モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「バイオレンスアクション」感想ネタバレあり解説 橋本環奈はアクション女優の夢を見る。

バイオレンスアクション

ハリウッド映画では00年代以降近戦格闘術を用いたアクション映画が主流となっていますが、日本では「るろうに剣心」を始めとしたスピーディー且つ軽やかでテンポの在るアクションが目立ちます。

 

ではガンアクションだとどんな流れになっているのか。

正直日本映画では銃がメインのアクション映画ってあまり作られてないんですよね。

それこそ昭和時代には拳銃を扱ったハードボイルド映画やヤクザ映画が多々製作されたんですけど、ガンアクションメインの映画ではない。

 

だから今回の「バイオレンスアクション」はコミック原作とはいえ、ハリウッドを意識したガンアクションが期待できるのではと思っています。

 

実際撮影面に関しても、グリーンバックで囲まれた円柱状の専用スタジオに100台以上のカメラを360度設置し、スタジオ内の俳優陣の動きを3Dでキャプチャ。それを高精細な3D CGデータとして再現した「ボリュメトリックキャプチャ」を採用してるそうで、日本の商業映画では「初の試み」なんだとか。

 

カットを割って見せる従来のアクションとは違い、一連の流れを撮影することでどんなアクションを表現できるのか、本作の見どころは正にここにあるのではと。

 

正直ハシカンに興味はないし、原作も未読な僕ですが、そこに期待して早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

累計発行部数70万部を超え、現在「ビッグコミックスピリッツ」にて連載中の同名コミックを、「キングダム」や「かぐや様は告らせたい」など若者から圧倒的支持を誇る橋本環奈主演で描く。

 

昼は専門学校生、夜は殺し屋のバイトという二つの顔を持つピンクボブがかわいらしい最強ヒットガールが、史上最悪のミッションに挑む。

 

バラエティ番組出身の監督が手掛ける本作には、杉野遥亮鈴鹿央士馬場ふみかといった若手俳優から、高橋克典佐藤二朗といったベテラン勢、そしてお笑い界から岡村隆史が参戦という豪華面々。

アクションはもちろんのこと、笑いも交えた掛け合いが用意されているに違いない。

 

またソニーピクチャーズ配給とだけあって、主題歌と劇中歌には[Alexandros]MAN WITH A MISSIONの2大バンドをはじめとしたアーティストが楽曲提供。

物語に過激なスパイスを与えてくれること間違いなし。

 

ポップでキュートなルックスの女の子が一体どれだけ過激な銃撃戦を見せてくれるのか。

ヒットガールの無双ぶりを是非。

 

 

 

あらすじ

 

ゆるふわピンクボブの菊野ケイ(橋本環奈)は日商簿記検定2級合格を目指し専門学校に通っていた。

 

学校帰りのバスでビジネスマン風の青年テラノ(杉野遥亮)と出会い、ケイは胸を高鳴らせながらもいつも通りバイト先へ。

 

一見、フツーのラーメン屋だが、その実態は殺し屋。

ケイは、指名ナンバーワンの凄腕の殺し屋だったのだ...!!

 

キレたら恐い店長(馬場ふみか)、不自然ヘアーの運転手ヅラさん(岡村隆史)、ケイに想いを寄せる渡辺と孤高のスナイパーだりあ(太田夢莉)がバイト仲間だ。

 

この日の依頼は、巨大なヤクザ組織を仕切る三代目組長からある人物を殺して欲しいという内容だった。そ

のターゲットとは巨大な抗争の渦中にいるヤクザの会計士、バスで出会ったテラノだったー。

 

そこにケイを狙う最狂の殺し屋みちたかくん(城田優)まで現れて...!?

