メッセージ
ドゥニドゥニことドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の最新作が遂に公開です。
地球に降り立ったクソでかい「黒いばかうけ」と、ネット上では呼ばれてますが、実際のところ何なのか。
また、最後に待ち受ける衝撃の真実とは何なのか。
正直ドゥニドゥニは得意ではないですが、彼がずっと撮りたいと熱望していたSF映画ということで期待しております。
というわけで!さっそく鑑賞してきましたよ!!!
作品情報
独特の映像美と世界観を構築した作品が評価され、ついにはSF映画の金字塔「ブレードランナー」の続編まで任された監督が、優れたSF作品に贈られることでも知られるネビュラ賞を受賞した作家テッド・チャンの小説「あなたの人生の物語」を基に映画化。
突如出現した未知なる飛行体。
❝彼ら❞は人類に何を伝えようとしてるのか?
すべての人の胸を打つ感動のSFドラマが遂に幕を開ける。
あらすじ
突如地上に降り立った、巨大な球体型宇宙船。
ヘプタポッドと呼ばれる知的生命体と意志の疎通をはかるために、また、人類にとって平和の使者なのか脅威なのかを判断するために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)とチームを組み、、“彼ら”が人類に<何>を伝えようとしているのかを探っていく。
やがて人間のものとは全く異なる、まるで動く絵画のような異質な言語解読に没頭するうちに、ルイーズは時間が逆行するような奇妙な錯覚に陥っていく――。
その謎を知ったルイーズを待ち受ける、美しくそして残酷な切なさを秘めた人類へのラストメッセージとは―。
監督
監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ。
言いづらい名前です。というか声に出して読みたい監督です。
だから誰かが言ってたのを拝借して、ドゥニドゥニの愛称で私は呼んでますw
まぁそれでも言いにくいので、きゃりーぱみゅぱみゅのイントネーションでドゥニーヴィルヌヴって言い方とか・・・ダメか。
まぁ個人的には彼の作品は「灼熱の魂」以降すべて見てますが、灼熱の魂以外はあまり好きになれない作品ばかりで・・・。
「プリズナーズ」は重いし、マッチョ二人が主人公だし、ポールダノのボコられっぷりが半端ないし(いやこれはアリかw)で、この手の作品は合わなかったというのが本音で。
「複製された男」も監督の解説がなかったらホントわけわかんない終わり方で、あれは短い上映時間だから救われたけど、難解すぎて。
「ボーダーライン」も、まだ見れたし楽しめた方だけど、主人公途中で変わっちゃうんだもの。
まぁこんな感じで、やはり映画好きだから彼の新作は見るんだけど、相変わらず感想はそこまでよかったとは言えず。
彼の世界観を理解できてない自分が悪いんですけどね。
彼に関してはこちらをどうぞ。
SF作品の代表作である「デューン/砂の惑星」の映画化にも挑むとのこと。
ドゥニドゥニの勢いが止まらねーっ!!!
