ピエロがお前を嘲笑う
売り文句に「騙されたっ!」とか「誰にも読めない」とか「予想だにしない結末」だとか書かれたらそりゃあ気になります。決してそこで評価したくはないですが、やっぱりサスペンスの醍醐味はそこなわけで。
てなわけで、武蔵野館サービスデーを狙って観に行ってまいりました。
あらすじ
警察に出頭した天才ハッカー・ベンヤミン(トム・シリング)。世間を騒がせ殺人事件にまで関与を疑われ国際指名手配をされた。破壊活動を行うハッカー集団“CLAY(クレイ)”を結成したベンヤミン。国内の管理システムを手当たり次第ハッキングを仕掛け、世間を混乱させ注目を集める。有頂天になっていたベンヤミンたちだったが、ベンヤミンの仕掛けた不用意なハッキングがきっかけで殺人事件が発生してしまう。ついにユーロポール(欧州刑事警察機構)の捜査が入り、ベンヤミンたち自身が危険にさらされることになり、自ら出頭することにしたのだった。しかしベンヤミンの自供はつじつまが合わない。翻弄される捜査官たち。果たしてどこまでが真実なのか。彼の真の目的とは――。《HPより抜粋》
マインドファックムービーって?
この作品を宣伝文句がこの言葉で、聞いたことなかったので、調べてみると、頭が混乱するような作りや映画全体を覆す仕掛けやどんでん返しが用意されている作品のこと、なんだとか。
例えばどんな作品がその部類かというと、
ユージュアルサスペクツやシックスセンス、ファイトクラブ、メメント、グランドイリュージョンなどなどいわゆるみんなハマった、もしくは誰かに薦められたようなタイトルばかり。
おれもハマったものばかりだなぁ、だったら
見るっきゃないじゃん\(^o^)/
しかも、ハリウッドリメイクも決定してるそうです。
う〜ますます楽しみなんだけど、ハードル上がってやしないかい?
とりあえず、私もオススメのマインドファックムービーがこれ。
サスペンス映画の名作です!ピエロ〜と一緒で回想しながら供述する設定は似てますね。
シャマラン監督のブレイク作にして傑作。ボクには死んだ人が見えるんだ…
最近は、ミスチルのアルバムでこの映画をモチーフにした歌がありますね。でも、歌と中身は全然違いますけどw
これも大どんでん返しだよなぁと入れてみた。これはオチが読めなかった。
監督・キャストは、全然知らないので省略しますm(_ _)m勉強不足です。
そんな、ドイツ発、大どんでん返しのマインドファックムービーの感想は、
う〜ん、どんでん返しだったけど…
一応大きなオチ以外ネタバレで書きます。
捜査官目線で隅々まで見てしまう
主人公ベンヤミンの話を映像にしたものを我々は見ながら話を追っていくわけですが、そういう場合、上記にも書いた通り、目をギラつかせて集中力MAX‼︎で見てしまってました。
オレはミスリードなんかされねぇぞ!どこかにこの話のオチが転がってるはずだ!
まるで一捜査官ですよ、ほんと。
しかも、この話を見ながら流れる音楽がまあ、エレクトロなアッパーチューンだこと。重低音がわりかし音量デカくて心拍数上がるし、トリップしちゃいそうな感じにまでさせてくれる音楽に少々頭痛が襲ってくるくらい。
ただでさえ頭使って観てるのにこれはやられた。普通に聞いてたらかっこいいんだけどちと邪魔でした。
しかも、ややこしいことに現実の世界とコンピューターの世界=仮想現実の世界と行ったり来たりするわけです。もーマトリックスなわけです。とはいえ、こっちの仮想現実は寂れた地下鉄の車内でお面つけたままやり取りするので難しくは無いんですが、音楽が引っ張ってコロコロ変わると若干ピヨります。
確かに、ああこれきっと伏線だろうなーと脳内メモしてみたり、もしかしてこの話全てが全く違うんじゃねーの?と疑ってみたり、連邦局側が騙してんじゃねえのか?といろんな角度で見てましたが、ラストのオチまでは見破れなかった。
うーむ捜査官失格であります!!
とはいえ、壮大な仕掛けでもなく…
ラスト手前で、そういうことか!!と納得しつつも何かスッキリしない感じで幕引きするかと思いきや!
大ラスでもう一回ひっくり返るんですが、
それでもなーんかスッキリしない。
え?どういうこと?
もっとドカーンと覆す仕掛けを期待してた分パッとしねぇなぁ。
いや、理解は出来たんだよ!でもさ…
とピエロたちに小バカにされたまま映画館を出る始末。もう一回みないと100%理解は出来そうにないっす。
裏テーマはベンヤミンの殻破り
小さい頃からヒーローになりたいと願っていたベンヤミンは、内向的な正確が故、常に孤立し、想いを寄せる女性には声すらうまくかけられず、誰からも気づかれない透明人間となっていた。
そんな彼がハッキングに目覚め、北村一輝似のマックス、笑わないザックガリフィアナキスみたいなパウル、途中、そんなの関係ねぇ!と小島よしおばりのバカダンスをし始めるシュテファンと出会い、透明人間だった過去の自分とオサラバするべく、アノニマスを連想させるようなピエロのお面を付けたハッカー集団としてデカイことを成し遂げ、そして、ハッカー界の神、MRXに認められるべく様々なお痛をやらかし、彼の家に貼ってあったファイトクラブのポスターがその象徴なのか、彼は変わろうとハッキングにのめり込んでいきます。
そこででかいミスを犯し、追っ手から身を隠す為ユーロポールに証人保護をもらうべく、そこへたどり着くまでのいきさつを捜査官に話すところから始まるんですが。
ベンヤミンの人間の小ささがもろに描かれてます。その能力を買われ仲間になって悪さをこなしていくうちに過信していくわけです。調子こいちゃうわけです。
お前らなんかいなくったって1人でなんでもできるんだ!!
みたいな。
あーよくいるよくいる。
だから、人間としてはあまり好きな部類では無いので感情移入みたいなものは全くなりませんでしたね。そもそも、サスペンスなんで入り込む必要無いんですが、肌に合わない性格ゆえについ。
大きく振り落とされるようなことはなかったのは残念でしたが、見入ってしまったのはそれだけ夢中で見てた証拠なんで決してつまらなかったわけではありませんでしたが、やはりサスペンスの醍醐味としては、宣伝がハードル上げすぎたこともあり、消化不良でした。
やっぱりユージュアルサスペクツは越えられないよなー。