ヴィジット
2,3ヶ月前まで10月見たい映画の中に入ってなかったような・・・。
先月急にこの映画情報が入ってきて、アメリカで好評だと。
誰の映画だぁ?おーっと、M・ナイト・シャマラン監督ではないかっ!?ここ何年もの間、何度駄作を見せられたことか・・・それが好評だとっ!!
よし、金を払って見てやるか。
てなわけで、早速見てまいりました。
あらすじ
休暇を利用して祖父母の待つペンシルバニア州メイソンビルへと出発した姉弟。
都会の喧騒から離れて、田舎での楽しい1週間を過ごす予定だった。
その時までは―――。
優しい祖父と、料理上手な祖母に暖かく迎え入れられ、
母親の実家へと到着した2人。
しかし出会えた喜びもつかの間、就寝時、完璧な時間を過ごすためと
奇妙な「3つの約束」が伝えられる。
- 楽しい時間を過ごすこと
- 好きなものは遠慮なく食べること
- 夜9時半以降は部屋から絶対に出ないこと
夜9時半を過ぎ、異様な気配で目が覚める2人。部屋の外から聞こえるただ事ではない物音に恐怖を覚えた彼らは、絶対にあけてはいけないといわれた部屋のドアを開けてしまう。そこで2人が目にしたものとは??《HPより抜粋》
映画『ヴィジット』予告編 - YouTube
監督
はい、冒頭にも書いたとおり、あなたにこの謎が解けますか?
とさんざん客を煽り、悪い意味でわれわれをだまし続け映画業界から干された男、M・ナイト・シャマランです。

見てくださいこの写真。
あーやってますね、また。あなたは騙される!って。なんだこの左手は。
それかアレか、信じるか信じないかはあなた次第ってやってんのか?あぁん?
てか、ライフ・オブ・パイに出てませんでしたか?ちがうかっ!
シャツが淡いなっ!!んでちょっと似合うなっ!!くそ。
と、カラみ口調になっちゃいましたが、
出世作にして代表作「シックス・センス」が興業的にも評価も高く大成功し、次作、「アンブレイカブル」、「サイン」まではよかった。
しかし、「ヴィレッジ」以降、評価は二分、観衆からも、ん?だめじゃね?と疑問が浮かび、映画ファンから突き放され、あれよあれよと下降路線。ラズベリー賞まで貰う始末。
路線変更して、アクションものに手を出しても空振り。
それでも、「アフター・アース」でウィル・スミス親子という親バカっぷりをみせつける二枚看板を引っさげ、しかも、奥の手!自分の名前は伏せてのマーケティング展開と卑怯なやり口。
結果、またもや興業的、批評的にも惨敗。
ま、個人的にはまだ娯楽作品としてはこれは見れたほうかな、と。
とはいえ、彼の汚名は返上されず、監督だけのネームバリューでは見向きもしなかったわけですが、ここへきて新作の評価がすこぶるいい、というか久々のスリラーもので原点回帰した、なんて文字が躍っているのをみて
じゃあ見てやろう!と決心したわけであります。
まぁ、これだけ路頭に迷ったら、スタートラインに戻るよねぇ。
これはもう、完全にこういうアクションものは、息子のお前に託したぞジェイデン!と言わんばかりの、厳しい父から息子への愛のメッセージにしか思えないですね。
レンジャー候補の息子と最高指揮官の父が、訓練途中不時着した場所が絶滅した地球だったという話で、怪我をした父の代わりに精神的に未熟な息子が脱出の術を求めさまよいながらも成長していくって話です。うん、ざっくり。
「僕には・・・死んだ人間が見えるんだ・・・。」そんな名台詞と
今じゃおデブのおっさんに成り下がってしまった、不動の子役の失敗例代表
ハーレイ・ジョエル・オスメント君の名演技が懐かしい作品なわけですが。
これ、オチ知っちゃったら何回も見る必要のない映画ナンバーワンだよなぁ。あれっきりテレビ放送でしかもなぁ~んもやることないときに、ってタイミングじゃないと見ないもんなぁ。
さ、そんなわけでシャマラン監督原点回帰なるか!?
