ダークタワー
「IT」で大ヒットを記録したスティーヴンキング原作の映画がまたしても公開。しかも西部劇っぽいニオイとSF要素が混ざった男VS男の映画!
楽しそうだ!!
というわけで、早速観賞してまいりました!!
作品情報
昨年中高生を中心に話題を呼び大ヒットした映画「IT/“それ”が見えたら終わり」。
この原作を執筆したスティーブン・キングの原点ともいえるべき小説を今回満を持して映画化。
塔を守る男とそれを壊そうとする男の熾烈な戦いを、現実世界と中間世界をまたに駆けて繰り広げられる。
今までの原作作品とは一線を画した、スティーブンキングの壮大な世界観と壮絶なアクションを堪能できる1作。
あらすじ
ニューヨーク。
少年ジェイク(トム・テイラー)は毎夜同じ夢にうなされていた。“巨大なタワー”“拳銃使いの戦士”そして“魔術を操る黒衣の男”…
ある日、この現実世界と夢で見た≪中間世界≫と呼ばれる異界が時空を超えて繋がっている場所を発見する。すべては実在したのだ――。
中間世界に導かれたジェイクは、そこで拳銃使い<ガンスリンガー>(イドリス・エルバ)に出会う。彼は2つの世界のバランスを保つ塔=ダークタワーの最後の守護者であり、タワーの破壊を目論む<黒衣の男>(マシュー・マコノヒー)を倒すため旅を続けていた。
一方、ジェイクこそが唯一タワーを破壊できる特殊能力を秘めた存在であることに気づいた黒衣の男は、その強大なパワーを求め、ジェイクたちの前に立ちはだかるが――。(HPより抜粋)
監督
監督はニコライ・アーセル。
今回はじめて聞く名の監督なんですが、ハリウッド映画はこれが初のようです。
どんな作品を手がけてきたかというと、ジャーナリストと天才女ハッカーが、孤島に暮らす大企業経営一家の謎に迫る「ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女」で脚本を担当し、英国アカデミー賞脚色賞にノミネートされます。
その後監督作として評価されたのが、デンマークでは王室史上最大のスキャンダルとも言われた、18世紀後半の実話を映画化した歴史エンタテインメント「ロイアル・アフェア/愛と欲望の王宮」で、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされました。
キャスト
ガンスリンガー/ローランド・デスチェインを演じるのはイドリス・エルバ。
最近は話題作に引っ張りだこの彼。
一時は「007」のジェームズ・ボンド役候補にまで名を連ねましたが、ダニエル・クレイグ続投ということで、初の黒人ボンドは次の機会に。
でもなったらなったで反発多そうだなぁ。
そんな彼の代表作を簡単にご紹介。
「28日後・・・」の続編に当たる「28週後・・・」などのイギリス映画で出演を重ね、神の世界から追放された男がヒーローとして成長を遂げるマーベル映画「マイティ・ソー」で、アスガルドの門番ヘイムダル役として後3作に出演。
これを機に大作映画に顔を出すようになり、人類の起源を探す旅に出るクルー達を描いたリドリースコット監督のSFホラー「プロメテウス」や、巨大怪獣に立ち向かうロボット操縦士たちの姿を描いた「パシフィック・リム」、新たなる惑星を探索するクルー達の冒険活劇第3弾「スタートレックBEYOND」などで存在感を発揮しています。
また、「ズートピア」や「ジャングル・ブック」で声の出演もしています。
イドリス・エルバが注目されたのはこのNetflix映画。
この中で反乱軍の司令官として、少年達を兵士に育てる男を熱演しています。怖いです。
黒衣の男/ウォルターを演じるのは、マシュー・マコノヒー。
近年は「ニュートン・ナイト/自由の旗を掲げた男」、「SING/シング」、「ゴールド/金塊の行方」、そして「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」とアニメーション映画や小規模映画に出演。
恥ずかしながら「SING/シング」しか見てないモンキーは、マシューに飢えていますw
既に写真からかなりおっかない表情になってますけど、どんな悪役をやってくれるのか楽しみですね。
