ヴェノム/VENOM
今回鑑賞するのは、アメコミで一番人気の「親愛なる隣人」、スパイダーマン!
・・・ではなく、彼の敵ヴェノム。
牙をむき出し、長い舌を出し、黒々しいそのフォルムはいかにも気持ちの悪い姿。
かつて彼は映画「スパイダーマン3」で、ピーターパーカーに寄生し、欲望むき出しで凶暴な性格の姿に変えさせてしまった悪い生命体。
後に寄生された状態のピーターが、ライバル記者であったエディのでっち上げ記事を暴露したことで彼は逆恨み。
教会でピーターがヴェノムの呪縛から逃れたと思ったら、今度はエディに寄生してしまいさらに凶悪なヴェノムが誕生してしまうというお話でした。
ただ「スパイダーマン3」はほかにも敵キャラがいたせいで存在感が薄かったですよね。
僕は原作コミックを読んでいなので、ヴェノムという存在がどういうものなのかってのは「スパイダーマン3」でしか把握していないために、過去作との比較になりそうです。
ポスターや予告を観る限り、今作のほうがより凶暴でよくむき出しで、しかも人を喰うのか!って時点では、なんてステキな悪いやつなんだ!と今からワクワクしております。
スパイダーマンのユニバース構想が始まるみたいで、一度はお流れになった敵キャラたち総集結「シニスター・シックス」も現実味を帯びてきそう。
というわけで早速観賞してまいりました!!!
作品情報
マーベルコミックで絶大な人気を誇る、親愛なる隣人スパイダーマン。
彼の最大の宿敵であり、マーベルの歴史においても最悪なヴィランとして知られ、その残虐性と凶悪極まりないルックスから数多くのファンを持つ「ヴェノム」を主人公にしたスパイダーマン映画初のスピンオフ作品。
地球外の寄生生命体「シンビオート」が、正義感の強い敏腕記者の男を宿主にすることで、超人的な攻撃力や俊敏性、凶暴性など見た目から中身まで様々な変化を与え、彼の声に悩まされながらも、次第にその力にのめりこんでいく姿を描いていく。
あらすじ
敏腕記者エディ・ブロック(トム・ハーディ)は、人体実験で死者をだしているという<ライフ財団>の真相を追う中、ある“最悪な”ものを発見し、接触してしまう。
それは<シンビオート>と呼ばれる地球外生命体だった。
この意思を持った生命体との接触により、エディの体は寄生され、その声が聞こえるようになる。
「一つになれば、俺たちはなんだってできる」とシンビオートはエディの体を蝕み、一体化し、ヴェノムとして名乗りを上げる。
ヴェノムはそのグロテスクな体で容赦なく人を襲い、そして喰らう。相手を恐怖に陥れ、目玉、肺、そしてすい臓…体のどの部位も喰い尽くす。
エディは自分自身をコントロールできなくなる危機感を覚える一方、少しずつその力に魅了されていく――。(HPより抜粋)
監督
今作を手がけるのはルーベン・フライシャー。
名前だけ聞くと誰だっけ?くらいの認識でしかなかったんですが、彼の作品全作観てたっていうねw
そんな彼の過去作をザックリご紹介。
友人からの助言を受けて映像製作の世界に入った監督は、MVやCM、ドラマなどでキャリアを積んだ後、ゾンビだらけの世界で運よく生き残った男女4人が偶然出会い、ゾンビのいない世界を目指して命がけの大陸横断旅行する姿を、ブラックユーモアとバイオレンス描写でテンポ良く作り上げた「ゾンビランド」で長編監督デビューします。
その作品で主演を演じたジェシー・アイゼンバーグを再び主演に迎え、宅配ピザで働く青年が、マヌケな二人組みによって体に爆弾を括りつけられ強制的に銀行強盗をさせられ、やがて大騒動へと発展していくドタバタコメディ「ピザボーイ/史上最凶のご注文」を続けて製作します。
ほかにも40年代から50年代のロサンゼルスを舞台に、警官の正体を隠して街を支配するギャングたちとボスを一掃しようと奮闘する、正義感溢れる男たちの姿を描いた「L.A.ギャングストーリー」と、コメディ以外も製作できる力をこの映画で発揮しました。
近年では、監督の代表作でもある「ゾンビランド」の続編、「ゾンビランド:ダブルタップ」があります。
キャスト
主人公の敏腕記者エディ・ブロックを演じるのはトム・ハーディ。
「ダンケルク」以来の出演作品でしょうか。
主演作となると「レジェンド/狂気の美学」とか「マッドマックス/怒りのデス・ロード」以来かな?
