ヤクザと家族 The Family
かつて日本では「やくざ映画」が盛んでした。
清水の次郎長や国定忠治など「時代劇の延長」である股旅物から、博徒や侠客といった「任侠映画」、「仁義なき戦い」をはじめとする東映実録路線と、義理人情に厚いヤクザから「金と女」がすべてのような仁義の欠片もないヤクザの作品へと、時代が変わるにつれて変化していきました。
とにかくたくさん作品が製作されてはヒットを連発していたやくざ映画は、現実の世界に影響を及ぼしてしまった「北陸代理戦争」をきっかけに少しずつメインから外れていきます。
その後、ヤクザの女を主人公にした「極道の女たち」シリーズなどが製作されますが、集客の減少や、レンタルビデオの普及によって生まれた「Vシネマ」が主流となったことで、時代と共に「やくざ映画」はジャンル映画の隅っこに追いやられてしまったんですね~。
ヤクザは今や「反社会勢力」なんて呼ばれてしまってます。
「反社」ですね。
実際にかかわりたくないのはもちろんなんですが、こと映画に関して言うとものすごく面白い作品ばかりなんですよね。
「仁義なき戦い」なんていわば青春映画だし、「北陸代理戦争」なんてノワールものですよ。
高倉健や藤純子が出演してた作品だって、あれ普通にヒーロー映画ですよマジで。
極妻も女性がものすごく美しく描かれてたりしますからね。
と、ちょっとかじってる程度なんですけど、熱くなってしまいがちなんです「やくざ映画」w
近年、白石和彌監督によって少しづつ増えつつある「やくざ映画」。
今回鑑賞する作品は、ヤクザたちの抗争ではなく、彼ら「家族」の物語。
とはいっても契りを交わした組織の「疑似家族」の物語。
令和という新しい時代の中で、本作はどんな「やくざ映画」を提示してくるのでしょうか。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
「あゝ荒野」、「宮本より君へ」、「MOTHER/マザー」など、独自の鋭い視点で描く作品を多く輩出する配給会社「スターサンズ」。
次なるテーマは「やくざ」。
「新聞記者」で日本アカデミー賞で最優秀作品賞含む6部門受賞という快挙を成し遂げた監督によって、時代の移り変わりによって社会から排除されてきた「ヤクザ」を、抗争の渦中の存在ではなく「家族」という視点で描かれていく。
荒れた少年期に出会った地元の親分により、「ヤクザ」の世界に足を踏み入れた男が、「家族」に愛されていく一方、「暴力団対策法」なる新たな法律により状況が一変していく。
「極道」とを貫くことが正しいのか、それとも愛した人たちを守ることが正しいのか。
本作は「ヤクザ」の道を選んだ男の3つの時代にわたる物語。
矛盾と不条理の世界で男が懸けたものとは。
現代ヤクザの実像を描くことで新たな問題を浮き彫りにする、令和版やくざ映画がここに誕生する。
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あらすじ
第一章:1999年 出会い
派手な金髪に真っ白な上下で全身を包んだ19歳の山本賢治(綾野剛)。
証券マンだった父はバブル崩壊後に手を出した覚せい剤で命を落とし、母親もすでに世を去っている。
身寄りのない山本は、悪友の細野(市原隼人)・大原(二ノ宮隆太郎)と連れ立っては、その日暮らしの生活を送っていた。
そんなある日、行きつけの食堂で飲んでいた山本は、そこに居合わせた柴咲組組長・柴咲博(舘ひろし)をチンピラの襲撃から救う。
これが二人の出会いだった。
食堂を営む愛子(寺島しのぶ)の亡き夫は柴咲の弟分でもあった。
後日、柴咲組と敵対する侠葉会の若頭・加藤(豊原功補)と若頭補佐の川山(駿河太郎)によって、港に拉致された山本たち。
それは父の死に遺恨を抱く山本が、侠葉会の息のかかった売人から覚せい剤を横取りしたことに対する報復だったが、たまたま持っていた柴咲の名刺がこの危機を救う。
