モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

Netflix映画「ウォーマシーン戦争は話術だ!」感想ネタバレあり解説 反省しないアメリカを笑い飛ばせ。

ウォー・マシーン:戦争は話術だ!

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ブラピのネトフリ映画がついに配信開始です。

 

ネトフリオリジナルコンテンツ映画を見るのは「最後の追跡」以来。

とうとうこのコンテンツにもこんな大物スターが参戦となると、ますますストリーミング配信事業が過熱していきそうな気配。

(つってもネトフリの国内シェアはかなりやばいみたいですが)

 

どうも、ウォーマシーンというタイトルがですね、アメコミ映画好きの私としては、アイアンマンの相棒、ローズが装着するマシンと同じ名前なので困ってしまうんですが、今作はアメコミとは全く関係のないガチの戦争映画。

 

でもってガチといっても「プライベート・ライアン」のようなシリアスなものではなく風刺のきいた戦争映画なんだとか。

 

公式HPが存在しないので、なかなか情報が見つからないんですが、早速自宅で鑑賞したしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

実在のアメリカ陸軍将軍、スタンリー・マクリスタルに密着した、マイケル・ヘイスティングスのノンフィクション本「The Operators」を原作に、アフガニスタン駐留米軍の司令部将軍にまで上り詰めた主人公の栄光と衰退を描き、戦争の不条理さ、人間の滑稽さといった戦争への風刺を交え大胆に脚色した戦争映画です。

製作は今年アカデミー賞を受賞した「ムーンライト」を手がけ、主演のブラッド・ピットが運営する「プランBエンターテインメント」。

世界的なシェアを誇るストリーミング配信サービス「ネットフリックス」が配給権を獲得したことにより配信化。

 

 

 

 

 

あらすじ

 

2009年、長引く戦争を終わらせるべく、司令官としてアフガニスタンに送り込まれたマクマホン(ブラッド・ピット)。

常に強い訛りと片眉を上げた表情のマクマホンは、腹心の部下とともに「平和で自由な国作り」という理想に向かって「終わらない戦争」に勝利するべく邁進するも、撤退を望む米政権の思惑や、食わせ物のアフガン大統領(ベン・キングズレー)、厳しいマスコミの追求など、山のような試練に迫られる。

 

 

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監督

監督はデヴィッド・ミショッド

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初めて存じ上げる方です。

こういう映画撮るってことは、コメディ映画とか戦争映画とか撮ってきた人なのかな?、と思って調べてみると、犯罪ものやバイオレンスものを撮ってきた人のようです。

 

長編デビュー作は「アニマル・キングダム」。

80年代のオーストラリアを舞台に、真面目な青年が犯罪一家に加わる羽目になり熾烈な運命をたどっていくお話だそうで、この作品で一躍有名になったんだそう。

 

次回作となった作品が「奪還者」。

この作品は原案から製作脚本とほぼ監督が作ったといってもいい作品のようで、暴力が支配する近未来のオーストラリアで無法者に愛車を奪われた男の執念の追跡劇だそう。

なんかマッドマックスのような・・・。

 

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今作が一番予算がありそうなのでどんな作品に仕上がってるか楽しみですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

キャスト

主人公の司令官、グレン・マクマホン大将を演じるのはブラッド・ピット。

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マリアンヌ」でブラ泣きなどとというキャッチコピーが物議をかもしましたが、今作はそれに沿って言うならば、ブラ睨みといった感じでしょうか。

 

予告を見る限りずっと右目を細めた状態というか右目だけ睨んでるというか。

今回はクセがすごい役だそうで、あまりクドくなきゃいいんですが。

 

彼が運営する制作会社「プランB]ですが、Netflixでポン・ジュノ監督の「Oxja」が配信されており、ますますストリーミング配信に力を入れてくんだと思います。

まずは自分の出演作で拍をつけたいってとこですかね。

 

彼に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

www.monkey1119.com

 

 



 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

元アフガニスタン大統領ハーミド・カルザイ役に、「ザ・ウォーク」、「ジャングル・ブック」のベン・キングズレー。

マクマホンの部下、マット・リトル役に、「スパイダーマン3」や、「エージェント・ウルトラ」のトファー・グレイス

マクマホンを攻め立てるドイツの政治家役に、「ドクター・ストレンジ」、「ヘイル、シーザー!」のティルダ・スウィントンらが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

どれだけ風刺の効いたコメディなのか。葉術で戦争にどう勝利するのか。

ここから鑑賞後の感想です!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想

風刺はきいてるけども、ブラピのクセの強さ以外そこまで笑えない、至って真面目なお話。

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界のリーダー。

世界の平和は我々で成り立っている、そんないつまでもリーダー気取りのアメリカが、勝ち目のない戦争をだらだら続け、なかなか終止符の打てない状況を打破すべく送り込まれた戦争のスペシャリスト、テロ組織の敵、野獣、ビッグ・グレンなどなどいろんなだなのついたエゴの塊マクマーンの、栄光という名の強引なやり方と、衰退という墓穴を掘った何とも言えない虚しいお話でございました。

 

 

説明調のナレーションが入る映画は、正直いらないときもあれば、結構重要な役割を果たすときもあって、今作では後者の意味合いが強く感じたナレーションでありました。

 

これがなければ、時事ネタに超疎い私でもそこそこ理解できる話だったように思えます。

 

