WARFARE/ウォーフェア 戦地最前線2026

大量破壊兵器保有疑惑とテロとの戦いを目的としたイラク戦争。
フセイン政権を崩壊させたものの、当の大量破壊兵器は見つからず。
根拠のない理由で強行的に行った軍事攻撃、結果統治はおろか混乱を巻き起こすだけになったなど、アメリカの責任は大きいといえます。
もちろん映画でもイラク戦争を題材した作品は数多く製作。
大量破壊兵器の捜索を描いた「グリーン・ゾーン」、命知らずの爆発物処理係の物語「ハート・ロッカー」、実在する狙撃手の活躍とその後を描いた「アメリカン・スナイパー」、ブッシュ政権の影の権力者の半生を風刺的に描いた「バイス」など、様々な視点でイラク戦争の真実や悲惨さを語っています。
今回鑑賞する作品は、そんなイラク戦争での実体験を極限まで再現したと話題の1作。
「シビル・ウォー アメリカ最後の日」で、「もしかしたらあり得るかもしれない明日」をリアルに描いたアレックス・ガーランドが、どんな「地獄」を見せてくれるか、しっかりと体に刻みたいと思います。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
「シビル・ウォー アメリカ最後の日」のアレックス・ガーランド監督が、同作で軍事アドバイザーを務め、米軍特殊部隊の経歴を持つレイ・メンドーサを共同監督に迎え、彼のイラク戦争での実体験を極限まで再現した映画。
2006年のイラク・ラマディという危険地帯を舞台に、突如全面衝突状態と化した市街地での状況を、完全に包囲され壮絶な戦場に閉じ込められたアメリカの特殊部隊員たちの視点で描く。
自身もイラク戦争でネイビーシールズ(米軍特殊部隊)として戦った経験を持ち、『シビル・ウォー アメリカ最後の日』ではリアルな戦闘描写を設計し話題を呼んだ軍事アドバイザー、レイ・メンドーサ監督。
様々な戦争映画が製作されてきたが、「曖昧に描かれた戦争映画を観て、兵士が犠牲にしたものを理解したつもりになってほしくない。」と強く語った。
脚本執筆の際も同法の兵士から徹底して聞き取りを行い、彼らの頭の片隅に残るトラウマを映画に反映。これがフィクションではなく本当に起きたことだと強く見せつける。
部隊長メンドーサ役には、若手俳優のディファラオ・ウン=ア=タイが抜擢。
リーダーのエリック役を、「デトロイト」、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3」のウィル・ポールター、狙撃兵エリオット役を、TVシリーズ「SHOGUN将軍」のコスモ・ジャーヴィス、主席兵曹サム役を、「ファンタスティック4」、「クワイエット・プレイスDAY1」のジョセフ・クイン、機関銃手トミー役を「ロケットマン」のキット・コナー、2班の小隊長ジェイク役を「メイ・ディセンバーゆれる真実」のチャールズ・メルトンが演じる。
シビルウォー製作中に本作のアイディアを思いつき、メンドーサと密で濃厚な会話をして構想を練ったと語るアレックス・ガーランド監督。
戦場に存在する“非日常”だけをトリミングし拡大したことで、より「現実に近い」作品と化した本作が、我々にもたらすものとは一体。
あらすじ
2006年、イラク。
アメリカ特殊部隊の小隊8名は、危険地帯ラマディで、アルカイダ幹部の監視と狙撃の任務についていた。
ところが事態を察知した敵兵から先制攻撃を受け、全面衝突が始まる。
反乱勢力に完全包囲され、負傷者は続出。
救助を要請するが、さらなる攻撃を受け現場は地獄と化す。
本部との通信を閉ざした通信兵・メンドーサ(ディファラオ・ウン=ア=タイ)、指揮官のエリック(ウィル・ポールター)は部隊への指示を完全に放棄し、皆から信頼される狙撃手のエリオット(愛称:ブージャー・ブー(鼻くそブーの意))(コスモ・ジャーヴィス)は爆撃により意識を失ってしまう。
痛みに耐えきれず叫び声を上げる者、鎮痛剤のモルヒネを打ち間違える者、持ち場を守らずパニックに陥る者。
彼らは逃げ場のない、轟音鳴り響くウォーフェア(戦闘)から、いかにして脱出するのか。(公式より抜粋)
感想
#ウォーフェア戦地最前線 鑑賞。ブッシュマスター来なきゃ終わってた。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) January 16, 2026
ただただ敵襲から逃れる為の映像。
漂う緊迫感と爆音、痛みで喘ぐ声。
威嚇飛行とIED爆弾のインパクトが凄すぎて何度も椅子から飛び跳ねた…
普通に民家占領してのドンパチってのも見逃してはいけない。 pic.twitter.com/NZ0dk10oXM
本当の戦場を体験するには最高のシミュレーション。
監視して、狙われて、脱出するというシンプルな構成。
とにかく音とカメラワークが秀逸でした。
以下、ネタバレします。
