共犯
久々の新宿武蔵野館。最近ネット予約を導入したおかげで、飛び込みじゃあ座席取れずなため、休日でなければ余裕もっていけないのが悩み。
と、ボヤキつつ観て参りました。
同じ高校に通っているというだけで、口も聞いたことがなかった男子高校生、ホアン、リン、イエは通学途中、偶然同じ時刻に通りがかった路地で、女子学生シャー(ヤオ・アイニン)が変死しているのを発見。奇妙な縁で友達になった3人は行動を共にするようになり死の真相を探り始めたが…。隠された日記、SNSの炎上、秘密の森。そして、新たに起こる悲劇…。衝撃のラストで、彼らがたどり着いた真実とは?(HPより抜粋)
監督は、視覚障害を持つ天才ピアニストを描いた青春映画「光にふれる」で台湾で名を知らしめたチャン・ロンジー監督。
日本公開当時、仕事先の送別会に参加しなければならないのをすっぽかしてまで、勤務後見に行ったくらい見たかった映画でした。
音楽面はあまり好みではありませんでしたが、光の具合に温かみがあり、主人公の過去のトラウマとの葛藤を乗り越え成長するザ・青春な映画でした。
中でも評判なのが、先日来日した女子学生シャー役のヤオ・アイニン。
なんだ!?おいっ!?カワイイじゃねーかっ!!
本格的な演技はこれが初めてなんだとか。平愛梨と小松菜奈を足して2で割った顔立ちですかね。
他の役者さんたちも、ほぼ演技未経験というだけに学芸会レベルにならなければいいですが。
そんな台湾映画に青春映画の歴史に新たな風を吹かせた今作の感想は、
サスペンス度は普通だが、青春の危うさにドキドキ。
そこまで台湾映画を語れるほど見てませんが、「あの頃、君を追いかけた」を見て日本人として中国映画よりも全然抵抗なく見れることに驚いたことと、日本の漫画原作のようなしょっぱい青春よりも、より爽やかな青春が突き抜けてる感が出ていて非常に見やすかったので、ホント台湾映画悪くないな、と今作も見て思いました。
オープニング映像がすでに本編のラストを助長させるような映像を断片的に散りばめてましたが、カッコイイオープニングでした。一歩間違えれば、TVドラマのオープニングと変わらないじゃんと突っ込んでしまいたくなるものを、ギリギリ映画として成り立たせてるボカシ具合。見入っちゃいましたねー。
女子学生の変死体を偶然見つけてしまった男子高校生3人は、キャラも性格も高校の中の立ち位置も異なっているのが面白い所。
ホアンはいじめられている暗そうな男で、イエは、ツーブロックな髪型とスポーティーな自転車を乗り回す典型的なイケてる不良、リンは、パッツンな前髪とメガネにのび太っぽさもあるけど、成績優秀で誰からも慕われている。
そんな絶対校内で交じあうことのない3人が彼女が何故死に至らなければならなかったのか、その背景を探ることで秘密を共有し、仲を深めていきます。
そうそう、だいたい仲良くなるきっかけなんて教室の席が隣だったり、班が一緒だったりと些細なことで友達になったりするもんです。
ただ、こいつらはあまりにも出会いがショッキングな場所なだけに、死体を目にしてこいつらと遊ぶとあの死んだ顔思い出しちゃうからやだっ!みたいな拒絶反応はなかったのか?とふと疑問に思いました。
彼女の死の真相だけを追いかけるだけの話で衝撃のラストなんてありきたりだなーなんてぼぉーっと見てたら話は急展開。
あれよあれよと思ってたような話ではなく重い青春の話になってました。
LINEやらFacebookやらTwitterやらで誰かと繋ぎとめようともがく現代の学生を反映するような孤独感をうまく利用し、それをサスペンスにすることでキラキラした青春を描くのでなく、その裏側に潜む危なっかしさ、儚さ、脆さが浮き彫りになった話でした。
サスペンスとしては中盤の急展開は驚いたもののラストの種明かしには衝撃度は少なく、ミスリードも大してない、残念なものでした。
見るっからにある人物のセリフやしぐさ、行動、それに対する裏付けのなさなどありとあらゆるものが怪しすぎて、そういうの見つけちゃうとそこに意識しちゃうもの。
で、ラストにやっぱそうじゃーん!!てなると、お話としてはガッカリと思い込んじゃう始末。
前作光にふれるに対して振り幅をつけようとしたのか、そこが仇になったような気もします。
いい所と言えば青春の光と影ていう意味では前作と対照的な作品だとは思いますが。
他にも、彼らの心のメンタルを見なくちゃいけないカウンセラーの冷たさ!自殺現場みた思春期の生徒をカウンセリングするって立場にしては淡々と事務的なことしか言わず真摯に対応してないのには疑問でした。後に彼らに降りかかる悲劇に教訓となる言葉は残すもののキーパーソンでもないのでなんか残念な立ち位置でした。
そして、一番残念で疑問なのがエンディングテーマにflumpool?しかも、台湾語バージョンてww
何故だっ!?違和感しかねぇわ。
台湾では人気なんでしょうか?
てか、歌じゃなくてインストでいいじゃん。劇中音楽悪くなかったし。
ウソも皆んな信じれは本当になる。
ある人物のセリフですが、
情報が飛び交う中、真偽も確かめず鵜呑みにしてしまう現代に起きてしまった青春の儚さ、痛さ、脆さが詰まった作品でした。
満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10