菊野ケイ、史上最悪のバイトをどう乗り切る!?(以上HPより抜粋)

youtu.be

 

 

監督

本作を手掛けるのは、瑠東東一郎

 

バラエティ番組でキャリアを積み、「劇場版 新・ミナミの帝王」で監督デビュー。

TVドラマから製作にかかわってきた「おっさんずラブ」の劇場版でも監督を務めています。

 

実際バラエティを製作していたからか、近年製作されたTVドラマは「探偵が早すぎる」や「浦安鉄筋家族」といったコメディ色の強い作品ばかりが目立ちます。

本作も吉本興業の芸人さんたちが数多く出演していることから、アクションと笑いのハイブリッドな作品になっていることが予想されます。

 

残念ながら監督の作られたドラマや映画を見ていないので、どんな演出をされる方なのかはわからないんですが、あの「おっさんずラブ」を演出された方ですから、面白くできてるんじゃないでしょうか。

 

 

 

キャラクター紹介

  • 菊野ケイ(橋本環奈)・・・殺し屋のバイトをする専門学生。
  • 店長(馬場ふみか)・・・キレたら怖いラーメン屋の店長。
  • 金子(森崎ウィン)・・・殺し屋スナイパー。
  • テラノ(杉野遥亮)・・・頭脳明晰なヤクザの金庫番。
  • 渡辺(鈴鹿央士)・・・ケイに思いを寄せる同級生。
  • アヤベ(大東駿介)・・・狂犬ヤクザ。
  • だりあ(太田夢莉)・・・孤高の天才スナイパー。
  • 三代目組長(佐藤二朗)・・・おやじギャグ好きの組長。
  • みちたかくん(城田優)・・・独自のルールを持つ最狂の殺し屋。
  • 木下(高橋克典)・・・野心家のヤクザ。
  • ヅラさん(岡村隆史)・・・不自然なリーゼントの運転手。

(以上HPより)

 

 

 

 

 

 

 

とにかくポップでキュートなハシカンが、どんなアクションを見せてくれるか。

ここから観賞後の感想です!!

 

感想

主人公が何故殺し屋のバイトをしてるのか、何故簿記2級の資格を取ろうとしてるのか全く見えてこない・・・。

アクションは冒頭でアレ見せちゃった時点で察してしまった…。

でも嫌いじゃないですよ。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

小さくても「希望」を持てば…

昼は可憐な専門学生、夜は殺し屋のバイトという2つの顔を持つ主人公が、とあるきっかけで出会った男性に淡い恋心を抱きながらも極道の抗争に巻き込まれていく姿を、最新鋭の映像技術を用いたアクションと、ヒットガールという役柄でありながらアイドル女優というパブリックイメージを崩さない橋本環奈のカッコよさとキュートさを全面に押し出した作品でございました。

 

ぶっちゃけ言いたいことは山ほどあるんでんすが、まずは女優でありながら「アイドル」でもある「橋本環奈」が主演であるという時点での低い期待値通りの作品だったことから、浅い傷で済んだ作品ではありました。

 

やっぱりブレイク時から衰えない可愛らしいお顔立ちを拝めるのはアイドル女優としての役目を大いに果たしていたのではないでしょうか。

それに加え、ピンクボブのヘアースタイルに、肩出しオーバーサイズなサマーニットにショートパンツという「可愛らしさと大人っぽさ」を強調したファッションスタイルが、さらに彼女の魅力を掻き立てていたように感じます。

 

その姿でガンアクションなんて、幾らバイトとはいえ無防備すぎるだろう!というツッコミはさておいて、キックボードをまたいで颯爽と現れる姿や、華麗な側転や小柄な体で縦横無尽に駆け回る姿、そこからの関節技やアクロバティックな打撃をお見舞いする姿は、絶対ダメージを与えてないだろうと思いながらも「かわいい」のであります。

 

世間一般では「かわいいは正義」などというむちゃくちゃな理論が存在しますが、本作においても「どう考えてもおかしい」アクションだとしてもハシカンがやれば「正義」なのです。

全てが許されるのです。

 

きっと彼女も本格的なアクションを披露しなくてはならない役柄に対して、それなりの葛藤はあったと思います。

こんな小柄な体で拳銃を用いてアクションなんてできるだろうか、撮影前には佐藤健や山崎賢人のような鍛錬が必要なのではないか、そもそも運動神経良くないし、そりゃ昔アイドルとして歌って踊ってとやってきたけど、自分に務まるだろうかと。

 

僕なりの勝手な妄想ではありますが、それでも与えられた役を世間から求められたイメージを崩さずこなした点においては拍手を送りたいと思うんです。

劇中では繰り返し繰り返し「小さくても希望を持てば大丈夫」というセリフが登場しますが、おそらくハシカン自身もこの「ケイ」という役を自分に重ねながら「きっとうまくできる」という「希望」を抱いて臨んだに違いありません。