キャスト
今作の主人公、言語学者ルイーズを演じるのはエイミー・アダムス。
「魔法にかけられて」とか「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」のころは可愛かったですね~。
いやいや今も変わらずの美しさですが、ちょ~っとおばちゃん化が加速しているというか、ぽっちゃりというか。
スーパーマンの彼女ってのも年齢的にヘンリーカヴィルと離れすぎじゃね?と疑問だったし。
まぁ、いい年齢の取り方をして偉大な女優へとなっていってほしいですね。
では恒例の代表的な作品をあれこれと。
天才詐欺師と捜査官との追跡劇を軽妙に描いた「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」で、エイミーはディカプリオの恋人役として出演し、後にあれエイミーだったの?と彼女が売れた後に気づかされます。
魔女に騙され、アニメーションというおとぎの国から現実世界に追放されたプリンセスの大騒動を描いたディズニー渾身の自虐映画「魔法にかけられて」では主人公ジゼル姫をコミカルで愛らしく演じ、
実在のボクサーと兄、そして家族が絆を深めながら頂点を目指していくボクシング人生を描いた「ザ・ファイター」では、女優メリッサ・レオと見事なキャットファイトを見せてくれました。
最近では、60年代モダンアート界でブームを呼んだ画家夫婦の驚きの実話「ビッグ・アイズ」や、DCコミックスのヒーローたちが集結していくDCEUシリーズの序章「マン・オブ・スティール」「バットマンVSスーパーマン」でクラークケントの恋人ロイス・レイン役として出演。
こちらもどうぞ。
ほかの出演者はこんな感じ。
ルイーズとチームを組む物理学者イアン役に、「アベンジャーズ」のホークアイ役や、「ミッション・インポッシブル」シリーズのウィリアム・ブラント役でも知られるジェレミー・レナー。
軍の大佐、ウェバー役には、「ローグ・ワン/スターウォーズストーリー」ノソウ・ゲレラを演じたフォレスト・ウィテカーが演じます。
個人的には監督の過去作「灼熱の魂」のオチに「うぎゃああああああ!!!」だったので、それ以上のモノだと勝手に期待しております。
どんなメッセージが送られるのか楽しみですね。
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
原作タイトル「あなたの人生の物語」!!なるほど!!!
未知との遭遇から生まれる壮大な人生の始まり、そして対話とは何かを教えてくれる映画でした!!!
以下、核心に触れずネタバレします。
このドゥニドゥニは好きだ!!
今までのドゥニドゥニの作品は、見応えはあるものの、その重厚感とじめっとした作りから不得意な監督と勝手に決めつけたわけだけど、今作はその悪いイメージを払拭してくれた映画でした。
じゃあ軽いタッチのSF映画なのか。
答えはNO!
ドゥニドゥニとよくタッグを組むヨハン・ヨハンソンの音楽が終始緊張感と重厚感を与えるもんだから、心拍数は上がりっぱなしで、どのセリフ、どの場面もこの音楽のせいでずっと張り詰めたものはありました。
それでも好きだ!と思ったのは、見終わった後の爽快感。
あらゆる謎が解けた後、この映画のメッセージを感じ、頭の中で整理しながらエンドロールを見つめ、見てよかった~!!と。
今までの作品て暗い余韻を引っ張ったまま外に出なくちゃいけないものが多かったから、この終わり方と伏線の回収に非常に満足しました。
構成や展開も非常にスムーズで、イライラさせない、余計な所はほとんどない作りに、たいへん見やすく、尚且つ、考えさせられる作品にもなっていてこれぞSF!!だなと。
対話するとは何か。
一番考えさせられたのは、言語の通じない相手どうコミュニケーションしなければいけないのか。
やはり地球外生命体ですから、放射能を放ってるんじゃないか、人体に危険を及ぼす奴らなんじゃないのか、ってことでものすごく構えるんですよね人間側は。
まずは、あれこれ調べていくと、宇宙船内の酸素は人間では2時間しかもたず、扉の開閉も18時間(15時間だっけか?)ごとなのがわかる。
まぁこの辺の下調べはわかるとして、その後防護服を着て、徹底的に構えて対面するわけです。
この辺に関しては、初めて会う人間にも言えることで、まずは下調べして、実際普段とは違う仮面をつけて対面することが多いかと思います。
そして、彼らは言葉ではなく、墨汁で輪を書いたような表意文字で会話をしようとする。
表情もわかんねえし、こいつら何て言ってるかわかんないよ!!