一命を取り留めた山本は柴咲と再会を果たす。父に覚せい剤を売りつけたヤクザを山本は憎んでいた。
そんな山本を“ケン坊”と呼んで迎え入れる柴咲。
自暴自棄になっていた自分に手を差し伸べてくれた柴咲に山本は心の救いを得て、二人は父子の契りを結ぶ。
こうして山本はヤクザの世界へ足を踏み入れた。
第二章:2005年 誇りを賭けた闘い
柴咲組の一員となった山本は、持ち前の一本気を武器に、細野や大原とヤクザの世界で男をあげつつあった。背中に彫り込んだ修羅像も板についている。世間では日本経済の回復が続いており、その景気拡大は戦後最長記録を更新していた。
そんな中、因縁の相手・侠葉会との争いは激化する一方だった。その日もキャバクラの店内で鉢合わせた川山とやり合いになるが、傷の手当てをしてくれたホステスの由香(尾野真千子)に、山本は好意を持つ。自分と同じように家族のいない由香の前でだけ、山本は鎧を脱いで心の安らぎを手に入れることができた。
しかし運命は非情だった。腹の虫がおさまらない加藤の差し金で柴咲が襲われ、代わりに仲間の大原が犠牲となるが、静岡県警の刑事・大迫(岩松了)はこの件に手を出さないよう柴咲組に釘を刺す。「これからは社会でヤクザを裁くのは法や警察だけじゃない。世の中全体に排除されるようになります。時代は変わっていくんですよ」。それでも引き下がれない山本は、自分の大切な居場所であるファミリー=柴咲組を守るために、加藤たちの元へ単身乗り込む。川山の背後から拳銃を構え、引き金を引こうとしたとき、包丁を握った柴咲組若頭の中村(北村有起哉)がその横を追い抜いた。「ケン坊、親父のこと頼んだぞ」。そんな中村の姿を目の当たりにした山本は、血に染まった川山を前に、ある決断をするのだった。第三章:2019年 激変した世界
中村の罪をかぶった山本が獄中から出てきたのは14年後。
その髪には白いものが混じっている。
そこで山本を待ち受けていたのは、暴対法の影響で存続も危うい状態に一変した柴咲組の姿だった。
かつての盟友・細野は組を抜け、結婚して子供をもうけていた。
「ヤクザ辞めても、人間として扱ってもらうには5年かかるんです。口座も、保険も、家も」。
“5年ルール”の厳しさを口にした細野は、食事代をもとうとする山本を頑なに固辞した。
いまだ柴咲組に籍を置く山本にご馳走してもらえば、反社会からの金を受け取ることになる。
ヤクザは仲間に奢ることさえ許されない時代になっていた。
一方で、愛子の息子・翼(磯村勇斗)は22歳になり、柴咲組のシノギを手伝いながら夜の町を仕切っていた。
柴咲組の組員だった父親を抗争で亡くし、山本を慕う翼は、新世代の青年らしいクールな感性に見え隠れする危うさを秘めていた。
ヤクザを取り巻く状況の変化に戸惑いながらも、由香と再会した山本は、14歳になる彩が自分の娘であることを知る。
あれほど焦がれた自らの家庭を築くため、組を抜けて新たな人生を歩もうとする山本だったが、元ヤクザという経歴は恩人の細野や由香を巻き込み、思わぬ形で愛する者たちの運命を狂わせていく。
それはほかでもない自分のせいで、ようやく掴みかけたかけがえのない家族を失うという、この上なく残酷な現実だった。
そんな山本を気遣う翼が打ち明ける。
「親父殺したやつ見つけたんすよ」。
翼の瞳の奥に危険な光を見た山本は、自分の過去のすべてを背負って未来へとつなげるために、ヤクザとしての人生に決着をつけようとする-。(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、藤井道人。
「DAY AND NIGHT」、「新聞記者」、「宇宙でいちばん明るい屋根」など、時に牙のように鋭く、時に天使のように優しい映像が魅力の監督作品。
とにかく鮮明な光を多用する人だなぁというのが僕のイメージです。
また現在進行形ともいえる政治問題を扱った「新聞記者」で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した実績から、本作も現代の社会問題に鋭く切り込んだエンタテインメントになっていることでしょう。
