今夜、ロマンス劇場で
年末からTVでガンガンCMを投入してくる宣伝方法。
これだけ見りゃあシェネルの主題歌のサビだって自然に覚えるし、なんとなくストーリーも理解できる。
やっぱりTVって影響力あるなぁって思う瞬間でもあり、金持ってる配給会社はさすがだなぁ、と。
これだけTVでCMうてる金があるなら、どんな映画もヒットしそうだし、そのカネあるならもっと「ジャスティスリーグ」の宣伝しろよ。ワーナーさんよぉ。
あれ10億しか行ってないんだぞ興行収入。
とりあえずグチは置いといて、まんまとTVの宣伝によって見たい気持ちになってしまったので、特に好きでもない綾瀬はるかを久々に劇場で見ることになりました。
恐らくこの映画、ターゲット層であろうF1層が坂口健太郎君にキュンキュンするような映画ではなく、僕のような映画好きの男たちのための映画、なんじゃないかなぁと勝手に想像しております。
違ったらショック!
早速観賞してまいりました。
作品情報
モノクロ映画のヒロインと、現実世界の青年が織り成す、ファンタジックでロマンス溢れるラブストーリーを、「のだめカンタービレ」や「テルマエ・ロマエ」などで、コミック原作を見事に再現した実力と、決して手を抜かないユーモアを表現したことで絶賛された監督によって映画化。
実現まで9年もかけて作られてきたオリジナルストーリーが、美男美女のキャストによって、どう色づけされていくのか。
徹底的にこだわった衣装や色遣いにも注目したいロマコメ映画です。
あらすじ
映画監督を夢見る青年・健司(坂口健太郎)が密かに思いを寄せるのは、通いなれた映画館・ロマンス劇場の映写室で見つけた古いモノクロ映画のお姫様・美雪(綾瀬はるか)。
今は誰も見なくなったその映画を、毎日のようにくり返し観ていた健司の前に、ある日奇跡が起きる。
美雪が健司の前に突然現れたのだ。
その日から二人の不思議な同居生活が始まった。
モノクロの世界しか知らない美雪にカラフルな現実世界を案内する健司。
同じ時間を過ごす中で二人は次第に惹かれあっていく。
しかし、美雪にはある秘密が合った。現実の世界に来るための代償で、人のぬくもりに触れたら美雪は消えてしまうのだ。
そんな中、美雪は映画会社の社長令嬢・塔子(本田翼)が健司に思いを寄せていることを知る。
好きだから触れたい、でも触れられない・・・。
この切ない真実に2人はどう向き合い、どんな答えを出すのか――。(HPより抜粋)
監督
今作を手がけるのは、武内秀樹。
彼が監督ということは、これがフジテレビ製作だということです。
だからCMでガンガン宣伝できたってことですね。
てか、俺フジテレビばっか見てたってことか・・・。
まぁいいや。
そんなフジテレビっ子の私モンキーとしては、彼が手がけたTVドラマをかなり見ていたことが今回調べていくうちにわかりました。
「神様、もう少しだけ」、「カバチタレ!」、「ロング・ラブレター~漂流教室~」などヒットドラマは数知れず。
その後、彼のコメディセンスを覚醒させたのが「電車男」だったと思います。
で、彼のコメディセンスと、実写化再現力を最大限に発揮した2作がこれ。
ピアノに非凡な才能を見せるエキセントリックで不潔な女子大生・野田恵と、彼女の才能にほれ込んだ、「何様俺様千秋様」ことオーケストラの指揮者を目指す千秋真一が、日本からヨーロッパへと舞台を移し、彼らの成長と恋の行方を描く青春恋愛ドラマ。
TVドラマでの高視聴率を機に、前後編で映画化された人気コミックの実写映画。
ドラマでも監督を務めた彼が、この作品で監督デビューを果たしました。
原作にハマッたモンキーとしては、コミック実写化作品としては1,2を争う再現映画だったと思います。
キャラ良し、ユーモア良し、ストーリー良しと申し分ない面白さでした。
クラシックブームを起こすほどの影響力だったことを考えると、今作がクラシック界にもたらした効果は絶大だったことでしょう。
そんな完璧な再現で魅了した監督の次なる一手が、再びコミックを実写化したあの映画。
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古代ローマの浴場設計技師が、現代の日本にタイムスリップし、未知の風呂に遭遇。