彼がアメコミ作品に出るってのが、まず意外ですよね。
続編制作になかなか踏み切らない「マッドマックス」よりも、こちらのほうがシリーズの可能性がある作品として選んだのかな。
それとも単純にヴェノムが好きなのか。
ただ申し訳ない、トムハが敏腕記者ってのがちょっとムリだろうw
イメージとしてはパパラッチのほうが似合う気がします。
あくまでイメージ。
ヴェノムはCGですから、基本彼の二重人格的な一人芝居になるんだろうなぁ。
怒ってビビッての繰り返し。
一体どうなるのか。
彼に関してはこちらをどうぞ。
他のキャストはこんな感じ。
エディの恋人アン・ウェイング役に、「グレイテスト・ショーマン」、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のミシェル・ウィリアムズ。
ライフ財団のリーダー、カールトン・ドレイク役に、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」、「ナイトクローラー」のリズ・アーメッドなどが出演します。
トムハの悶絶ぶりが楽しみです!
ここから観賞後の感想です!!!
感想
話は雑だけど、トムハの一人芝居が楽しすぎる!!
こんなヘタレダークヒーローいてもいいじゃないかっ!!
以下、核心に触れずネタバレします。
いい人生を。
自己中心的な行動により豊かだった人生を失うことになった敏腕記者と、謎の墜落事故から人間に寄生し地球へとやってきたシンビオートが、幸か不幸か共生することになり、互いの弱点を補い合いながら一つの完全体へとなっていく姿を、ヴェノムの特性を生かしたカーチェイスや、トムハーディの見た目ごっついのに寄生されたことでキュートに見えてしまうコメディチックな面も覗かせることで、新たなアメコミ映画が確立された作品でございました。
見終わった後としては、雑な脚本が気になり大きな満足感はありませんでしたし、僕が思っていたヴェノム像はそこにはありませんでした。
そもそもヴェノムってもっと残虐で欲まみれで凶暴な最低最悪のヴィランなんじゃなかったっけ?と。
でも、一息ついて今作が言わんとしていたことを考えていくと、一つの答えに行きつきました。
それは人生振出し同然になってしまった哀れな男が、自分と酷似したような生命体と一つになることで俺たちは強くなれる、いい人生を送ることができる。
みたいな。
エディも自分の欲任せで強引に報道する姿を見ると、中身はいい奴ではあるんだろうけど、欲に駆られやすい点では悪い面があるし、ヴェノムもヴェノムで完全な悪とは言い切れないような憎めない部分が少しづつ明らかになっていく。
そんな彼らが一つになったら、っていう強さと面白さね。
というか、なんだろう、どちらも決してカッコよくなれてない。
カッコ悪い。ダサい。
なんだけど、マイナス×マイナスがプラスになるように、ダサい×ダサいがカッコイイになるように、どちらも生命体として何かが欠けていて、それが掛け合わさることで一つの大きな力になっていく姿って、ラストのエディの頼もしい表情がそれを物語っているというか。
冒頭でもこれはバディムービーなんじゃないか、ってことを書きましたけど、まさに互いが互いを補って絆を深め形を作っていく姿ってのは定義に沿っているし、名目としてはやっぱり欲だったりするんだけど、いい奴は喰っちゃダメだけど悪い奴は喰っていいよ、ってことで、最悪のヴィラン誕生って話じゃなくて、あくまでダークヒーローとしてのヴェノムになっていたことは、これはこれでアリだよなぁと。
今後ヴェノムは新たな敵と言い合いながらも共闘して戦っていくんだろうなってのが、エンドクレジットのシーンでも明らかでしたし。
総評としては、これまでのアメコミ映画とはまた違った作品の誕生でしたし、このシリーズをこれからも追いかけていきたい、そんな風に感じた映画でした。
トムハのヘタレが最高。