95分、どっと疲れる。
2006年11月19日、ネイビーシールズ部隊のアルファ・ワンが狙撃舞台を警戒する姿を描いた本作。
冒頭ではサブスタンスのデミ・ムーアがやっていたようなエアロビクス番組を見て高揚し飛び跳ねる彼らが映るが、ここ以外は本当に緊迫感しか生まれない映像ばかりだった。
ここでEDMの低音を敢えて鳴り響かせたのは、今後これくらいドスの効いた音が鳴りまくるからお前ら覚悟しとけよ、と警告してるかのような音量だった。
その覚悟の通り、物語中盤を迎える前にえげつない音と叫び声が乱発する、正に阿鼻叫喚の戦場へと様変わりする。
真夜中に行動し、一軒の民家を占拠。
家主や家族を奥の部屋に追い込み、アルファ・ワンは訓練通り配置について周囲を警戒していく。
向かいの家、隣家、その方向に見える市場など、敵と思しき連中、武器を持ってる連中を片っ端から警戒し、逐一報告していく。
通りの向かいの家に銃を持った男が入っていく姿を見た一行は、警戒レベルを一つ上げるが、すぐさま手榴弾が投げられてしまい、エリオット狙撃兵が負傷してしまう。
負傷者を本部まで運んでもらうために装甲車ブッシュマスターを要請し、体制と手順を整えたうえで行動開始したかと思ったら、今度はIED爆弾が投げ込まれてしまう。
この攻撃によってサムは下半身に大きな怪我を負い、エリオットも足に大けがを負ってしまう。
隊長のエリックも喉をやられ指揮を執れる状態でなくなってしまう。
重傷者を抱え、完全に包囲されてしまったアルファ・ワンは、どうやって脱出するのかという構成。
95という短尺ゆえに、ドラマを追うというよりも彼らと同じように悲惨な状況を体験してもらうためにはちょうどいい時間といった具合。
細かい指摘をするのであれば、一体これが何の戦争でどんな作戦で彼らが動いてるのか正直よくわからない。
大量破壊兵器を探すわけではなく、敵らしい人たちを監視して、その後どうするのかもわからない。
隠れて監視してるのがバレて、一斉攻撃されてしまうという点で任務失敗だし、お前kに負傷者を二人も出してしまうダメっぷりで、酷い言い回しだけど部隊としては使えない連中ですわ。
こんなこと言う時点でお前戦争舐めてるわと言われそうですが、冷静考えればそういうことですよ。
アルファ・ワンは見立てもできてなければ、作戦筒抜けでダメダメです。
しかし本作の本質はあくまで部隊の出来不出来ではなく、彼らとともに最悪のシチュエーションを体験してもらい、如何に戦争というモノが悲劇しか生まないのかを映画館で感じてもらうというもの。
それに関しては十分機能していた作品です。
今回一般の劇場よりも音が良い環境で観るのが良いだろうと考え、時間的な都合でTOHOのドルビーアトモスで観賞しましたが、恐るべき爆音でしたよ。
午前中に1本映画を見たせいで少々眠気が襲ってはいたんです。
実際劇中の前半、それこそ民家を占拠して監視してるシーンは、ほぼうとうとしてましたw
手榴弾が投げ込まれた辺りで覚醒、そこからというもの、自分自身もどこかkラカ狙撃されるのでは?と思ってしまうほど没入し、彼らと共に警戒してましたw
まぁ前後左右誰も座ってなかったので安心でしたがw
パンパンパンパン相手が撃ちまくってくるんだけど、終盤の方まで敵の姿がよくわからないんですよ。
これ案外効果的だったんじゃなかったかなと、ふと思いました。
例えば、ここでアルファ・ワンが狙われている最中に、カメラが向かいの家の屋上に切り替わったら、我々はそこから撃ってきてるんだと、どこか高みの見物をしてしまう可能性がある。
でも本作は、ほとんどアルファ・ワンのメンバーのリアクションを捉えていく。
そうすることで、共に戦っている、もしくは攻撃にあっていると錯覚しやすい演出をしていたんじゃないかなと。
本番に入るまでにどういう動きをするとか、どういうフォーメーションんでどういう姿勢でどういう心構えでってのを細かく演技プランを立てたと思うんです。
でもどう見たって演技してる陽には見えないくらい、全員が「いま超絶にヤバい状況」って表情をしてるんですよね。
だからこっちも息を殺して見守るしかない、というか心ここにあらずな感じでスクリーンを見つめてしまってるんです。
劇中最大の悲劇とインパクトは、負傷したエリオットを装甲車ブッシュマスターに乗せて運搬する作業のシーン。
到着するまで1分ごとにカウントダウンをする一同。
誰がどう動くか、何度も確認をしあいながら時が来るのを待ち、いざ到着したら急いで行動するわけです。
しかし!!
エリオットがブッシュマスターに乗ろうとした瞬間、途轍もない爆音、いや轟音が耳に襲い掛かります!!
はっきり言って俺が油断してたのもあります。
ですが、あまりの音のデカさと一瞬にして雰囲気が変わる画面に驚き慄き、俺は椅子から飛び上がりましたw
ほんとですw
案外ビビリな方ではありますが、これは驚くって!!