そんな彼の代表作をザックリ。
アメリカの人種問題をテーマにした法廷サスペンス「評決のとき」で主役の座を勝ち取りブレイク。
その後、一人の女性が地球外生命体とコンタクトしていく姿を、宗教や政治などを織り交ぜて描いたSF映画「コンタクト」、奴隷制度が横行していたアメリカを舞台に、それに疑問を投げた元大統領の姿を描いた「アミスタッド」などで、若手俳優としての地位を確立していきます。
近年は歳を重ね、演技に貫禄も出てきたことで演技面で高い評価を獲得。
高級車の後部座席で仕事をこなすやり手弁護士の姿を描いた法廷サスペンス「リンカーン弁護士」、謎のとことであった少年達のひと夏の冒険と成長を描いた「MUD-マッドー」、男性ストリッパーの世界で巻き起こる葛藤と友情を華麗なショーと共に描く「マジック・マイク」など賞レースにも顔を出すほどに。
そして、実在したエイズ患者が未承認でも有効な治療薬の販売ルートを確立していくヒューマンドラマ「ダラス・バイヤーズ・クラブ」での体当たりな演技が評価され、念願のアカデミー賞主演男優賞を獲得。
実在の株式ブローカーの成功と転落をユーモラスに描いた「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」や、新たな惑星へ移住するための探索と、その計画に翻弄させられる一組の父娘の絆を壮大なスケールで描いたSF超大作「インターステラー」にも出演し、ハリウッド映画に欠かせない一人となっています。
他のキャストはこんな感じ。
鍵を握る少年ジェイク役に、TVドラマ「女医フォスター 夫の情事、私の決断」に出演中のトム・テイラー。
アラ役に、「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」でチョ博士を演じたキム・スヒョンなどが出演します。
2大ハリウッドスターの攻防戦に期待のSFアクション映画。
一体ダークタワーとは何を現してるのか。
いつもどおり原作読んでませんが楽しみです!
ここから観賞後の感想です!!!
感想
少年と孤高の男が力を合わせて世界を救う!
現代西部劇の匂いを醸し出しながらSFファンタジーの世界観を見事に融合させた、冒険譚にして成長譚映画でした!
しかし尺が足りない・・・。
以下、核心に触れずネタバレします。
世界観は好きだ。
子供たちが大きな機械に座らされ苦しみもがく。
それを原動力に機械から大きな光が叫び声と共にタワーめがけて放たれる。
同時に少年ジェイクは夢から覚める。
現実の世界では、大きな地震が起きていた。
NYや東京、ベルリンでも同じような地震が相次ぎ、原因はわかっていない。
しかしこの地震は夢の世界で起きていることと繋がっていると、ジェイクはセラピストに話す。
父が亡くなってから彼は1年以上も同じ夢を見てスケッチに残し、訴えてきたが誰も信じてくれない。
唯一血のつながった母でさえも。
見かねた母と再婚した父は彼を別のクリニックへ行かせる。
そこへ迎えに来た2人の男女の様子がおかしい。
よく見ると手は痙攣し、耳の後ろにはツギハギの痕。
夢で見た人物と同じだった。
ジェイクは確信する。
夢で見たことは現実と繋がっている。
そして何かが起きていると。
ジェイクは追っ手を撒き、一人旅立つのだった。
父を亡くしたことで塞ぎ込んでいた主人公ジェイクが、ガンスリンガーに父の面影を重ねながら少しづつ成長していく過程を見せ、同じように父を亡くした孤高の戦士ガンスリンガ―もまた、ジェイクと触れ合うことで心を開いていく姿を見せていく成長譚でありました。
そして荒れた砂漠、夜の薄暗い森の中、寂れた集落といった西部劇さながらの世界観と対照的に、黒衣の男ウォルターが拠点とする巨大建造物と周囲の施設が近未来的であり、この2つを合体させた中間世界と現実世界のNYを行き来することで、なんともいえないSF映画としてうまく構成されていたように思えます。
キャラクターも面白い設定で、黒衣の男ウォルターは魔術を使うことで、いとも簡単に人間を操り、自分の分身をどこへでも投影したり、サイコキネシスを多用したりと、結構なんでもできちゃう強さ。