 

この役を演じた経験が次に活かされることを願って、そろそろ本気の感想に入りたいと思います。

 

アクション面に関して

本作は、かわいい子が実はめちゃめちゃ優秀な殺し屋だったという「ナーメテーター映画」に属する構造を持ったお話だと思うんです。

 

実際冒頭ではクライアントに依頼され、ラブホテルに向かいアイドルを救出するミッションに繰り出すわけですが、狭い室内で放たれる銃弾をするりと交わしながら標的を仕留めるハシカンの姿に皆驚くと思います。

お~!ハシカンすげえ!と。

 

 

基本的にアクション面は長回しを利用してものすごいアクションを見せる体で作っておらず、異常なほど細かいカット割りを駆使して「機敏に動き回るケイ」を演出しているんです。

これは正直想定内というか、まぁそういうことはするんだろうなと思ってはいました。

 

なので別に驚きはしなかったんですが、銃弾を避ける際、思いっきり素早く避けるケイの姿をまるで瞬間移動して避けているように編集してるんですね。

 

要はここだけ人間離れしてるんですよ。あり得ない動きなんです。

それ以外は死体を盾にして銃弾を避けたり、壁を使って三角飛びして避けたりってのは普通に特訓を積めば可能なわけで理解できるんですね。

でも、目の前で放たれた無数の銃弾をかわすっていうのは、人間の動きを超越しちゃってるんですよ。

 

冒頭のシーンでこれを見た時に僕は色々と悟ってしまったんですね、「あ、本格的なアクションをやらないんだ」って。

 

例えばケイという主人公がマトリックスのネオのようなポテンシャルを秘めてるならまだしも、ごくごく普通の女の子なわけですし、バイトですし、無敵というわけでもない。

その動き出来ちゃうんなら、この後繰り広げられる「みちたかくん」との激しいバトルで釘打ち機で被弾しても嘘くさくなっちゃうんですよ。

いやいや、冒頭で避けてたじゃん!て。

なんで釘打ち機はよけれないんだよ!と。

 

こういう真面目なことを言うと「いやいやコミックの世界観を演出しただけの話じゃん」と言われそうですが、確かにそのとおりであることは理解しつつ、フィクションであることは十分わかっちゃいるんだけど、一線越えちゃってるような演出ってどうなのよ?と思ってしまうんですよ。

 

もちろん他のアクションはボディダブルを使っての見せ場が多々用意されているんですよ。

相手の首めがけてジャンプしての三角締めとか、回転して銃弾避けながら何発も発砲して的確に相手を仕留めるシーンとか、スライディングしながら相手の足に近づき足技で相手を倒したりとか、小っちゃい体を駆使した軽やかな身のこなしを披露してくれるわけです。

 

こういうのを用意しておきながら、一線を越えてしまうような演出はガッカリでしたね。

 

 

逆にこうした演出が功を奏していたシーンも実はあって、みちたかくんが木下組の面々と張り合うシーンは、割とユーモラスに描いてて楽しかったんですよね。

 

貨物列車が停車している倉庫でバトルが繰り広げられるんですが、貨物車両の上から道隆君を銃で狙う手下めがけて、とんでもない跳躍力で車両の上に飛び乗ったり、そこから今度は下で待ち構えている手下の元へ向かうために、ドラゴンボールのナムが使う「天空×字拳」の要領で飛び降りていくんですよ。

 

これに関しては、組の始末屋として最強の異名を誇り、独自のルールを破った者に飲み制裁を加える「狂犬」キャラだから許せる範疇なんですよね。

いきなりこういう技を見せるわけでなく、ある程度みちたかくんというキャラがどういう奴なのか、どれだけ危なっかしい奴なのかを先に提示してからこのアクションを披露するので、意外性と説得力があるんですよ。

 

だからこそ、ケイの冒頭のアクションで瞬間移動的な動きを見せてしまうのは、まだ彼女の能力が未知数が故に見せてはいけなかったなぁと。

 

お話と演者に関して

ざっくり概要を話すと、これから組長が長い刑期に入るということで、跡継ぎ問題を考えなくてはならないと。

そこで組長が悪さしてる奴を炙り出して芽を摘むという計画に、ケイたちが巻き込まれてしまうという流れだったんですね。

 