持ち帰ることで、古代ローマの歴史を変えるほどの偉業を成しえてしまう奇想天外なコメディドラマ。
のだめで培ったギャグセンスが今作でも発揮され、下馬評を覆すほどの大ヒットとなった作品。
やはりキャラ先行型は今作も活きており、掘りの深い俳優や芸能人を集めることで、存在自体がギャグと見た目だけで笑えてしまう、最高のツカミで魅了してくれました。
監督は今回初のオリジナル脚本の作品だそう。
ちなみに彼は本作の後、2019年大ブームを起こした「翔んで埼玉」も監督。
監督のコメディの作り方って、くだらない内容を大河ドラマのようにクソまじめに役者に演じさせることなんですって。
そのギャップが笑いを生むのだとか。
こっちも必見の楽しさです。
人物紹介
左上より順に。
- 美雪(綾瀬はるか)・・・モノクロ映画から飛び出したお姫様。スクリーンの中から見える色のついた世界に行ってみたいという想いから現実世界に飛びだしてきた。健司と恋に落ちるが・・・。
- 牧野健司(坂口健太郎)・・・映画会社の京映で助監督として働く真面目な映画青年。馴染みの映画館・ロマンス劇場で見つけたモノクロ映画のお姫様・美雪に恋している。
- 成瀬塔子(本田翼)・・・京映の社長令嬢。容姿端麗だが、恋愛には奥手な性格。映画監督を目指す健司のことを心から応援し、密かに恋心を抱いている。
- 俊藤龍之介(北村一輝)・・・大人気映画「ハンサムガイ」シリーズの主演を務める、京映の看板スター。ナルシストだが超ポジティブな性格でもある。
- 山中伸太郎(中尾明慶)・・・健司と同じく京映で働く映画青年。健司のよき友であり、よきライバル。塔子に片思いしている。
- 本多正(柄本明)・・・健司が通うロマンス劇場の館主。お金にがめついが実は映画のことをとても愛している。健司のよき理解者。
- 吉川天音(石橋杏奈)・・・老人が入院している病院の看護師。老人が持っている脚本に興味を示す。
- 病室の老人(加藤剛)・・・余命いくばくもない病室の老人。結末が書かれていない映画の脚本を大事に持っている。
正直結末がなんとなく透けて見えてしまうのですが、結末までの過程と映像表現は楽しめそうだなと。
後は名作映画のオマージュもたくさんありそう。
ガラス越しのキスなんかは、あれですよね~。
その辺も探ってみますかね。
ここから観賞後の感想です!!!
感想
あの頃の映画を忘れてほしくないという作り手の想いが詰まった、無償の愛の物語。
ただ肝心の中身が平坦すぎてドラマ性に欠ける!
以下、核心に触れずネタバレします。
幾千もの忘れ去られた映画たち。
映画を愛する青年の前に、スクリーンの中から突如現れたおてんばお姫様。
徐々に互いに心を寄せていく中、触れてはいけないという掟を作ることで、愛とは温もりを感じることなのか、それとも温もりを感じることができなくてもそばにずっといることなのかを問う、ファンタジーでありながら純愛を描いた作品でありました。
また、数多の映画が世に出る中で、心に残る作品もあれば誰からも忘れ去られてしまう映画が存在してしまうことに対し、一人でも多くの人がその映画に深く思い入れることで、映画は生き続けるということを物語った作品であったと思います。
舞台もカラーテレビが普及し始めた1960年。
映画館への客足が少しづつ遠のいていく時期。
現在でも映画館に1年に1度行くか行かないかという人が多い中、それでもお客さんに楽しんでほしい、感動を与えたい、人生を変えるような1本を作りたいという、作り手の熱い思いを具現化したような作品だったのではないでしょうか。
近年ハリウッド映画では、カラーリストなる色の魔術師たちが映画を色で魅了させることで注目されていますが、今作もそれに負けじと、美雪が着飾るドレスや衣装、ロマンス劇場のカラフルな壁やガラスや小道具、空にかかる虹や道端に咲く花に至るまで、ビビッドな色で誇張して映画そのものを華やかにした作り。
映画の撮影所が舞台のほとんどを占めるということもあり、当時の撮影所を細部まで徹底的に再現した美術にも作り手の想いが感じられるものでしたし、役者のファッションや髪型、健司の住むアパートも昭和の匂いを感じさせるこだわり。