はっきり言って強すぎます。
彼の手下たちも人間に扮した化け物で、全員が耳の後ろにツギハギの痕があり、ウォルターがいない時はそれをはがして作業していることも。
逆にガンスリンガーローランドは、仲間をすべて失い、塔を守ること以上にウォルターに復讐することで頭一杯の男。
二丁拳銃スタイルで敵を仕留めます。
なぜ彼だけが生き残っているのか。
それは心が強いからです。
心の強い者にはウォルターの能力が効かず、それを逆手にとってウォルターは仲間たちを殺すことでローランドの心が乱れることを狙う作戦だったわけで。
だからうかつにウォルターはローランドに近づけないので、とにかく投影した姿で現れ精神的に追い詰めるんですね。
現実世界もその他の世界も、塔が存在することで均衡を保っているんですね。
で、この塔を中心とした円の外側は、宇宙の外側として果てしなく闇が広がっており、この塔が壊れると闇から化け物たちが放たれてしまい、どの世界も崩壊の一途をたどってしまうのであります。
それをしようとしているのがウォルターであり、阻止しようとしているのがガンスリンガーなのであります。
この膠着状態を打破できるのが主人公ジェイクなんですね。
こういった設定がどう機能していくのかが楽しみにしていたわけなんですが。
序盤はワクワクしていたが・・・
スティーブンキング原作の映画は大体同じ感じがするんですが、徐々に恐怖感を煽っていくことで好奇心と緊張感を与え、物語に没入させてくれるのがいいことろだと思っていて、まさに序盤のジェイクが疑惑から確信に入っていくまではすごくよかったんですね。
夢の中の話を見せた後、夢を誰も信じてくれない孤独さをきちんと表現してるんです。
それが爆発するのが、学校で画をクラスメートから奪われて、感情が爆発して殴りかかるというもの。
「IT❝それ❞が見えたら終わり」でもそうでしたが、やはり主人公の少年はいじめられっ子だったり、クラスの中心的存在ではないのがお決まりで。
ただ今回はやり返しているのが違ったかな。
家に帰っても、母親は新しい父親の言いなりになっていて自分を信じてくれない。
その連れ子も、仲は良いようですが、お前イカれてるよ~くらいで話を流してしまう。
全ては消防士だった父親が事故で亡くなってしまったことからくる弱さだったのかもしれません。
学校で問題を起こしてしまった以上、これはどこか施設に預けたほうがいいという新しい父親の意見で、学校が提供してくれた施設に週末いくことになり、その迎えの人が来るんですが、これが明らかに変だとジェイクは気づくんですね。
もうこの辺はどうやって逃げるんだジェイク!
いちいち親を説得してもしょうがねえだろ!
早く逃げるジェイク!と気持ちが入っていました。
そしてうまく撒いたことで、夢で見た一軒家の場所へ向かい、中間世界へと入っていくんです。
しかしここからのガンスリンガーとの旅路はイマイチ。
旅の途中で起こるアクシデントは、それなりにファンタジーで西部劇でかっこいいし魅力のある描写だったんですが、肝心のこの二人の掛け合いが微妙。
最初こそ誰も寄せ付けない空気を持っていたローランドですが、急に優しくなるんですよね。
できればガキは嫌いだ!くらいの孤独さを出してもらって、ジェイクがピンチを重ねるごとに少しづつ優しさが芽生えていき、絆が生まれるみたいな方が物語的に二人の関係性が活きてくると思うんですが。
夜中むくっと起きて森で迷子になったジェイクが闇に襲われるときも、もっと怒ればいいんですよローランドは。
森に近づくなといったろ!とか。
銃弾に限りがあるからって現実世界で調達する件とか、化け物から受けた傷が現実世界での病院で点滴と投薬で完治しちゃうってのもショボすぎる・・・。
最後ウォルターと対峙するときに傷だらけでジェイクを守りながら戦うから画になるし、物語が映えるってもんで、それを途中で回復してしまうのはなんか物語的にどうなんでしょうか。
しかも残り何発って方がラスボスと戦う時に緊張感が生まれるし、そっちも充填しちゃったらドラマ性に欠けるじゃんと。
クライマックスはアガる!