監督に関してはこちらをどうぞ。
登場人物紹介
- 山本賢治(綾野剛)…柴咲組若頭補佐。チンピラ時代にヤクザに殺されそうになったところを柴咲組組長に救われ、極道の世界へ足を踏み入れる。ヤクザの世界で❝男❞を上げていくが、移り変わる社会の中で「組織=ファミリー」と「愛する家族」の間で揺れ動く。
- 柴咲博(舘ひろし)…広域指定暴力団の3次団体、柴咲組の組長。昔堅気の男気と人情にあふれるヤクザ。とある襲撃で山本に命を救われることから目をかけている。流れ行く時の中で組員を守るために頭を張り続けている。
- 工藤由香(尾野真千子)…山本の恋人
- 中村努(北村有起哉)…柴咲組若頭。
- 細野竜太(市原隼人)…山本の舎弟。
- 木村翼(磯村優斗)…山本にあこがれる愛子の息子。
- 木村愛子(寺島しのぶ)…柴咲組元若頭の妻。
- 大迫和彦(岩松了)…静岡県警組織犯罪対策本部 刑事。
- 加藤雅敏(豊原功補)…侠葉会 会長。
- 竹田誠(菅田俊)…柴咲組舎弟頭。
- 豊島徹也(康すおん)…柴咲組舎弟。
- 大原公平(二ノ宮隆太郎)…山本の舎弟。
- 川山礼二(駿河太郎)…侠葉会若頭。(以上HPより)
「反社」となった「ヤクザ」たち。
TVでは決して報じられない彼らの現状を知ることになるのでしょう。
そこからどんな問題が浮き彫りになるのか。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
3つの時代で描く極道の隆盛と衰退。
ノワール色全開で序盤は好みだけど、後半がかったるい・・・。
以下、ネタバレします。
令和版ヤクザ映画
ヤク中の親父の死によって薬物に異常なまでの嫌悪感を示す不良が、義理と人情を背中で語るヤクザの道に突き進むも、抗争と法改正という時代の流れによって衰退の一途を辿っていく暴力団とカタギのはざまで揺れ動く人生を、監督の得意とするスタイリッシュな映像とドスの効いた怒号、血が飛び交う生々しい描写によって緊張感を与え、「生きる権利」すら奪われてしまった彼らの悲哀と怒りがこだました、ある種筋の通った作品でございました。
これまで対処が困難だった民事介入暴力への対策を推進すると共に、市民への危害防止のために必要な措置を講ずるために制定された「暴力団対策法」によって、これまでの活動やシノギ、社会的抹殺をされてしまったヤクザ。
本作は極道に身を置きながらも、刑期を終え浦島太郎状態の山本を通じて、ヤクザだろうが元ヤクザだろうが彼らの息苦しい様子を描くことで、仮に普通の人間とは違う生き方だとしても、市民へ多大な迷惑をかけたとしても「赦し」を与える構造が成り立ってない社会に一石を投じるメッセージ性の高い作品だとも感じました。
また、杯を交わすことでファミリーの一員となった山本達が「疑似家族」というカタチで絆を深めていく描写は、これまでのヤクザ映画の系譜をしっかり受け継いでいたことや、刑期を終えた山本がどれだけ「家族が欲しかった」のかを切々と映し出す流れも良く、ヤクザに精通していただけで作りたかった「家族」を崩壊させてしまう、奪ってしまう着地もモンキー的には素晴らしいかったと思います。
クリーンな世の中にしたいのは、社会で生活する以上誰でも思うこと。
汚れた世界でなんか誰も過ごしたくない。
だからといって、汚いモノは掃除するだけでいいのか。
だからといって、邪魔なものは排除するだけでいいのか。
これまで暴力で利益を得てきた彼らを、葬るだけが正しいのか。
本当に無ければいけないのは、ただ隅っこに追いやるのではなく、彼らがしっかり更生できるような仕組みを作ることや、これまでの行いを改めしっかり普通の生活を送ることができるようにケアをすることといった、「赦し」と「救い」の措置を築き上げることが本当のクリーンな世の中なのではないか。