内容も名作映画のオマージュを散りばめがら、前半は美雪がやらかすハプニングのせいで痛い目に遭う健司を中心としたコミカル路線、後半は物語の核心へと迫っていくシリアスな展開。
好きな人に触れることなく暮らすことができるのかという健司の葛藤と、好きな人と触れることで愛を育むのやはり一番だと感じる美雪の想いなど、両者の相手への思いが交錯し、答えを出す結末に涙する人もきっと多いはず。
やっぱり映画は映画館で見てほしい、そしてそれをずっと忘れないでほしい。
誰かを幸せにするために生まれてきた映画が、今夜ロマンス劇場で我々にそう語りかけている、そんな作品だったと思います。
そばにいるのに触れられない。
物語は、坂口健太郎演じる映画好きの助監督が、映画のヒロインそのものに恋をし一生を添い遂げる決意をするという流れ。
綾瀬はるか演じる美雪は劇中の役を演じた女優ではなく、役そのものとしてスクリーンから飛び出てくるんですね。
だから映画そのものということになります。
てっきり、映画の中で演じている女優がスクリーンから飛び出してきたのかと思ってました。
お転婆で我儘で高飛車な性格にずっと振り回される健司ですが、彼女を愛し映画そのものを愛する彼にとって、当初は勢いで見限ってしまいますが、やっぱり放っておけない。
「ギフテッド/gifted」の中でもありましたが、人間は時に思ってもないこと言ってしまう、言ってはいけないことを言ってしまうというセリフがありましたが、まさに健司はそれと同じことをしてしまったわけで。
きちんと謝罪し再び思いを寄せあっていく二人。
助監督に脚本を書いて採用されたら映画を作れることが決まり、健司は美雪への想いを詰め込んだ脚本を書きはじめます。
シナリオハンティングのために美雪を色んな所へ連れていき、執筆に活かす健司。
恋愛映画なので実際に手をつないだり、口づけを交わしたりと、自身の願望も含め触れたい健司に対し、ひたすら拒む美雪。
脚本は採用されたものの、結末をハッピーエンドにという上からの要望で、再び練り直す健司。
いろんな景色を彼女に見せたい、それも自分の隣で。
覚悟を決めた健司に対し、美雪はある告白をする。
人のぬくもりに触れたら私は消えてしまう。
転んだ美雪を起こそうと手を差し伸べても触れることができないシーンの後、健司に思いを寄せる社長令嬢の塔子が転びそうになった時、健司は手を差し伸べ彼女をフォローする。
塔子自身彼に触れたことでどれほどの温もりを感じただろう。
感触は言葉へと変わり、健司に思いを伝える。
やがて健司の覚悟を知った美雪は、彼に会いに撮影所を訪れるが、健司の苦悩を目にし、彼の元から姿を消してしまう。
必死に探す健司に対し、美雪は塔子と接触を図り、健司とうまくいくよう助言をする。
塔子は当初伏せていようとしていたが、彼の事を思うとやっぱりそれはできなかった。
美雪の気持ちを知った健司は、彼女のいるロマンス劇場へと急ぐ。
ようやく両者が本当の気持ちを言い合う。
最後に抱きしめてとお願いする美雪。
健司はどう行動するのか。
冒頭とクライマックスは核心に触れるので伏せますが、お互い好きなはずなのに、触れることができないという壁が二人を苦しめ、気持ちが離れてしまえど、自分の想いに逆らうことはできないことに気付き、覚悟を決める健司の一途な思いが随所に見えました。
美雪は美雪で序盤こそやりたい放題で、健司をひたすら僕扱いし、放っておかれれば、かまってちゃん状態。
健司が徹夜で書いた映画で使う風景を、個性的な風景に変えてしまったり、銀幕スター俊藤龍之介に対し傘でぶん殴ったり、撮影本番中に勝手に入ったり、健司をぶったり蹴ったり、端から突き落としたり。
健司が夢中で脚本を書いてれば、かまってもらえずサクマドロップスをひたすら投げ続ける我儘っぷり。
なんでしょうね、これ「白鳥麗子でございます」を見てるかのような構図。
健司よ、よく耐えていられるな・・・好きな気持ちってそこまでさせるのか・・・。
でもだからこそ彼の覚悟が理解できるラストだったんじゃないかなと。
オマージュされた名作映画たち。