鑑賞後の感想は、
すこぶる怖いわけではないけど、意外と楽しいよ。
以下、核心に触れずネタバレします。
家族構成は予備知識入れた方がいいかも。
94分と非常に短いながら、丁寧に説明も交えた序盤でした。
全編通してPOV方式で描かれています。
なにそれ?と思うので簡単に説明すると全てビデオカメラで撮影してる設定=主観でみることになります。
ブレアウィッチプロジェクトやクローバーフィールド、クロニクルなんかが同じ手法ですね。
だから、手ブレがハンパないんで酔うって人はやめた方がいいかも。
多分大丈夫だと思うけど。
ふと思ったけど、極論で言えばハメ撮りもPOV方式なのかw
なので、2人の姉弟が母親のドキュメンタリー映画を撮るという流れになってます。
駆け落ちして実家と疎遠になって10年、夫が女を作って出て行ってしまい、落ち込んでいる母の根底にあるもの、過去を辿ることで気を取り戻しでもらおうと始めた記録映画。
そして、ネットで母を見つけた祖父母が孫に会いたいということで、1週間世話になることになります。
姉のベッカは、このドキュメンタリーを撮影、演出、編集などをしながら弟の面倒を見るしっかり者です。
逆に弟のタイラーは、お調子者でフリースタイルのラッパーになるべく日々練習中。
また、姉弟には父を失ったことで精神的に患ってる部分があります。
ベッカは自分の顔を鏡で見ることができず、タイラーは極度の潔癖症に。
果たしてこの部分が重要なカギになるかは見てのお楽しみ。
そんなこんなで初めて出会った祖父母との奇妙な1週間が始まるわけであります。
ホラーといえど、案外ソフトな怖さ。
そりゃあ、スリラー映画やらホラー映画って類のものなので、ビクッとする場面や気持ち悪っ!って思う部分は多々あります。
予告にもある通り、まず夜9時半になるとおばあちゃんの貞子化。
床を這いつくばったり、ドアをバッタンバッタンしたり、嘔吐を繰り返したりととにかくその時間を過ぎるとおかしな行動を姉弟は目にします。
昼間は美味しいご飯を作ってくれる優しいグランマなのに、夜は奇行に走る。
そりゃあ怖いわ。Σ(゚д゚lll)
じゃあおじいちゃんはどうかと言うと、こちらは真昼間っからおかしい行動に。
見ず知らずの人を尾行されてると感違いし殴りかかったり、
裏庭の小屋にこっそり出入り、声をかけても知らんぷり。
ありもしない仮装パーティがあるからと正装に着替えたりとまあ奇怪。
こんな気味悪い行動が徐々に増え、観衆を怖がらせていくのですが、そんなに構えなくてもビックリするようなことはなかったと思います。
大体察しがつく、というかこういうのいっぱい見てる人なら大丈夫かと。
現にホラーを全く見ない自分でさえ目をつむりたくなるような描写はありませんでしたから。
とはいうものの、POV特有の急に視界に音と共に何かが飛び出てくるのは、そりゃあビックリします。
ソフトな怖さと思う1番の理由はもしかしたら適度な笑いの部分もあったかもしれません。
とにかく弟タイラーがTダイヤモンドと名乗るラッパーになった時は、ゆるいし笑えます。
お姉ちゃんに、女性軽視なラップなんか使えるか!とぼやかれ、
そこは女性歌手を代名詞にしてラップにするよ、と。
まあ名だたる有名シンガーが出てくる出てくる。
しかも、そこでそれ言うか!!みたいなのも出てくるので笑ってあげてくださいw
原点回帰!ではなく、既出の寄せ集め
この祖父母は何者なのか?
なぜ母にスカイプでおかしいと告げても平気な顔をするのか?
どれが伏線でどれがトラップなのか?
頑張ってアンテナ張って見る必要はありません。
もう入り口からおかしいですから。
大オチも撮影方法も、もう出尽くしたやり口だったり、どこか見たパターンで新鮮味のない映画ではありました。
そもそも3つの約束なんて作中出てこない。これは、配給会社の宣伝文句でしたね。
恐らくこれ以上悪い結果を出したくない一心で無難に、しかも低予算で作りたかったのでしょう。
結果、批評的にもまずまずだったし、ヒットもしてる。コスパはかなり良かったんじゃないでしょうか。
これ以上キャリアに傷をつけたくなかったんだろうなぁ。
原点回帰って、スリラーものに戻っただけのことで、シックスセンスのような面白さに戻ったわけではない、
もう我々はシャマランと聞いてシックスセンスを思い出しちゃいけないし、オチありきの人とも思わないようにしなきゃいけないんじゃなかろうか。
当の本人も過去の栄光にすがってはいけませんから。
本人が出演してなかったのが、一応成長したと捉えますww
そこまでの面白さはなかったとしても、今までの彼の作品の中では面白かった部類に入るし、
笑える部分もあり、それでいて怖くもあり、オチがわかった時の恐怖は確かにありました。
すこぶる怖いのを期待してる人には物足りないかもしれませんが、長い目で楽しんでいただければ良いのでないでしょうか?
満足度 ☆☆☆☆★★★★★★4/10