界に登場。
命令に忠実過ぎるが故に、創造主ジュリアンの言葉を無視して、三度イヴを追い詰めていく。
トロンプログラムへの転送に成功したアレスは、ナビゲートするビットに誘導されながらクラシックな世界に見とれていく。
中枢までたどり着いたアレスは、そこでプログラム化されたケヴィンと出会う。
何故永続コードを求めるのかを尋ねられたアレスは、未だ感じることのなかった言語化できない思いをケヴィンに語る。
本来渡すことなど考えていなかったケヴィンだったが、彼が自我に目覚めていく過程を目の当たりにし、その興味深さから永続コードを手渡すことに。
ケヴィンは語る、本当の名称は「非永続コード」であることを。
永遠に存在するはずのコードは、たった一度しかない命を与えるものだった。
それを手にしたアレスは、アテナに浚われそうになっているイヴを助けるため、現実世界に舞い戻り、戦いの神としてアテナとの一騎打ちに出る。
果たして暴走するAIに命を手に入れたアレスは倒すことができるのか。
・・・というのがざっくりしたあらすじです。
普通に面白くて焦った。
トロンシリーズ、1度は見ているけど、正直どこが面白いのかさっぱりでした。
1作目は当時画期的だったんだろうけど、今見たらショボいしゲーム内に転送してデータを盗むとか言われても、そのゲームのどこがおもしろいん?と色々ついていけない印象がありました。
それを見てからの2作目は、公開当時としては最先端の映像と音楽で、そりゃデカいスクリーンだった絡みごたえは十分にあったけど、創造主が作った世界でアルゴリズムやらが暴走とか言われても、当時の俺にはピンとこず、生身の人間がデジタル世界で反乱を起こしたところで、これまた複雑な話だったり説明台詞が多くて、目も頭もつかれてしまう印象がありました。
そんな、視聴者からはどこかしっくりこない作品を、どう面白い作品にシフトしていくかが評価の分かれ目だと思うんですが、今回はとにかく分かりやすい!これが良かったと思います。
いいもんと悪いもんの会社という二社が対立する世界で、良いもんが見つけた凄いアイテムを盗んじゃおうと画策する2世のバカ息子。
母親の助言も馬の耳に念仏だし、冷静に考えたらAI兵士とか作ってどうすんのよと。
色々とクリシェが目立つ敵キャラの設定でしたが、ここまで馬鹿で悪い奴だと逆に清々しく、こいつの顛末がどうなるか楽しみな展開になっていくわけです。
また、イヴの情報を抜き取っただけで自我が芽生えていくアレスも、雨に濡れたことでそれまで感じたことのない感情が芽生えるきっかけはあれど、賢すぎやしないか、それだったら他のAIも同じ状況になるんじゃないの?と色々不思議なキャラ設定とは思ったものの、敵側だった奴が寝返って味方につくという構図が、物語をさらに分かりやすくさせる要因になっていたと思います。
またCEO兼プログラマーであるイヴを演じたグレタ・リーが物凄く魅力的。
パストライブスでの活躍が実ってビッグバジェットの主役に抜擢されたことでそれなりのプレッシャーもあったと思いますが、AIに追われながらも臨機応変に事態を回避する姿を始め、ガソリンスタンドでの寸劇、さらには自ら囮になって身を粉にする奮闘ぶりは、それまでの大作ヒロインにありがちなキャラ設定だったとはいえ、クレバーな顔立ちやアクティブな運動含め、ものすごく魅力的な役がらを熱演されていたように思います。
そしてなんといっても素晴らしいのはアクション。
序盤ではディリンジャー社の真っ赤に染まったグリッド世界でのバイクチェイスが最高。
コードでできた建造物や水を駆使して追手を潰していくアクションも見事ですし、チェイスそのものをハイスピードで見せていく演出が物凄くいいです。
現実世界でもアキラのバイクに酷似したライトサイクルで夜の街を滑走しながら、真っ赤なビームじみたものを噴出、走行する車が次々と破壊されていく描写は、これまでのトロンシリーズにはない展開でした。
何が良いって、赤が夜の街に映えるんですね~!このビジュアルがなんともカッコイイ!
そもそもコスチュームも仮面ライダー555のような黒いスーツに赤のラインてのがもうかっこいいわけです。
そこにライトサイクル、ディスクバトル、空中移動できるガジェット、しまいには前作にも登場したバカでかい監視機!
もうね、ビルの銛を堂々と浮遊するあの不気味さですよ!
戦闘機が出動してバトルがさらに激化するのもかっこいいですし、その監視機から無数の兵士たちが街道を真っ赤に染めながらイヴを追いかけていく様を空撮で捉えるシーンは圧巻です。
こうしたSF映画は探せば他にもあるし、それらとの類似点も多いから楽しめないって人も多いかもしれないけど、大赤字だった前作をわざわざ続編として製作して、ちゃんと「適度に面白い」作品にまで仕上げた監督の腕は確かだと思います。
またAIってのも前作にはあまりなかった部分であり、今の我々にとってはものすごく身近な存在。
そんなAIが現実世界の前に現れて、0と1しか理解できなかった存在がその間にある「感情」だったり「感覚」を得ることで、人間の中身を学んでいく。
それは何物にも代えがたいものだし、何より人間が聞いている音楽は素晴らしい!
何度聞いても「Just Can't Get Enough」なのだ!とアレスが体現してくれるわけです。
なんでそこまで80年代のポップカルチャーに敏感なのかは、きっとイヴの情報を取得したことによるものだと思うんですが、今後現実世界でありとあらゆるものに触れていくことで彼の趣味嗜好も変わっていくのかもしれません。
とにかく今は全てが新鮮なんだろうな。
最後に
ラストの展開では、アテナに母親を殺され、さらには全ての罪を背負わなくてはなら亡くなったジュリアンが、自らをグリッド世界に転送させ、AI化するところで幕を閉じます。
さらに非永続コードを手に入れ現実世界を満喫しているアレスは、イヴへの手紙を語りながら、前作でサムと共に現実世界へやってきたクオラの写真を眺め、バイクにまたがって次の地へ向かう姿が映し出されます。
確かにクオラも元々はプログラムだと思うんですが、現実世界での活動時間に制限てなかったんですかね?
その辺は次回作で語られることだと思うし、何よりイヴ姉妹に会社を委ねたサムは今どこで何をしているのか。
まだクオラと一緒にいるのかどうか。
その辺も、命を手に入れたアレスと共に語られるだろうし、AI化したジュリアンがどのようにエンコム社にカチコミするか楽しみですね。
そうなるとトロンシリーズは、果てしなくエンコム社とディリンジャー社の争いなんだなと。
ナノテクで進化していくAI業界ですが、また数年後に劇的な進化を遂げる辺りに続編が生まれるんでしょうかね。
それまで別の映画で日々を楽しみたいと思います。
あ、ナイン・インチ・ネイルズの劇伴、かっこよかったぁ!
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10


