モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

Apple original film映画「ウルフズ」感想ネタバレあり解説 イケオジ2人の掛け合いが楽しいぞ!

ウルフズ

配信ストリーミングサービス「AppleTV+」は、ソニーピクチャーズやパラマウントといったメジャースタジオに配給及び宣伝を託すことで、自社製作の作品を劇場で公開するという試みを2023年から続けてきました。

 

個人的には配信プラットフォームが劇場で映画をかけないことに非常に勿体ないと思っており、特に代表的なとこでいうとネットフリックスは、アカデミー賞狙いの作品だけでなく、もっと積極的にAppleを見習ってほしいなと思っておりました。

 

しかし、結局は配信プラットフォーム。

自社にとって不利益になるのであれば、劇場でかけずとも配信だけすればいいと、簡単に決断してしまうものなのだということを、今回の一件で思い知らされました。

 

今回観賞する「ウルフズ」は、劇場公開に向けて製作をしていたにもかからわず、続編が決定したにも拘らず、自社が製作した「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」が大コケしたことによるしわ寄せが本作に回ってきてしまった、らしいです。

 

ジョージ・クルーニーブラッド・ピット、長くハリウッドを牽引してきた2大スターをスクリーンで堪能できないというもどかしさがある一方、もう彼らのネームバリューでも人が呼べない映画産業の現状も考えなくてはならず、今後のハリウッド映画において、ある種の分岐点とも呼べる作品になるのかもしれません。

 

とはいうものの、見せてもらえるだけでもありがたいということで、久々に契約して自宅で鑑賞いたしました!!

 

 

作品情報

少年たちが警官に追われるサスペンス「コップ・カー」で脚光を浴び、トム・ホランド主演で迎えたリブート作「スパイダーマン」シリーズで、大ヒット作監督の仲間入りを果たしたジョン・ワッツが、ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットという公私共に仲のいい2大スターを迎えたオリジナル映画。

 

裏社会でヤバい事件のもみ消し屋を稼業にする2人が、ひょんなことから共同作業する羽目になり、やがて得体のしれない組織の犯罪に巻き込まれていく姿を、ブラックユーモアやアクションをふんだんに詰め込で描くクライムアクション。

 

スパイダーマンを輝かしい興行成績で飾った監督だったが、あくまでスパイダーマンはスタン・リー氏が生んだキャラクターであり、物語も彼が創造したもの。

そんな映画製作を経て、彼は「自分の声を発したい」という思いにかられ、本作を仕上げたそう。

ベネチア国際映画祭でお披露目した本作は、監督の思いが届いたのか長いスタンディングオベーションによって歓迎され、本作の続編も決定するなど、ジョン・ワッツ監督の新たなキャリアが築きあがろうとしている。

 

そんな彼の作品に感銘を受け、ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットが持つ製作会社が共同でプロデュースを担い、完成へ向けて製作を進行した。

 

彼らが出演する以外にも、「L.A.ギャングストーリー」、「スケアリーストーリーズ 怖い本」のオースティン・エイブラムス、「バードマン(あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡」、「ボーはおそれている」のエイミー・ライアン、「アルゴ」、「スキャンダル」のリチャード・カインドなどが出演する。

 

オーシャンズ」シリーズ以来の競演となるジョージ・クルーニーとブラッド・ピット。

イケオジな二人が、どんな裏稼業を演じるのか。そして事件の黒幕は誰か。

 

COP CAR/コップ・カー(字幕版)

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  • ケヴィン・ベーコン
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オーシャンズ11 (字幕版)

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  • ジョージ・クルーニー
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あらすじ

 

物語は、助けを乞う依頼者からの1本の電話から始まる。

ジョージ・クルーニー演じる裏社会の暗躍者・敏腕フィクサーが依頼者のいる部屋に現れ、とある男を始末するよう頼まれる。

いつものように“ヤバい事件”の後始末に取り掛かかろうとすると、軽快なノックとともにブラッド・ピット演じるもう一人の敏腕フィクサーが登場。

なんと、彼も同事件の依頼を受けていたのだった。

 

“絶対に存在を知られてはいけない”フィクサー同士のまさかのダブルブッキングに困惑するも、これまで一匹オオカミのように単独で行動してきたことから、互いに「奴とは組まない」と相容れない様子の2人。

渋々2人でターゲットの青年を始末するが、なんと死体は生きていて逃亡!