映画を愛してほしいというテーマ性から、数々の名作オマージュが散りばめられていましたので、簡単にご紹介を。
まず美雪が登場していた映画ですが、美雪はどこかの城のお姫様で、毎日毎日公務ばかりで退屈な日々を送っており、夜な夜な城を飛び出して発散するという設定でした。
これって「ローマの休日」そのものでしたね。
一般人である健司との身分違いの恋愛を描いているという点も、このオマージュだと思います。
美雪が劇中で演じていた作品「お転婆姫と三獣士」は、姫と森に住む動物たちと共に冒険していくという内容ですが、これは「オズの魔法使い」からだそうです。
映画をこよなく愛する健司は、いつもロマンス劇場に足を運び映画を楽しんでいます。映画館を運営する映画館主・本多との関係性は「ニュー・シネマ・パラダイス」を意識しているでしょう。
中年男性に一報が入ることで、映画館主との思い出、初心な恋心などといった少年時代を回想していく作品。
少年トトと館主アルフレッドのやり取りに涙した人も多いでしょう。
他にも、落雷によって昭和35年に現れるという設定は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」から。
ここから先は鑑賞したことないんですが、京映のスター俊藤龍之介のハンサムガイシリーズは、当時日活で人気映画だった「ガイ」シリーズからだそうです。
石原裕次郎=タフガイ、小林旭=マイトガイ、二谷英明=ダンプガイ、高橋英樹=ナイスガイという具合に、当時の日活は所属の俳優たちにこのようなニックネームをつけることで売り出し、「日活ダイヤモンド・ライン」と名づけ、活気あふれていたそうです。
タフガイ、ナイスガイはわかるけど、マイトガイとダンプガイってどういうこと?
他にも、映画の世界と現実の世界をつなぐという設定は、「キートンの探偵学入門」という1920年代の映画からとのこと。
映写技師のキートンが、居眠りすると自分の分身が銀幕の中に入り込んで、出たり入ったりするドタバタぶりをサイレントで劇で描いた作品だそうです。
こちらは現実の世界から映画の世界へ入っていくという設定ですが、その逆にあたるのが「カイロの紫のバラ」というウディ・アレン監督の作品。
熱心に映画館に通い詰めるウェイトレスに、突如映画の主人公が飛び出して連内へと発展させていくお話だそうで、これにもオマージュをささげたとのこと。
健司と美雪のガラス越しのキスシーンも、戦時中の悲恋を描いた「また逢う日まで」へのオマージュ。
これはほかの作品でも色々やっているし、恋愛映画においてベストともいえる名シーンだけに見慣れている人もいるかもしれませんが、戦争をはじめとしたあらゆる障害をガラスに見立て、隔てられたとしても思いは通じ合うということを表現したものだと思うんですが、今作でもそんな二人を隔てる障害があろうとも通じ合う思いを象徴したシーンだったのではないでしょうか。
他にも探してみるともっとあるかもしれませんね。
最後に
ここまで書いておきながら言うのもなんですが、モンキー的には正直面白く感じませんでした。
物語に大きな波がなく、触れることができないという縛りがありながら、もっとつらい状況を描かないと、二人の恋愛成就が活きてこないでしょう。
美雪の破天荒なふるまいにちょっとゲンナリ。
このスタイルを最後まで貫くのにちょっと理解に苦しみました。
映画へのオマージュも直接的過ぎるかなとも感じましたし、目線は健司主体なのに、美雪の存在が強すぎるから、気持ちの導線が作れておらず、ずっともやもやでした。
誰かを幸せにするために生まれてきた映画なんだったら、むしろ設定逆なんじゃないか?と。
我儘で人生クソだって思ってる健司が、映画そのものである一途な美雪と出会うことによって人生観を変えていく、って方がある意味純愛で映画愛にあふれてるんじゃないか?と。
結局は好みの差なので、僕には合わなかったし、美雪の存在が不快でした。
ただ作り手の想いってのは理解できたように思えます。
もっと工夫できたと思いますが。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10