ナレーションが後にローリングストーン誌で書かれたマクマーンの取材記事の内容になってくるとはつゆ知らず、それが彼を失脚させる決定打になるわけで、それが分かるともっと話に入っていけたかも。

 

そもそもこの戦争、相手が国じゃなく武装勢力だから、一般市民と見分けがつかない、それでいて彼らがどの拍子で武装勢力になるかわからない。

で、そんな奴らがあちこちにいて、どんなに絶対王者のアメリカでもこればかりは収拾がつかない。

引き際もわからない。

 

そんな時に百戦錬磨の戦争の鬼、マクマーンに白羽の矢が立つわけです。

 

 

ドンパチやる戦争じゃない。

まず戦争というワードを言ったら、思い浮かぶのは、兵士たちが銃を撃ちまくったり、たくさんの血まみれの負傷した兵士や巻き添えを食らう一般市民とかが思い浮かびますが、現代の戦争はドローンなんか使って戦いますからね、どれだけ血を伴わない、犠牲者を出さない、スマートな戦争をやるかになってきてるわけです。

 

だから、戦争は話術だ、というサブタイトルがどういう意味を成すのか、最初こそわかりませんでしたが、マクマーンの行動を見ると非常に納得できるサブタイトルでした。

 

 

やり方は単純、自分の土地を侵略された人たちが武器を持つことで生まれる武装勢力を鎮圧するのは不可能に近い。

だからアメリカが助けに来たと信じ込ませることで、彼らを抑え込み治安を維持させるのが当面の活動になる。

 

そうすれば国民たちは武装勢力よりアメリカの方がいいと思い込み、人気を得ることで勝利への近道となる。

 

戦地の街に赴いて、我々はこの町に秩序と安全をもたらしにやってきました、だから安心してください、という地味な活動をマクマーン自ら赴き実践していくわけです。

 

その治安を維持するために政府を作り、治安を回復し民主主義を根付かせる。

軍も鍛え自分たちで守らせるようにする。

仕事も与え学校も道路も作り、経済も活性化させる。

 

 

何て優しいアメリカ。(皮肉)

 

 

そんなことを地道に続け制圧していくわけですが、なかなかうまくいかないのがこの戦争。

それだけ武装勢力は厄介であり、8年も続くわけです。

 

 

もう無理な地域はほっときゃいいのに、私が来たのだから全部制圧して勝利しなければならない!と、もはや国の利益や立場も考えず、己の軍歴のため、プライドのため、部下から称賛されるため、とにかくエゴのために、あれこれ手をまわし、お偉方の意見も無視し、よその国まで巻き込んで行くことになっていくわけです。

 

 

ブラピのクセのすごさ。

主人公マクマーン大将を演じたブラッドピットですが、彼は演技が巧くないことで有名です。

とはいっても、向こうの国の人たちの演技力の優劣など正直私のようなド素人にはち~っともわかりません。

全然ブラピの演技で泣けるっつ~の。

 

でもですよ、そう言われてる人が、なんか癖のあるような顔つきやぎこちない動作をするとどう見えるかってなると話は別で。

 

今回ブラピが演じた役は、ゴリラが走るようなジョギングで、常に胸を張って歩き、片眼を細め、声色を変えて、いかにも軍人っぽく、しかもちょっと笑える感じの役作りをしたわけでなんですが。

 

これがどうも鼻について気にくわない。

 

例えば、ジャックスパロウを演じるジョニー・デップがこういうわかりやすい変化をするのは見慣れてることもあり、むしろ彼に至ってはこういう風変わりな役でないと直視できないくらいになってきていることもあり、突拍子した変化の役作りには抵抗がないわけなんですが、これが普段から普通の役ばかりやってきたブラピがやると違和感だらけで受け入れられないわけです。

 

 

でもって、この役の人が実在するならまだしも、スタンリー・マクリスタルという実在する人物をモデルにした役を演じてるだけであって、果たしてこの役作りは何のためにやったのか。

彼を想定させたいための役作りなのか。

この辺の意図がよくわからなかったのであります。

 

だから逆に演技が目立ってしまい、鼻についたというわけです。

 

 

 

最後に

この手の映画は、フィクションだとしても実際のところこういうとこがをやってた、こういうことをしてた、ということが分かるだけで見る価値の作品なんですが、いかんせんブラピの演技が邪魔をして、笑いにしたいのか、アメリカがしてきたことを笑い飛ばしたいのか、なんかブレブレな感じがして映画としてはそこまでの満足には至りませんでした。

 

銃で国は作れないとわかっておきながら結局銃で国を作ろうとするしか方法はなく、それに対し、現地の人々は事を荒立てるだけだから帰ってくれといわれる始末。

 

おまけに、あれこれすっぱ抜かれて解任されてしまうというマクマーンの悲しい幕切れかと思いきや、反省しないアメリカを映して終わるという何とも皮肉なエンディングでありました。

 

これラストカットに大物スターが映ってるように見えましたけど、あの彼であってますよね?

クレジットにどこも載ってないので、え?っとなったんですけど。

きっとハリウッドのくまモンだったに違いない。

 

とにかく、ブラピの演技は置いといて、アメリカってホントいつまでたっても空気の読めないふんぞり返ったリーダーかぶれだったね、というブラックジョークなお話でした。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10