モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「高慢と偏見とゾンビ」感想ネタバレあり解説 不朽の名作にゾンビを足してみました!

高慢と偏見とゾンビ

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私は怖いの苦手です。だからホラーとかスプラッタとか脅かす映画は好みではありません。でもこういうB級のにおい、うまいキャッチコピー、往年の名作に大胆な味付け。

 面白そうじゃないか!!

これはラブストーリーなのか、アクションなのか、ホラーなのか、なんでもジャンルでくくるのはよくないがとにかく楽しそうなのは間違いない。そんな好奇心を胸に早速見てまいりました!!

 

 

 

あらすじ

 

18世紀末、イギリス。謎のウイルスが蔓延し、感染した者はゾンビとなって人々を襲っていた。片田舎で暮らすベネット家の5人姉妹は得意のカンフーでゾンビと戦う毎日だが、姉妹の母親は娘たちを早くお金持ちと結婚させなければと焦っていた。
 そんな時、近所に資産家のビングリー(ダグラス・ブース)が引っ越してきて、友人の大富豪で高潔な騎士ダーシー(サム・ライリー)も出入りするようになる。折しも舞踏会が開かれ、ビングリーとベネット家の長女ジェイン(ヘラ・ヒースコート)はひと目で恋におちる。一方、次女のエリザベス(リリー・ジェームズ)はダーシーの高慢な態度に腹を立てながら、彼のことが気になって仕方ない。ダーシーも戦う姿が勇ましい彼女に惹かれていくが、身分の違いを乗り越えることができないでいた。
 ところが突然、ビングリーがジェインを置いてロンドンへ帰ってしまう。ダーシーが二人を引き裂いたと聞いたエリザベスは激怒し、ダーシーが一世一代の決意で臨んだプロポーズを拒絶してしまう。そんな中、遂に人類とゾンビの最終戦争が始まり、エリザベスとダーシーは共に戦うことに。果たして、すれ違う恋と、人類滅亡の行方は─?(HPより抜粋)

 

 

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監督・キャスト

監督はバー・スティアーズ

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名前を聞いたことがないのでおそらくどの作品も見てないと思うのですが、調べてみたらやはりそうでしたw

どんな作品を手がけてきたのかというと、周囲や社会に怒りをぶつける10代の反抗期を迎えた少年がいろいろな経験を経て少し筒成長していく物語「17歳の処方箋」で監督デビューしたそうです。

その後もザック・エフロンを主演に迎え、人生をこじらせた男がひょんなことから当時の自分に戻りかつての栄光を取り戻そうと奮起する中で大切なものを見出していく「セブンティーン・アゲイン」、弟を亡くした罪の意識と未来の人生の狭間で揺れ動く青年をファンタジックに描いた「きみがくれた未来」を手がけています。

脚本も手がけることもあり今作はデビュー作以来の監督・脚本に携わっています。

 

 

 

タイトルでいう「偏見」を相手に抱く次女エリザベス役にリリー・ジェームズ。

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彼女といえばやはりブレイク作である「シンデレラ」が一番の代表作でしょう。でも私は未鑑賞なため今回彼女の出演作を見るのは初になります。

 

はい、というわけでどんな経歴の持ち主か調べてみると、デビュー作は神々の戦いに巻き込まれた勇者ベルセウスを描いたスペクタクルアクションドラマの続編「タイタンの逆襲」とのこと。これを経て、ディズニーが満を持して実写化した「シンデレラ」で主役に抜擢されまさにシンデレラガールとしてブレイクしました。

 

最近では、一流の腕を持ちながらトラブルばかり起こしすべてを失った男が仲間とともに再起を図る「二つ星の料理人」に出演し、待機作としてエドガー・ライト監督の最新作に出演するとのこと。

 

 

 

 

タイトルでいう「高慢」な態度で接するダーシー役にサム・ライリー。

 

オン・ザ・ロード」以来の出演作鑑賞になります。といってもそういえば主役で出てたなぁという程度のあいまいな記憶しかなく、今作を機に彼の演技を目に焼き付けようと思います。

 

どんな出演作があるかというと、「ジョイ・ディヴィジョン」のボーカルにしてわずか23歳でこの世を去った伝説のアーティスト、イアン・カーティスの波乱の人生を描いた伝記ドラマ「コントロール」で主演、ビートニク作家ジャック・ケルアックが若者に大きな影響を与えた作品で、彼の実体験を基に、奔放な青年との出会いがきっかけになり自由を求めてあてのない旅のなかで甘くほろ苦い青春を描いた「オン・ザ・ロード」などがあります。

 

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彼もまたディズニー映画で「眠れる森の美女」の魔女目線で描いた「マレフィセント」で手下のカラス・ディアヴィル役として出演と、今作の主演2人がディズニー映画で知名度を上げたという組み合わせになっています。

 

 

 

ほかの出演者として、資産家のビングリー役を「ノア 約束の船」「ジュピター」に出演していたダグラス・ブース、

そのビングリーに恋するエリザベスの姉・ジェイン役に「TIME/タイム」「ダーク・シャドウ」に出演していたベラ・ヒースコートなどが出演しています。

 

 

 

 

高慢と偏見てどんな話よ?