法によって追いやられてしまった彼らを通じて貧富の差も描いてる辺りが、古き良きヤクザ映画をしっかりアップデートした「令和版ヤクザ映画」なのだと語っている映画だった映画なのではないでしょうか。
綾野剛の巧さ
本作は監督の力量も素晴らしかったですが、それよりも「綾野剛」という稀代の役者が魅せる凄みだと感じます。
1999年、2005年、2019年という3つの時代を演じ分けた綾野剛。
上下白の服を身に包み、自分以外の全てに反抗的態度を取っているかのような金髪で登場した冒頭。
父の葬儀で全員黒の喪服を着ている中、そんな姿で現れるシーンは正に「反抗」を意味しており、刑事相手にでも姿勢を崩さない彼のニラミとスカしが印象的でした。
例えボコボコにされても、父を狂わせた薬物を売りさばく売人に暴力を振るう姿も、決して怯むことなく反抗的態度をとる姿は、彼の役者人生の中でも名シーンとなる予感がした瞬間でした。
2005年ではしっかり極道が板についた装い。
黒のスーツに髪型も黒髪にしたことで、雰囲気もしっかり出ていたし、99年の時のようななんでもかんでもムチャして手を出すような感じも少々抑えていた感がありました。
とはいえ、組に嫌がらせをするような輩には彼の血の気が一気に上昇してしまう姿をみることで、やっぱり極道なんだなこいつはと思わせる説得力も態度と行動で示していたように思えます。
また、由香との掛け合いも本作の中では数少ないユーモアを感じる場面。
相手が極道の人間でも「嫌なものはイヤ!」という負けん気の強い彼女に翻弄されていく山本の姿が、さらに彼女への思いを強ませる一方で、女性への配慮など無視して半ば強引に引っ張るような恋愛に対して不器用すぎる面も、シリアスがメインの作品であるが故に「笑い」にしないようにギリギリのラインで演じていたのも巧さが際立っていたように思います。
そして2019年、刑期を終えシャバに出てくるも、少々枯れた感じの落ち着き具合、14年の月日の移り変わりについていけず戸惑う姿、親父の気持ちを汲んでカタギになるも、自分たちを排除するだけの不条理な世の中に納得がいかず行動を起こしてしまうような、ヤクザとカタギ両方に足を突っ込んだ彼の葛藤と心の揺らぎを微妙なニュアンスで演じた彼に何度も心奪われます。
要するに主演が彼以外考えられないと言っても過言ではないほど、見事な演技だったと。
逆に柴咲組の組長を演じた舘ひろしですが、僕は本編の予告を見た際、舘ひろし以外に組長っぽい俳優もっといるだろ!と感じてしまったんです。
御年70歳の俳優で、それなりにキャリアと実績のある俳優、しかも組長を演じられるような渋みと凄みのある役者、探せば結構いるぞ?なぜ舘ひろしなんだ!と。
劇中でも啖呵を切る場面や、組員を引っ張っていく姿を背中で語れる、そんな親父を生涯守っていくぞ!と組員が思えるような人望は、モンキー的には弱かったように思えます。
ですが、彼で良かった!と思える場面も。
それは彼の笑顔にあると思います。
彼が「ケン坊」という度に、目じりやおでこにしわを寄せ、屈託のない笑顔で肩をたたくシーンがいくつもあるんですが、この一見組長に見えない身振り手振り素振りは、彼以外誰ができるだろうかと考えた時に見当たらないなぁと。
劇中組員を叱るような場面てないんですよね。
抗争が勃発しようとしてもうまく宥めたり、山本が犯してしまった際には「この親不孝者が・・・!」と言って抱擁する姿、刑期を終えて帰った山本に「ごめんな…」といって祝儀を渡す姿など、とにかく優しさが表情から現れていたんです。
他にも山本に女の心配をしているあたりや、山本の舎弟が釣りが好きだということで、彼のコーデに身を包んで嬉しそうに釣りを楽しみにしている姿など、あ~この人はほんと組員思いな人なんだな、家族を第一に考える人なんだなというのが、あの笑顔から溢れていたように思えます。