キャストの部分でも書きましたが、トムハーディが敏腕記者ってのに違和感ありありだった理由は作品を鑑賞したことで解消しました。
理由はエディの行動にありました。
エディはホームレスを人体実験として使っているウワサも追求しようと、どんどん積極的に問題を取り上げ報道している。
自分の欲をそのまま行動にする姿がなんとも見た目ごっついトムハーディにピッタリだなと感じました。
パッと見、彼ってアウトローで肉食じゃないですか。
だから決してクレバーには見えないけど、「ネタを挙げてやろう」というみなぎる野心とかやる気が彼によって伝わったなぁと。
彼はジャーナリストとして優秀でしたが、自分の報道に対する欲を優先し過ぎたことによって、周りに迷惑をかけ、結果、職も恋人もこれまでの生活をも失ってしまった。
ホームレスから新聞を買い、アパートの下の中国人が経営するお店で買い物をし、その店主から「悟りのDVDを見ろ、人生を切り開け」と進められるも、中々次のステップに進めない彼がいました。
自分のせいでこうなってしまったにもかかわらず、切り替えることができない。
だからなのか、別れる羽目になってしまった恋人の家の前を偶然を装い通りかかる。
そんな、いい人生を送れない彼と、シンビオートが運命なのか悲運なのか出会うことになり物語が始まっていくんですね。
で、ここからのトムハが最高!
シンビオートに寄生されたことで、エディがしたい行動とヴェノムがしたい行動が中々かみ合わない。
生きた生物を食べたいヴェノムと、それ食いたくないエディ。
ライフ財団の始末屋が部屋へ突入した時も、抵抗しないために手を挙げたいエディと、それダサい!何バンザイしてんだよ!と拒むヴェノム。
フラフラになりながらも理性を保つエディの姿が、これまで見たカッコイイトムハーディではなく、ほんとヘタレ。
常にビビりまくりで冷や汗かきっぱなしでオロオロしっぱなし。
だけど追手とのバイクチェイスだと、彼らが一つになって危険を回避したり、敵と戦う姿が、すごく生き生きしていて観ていて楽しい。
サンフランシスコってとにかく坂道が多くて、こういうチェイスって大変なんだろうなといつも思う。
そして絶対坂道を飛びあがるカットがあるw
まぁその辺はおいといて。
基本バイクテクニックはエディによるものですが、急に角を曲がるシーンではヴェノムに縋ってうまくケガを回避出来たり、
ドローンから攻撃されるとき、
車と車で挟まれるとき、
明らかに普通の運転では追いつけられるときなど、
人間としてのバイクテクニックに限界が生じたときはヴェノムにお任せ!ってな具合で見事にピンチをクリアしちゃうのが面白いんですよね。
その後も、自分が勤めていた会社にスクープ映像を置きに行くシーンでも、正面から入れないからってんで、ヴェノムの力を使って外からビルへジャンプして渡ったり、
ネタを置いた後どうやって帰るかって時に、ヴェノムが「跳ぶか?」ってエディに尋ねるんだけど、そこはやっぱりヘタレエディってことで怖いからエレベーターで帰るてシーンは爆笑w
徐々に二つが一つになっていく後半はめちゃくちゃ楽しいです。
きっと自分で何とかできるような人間は、ヴェノムに寄生されたとしても自分で解決しちゃうんだろうし、きっとそんな意志の強い人間はヴェノムとうまく融合できないから寄生するのは難しいんだろうな。
そう考えるとエディってヴェノムにとって、ホントちょうどいい宿主だったんだろうなってのが、ここから少しづつ感じられるんじゃないかと。
ヴェノムカワイイやんw
ヴェノムに関しても、すごく愛着がわくような行動や言動だったりするんですよね。
最初こそ寄生してきて、勝手にエディの身体使ってやりたい放題なわけですよ。
追手に攻撃したりとか、レストランのロブスター食い漁ったりとか。
で、とにかく腹減ったw
また、エディの身体がエラく気に入っているもんだから離れたくないんですよ。
アンの恋人の医者がエディの身体をスキャンした時に異常を見つけ、寄生した生物を取らないと、みたいな件で、
ダメだ!