そう目くじらを立てずにルイーズは「急がば回れ」の精神で彼らと向き合っていくわけです。
ファーストコンタクトこそ、何の成果もないまま時間を迎え終わってしまうわけですが、2回目、3回目とルイーズは彼らと真に向き合っていくためにある行動に出るわけです。
それは防護服を脱ぐこと。
構えたままでは彼らは心を開いてくれないんじゃないか。まずは友好的に接するのが筋じゃないか。
そう考えたわけです。
結果、エイリアンは構えを解いた人間たちに心を開いていくわけです。
人間側も彼らをヘプタポッドと相性をつけ、さらに2体のヘプタポッドにアボットとコステロと名付け、愛着を持たせ語りかけていきます。
しかし、対話を試みてる人間はルイーズだけじゃない。
12体もあるこの飛行体の意図を探ろうと、世界中の国の人間たちが彼らとの対話に挑んでいて、中には痺れを切らし宣戦布告までする国まで出てくる始末。
確かに、そう読み取れそうな表記文字をルイーズは解読しますが、ちょっと待て!と。この意味は合ってるのか?と。
世界各地で情報を共有していたのに、敵意を感じると急に情報をシャットアウトしていく国々たち。
どんどん緊迫状態は加速していきます。
それもそのはず。地球は侵略されるんじゃないかと怯えながら過ごす一般市民は、政府の進展のない態度に苛立ち、世界のあらゆる場所で暴動や買い溜め、襲撃などが相次ぐ始末。
米軍の中にも勝手な行動をし始める輩まで出てくる事態に。
世界中で武器を取れという声が溢れてく。時間を迫られたルイーズは、再度彼らの下に赴き対話を試みていきます。
そこでついに真実に近づいていくわけですが。
仕事柄、よく海外の方と接する機会があります。
まぁ、このブログ読んでる人はわかるかとは思いますが、いかんせん学歴がないので英語も中国語もちんぷんかんぷんなわけで。
ぶっちゃけ全然何言ってるかわからなくて、どう話したらいいかわからなくて苛立つことがしばしばあります。
ここ日本なんだからお前ら少しは日本語覚えてこいや!!みたいな。
この感情って正に、劇中で攻撃を仕掛ける国の人たちと一緒だなあって。
相手を理解できないことを、相手のせいにしてる。
それってホントは自分が悪いんじゃないの?と。
だからルイーズのように「急がば回れ」の精神で少しずつ一歩ずつ歩み寄ることが相手を理解する最善の策なんだよなぁと。
そんなことを思いながら見ていました。
さらに言うと、劇中でサピア=ウォーフの仮説という論文を読んだと、ジェレミー演じるイアンが話し始めます。
それは、話す言語がその人の価値観を決めつけている、というもの。
だから新たな言語を身に着けることで、世界観や人生観が変わるんじゃないか、という説で。
彼らを理解することで今まで固執していた見方が変わり、概念を無くすことでルイーズにある変化が訪れるわけなんですが。
これもまた言うなれば、相手を理解することで、言語を覚えることで、文字を理解することで、結果歩み寄ることで彼らを受け入れ、苛立つこともなく友好的に接することができていく。
自分の中で新しい価値観が芽生えるきっかけにもなるよなぁと。
時は流れるものじゃない、って冒頭で語られる通り、この映画は時間の流れの概念を変え、それが世界を救うって話なんで、実際の生活において何かを変化させるような話には程遠いかもしれませんが、自分は実生活でも非常にためになる、何か変えさせてくれそうな、そんな感覚に陥りました。
だからこの「メッセージ」って邦題、私はピッタリだなぁと。
ヘプタポッドは俺らににらみ合ってねえで歩み寄れよ、と言われてるような気がしました。
最後に
もっと言いたいこと書こうとしましたが、これ以上言うと核心に触れてしまうのでこの辺で、ということで。
「あなたの人生の物語」という原作タイトルの意味が最後に理解できる、壮大なヒューマンSFドラマでした。
冒頭から流れるルイーズと娘の触れ合いのシーンからあなたは既にこの映画のミスリードにはまっています!!
とはいってもそこまでのミステリー要素はなく、案外中盤辺りでもしかして?なんて勘ぐってしまうかもしれませんが、それでも満足のいく作りになっていると思います。
ほんと無駄がなくて、構成もよくて、神秘的でかつ哲学的で。
感覚的には「インターステラ―」と似た感覚かなぁ。
え?あ、そういうこと!?みたいな。
「コンタクト」とかにも通じるものがあるかなぁ。
とにかくこれは面白かった!
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆☆☆☆★★8/10