その後も次々と想定外のことが起こり、慣れないタッグでターゲットの始末に手こずるフィクサーの2人。

 

逃げ続けるターゲットと3人で行動をしていくにつれ、得体の知れない組織の犯罪に巻き込まれていく…!(Fassion Pressより抜粋)

 

youtu.be

 

 

 

感想

一匹狼は群れない。

だからこそ仕事を任され信頼される。

そんな同業者が始末を請け負うことになったらどうなるか。

めんどくさいったらありゃしねえww

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

一匹狼だから「ウルブス」。

ザックリあらすじを語りましょうか。

 

ある冬の寒い夜、不動産経営を営む熟女がホテルの一室で死体を発見、ある友人から「万が一の事態が起きたらここへ電話しろ」と言われた連絡先にかけると、男性から折り返しの着信が入る。

彼に言われた通りに待機すると、そこに黒づくめで白髪交じりの中年男性が荷物を抱えて入室してくる。

 

彼は始末屋で、どんな汚れ仕事も請け負うスペシャリストだそうだ。

 

彼女曰くホテルで意気投合した若い男性と、ついノリで部屋を取りイチャイチャしていたら、彼が突然ベッドで飛び跳ね、その勢いでバーワゴンに落ちて即死したという。

 

とりあえず家に帰って普通に過ごすよう指示した始末屋だったが、突然インタホーンが鳴り響く。

なんとそこには始末屋とほぼ似たような格好の男性が入室。

どうやらホテルの支配人がホテル内を全て監視しており、事件の起きた超高級スイートルームを片づけを彼に依頼したとのこと。

 

一匹狼で唯一無二だと思っていた二人は、顔を合わせるや否やいがみ合いの連発。

一緒に仕事をしたくないと言い張る2人を説得すべく、依頼した熟女とホテルの支配人は何とか交渉できないか相談することに。

 

何とか二人で仕事をすることになったものの、淡々んと作業を始める白髪の始末屋に対し、茶髪の始末屋はコーラを飲んでテーブルでくつろぐ始末。

お前が仕事をして、それを俺が監視する、それが仕事だ。

 

そんなくつろぐ茶髪の始末屋が部屋の隅っこに置いてあったバッグを発見、何と中身は極上のヘロインだった!!

2人は唖然とし、状況を見極める。

こいつは男娼なんかではなくブツの運び屋で、しかも今これを頻繁にやっているのは結構まずい連中だと。

これを捨てれば大問題だし、無視しても大問題、あいつらはこれをいま血眼で探してるはずだし、それに関与してることがバレたら大大大問題だ。

 

とにかくこいつを返しに行かないと大変なことになると思った二人は、お互いの手の内を明かさないよう慎重かつ迅速にことを始めてくが、車のトランクに運んだ瞬間、死体が息を吹き返すという事態に遭遇!!