 

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要はこの原作にゾンビを足したという試みなんだと思うんです。だから 今作にあたって原作やその映像作品を見て予習しようと思ったのですが、いかんせん時間がなく、いまさら「スター・トレック」全作を見てる途中とあって間に合いませんでしたw

 

てなわけで、せめて触りだけでも知識を入れるべく調べてみました。

 

名前だけなら耳にしたこともあるほど有名な作家であるジェイン・オースティン1813年に書いたとされる恋愛小説であり、イギリスの田舎町に暮らす中流階級のベネット家の次女と、その隣に越してきた上流階級の資産家の友人が、誤解や偏見、葛藤などしながらも次第に惹かれあっていく2人を軸に、結婚をめぐっててんやわんやの大騒動に発展する人々の姿を皮肉をこめて描いている作品だそうです。

 

この小説に当初「第一印象」というタイトルがつけられていたとおり、最悪な出会いから徐々に惹かれあうというお話なんですが、昨今少女マンガなどで多いこのパターンはココからきてたんですね~。

 

ズケズケとモノをいうスカした男に苛立ち「アンタのことなんか大っキライなんだからねっ!!!」見たいな感じで怒る女。

あ~見た事あるよそんな少女マンガ。正に高慢な奴に偏見の目で見る女です。

なぜかマーマレード・ボーイを思いだしたけどもっとそれっぽいマンガあるよなぁ。

 

 

映画でいうと「ブリジット・ジョーンズの日記」はモロにこのお話を現代的に描いた作品なんだとか。

コリン・ファースが演じた堅物な男の役名はダーシーなので。

 

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そして、このお話は社会背景も色濃く描かれているそうで、18世紀のイギリスは女性が自立できるような社会ではなく、結婚こそ女性の幸せとされてきたんだそうです。

 

だから結婚を逃すと現代以上に大変な思いをすることになったんだとか。

 

これに加えて田舎ならではの階級社会という問題も描かれているとのこと。

ベネット家はいわゆる中流階級でしかも5人姉妹であることから、相続財産の分配も低いため、結婚は切実な問題。

隣に越してきた上流階級である資産家ビングリー家は格好の的なわけです。

 

 

とまあだいぶ端折ってしまいましたが、そんな背景の中で展開する奔放な女性とツンデレ男のラブストーリーっつーわけです。

 

これにですよ?

ゾンビを加えてバトルものにしてラブストーリーにしちゃうってんだから面白そうなわけですよ。

いったいどんな話になるのやら!!

 

 

 

というわけで古典文学であり現在の恋愛ものの礎を築いたとされる話にホラーの代表的な存在であるゾンビをからめることでどんな化学反応を起こすのか?そしてエリザベスとダーシーの恋の結末は!?

ここから鑑賞後の感想です!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゾンビ➕武術➕中世➕ラブストーリーなのにくそまじめかw

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「高慢と偏見」の物語を忠実に描いてます。

まずは率直な感想を。

ジェインオースティンの原作や映像作品を見る時間がなく、Wikiだったり、紹介ブログ、解説などをざっと読んだだけで挑んだわけですが、読んでおいてよかった。少なくともどんな原作なのか知っておいてよかった。

 

じゃないと、なぜ姉妹が5人必要なのか、余計な人物の登場や社会背景、当時のイギリスがどんな状況だったのか理解できないまま見終えることでしょう。

 

だからこの映画を見るにあたって、多少なり知識を入れておかないと置いて行かれることになると思います。

 

別に知識を入れずともゾンビとの格闘や純愛物語だけでも楽しめるという人もいるでしょうからそういう楽しみ方もいいとは思いますが。

 

 

知っておいてよかった、とは言ったものの大部分が駆け足で話が進み、エリザベスとダーシーの心理描写が大雑把過ぎて深みがなく感情移入しなかったし、

ゾンビと戦うのだからグロ描写は必然なわけで、そこを楽しみにしている人はガッカリするほどグロ描写が少な過ぎます。怖いのが苦手な自分でさえ物足りないと感じるほど抜け落ちてます。

 