俺がお前の悪いところを直す!みたいなこと言っていて。
なんていうか悪い物体なのに、それまで上から目線みたいなところもあったのに、急に媚びを売るというか、弱みをみせるというか。
で、一回体から離れてもエディを追いかけていくのも、また見ていてカワイイ。
戻るまでの過程は少々疑問はありましたが、どれだけエディの身体気に入ってんだよ!と。
他にも意外とエディの言うこと聞くとか(真面目か!)
お前の女イイ女だな(好みも一緒か!)
謝るなら今だぜ!(いいこと言うじゃねえかw)
などなど、人喰いのくせに結構人間臭くていい奴でかわいいじゃねえかと。
ただ不満も。
正直いいますと今回の映画、雑すぎます。
まず前半が全然面白くない。
シンビオートが地球へやってきた件と、ライフ財団が宇宙開発に力を入れていて、それまでどれだけ汚いことをやってきたのか、エディがどんな人物でどうして失敗した人生を送るのかって件を丁寧に描きたかったんだろうけど、なんもユーモアもなく描いてるもんだから、気持ちがノッてこない。
エディがどうして失墜したのかなんて部分を、あそこまで時間を割かずに、アンを元恋人にすることで時間配分が縮小できるし、削った時間をクライマックスでの格闘シーンに充てればいい。
これでだいぶサクッと楽しめるかなぁと思うんです。
あとは、ヴェノムの敵がどいつなのかを明かすのが早すぎ。
もう一体の存在が別行動を取っていて、段々サンフランシスコへやってくるシーンが要所要所ではさまれてるんだけど、そこ隠しておけばそこそこサプライズになったんですけどね。
といっても、一方その頃的な別の視点は必要ではあったので、もっと工夫できたらよかったのかなぁと。
あとはクライマックスですよね。
単刀直入に言えば短い。
ロケットを打ち上げて宇宙へ行き、仲間を連れてくる、これを阻止するエディとヴェノム、という流れなんですが。
打ち上げまで制限時間が5分になってるため、ヴェノムともう一体との戦いの時間が非常に短い。
何なら中盤のバイクチェイスの方が長いぞ。
他にも、エディやヴェノムがなぜその行動に移すかっていう心理描写が明確に描かれてないから、全てが唐突に思えてしまうし、後付けにも感じてしまう。
ヴェノムの仲間内での立場が低いことなんてものすごく後付けで、ロケット阻止するぞってなる気持ちにさせてくれない、感情の組み立て方が雑というか。
あとは犬やアンに寄生してもちゃんと融合できるのも都合良すぎというか。
まぁざっくりいえば予算の都合ってのが随所にあって、クライマックスと中盤以外CGが豪華じゃなかったし、ウサギに寄生することろは別のカット挟んで寄生したことになってたし、都合よく最後まとまるし、総じて薄っぺらいってのは僕には不満でした。
最後に
最初のめり込めなかったし、最強の悪の誕生ってのとは違う内容に戸惑いはありましたが、とにかくキャラの組み立てととコメディ描写は最高に楽しかったです。
是非これからご覧になる人は最後まで席を立たずに観てください。
オマケが2つあって、どちらもマジで!?ってなります。
特に2つ目は時間が長いwずいぶんサービスしましたよこれ。
見た目のグロさも良かったけど、もっとやってよかったなぁとは思います。
それでも迫力はすごかったですね。
あのネバネバした感じと、ドロドロなシンビオートの気持ち悪さよ・・・。
これからのヴェノムが楽しみですね。
次回はもっと練られたお話を・・・。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10