 

周囲に気付かれないよう慌てて隠蔽するが、とりあえず闇医者探しから始めるとするか、お前の専属んとこ行けよ、いやだよお前にばれるじゃねえかとお互いが譲らない状況の中、とりあえず車をチャイナタウンへ走らせる一行。

 

着いた先は、なんとお互いが世話になってる闇医者だった。

彼女に投薬してもらいながら、探りを入れあう二人。

どうも彼らはすれ違いながらも互いの存在を薄々感じていた様子。

しかもこの闇医者のいる病院で、階は違えど一緒の空間にいたというから二人とも驚きだ。

 

そんな会話をしていると、若者が息を吹き返し、パンツと靴下一丁で逃走をおっぱじめる。

雪が降りしきる中、夜の大都会で追いかけっこを始める若者と始末屋2人。

一人は足で、一人は車で奔走しながら、なんとか若者を確保。

互いが隠れ家をバラしたくないという意向から、適当なラブホテルで事情を聞くことに。

 

中々話そうとしない若者にしびれを切らす2人は、これまた手の内を少しずつ明かしたり、互いを建前で認めたりなどの掛け合いをする中、結局武力行使に打って出る。

 

仕方なく話し出した若者は、ヤクの運び屋を大学の友人に頼まれたこと、それに意気揚々とし、ついホテルのバーで熟女と意気投合しホテルに行ってしまったことを打ち明ける。

 

その話を聞いた二人は、大学の友人が連絡手段として持っているはずのポケベルを取りに、とあるクラブへ向かうことに。

しかしそこにはクロアチア人の裏社会のボスが娘の結婚パーティーを催しており、過去に仕事の依頼された二人が一緒にいることを見られると、仕事に影響を及ぼすことはおろか、グルであると思われ命の危険にまで晒されるという事態に陥る。

 

若者が逃げないよう監視目的も含め、ここは3人一緒にクラブに侵入することを決意。

ボスに気付かれないよう緊張を保ちながら警戒する2人だったが、曲が変わった途端集団でのダンスの輪に混じってしまい、ボスにバレてしまう。

その場は何とかいがみ合うという芝居をみせたことでとこなきを得たが、ボスの右腕は二人がグルであると勘づいてしまうのだった。

 

一難去って腹ごしらえをする3人だったが、自分の素性がバレたことや、運び屋の末路など、この若者に先はないことを見越した二人は、彼をどう始末するかを相談し始める。

それと同時に、白髪の始末屋は、どうも今回の一件はどこかがおかしいと疑い始めていく。

なぜホテルの支配人はカメラに自分が映っていることを解っていながら、もう一人呼んだのか、地区検事との癒着や、不動産経営の女性、ブツを運ぶことなど、何かが裏で動いているかもしれない、そんな疑問を抱きながら一行は、ブツを運ぶ約束の倉庫へ向かう。

 

果たして3人は無事荷物を運び、互いの仕事を終え変えることができるだろうか。

 

というのがザックリしたあらすじです。

 

劇場でやったらヒットしないかも、でも好き。

熟練の演技者二人が織りなす、絶妙な掛け合いが終始楽しい本作。

一匹狼が二人いるから原題は「ウルブス」だそうなんですが、そのタイトル通り、お互い孤独且つ孤高のスペシャリストということで、いろ~んな「秘密」を抱えているわけです。

 

例えていうと、コカ・コーラが特許を出願しない理由って、競合相手にコカ・コーラの秘密を明かさない利点があるそうなんですね。

だから他の会社がコーラを作ってもあまりヒットしないし定着しないわけです。

唯一対抗できるのはペプシくらいってことです。

 

だから今回コカ・コーラとペプシが同じ仕事をする羽目になってしまったと考えるといろいろ話がうまくいくのではないでしょうか。

始末をする手順ややり口、人を白状させるやり方、名前はもちろん出身地や過去の仕事、隠れ家に至るまで、とにかく情報を出してしまうと仕事に支障が出る以上に同業者に手の内を明かすことになり、不利益しか生まれない。

 

だからお互いが敬遠し、お互いがどうぞどうぞと後出しになり、何かしようと思えば「俺がやる」と馬が合わないわけです。

 

でもね、コーラもペプシもぶっちゃけ俺らからしたらどっちでも構わないんですよ。

どっちもおいしいし、飲みたいってなった時に通りかかった自販機にコーラがあればそっちを買うし、ペプシ敷かなかったらそっちを買うんですよ。

映画館のコンセッションでコーラって書いてあっても、中身がどっちかなんて拘らないでしょ?