逆に加藤や刑事と対峙する際は、組のトップとして啖呵を切ることから、頭張るような男は下の人間には優しく、対立する者とは威厳を見せるって切り替えがしっかり描かれていて、こういう人なら一生ついていきたい!と思わせてくれる芝居をされていたように思えます。
他にも、最近脇役で登場することが多くなった市原隼人の存在感も忘れてはいけませんし、半グレ集団に身を寄せる磯村勇斗の大人の怖さを知らないイキっぷりも映えてたと思います。
とはいえ後半は尻すぼみ。
前半はヤクザ道をひた走るような流れで、非常にテンポよく見ごたえのある作りになっていたんですが、後半はどうもテンポが落ち、これまでのスリリングな展開から一転、だるくなってしまったように思えます。
そもそも本作のメインは、法改正によって行き場を無くしたヤクザの現状を観衆はどう見るか、また彼らの末路を通じて社会的なメッセージを発信する意味合いを持った後半にあるわけです。
抗争に負け、シノギを得るための店も奪われ、法によって携帯電話を買うことも許されなくなった柴咲組。
山本は出所してから世間がどうなったのか理解するのにかなりの時間を要したわけで、ずっとついていけない状態が続いていました。
舎弟だった細野や、由香との再会、柴咲組に残った面々から14年前とはまるで立場が違うことにようやく気付かされていく、というのが後半の入り口だったんですが、どうもこの辺りが納得いかない。
要は時代が変化したことを全てセリフで説明しちゃってるのが非常にもったいないと思うんです。
台詞で説明するのは構わないんですが、それを聞いたうえで「まさかw」と半信半疑のまま今までの普通の生活を送ろうとするときに、世間から拒否されてしまうことが彼自身が体感すると、もっと世間が変わった感が出ると思うんです。
そもそも細野もオモニの店でたまたま遭遇したのは仕方ないとして、これまで「5年ルール」で散々な目に遭って手に入れた「貧しくも幸せな生活」なのだから、兄貴への恩義や忠誠など置いといて、会うことを拒めばいいのに。
(これ言っちゃうと結末がオジャンになってしまうというツッコミは置いといて)
由香も由香で、自分が役所で務めて、しかも社宅住まいという立場なのだから、もっと想像力働かせないとおかしいし、仮に山本と住むのであればどうなってもいいような覚悟を要しないといけないよなぁと。
この2人に関しては、大きく言えば「法と世間の目と社会」のせいではあるにせよ、山本の再会と生活を受け入れる上での危機管理だったり今後起こるかもしれないリスクを考えてなさすぎというか。
だったらもう後半で再会するや否や、一方的に山本を受け付けないことで、山本をさらに孤立させ、組を抜けカタギになったけど誰も自分に近づいてくれない流れにすれば悲哀さと孤独さが増す気がするんですよね。
そんな彼に唯一心を寄せる翼が半グレで、結局そっちの世界に身を投じるしかない、でもこれ以上翼をこっちの道には行かせたくないという親心にも似た気持ちが芽生えるような流れにすれば、本作のテーマにも合う気がするし、色々整合性が取れる気がするんですけども。
最後に
他には、柴咲組だけ生き辛くなるのはやっぱり変で。
だったら加藤率いる侠葉会も暴対法でしのぎを削るのが難しくなってないと。
(ここは大迫刑事が裏で色々やってるからってのはありますが)
結局柴咲組を壊滅するための法律みたいな描き方になってないか、力の弱い者は淘汰されるだけの構図になってないか。
とにかく後半が単純に範囲だったり視野が狭くなってしまってる感があって残念でした。
後半は逆に視野を広げて描くべきだったと思うんです。
なんてたって法によって変化しちゃったんだし、カタギの人たちももっと描かれるのだから。
とはいえ、映像面も役者陣も気合の入った内容になっている点は好評価です。
見ごたえは十分ありました。
さすが藤井監督、世の中にはこういう弱者もいるということを映画にする意気込み、しっかり買いました。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10