金庫番であるテラノに木下組の裏帳簿を見つけさせ、木下の悪だくみを明るみにさせる。

テラノはテラノで、自分の相棒に重傷を負わせた木下組のヒットマン・金子を目の敵にしており、木下組の悪事を暴く理由があり、組長の考える計画にまんまと利用されていると。

 

こうした抗争に、殺し屋バイトのケイが加わり、さらにはテラノに恋心を抱いてる故、色々肩を持ってしまうことで、更なる深みにはまっていくわけです。

この間にみちたかくんという最強の殺し屋との対決や、過去に両親を殺され殺し屋として育てられただりあが、両親を殺した金子と対峙することで過去との決別を図るエピソードが挿入され、物語的にボリュームをつけた概要になってました。

 

筋としては特にこれといった問題点はないと思うんですが、血が飛び散るようなバイオレンスな部分を払拭しようと、細かいカット割りにポップな楽曲を挿入して可愛らしさを助長させるギャップ感を出す仕掛けになってるのが、逆にノイズになってしまっている気がします。

 

多分下地には「キック・アス」のクロエ・モレッツが演じたヒットガールを日本でやろうという気がしたんですが、近づいてはいるものの結局バイオレンス感が弱いんですよね、それに比べると。

やっぱりR指定をつけてでもグロさを強調した方が、ポップな面は映えたのかなぁと。

 

実際血を浴びても服は汚れてないし、本来かなりのケガをしているはずなのに大したことないケイの姿を見てしまうと、リアリティが足りないなぁと。

 

 

また、ケイがなんで簿記2級の資格を取ろうとしているのか、何で殺し屋のバイトなんて選んだのか、なんであそこまで身体能力が長けているのかというバックボーンが一切描かれていないので、彼女のことが全然わからないんですよね。

 

劇中ではさっきも触れた「小さくても希望を持てば…」とか、テラノとオセロをする際にテラノから「最後に全部白にできればいいんじゃない?」みたいな金言がちょこちょこ出ることで、彼女なりに何か「このままでいいのか」みたいな後ろめたさがあるような気配はするんだけど、結局気配だけで終わってしまっていて、テラノに対する恋心だけが前に出てしまってるだけという、ケイの気持ちがさっぱりわからない内容だったんですよね。

 

キャラクターにはしっかりそうした肉付けなり設定は必要不可欠だと思うので、ここを蔑ろにしたのは非常に残念でしたね。

 

 

また今回岡村隆史を起用したことで、渡辺演じた鈴鹿央士との掛け合いは、特に大笑いしたわけではないけどテンポは良かったと思います。

具体的にはツッコミを入れる際に間髪を入れないようなやり取りをされていて、さすがバラエティ番組を制作していた監督だけあるなぁと。

これを三池崇史がやったら凄く間を作ってツッコミさせますからねw

 

というか今回岡村さんは岡村さんだったなぁとw

大体いつもちょこっと登場しておいしい所を持っていくだけの役柄ばかりだった気がしたので、今回のように全編出ずっぱりで、しっかり笑わせるという役目を果たしながら、最後は岡村さんの背中にもたれて泣くハシカンを見せることで、ちょっとカッコよく見せるといういいところ尽くしの役柄だったんじゃないでしょうか。

 

 

最後に

これはいい意味で言いますけど、橋本環奈は「アイドル女優」なんですよ。

広瀬すずのような演技はやる必要ないし、浜辺美波のように大きい看板を背負って演じる必要もない。

また薬師丸ひろ子や原田知世のように、後に女優として大成しなくてもいい。

今のバランスで映画の大役を演じてほしいなと。

演技では60点で、表情やかわいらしさで100点を目指してほしいと。

 

お前何様だよwと怒られそうですが、今映画で主演を張れてお客さんを呼べるアイドル女優って彼女しかいないんで貴重だってことです。

それは誇れることだと思うんです。

 

どうも続編を匂わせるような終わり方でしたが、もし製作するのであれば、もっと日本のキック・アスと呼べるような、それこそタイトルに相応しい「バイオレンスアクション」を見せてほしいですね。

あ、彼女の可愛さはキープで!

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10