そういうことなんですよw

 

だから可笑しくて仕方ないんですよ、この2人のやり取りが。

同じ業者なんだから、一緒に馬を合わせてやった方が手っ取り早く済むのに~ってw

 

でもそううまくできないから、この映画がどこかもどかしくて楽しいんですね。

 

これをジョージ・クルーニーとブラッド・ピットという公私にわたって仲のいい二人がやるんですから、面白さは保証済み。

多分ね、どこかアドリブでやってるだろうし、どっちかが仕掛けてそうなやり取りもあれば、どっちかが出し抜かれるなんてシーンもよく見るとあるかもしれないです。

 

話は単純なのに、よくここまで引っ張れるな。

で、肝心の物語の点で言うと、正直ジャッジが難しい。

いわゆる典型的なハリウッド映画のそれとは違う、どこかゆったりとしたテンポでモノが辺りが進むんですよね。

 

冒頭、妙なロケーション空撮とか入らずに、さっさと物語が始まる辺りはさすがだなと思いましたが、そこからホテルでのやり取りにたっぷり時間をかけ、若者との追いかけっこ、ポケベルを取りに行くミッション、クライマックスの銃撃戦と、筋だけで見ると、もっと短くもできる話なんですよ。

 

それを、2人のオフビートな掛け合いというとちょっと語弊があるんだけど、妙な間だったり、同時に喋って聞き取れないようなやり取りとかを楽しめるかどうかが評価の分かれ目になるんじゃないのかなと。

 

個人的には、始末屋稼業を長年やってるであろう2人の、仕事が長引きそうなため息だったり、それでもスイッチが入ればオオカミの如く鋭い目つきで獲物を追ったり、同業者だからこそ感じられる阿吽の呼吸、しかし老眼がきてたり腰が痛そうだったり、走るのがきつそうだったりという「老い」を感じるむなしさと可笑しさが同居したシーンの連続に、往年のハリウッド映画好きの僕としてはきゃぁ~~~!!!と目がハートになってしまうのであります。

 

 

物語自体にキレがないのは仕方ないにしても、2人の掛け合いを重点に作ったであろうこのプロットは、決して悪くはないけど、もっとよくできたよなぁと思うんですよね。

 

それこそ白髪の始末屋が終始抱く「陰謀説」が、最後にはしっかり回収されていくことで、エンドショットは「明日に向かって撃て!」のような、この先の2人の末路が気になる終わり方でしたし、それをやりたいならもっと伏線を張ってどんでん返しのような作りがあっても良かったなぁと思うんです。

 

要はどれも予定調和でしかなく、意外な展開とかメリハリみたいなものがないので、退屈に思われても仕方ないよねと。

実際監督の「コップ・カー」もこんなテンションの中で、もっとスリリングさがあったので、それをこの映画に要素としてもっとあっても良かったよなぁと。

おかしいけど、引き締める所は引き締めるというか。

 

ピンチが訪れたりもするけれど、そのピンチにあまり危険性が強く感じられなかったりするんですよ。

やはりどこか余裕な感じがある。

張りつめたものがあれば、もっと楽しいのになと。

 

 

最後に

今回続編が製作されるというニュースがあったので、あのエンドショットを見ても二人は助かるに決まってるんだよなって肩透かしも感じましたが、今回の一件を経て、中を深めた二人が、どうやって再会するのか楽しみですね。

 

次回は敵同士になってしまう展開なんでしょうか。それとも今回のような仕組まれた罠によって顔を合わせるのか。

そこはジョン・ワッツに委ねたいと思います。

 

次はちゃんとキャラクター名が作られたらいいな。

だって生還出来たら名前教えるって言ってたもんね。

 

そして!!!

頼むから次回は劇場公開でおねしゃす!!!

多分ヒットしないだろうけどさ…。

 

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10