足で顔を踏み砕くシーンは肝心のゾンビの顔を映さないし、剣で斬り刻んでも衣装は血まみれにならない。どうしてもプロットにゾンビを足したというだけにしか感じない、というのが率直な感想です。

 

 

不満な部分が多いものの、いとこであり、父が死ぬと資産を根こそぎ持っていくことになるいとこのコリンズ牧師がヘタレでユーモア担当という設定は終始シリアスムードの中唯一の笑える部分だったし、

ダーシーがエリザベスに告白するシーンでなぜかバトルになる描写は面白かったし、リリージェームズのたわわな胸も拝めるという一石二鳥な部分も評価したいなと。すんませんオスなもんでww

 

何と言っても5人姉妹の優雅でたくましい戦いっぷりは爽快でしたし、きちんと当時の建造物だったり上流階級は豪華絢爛に、ベネット家中流階級は少々地味にした衣装なんかは素晴らしく再現されていたわけです。

 

何がいいってパーティーに呼ばれるのにドレスの中にナイフを隠して出かけるってwwセクシーでいて滑稽!そんなオープニングにもかかわらず、ほとんど戦うのはエリザベスとジェインのみっていう…。

 

5人でバトルフォーメーション組んだ時に、おっ!もしかしてエンジェルウォーズの再来か⁉︎なんて意気込んでみたわけですが、それ以降5人の戦いがないっていう…。あーやっぱ不満だ…。

 

 

他にも上流階級であるダーシーは日本で日本刀の武術を学び、 中流階級であるベネット家は中国で少林寺拳法を学んだという設定があり、これで階級の差別化をはかってるわけですが、他の上流階級であるビングリーは戦えねえし、ベネット家以外の中流階級出てこねえから分ける必要あったのか?

 

大掛かりなバトルシーンがあってゾンビとの大乱闘の時に、あ、あいつは中流だとかあいつは上流だ、とか見つけることで楽しみがあれば意味があるかなと思いましたが、一切そんなものもなく。

 

 

てか、ゾンビだらけだった屋敷に引っ越してくるビングリーの気持ちがわからん…。外にウヨウヨいるとわかってなぜ越してくるんだ?

 

 

 

 

セリフまできっちり原作通り

とにかく原作に忠実なんだということがもっと調べてみてわかりました。

 

父は娘たちに甘く、母は中々嫁がない娘たちに焦っており、玉の輿に躍起になっている。

それが如実に描かれているのが、エリザベスがコリンズ牧師からの告白を断って家を飛び出すシーン

 

父が死ぬと財産丸ごとコリンズに持って行かれることに焦っている母は、だったらコリンズと結婚しちゃえば万事オッケーじゃん!と画策するわけで、コリンズは最初長女のジェインが気にいるわけですが、ジェインは心に決めた相手がいるってんで次女であるエリザベスを選ぶわけです。

 

その相手の告白を断ったことに母は怒り狂ってこのままだとあんたと縁を切る!と言い放ちあなたからも言ってあげて、と父に委ねるわけですが、父はここで「

お前は二者択一を迫られてるぞ、 お母さんは結婚しないと縁を切ると言っているが、お父さんはあいつと結婚すると言ったら縁を切るぞw」とエリザベスに言います。

おとうちゃーん!!娘にアマーーイ!!そしてのーーんきw

 

これ原作に丸ごと描かれてるそうです。

 

 

他にも、ゾンビと戦うため街に駐留している軍隊のリーダー、ウィカムはダーシーと犬猿の仲なのですが、その理由としてダーシーの父はウィカムを保護者として育てていたわけですが、死んだ後遺産をいくらか相続される立場にも関わらず全てダーシーに持って行かれたというウィカムの話にますますエリザベスはご立腹になるシーンも原作通り。

これが実は誤解だったんですけどね。

 

 

まだまだあります。資産家であり格闘技に長けた女資産家レディキャサリン。ダーシーは彼女の甥であり娘の許婚だったり、ビングリーとジェインの仲を割いたのもダーシーの仕業だったりとモロに原作に忠実なんだそうです。

 

 

ここまでくるときちんと読んでみたくなりました。あとで読んで見ようと思います。

 

 

 

 

 

 

とにかく原作に忠実に描かれていること、そこにゾンビを足してバトルラブストーリーに仕上げたこと、その割にはシリアス過ぎてパロディに比重を置いたらもっと面白いはずなのにという残念な部分も重なって、期待していた内容とは違っていたことにあまり満足できなかったという結果になってしまいました。

 

うーん、エンジェルウォーズにして欲しかった…。

あ、一応エンドロールでオマケ流れます。おそらく続編につながるシーンなのかと。さっさと帰らないように!

というわけで以上!あざっした!

 

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満足度☆☆☆★★★★★★★3/10