この不満を解消してくれたのは最後のドンパチバトルでした。
当初ローランドは銃をリロードするときに、もんのすごい速さで弾を充填するんです。
これはこれでカッケ―ってなるんですけど、現実世界で銃弾を調達してからはベルトにきちんと6発ずつ弾が入るポケットのついたベルトをつけて戦うんですね。
これにしたらだいぶ早くなって、リボルバーをベルトで滑らせながら充填して、振り返ってばBANG!BANG!BANG!ですよ!!
お~っ!!っと思わず声をだしてしまいましたねw
それからは大人数で敵がガンガン銃でぶっぱなしてきても、スルリとかわして銃を撃ちまくる姿は圧巻です。
アクロバティックに華麗に飛んで撃ち殺したり、上下左右に散らばる敵を瞬時に察知して二丁拳銃を交互に撃ったり、手をクロスして撃ったり、高いとこからジャンプして敵を仕留め、そのまま敵に突っ込む!(思いっきりワイヤーでしたけどw)。
視点がスナイパーのスコープに切り替わったら、ローランドがひょこっと顔を出して弾が命中!
こういう敵から視点で彼の活躍を見せるのも非常に効果的でしたね。
最後はガスボンベ投げて銃で大爆発!
いいねぇ良いねぇ!とニコニコしながら見てましたw
そしてウォルターとの一騎打ちですが、例えていうならマトリックスのようなバトルでしょうか。
どっちがマトリックスってウォルターのほうですけどw
ローランドの銃弾を能力で止め、瓦礫を能力で飛ばし、ガラスの破片も能力で飛ばしってほぼ無敵じゃねえかっ!
これをローランドはどうやって打破するか。
まさかの銃弾が壁に反射して攻撃するというもの。
こっちもある意味超能力じゃねえかw
途中で「我は心で撃つ」って言って敵の居場所を聴覚で感じ取って狙いを定めて仕留める件があるんですが、そっちの方が現実的というかガンマンとしてカッケー!!って思ったんですけど、ラストでこんなのみせちゃ、その途中の件が意味ないじゃんと。
しかもウォルターをどう仕留めるのかってのも意外なとどめでちょっとがっかり。
なんかもっと工夫を凝らしたとどめを刺してほしかったですね~。
その後の件もまぁ雑な片づけ方で。
あれ、結局グチになっちゃった・・・。
最後に
きっと面白くなかったと思える原因は全7作もある原作を100分にも満たない上映時間でまとめてしまったことでしょう。
せめてあと30分延ばして、ジェイクとローランドの関係性をもっと密にしてほしかったなぁと。
世界観は素晴らしいのに、登場人物の魅力が削がれちゃってて。
結局ガンスリンガーたちはこれまでどんなことをしてきたのかとか、ウォルターはどうやって中間世界へ攻めてきたのかとか、もしかしたら過去に二人は戦っていたのかもとか色々背景を描けたはずだし、ジェイクが持つ能力「シャイン」が勝手にどんどん開花してきたけど、あれも使い方によっちゃもっと活用できたんじゃないか?とか、とにかく要素をうまく生かしてない背景が弱いなど、もったいないことばかりなんです。
イドリスエルバの孤高の戦士としての立ち振る舞い、そこから魅せるほのかな優しさのギャップがめちゃめちゃかっこいいし、マシューマコノヒーの頬のコケっぷりから醸し出される怪しいいで立ちは見事。
キャラがハマっていたのでこれも非常にもったいないなぁと。
結局あの塔は何なの?何があるの?
続編はやるんでしょうか。てかこれTVドラマ案件じゃないの?
とりあえずNetflix辺りでご検討よろしくお願いしますw
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10