爆破したら煙が上がって視界が霞むことは想定できますが、まさか太陽まで覆って辺り一面真っ暗になるってのは想定外。
爆音で皆耳がやられて耳栓しながら「キーーーーン」という耳鳴りを聞いてるあの感じが劇場全体に流れます。
こういう耳鳴り音とか超リアルだなって思うんですけど、本作はその上行くリアル。
鼓膜が破れたんじゃないかというほど音が数分間籠っていて、ようやく意識が戻ってきたなと思ったら、脚に大怪我追っていることに気付いたサムの叫び声がどんどんクリアになっていく。
サムの怪我に気付いたレイが敵の発砲を交わしながらサムを民家に引き戻した途端、カメラは民家の中に切り替わり、音もいつもクリアな音に戻る。
するとサムの叫び声も音量MAXになるんで、再び驚く。
サムを民家まで引っ張ったレイという兵士は、どうやら共同監督のかつての姿らしく、エリック隊長よりも視点が多いのはそのためだと思われます。
きっとこの時、自分がどんな心境でどんな切迫感だったのか、必死で思い出したんでしょうね。
劇中では、あまりの事態に意識が遠のいたり、命令が聞こえなくなったり、イヤホンから入ってくる無線がうざくて一度切ったりしてイラついたりと、それまで経験してこなかったシチュエーションに困惑もしていたんだろうなというのが窺えるショットでした。
また最後までサムの看病をしていたのもレイで、止血するために圧迫する際も、あまりにサムが叫ぶから一度躊躇してしまうあたりもリアルというか。
というか、レイ以外も放心状態でしたね。
我に返って早く帰りたいとぼやくキャラもいたし、屋上から敵が撃ってきてるのに、それすら気づかないで突っ立った奴もいましたし。
声が出なくて、さらに指揮もできないくらい隊長もパニクってしまってるわけですから、よほどのことですよこれ。
アルファ・ワンがいるってことはツーもいるってことで、後半は彼らを助けにツーの部隊もやってくる。
辺りを警戒しながら少しずつ民家に近づき、助けにやってきたはいいものの、アドレナリン出まくってるのか、いきなりサムの脚を蹴とばす不届き者がいましたね、バカたれが。
その後、再び装甲車ブッシュマスターを要請して脱出を図るんですが、助けが来てしまったことで敵も攻撃の手を緩めずに増してきてる感じが壮絶でした。
特に屋上からバンバン撃ってるシーンは、当てる気がないくらい乱発してて、これじゃ逃げれないと戦意喪失して逆に怖い。
そんな彼らを威嚇するために、近くを通ってる戦闘機に「威嚇飛行」を要請します。
これがあれば、一定時間彼らの攻撃が止まるので、ブッシュマスターにすんなり移動できるという算段。
ただこの威嚇飛行、とんでもねえ低空飛行でとんでもねえスピードで通過するんですわ。
奥から手前に飛行する姿をカメラは捉える(おそらくCGですが)んですけど、ものすごく早い上に、辺り一面の砂埃を一気に巻き上げるからものすごい映像になってるんですよ。
十戒みたいに地面が割れて両サイドから砂埃が撒き上がって円状の通路ができるんですね、戦闘機が通過すると。
別世界の入り口が一瞬にして現れたみたいな。
でもって、爆音ですからかなりのインパクトですよ。
最後に
とまぁ、とにかく最悪の事態をただただ見つめるしかないし、気が付いたら一緒に線上にいるかのような95分なんですけど、普通に考えてね、彼らアルファ・ワンというか米軍の行為自体にも問題があるのが本作の見どころ。
大体ですよ、勝手に夜中に民家を占拠して、やりたい放題やって、帰る際に家主から「なんで!?どうして!?」と詰め寄られて、何も言えずに「申し訳ない」としか言えないわけですよ。
俺見逃してたかもしれないけど、何故占拠したのか事情を説明してるんですかね。
一応通訳の兵士がいましたけど。
そうそう、現地の通訳の兵士も、エリオットをブッシュマスターに乗せる際、先頭を任されたんですよ。
2人も母国語で「なんで俺たちが一番前なんだよ」とごちゃごちゃ言ってましたけど、要は弾除けってことですよね。
さらには威嚇飛行に、ブッシュマスターで周囲の家を見境なく砲撃して帰還するという一連の報復。
住宅地が戦場になることは色んな戦争を見ていても見たことある景色ですが、何もそこまでする必要あるのかって話ですよね。
イラク戦争自体、承認を得ずにアメリカが勝手に武力で介入したわけですし、結果的に大量破壊兵器が出てこなかったという話ですから。
今でもトランプが他国に武力で介入して事態を収束しようとしてますけど、それがまかり通ってしまったら、アメリカが気にくわない国にも報復しそうで物騒過ぎるっていう。
逆にウクライナは介入しないんかいってことですよね。
どうして戦争をしようと思うのか全く理解できませんが、国のトップを司ってる連中が戦争を選択肢に入れるような奴ばかりで、未来はどうなっちゃうんだろうと思います。
そんな奴らには是非この映画を見て考えを改めてほしいですね。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10
